衆院選、SNSで前哨戦 - 東京新聞(2017年9月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201709/CK2017092202000249.html
https://megalodon.jp/2017-0922-1727-56/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201709/CK2017092202000249.html


十月の衆院選へ各党が動きだす中、会員制交流サイト(SNS)などインターネット上で、与野党による舌戦が過熱している。野党からは「解散権の乱用」と安倍晋三首相への批判が相次ぎ、与党は「首相の専権事項だ」と反論。ネットの世界では前哨戦が始まっている。 (吉田健一
自民党菅原一秀衆院議員はツイッターやブログで「唯一解散権を行使できる内閣総理大臣の判断はいかなる理由であれ縛られない」と首相を支持。寺田稔衆院議員はツイッターで「衆院が解散する方向に進んでいますが、いずれのときもあるべき政策課題を掲げ戦ってまいります」と意気込みを記した。
唐突な解散劇に、与党からは懸念の声も漏れる。自民党山本一太参院議員はブログで「国民の感覚からすれば、『安倍総理が自ら約束した説明責任から逃げた』ように見えてしまう。有権者の憤懣(ふんまん)は(短期間のうちに)自民党に対する爆弾低気圧にまで発達する可能性がある」と発信した。
対する野党は、民進党江田憲司前代表代行がフェイスブックで「『森友・加計隠し』、自らの保身のためというのだから『何をかいわんや』である」と首相を批判。
また階猛政調会長は「『大義』も『仁義』もない解散だが我が党にとってはチャンス!」とツイート。有田芳生参院議員はツイッターで「共通政策(政権政策)で野党候補を一本化し、安倍政権を退陣に追い込みましょう」と呼びかけた。
共産党志位和夫委員長はツイッターで「冒頭解散となれば、国政私物化疑惑に蓋(ふた)をして、党略的打算のためだけの解散となる」と主張した。
一般の投稿も解散関連の書き込みが増加し「衆院解散の閣議書に署名するのが『仕事人内閣』の閣僚の最初で最後の仕事らしい仕事」「有事体制を堅固にする必要がある。これが大義だ」など賛否の意見であふれかえっている。

数千人が「魔女狩り」被害 国連人権理で初のセミナー - 東京新聞(2017年9月22日)


http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017092201000698.html
https://megalodon.jp/2017-0922-0937-26/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017092201000698.html

ジュネーブ共同】ジュネーブで開催中の国連人権理事会で21日、世界各地に残る迷信による「魔女狩り」などの被害と人権について考えるセミナーが行われた。人権高等弁務官事務所によると、世界では今も毎年数千人が「魔女狩り」などの被害に遭っており、各国政府に早急な対策を呼び掛けた。
セミナーでは、ギルモア人権副高等弁務官が演説し「私たちはこれまで十分理解せず、見過ごしてきたものに目を向ける必要がある」と指摘、迷信などを原因とする人権侵害を止めねばならないと訴えた。
魔女狩り”はサハラ砂漠以南のアフリカ諸国やインド、パプアニューギニアなどでみられる。

性犯罪被害者ら「まだ救われぬ」 刑法再改正へ団体設立 - 東京新聞(2017年9月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017092202000130.html
https://megalodon.jp/2017-0922-0941-11/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017092202000130.html

性犯罪に関する刑法の規定が今年七月、百十年ぶりに大幅改正され、強盗よりも軽かった強姦(ごうかん)罪の法定刑下限の引き上げなどが実現した。しかし、改正を訴えてきた山本潤さん(43)は「不十分。これでは救われない人が大勢いる」と、法に規定のある三年後の見直しを実現するため一般社団法人「Spring(スプリング)」を設立した。(出田阿生)
二十三日午後一時半から東京都文京区の男女平等センターで、活動のスタートとなるキックオフイベントを開く。
改正では、強姦罪の名称を「強制性交罪」に変更。刑の下限が三年から五年に上がったほか、男性の被害も対象となり、被害者の告訴がなくても起訴できるようになった。
だが、山本さんは「取りこぼした課題は山積み」と話す。最大のポイントは、性犯罪と認めるために暴力や脅しを必要とし、被害者側の立証の大きな壁となっている「暴行・脅迫要件」が残った点だ。子ども時代の性被害の時効を延長・廃止することや、夫婦間の性暴力も犯罪に当たると明記することも見送られた。
自身も十三歳から七年間、実父に性暴力を受けた。法改正に向けた法務省の検討会で専門家が「親子でも同意に基づく性行為があるのでは」と発言したと聞き、がくぜんとした。
活動のスタートを前に、「性暴力被害の実態に法律が追いついていない。救われない被害者のため、数多くの事例やデータを集め、三年後の見直しに生かしたい」と話している。
イベントは誰でも参加可能(参加費千五百円)。申し込みはメールでevent@spring-voice.orgへ。

電通裁判 社長が違法残業認める 罰金50万円を求刑 - NHKニュース(2017年9月22日)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170922/k10011151791000.html
https://megalodon.jp/2017-0922-1318-45/www3.nhk.or.jp/news/html/20170922/k10011151791000.html

大手広告会社「電通」が社員に違法な残業をさせた罪に問われている事件の初公判が開かれ、山本敏博社長は違法な残業だったことを認め謝罪しました。検察は「利益優先で健康を顧みない姿勢が違法な残業を引き起こした」と指摘し、罰金50万円を求刑しました。
電通は、新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が過労のため自殺したことをきっかけに捜査を受け、高橋さんなど社員4人に違法な残業をさせたとして労働基準法違反の罪に問われています。
検察は非公開の略式の手続きで電通を起訴しましたが、裁判所は公開の法廷で正式な裁判を開くことを決め、22日東京簡易裁判所で初公判が開かれました。
被告の代表として法廷に出た電通山本敏博社長は違法な残業だったことを認め、「高橋まつりさんの尊い命を失ったことの責任は極めて重いと思っている。本人とご家族には申し訳ない気持ちでいっぱいです。改めておわび申し上げます」と述べ、謝罪しました。
そして「以前は仕事に時間をかけることがサービス品質の向上につながり、顧客の要望にこたえることになると思っていたが、社員が心身ともに健康であることが品質の向上になると考え、改善に取り組んでいる」と説明しました。
一方、検察は、3年前に電通労働基準監督署から是正勧告を受けたあとも業務量の削減など抜本的な対策を取らず、社員がサービス残業を余儀なくされていた、と指摘しました。
そのうえで「会社の利益を優先して労働者の心身の健康を顧みない姿勢が違法な残業を引き起こした」として罰金50万円を求刑しました。
判決は10月6日に言い渡されます。
電通社長「ご本人とご遺族に改めておわび」
電通山本敏博社長は裁判のあと報道各社の取材に応じ「過去に複数回是正勧告を受けたのに労働環境を改善できず、社長として責任の重大さを改めて感じている。特に高橋まつりさんの尊い命を失ってしまった責任は本当に重く、ご本人とご遺族に改めておわびしたい」と述べました。
高橋まつりさん 自殺までの経緯
高橋まつりさんが亡くなったのはおととしの12月25日。大学卒業後、この年の4月に電通に入社してわずか9か月後でした。
まつりさんは静岡県の高校を卒業後、平成22年に東京大学に入学しました。
文学部で哲学を学び中国に留学したほか、メディア関係の仕事に興味を持ち週刊誌でアルバイトをしてインターネットに配信する動画に出演していました。
電通に就職が決まった際には「日本のトップの企業で国を動かすようなさまざまなコンテンツの作成に関わり、自分の能力を発揮して社会に貢献したい」と母親の幸美さんに話すなど希望に満ちていたということです。
しかし入社後インターネットの広告を担当する部署に配属され10月に本採用になると、連日長時間の残業が続き、幸美さんに「こんなにつらいとは思わなかった。1週間で10時間しか寝ていない」などと話していました。
みずからのツイッターには10月、「眠りたい以外の感情を失った」と書き込んでいたほか、自殺直前の12月には「死にたいと思いながらこんなストレスフルな毎日を乗り越えた先に何が残るんだろうか」とか「死んだ方がよっぽど幸福なんじゃないか」などと書き込んでいました。
そしておととしの12月25日、クリスマスの朝に「大好きで、大切なお母さん。さようなら、ありがとう、人生も仕事も全てがつらいです。自分を責めないでね、最高のお母さんだから」と幸美さんにメールを送り、みずから命を絶ちました。
加藤厚生労働相 「監督・指導徹底する」
加藤厚生労働大臣閣議のあとの記者会見で「公判を通じて違法な長時間労働の実態がより明らかになると考えている。厚生労働省としては、長時間労働の是正に向けて、事業所に対する監督・指導を徹底するなど、これまで以上に積極的に取り組んでいきたい」と述べました。

長時間労働の実態どこまで解明 電通違法残業事件、あす初公判 - 東京新聞(2017年9月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017092102000265.html
https://megalodon.jp/2017-0922-0944-58/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017092102000265.html

広告大手電通(東京)の違法残業事件で、労働基準法違反罪に問われた法人としての電通の初公判が二十二日、東京簡裁で開かれる。同様の事件は罰金刑で済まされることが多く、公の法廷で審理されるのは異例。二〇一五年に過労自殺した新入社員高橋まつりさん=当時(24)=らの長時間労働の実態がどこまで解明されるかが注目される。
起訴状によると、高橋さんの上司ら幹部三人が、従業員四人に一カ月最大十九時間超の違法残業をさせたとされる。公判では、幹部は罪を問われず、法人としての電通のみが問われる。
同社の代表として出廷する山本敏博社長は起訴内容を認めるとみられる。検察が罰金刑を求刑して即日結審する可能性が高い。
電通事件では、高橋さんらが残業を強いられていた具体的な状況や、社内で常態化していたとされる違法残業の背景など未解明の点も多い。検察の提出する証拠が新事実の解明につながる期待があるほか、山本社長が再発防止にどこまで言及し、説明するかも焦点となる。
電通の違法残業事件> 2015年4月に入社した高橋まつりさん=当時(24)=が同12月に東京都内で自殺。三田労働基準監督署は16年9月、長時間労働が原因だったとして労災認定した。厚生労働省が今年4月までに法人としての電通と、高橋さんの上司を含む本支社幹部らを書類送検。検察は7月、高橋さんら従業員計4人に違法残業をさせたとして、電通を略式起訴し、幹部6人を不起訴処分とした。

◆「全国家族の会」寺西さん「過労自殺もう二度と」
「(高橋)まつりさんのような犠牲者はもう二度と出してはいけない。今度こそ、そのきっかけにすべきだ」。京都市の寺西笑子(えみこ)さん(68)は涙を拭い、力を込めた。
身内を過労死などで亡くした遺族らでつくる「全国過労死を考える家族の会」の代表。自らも二十一年前、和食店店長だった夫の彰さんを過労自殺で亡くした。彰さんは年間四千時間という長時間の過重労働の末、うつ病を発症し、自殺に追い込まれた。
「なぜ救えなかったのか。どうしたら夫は死なずに済んだのか」。そんな自戒の念を胸に、家族の会の活動に取り組み、過労死を防ぐ法律の必要性を国会議員に訴えてきた。二〇一四年には過労死等防止対策推進法が制定された。
電通では一九九一年にも若手の男性社員が過労自殺し、二〇〇〇年に最高裁が企業責任を認定。その後も複数回にわたり、労働基準監督署から是正勧告を受けている。社員の過労自殺を繰り返す電通に向けた言葉は特に厳しい。
「懲りていない。社員の命を犠牲に成長する企業があっていいはずがない。社員は一人の人間、家に帰れば、かけがえのない父親や母親であり、自慢の息子や娘なんです。電通は生まれ変わる気持ちで猛省し、体質を根本的に改めて出直すほかない。社長は法廷で、過労死を二度と出さない覚悟を誓うべきだ」
公判を通じて企業関係者だけでなく、多くの人に長時間労働の危険性への理解を深めてもらうことが重要だと訴える。「まつりさんは決して特別ではない。誰にでも、どこにでも起こり得る。だからこそ、まつりさんがどのように追い込まれたのか、公判で真相を明らかにすることが、事件の教訓やブラック企業への抑止力になる」 (岡本太)

電通事件・初公判のポイント
(1)長時間労働の実態が明らかになるか
(2)電通全体で違法残業が常態化していな かったか
(3)反省、再発防止策について社長が何を 語るか

児童ポルノ摘発 最多1142件 4割「自画撮り」被害 - 東京新聞(2017年9月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017092102000264.html
https://megalodon.jp/2017-0922-0950-34/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017092102000264.html

全国の警察が今年一〜六月に摘発した児童ポルノ事件は、前年同期より百二十三件多い千百四十二件で、統計を始めた二〇〇〇年以降、過去最多となったことが二十一日、警察庁のまとめで分かった。摘発人数も七百七十六人で過去最多。被害児童は五百九十四人に上り、相手にだまされたり脅されたりして裸の画像を送らされ、インターネット上に暴露される「自画(じが)撮り」の被害が四割を占めた。
十八歳未満で自画撮り被害に遭ったのは、前年同期より二十五人多い二百六十三人。中学生が百三十九人で過半数を占め、高校生は百一人(38・4%)、小学生は十七人(6・5%)。最年少は北海道の女児(9つ)だった。
加害者とは面識がなかったケースが八割以上。このうち、九割はネットの会員制交流サイト(SNS)を通じて知り合っており、警察庁は「同世代の少女や友人のふりをして会話し、弱みを握った上で画像を送るように強要する」とみている。
児童ポルノ事件の摘発では、画像を撮影・入手する製造容疑が六割を超える七百二十四件で、三年連続で増えた。一五年から罰則の対象となった単純所持容疑は、前年同期より十件多い二十七件。画像を不特定多数の人に販売したり、ネットの掲示板に公開したりする提供・公然陳列容疑は三百八十七件だった。
このほか、児童虐待容疑で警察から児童相談所に通告した児童数が初めて三万人を超え、上半期の統計を取り始めた一一年以降、六年連続で増えた。このうち約七割は、児童の目の前で暴力などを振るう心理的虐待容疑だった。

◆半数超は中学生 弱み付け込まれ
十八歳未満の未成年が、自分のわいせつな画像を送らされる「自画撮り」被害は、警察庁が統計を取り始めた二〇一二年から右肩上がりで増えている。インターネット上の見えない相手に「一人でいるの?」「写真に撮って送れる?」と巧みに誘導されて写真を送り、心に傷を負う少女らは後を絶たない。
警察庁によると、ツイッターなどのSNSで知り合った相手と、一度も会わないまま趣味や好きなタレントの話題で意気投合し、恋愛感情が芽生えたころに、相手が「写真を送って」と要求。断ると「友達関係を断ち切る」と、さらに過激な写真を求める。
悩みや困り事といった個人情報を聞き出し、脅しの材料にすることもある。
SNS上では、中年の男が若いモデルの写真を使うなど、大半は身分や性別を偽装。自画撮り画像を送ってしまった弱みに付け込み、少女らにわいせつな行為をさせるケースもあった。
十〜二十代の女性を支援するNPO法人「BONDプロジェクト」(東京)の橘ジュン代表は「少女らは寂しさもあって、相手に必要とされていると思って応じてしまう」と指摘。被害を相談してきた少女らに、自画撮りに応じた理由を聞くと「相手との雰囲気を壊したくなかった」という声もあったという。
児童買春・ポルノ禁止法では、自画撮り画像を入手し、パソコンなどに保存する行為は禁止されているが、画像を求める行為への規制はない。東京都では、自画撮りを勧誘する行為を罰則付きで規制するため、都青少年健全育成条例の改正を目指している。
警察庁は、中高生へのスマートフォンの普及が被害の増加につながっているとみて、「ネットに個人情報を出すことが、どれほど怖いのかを知ってほしい。学校や保護者に情報提供して、被害を防ぎたい」としている。 (神田要一)

「改憲勢力」どう変わった? - 東京新聞(2017年9月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201709/CK2017092202000114.html
https://megalodon.jp/2017-0922-0954-16/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201709/CK2017092202000114.html

来月予定の衆院選では、「改憲勢力」が、発議に必要な三分の二以上の議席を維持するかどうかが大きな焦点となる。二〇一二年の衆院選で自民、公明両党が政権に復帰した後に行われた国政選挙では、安倍晋三首相が目指す改憲内容などで「改憲勢力」の枠組みが変わってきた。 (関口克己)
首相が再び政権についてから最初に行われたのが一三年の参院選。首相が、改憲発議には衆参で三分の二以上の賛成が必要と定める憲法九六条について、手続き緩和のための改憲に意欲を示した。
当時の日本維新の会みんなの党も九六条改憲に前向きで、自民を含めた三党が「改憲勢力」と位置付けられた。自民党と連立政権を組む公明党は、現行憲法の理念を残しながら、環境権など新たな権利を加える「加憲」の立場で、一線を画した。
一四年の衆院選で、明らかに「改憲勢力」だったのは自民と次世代の党。いずれも九条を含めた全面的な書き換えに積極的だった。
これに対して維新の党は、統治機構改革に重点を置いた改憲を主張。当時の民主党も、公約は「未来志向の憲法を構想する」と抽象的な書きぶりで、自民や次世代とは軸足が違った。
一六年の参院選を前に、首相は自民党総裁任期(一八年九月まで)に改憲を目指すと表明。九条改憲は当面難しいとみて、参院選挙制度改革など各党の理解を得やすい項目から改憲を目指す姿勢に転じた。
首相は、自民、次世代の党を引き継いだ日本のこころを大切にする党のほか、安倍首相の下での改憲を否定しない公明党、おおさか維新の会を新たに加えた四党を「改憲勢力」と位置付けた。民進党岡田克也代表(当時)は改憲勢力に関し「三分の二を許さない。許せば九条を変えてくる」と主張。共産などとの野党四党の共闘で対抗した。
結果は、改憲四党に改憲に前向きな非改選の無所属議員らを含めた勢力が三分の二を獲得した。この改憲勢力衆院でも三分の二以上の議席を持っている。

改憲案、働き方法案も先送り - 東京新聞(2017年9月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201709/CK2017092202000122.html
https://megalodon.jp/2017-0922-0957-20/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201709/CK2017092202000122.html

臨時国会では、学校法人「森友学園」「加計学園」の問題、挑発行為を続ける北朝鮮への対応など、さまざまな重要課題で論戦が見込まれていた。冒頭に衆院が解散されれば、すべて棚上げされる。
森友問題では、国有地売却での約八億円の値引きを巡り、学園と財務省が事前に買い取り可能な金額を協議していたことをうかがわせる音声記録の存在が判明。加計問題でも、獣医学部新設を協議する国家戦略特区の会議に加計学園関係者が出席していたことが分かり「加計ありき」の疑惑が深まっている。
北朝鮮弾道ミサイルを巡っては、小野寺五典(いつのり)防衛相が、米領グアム島周辺に向けて発射されれば、集団的自衛権行使を定めた安全保障関連法に基づき迎撃可能との見解を示した。しかし、米国が攻撃されていない段階で集団的自衛権を行使できるのかという疑問も指摘されている。
働き方改革」では、政府は罰則付き残業上限規制や、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「残業代ゼロ」制度創設を一括法案として臨時国会に提出することを、労働界の慎重論を押し切って決めていた。改憲を巡っても、自民党臨時国会に党の案を提示する方針だった。いずれも解散が優先され、政府・自民党は自ら定めた日程を先送りした。 (篠ケ瀬祐司)

(筆洗)しかし結局、懸命に守ろうとした子どもたちを、戦争に奪われることになる - 東京新聞(2017年9月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017092202000146.html
https://megalodon.jp/2017-0922-1000-56/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017092202000146.html

ブレヒトの戯曲『肝っ玉おっ母とその子どもたち』の主人公アンナは、長く果てしなく戦争が続く十七世紀のドイツで、軍隊に付いて回っては、兵士らに酒や服などを売る行商人だ。
軍隊を相手に稼いでいるからこそ、悲惨でまやかしに満ちた現実がよく分かる。だから息子たちを決して軍隊に入れようとはしないのだが、徴兵に来た曹長に、こうたしなめられる。「お前は戦争を飯の種にしてるくせに、自分の身内はそこから遠ざけておこうって了見だろう?」(岩淵達治訳)
ほそぼそと稼いで糊口(ここう)をしのぐアンナと違い、大々的に軍隊を相手に稼いでいるのは、世界の軍事関連企業だ。米企業七社を含む上位十社の兵器の売上高は、二十兆円を超える。
来年度の防衛費の概算要求が五・二兆円と過去最大になった日本政府もその上得意だが、この国の公的年金の積立金を運用する組織が、これら上位十社の株を漏れなく保有し、時価総額が四千六百億円分にもなると聞けば、私たちも間接的ながら「戦争を飯の種にしてる」のではないか、との疑念がわく。
『肝っ玉おっ母…』のアンナは、「戦争を種に生きてく魂胆ならば、戦争にも見返りを収めるもんだ」と警告されながらも、「戦争は商売そのものさ」と言い、たくましく稼ぎ続ける。
しかし結局、懸命に守ろうとした子どもたちを、戦争に奪われることになるのだ。

肝っ玉おっ母とその子どもたち (岩波文庫)

肝っ玉おっ母とその子どもたち (岩波文庫)

自民党 9条改憲など列挙…衆院選公約作りを本格化 - 毎日新聞(2017年9月21日)

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170922/k00/00m/010/122000c
http://archive.is/2017.09.22-002958/https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170922/k00/00m/010/122000c


党内の意見集約中 最短で10月10日公示へ綱渡りの調整
自民党は21日、政務調査会の幹部会合を開き、次期衆院選の公約作りを本格化させた。安倍晋三首相の意向を踏まえ、2019年10月の消費税率10%への引き上げを前提に増収分の使途を変更することや、憲法改正をどう訴えるかが焦点。いずれも党内の意見集約はできておらず、最短で10月10日の公示に向け調整は綱渡りだ。民進党など他党も対立軸を明確にしようと準備を急ぐ。
政調幹部会合はこの日、公約の内容や工程を協議した。30日の全国幹事長会議で骨子案を示し、公示1週間前ごろの発表を目指す。首相は米国から帰国後の23日にも岸田文雄政調会長と会談し、具体的な方針を指示する。
首相が重視するのは「人づくり革命」や働き方改革、対北朝鮮外交など。中でも、幼児教育・保育の無償化の財源として消費増税分の使途を「国の借金返済」から「子育て支援」に振り向ける案は、「大義名分なき解散」批判をかわす狙いで急浮上した。
ただ、既に決まっている使い道を社会保障の充実に手厚く配分すると、財政健全化は遠のく。このため、21日の会合では「新たな財源を見つけなければ説明がつかない」など慎重論が相次いだ。
憲法9条第1項(戦争放棄)と第2項(戦力不保持)を維持しつつ自衛隊を明記する首相の改憲提案に関しては、12年の党憲法改正草案に沿って第2項を削除すべきだとの反対意見がある。公約の書きぶりは難しく、9条▽教育▽緊急事態▽参院選の「合区」解消−−という項目立てにとどめる方向だ。
突貫工事を強いられる党側からは「議論する前にいろいろな案が報じられる。首相官邸が流しているのではないか」(幹部)と不満が漏れる。石破茂元幹事長は21日の派閥会合で「党内民主主義をすっ飛ばして国民に問うことがあってはいけない」と執行部をけん制した。
一方、公明党は20日の政調全体会議を見送った。25日の首相の記者会見を踏まえて公約の議論に入る。消費増税時の軽減税率導入は同党の譲れない一線。首相の新提案の内容次第では、与党の足並みが乱れかねない。山口那津男代表は21日の記者会見で「与党でどういう政策を掲げ、政権の選択を訴えるか。両党でよく相談しながら決めたい」と述べた。
民進党は21日、公約(マニフェスト)の素案の議論を開始した。前原誠司代表は会見で「自民党は全世代型の社会保障の充実を掲げているが、われわれの『オール・フォー・オール(みんながみんなのために)』にかなり似ている」と、自民党の「抱きつき戦術」を批判した。改憲に関しては、内閣による衆院解散権の制約▽知る権利▽国と地方のあり方−−などを掲げ、憲法論議から逃げない姿勢を有権者に示す。
22日に党所属国会議員の政策懇談会を開き、月内の公約策定を目指す。【小田中大、田中裕之、光田宗義】

消費税の使い道変更 いつどこで議論したのか - 毎日新聞(2017年9月22日)

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170922/ddm/005/070/099000c
http://archive.is/2017.09.22-003518/https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170922/ddm/005/070/099000c

衆院解散・総選挙に向けて、自民党公約に消費増税分の使い道変更を盛り込む動きが、安倍晋三首相の周辺でにわかに浮上している。これまで、党内でまったく聞かれなかった議論だ。
消費税率は再来年秋に8%から10%に引き上げられる。見込まれる約5兆円の税収増のうち約4兆円は国の借金返済に、約1兆円は社会保障の拡充にあてることになっている。
浮上しているのは増税分の一定部分を借金の返済ではなく、教育無償化の財源にあてられるよう使い道を見直す案だ。
安倍政権は幼児教育・保育の早期無償化を目指している。だが、財源約7000億円が不足しており、高等教育無償化にはさらに財源が必要となる。そこで、使い道の見直しに目をつけたようだ。
首相は2014年の衆院選や昨年の参院選でいきなり消費増税の延期を言い出し、選挙にのぞんだ
社会保障財源を政争の具としないのが税と社会保障の一体改革に関する3党合意の精神だった。首相の2度にわたる先送りは、これをないがしろにするものだった。
そして、今回の唐突な動きである。また、消費税の扱いを選挙に利用しようとしているようだ。これまで自民党では教育無償化の財源について保険料方式の「こども保険」などが論じられていた。いったい、いつ、誰がどこで、使い道の変更を具体的に議論したのか。
使い道を変えれば20年度に基礎的財政収支を黒字化する政府目標の達成はいっそう難しくなる。
しかも、これまで社会保障4分野に使い道を限っていた原則の大きな変更につながる。こんな重大なことを議論もせず決めるのは、組織政党として考えられない。
増税分の使い道をめぐっては、野党の民進党がこれまで議論を進めてきた。野党も同調するのであれば、国会での合意形成も可能だろう。わざわざ衆院を解散して争点化する必要などあるまい。
急な衆院解散の大義名分探しを迫られ、野党との対立点をぼやかす計算もあって飛びついたのではないか。衆院解散の方針を決めてから、あわてて大義を取り繕うようでは、そもそも順番が逆である。

(余録)日露戦争の講和をあっせんしてノーベル平和賞を受けた… - 毎日新聞(2017年9月22日)

 
https://mainichi.jp/articles/20170922/ddm/001/070/159000c
http://archive.is/2017.09.22-003741/https://mainichi.jp/articles/20170922/ddm/001/070/159000c

日露戦争の講和をあっせんしてノーベル平和賞を受けた米国大統領セオドア・ルーズベルトだが、人柄は平和的でなかった。自前の義勇軍を率いて戦場に赴くなど、歴代大統領の中でも名うての戦争好きだった。
「こん棒外交」とは武力を背景に米大陸の国々に介入した彼の外交をいう。「大きなこん棒を持って、静かに話せ。そうすれば話は前に進む」。彼はそう語り、帝国主義時代の米国の影響力を広げた。
大きなこん棒を持つ者は騒いではいけない。逆に決定的な力のない者がハッタリを言う。それが従来の国際政治の常識だった。だから先日、米大統領北朝鮮の「全面的破壊」を口にした時、国連の議場がざわめいたのも無理はない。
大言壮語(たいげんそうご)で戦争の危機をあおって実利を引き出すのは北朝鮮の指導者の得意芸である。核やミサイルの開発もそのための道具にほかなるまい。しかし対する米大統領まで似た芸風に染まるとは昨年まで誰も予想しなかった展開である。
北の外相がこれに「犬がほえる声」と応じたのは、殲滅(せんめつ)やら火の海やらといった脅し文句の大好きな自分たちのお株を奪われたからか。米大統領には北が求める戦略的対等にお墨付きを与えるような恫喝(どうかつ)の激しさ比べは得策といえまい。
ここは北の暴発を抑止しつつ、国際社会の対北制裁の結束をリードする静かで大いなる力を示してほしい米大統領である。ついでながらこん棒外交の大統領は退任後、第一次大戦での愛息の戦死によりすっかり元気を失ったそうである。

首相の解散権 「伝家の宝刀」再考の時 - 朝日新聞(2017年9月22日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S13145023.html
http://archive.is/2017.09.22-004109/http://www.asahi.com/articles/DA3S13145023.html

安倍首相が解散に踏み切ろうとするいま、首相がすべての衆院議員をクビにできる解散権のあり方に疑問が募る。
「首相の専権事項」「伝家の宝刀」などと言われるが、憲法にそんな文言はない。
内閣不信任案が衆院で可決された時の対抗策である解散(69条)と、内閣の助言と承認による天皇の国事行為としての解散(7条)があるだけだ。
これまでの解散は7条を根拠とした例が多い。ただ憲法は、首相はどんな解散でもできるとも、逆に恣意(しい)的な解散はできないとも書いていない。
選挙で民意を問うことの意義は大きい。しかし、首相が自らの判断でいつでも解散できる現状は弊害も生んでいる。
日本では3年ごとの参院選の合間に、不定期に衆院の解散・総選挙が行われ、国政選挙のサイクルが短い。その結果、バラマキ予算が幅を利かす半面、与野党とも国民に負担を求める政策には二の足を踏みがちだ。
議員たちは「解散風」のたびに浮足立ち、長期的な政策立案がおろそかになる傾向もある。
与野党がもっと腰を落ち着けて政策論争に臨むためには、衆院議員がなるべく任期をまっとうする原則を確立する必要がある。各党は任期中に実現をめざす公約を掲げ、有権者は4年間の実績を見定め、次の選挙の判断材料にする。そんなサイクルを確かなものにしたい。
内閣不信任案が可決された場合を除き、首相の解散権を抑制することはその有力な手段だ。
内閣の一方的な解散は憲法の精神に反するとして、故保利茂衆院議長が約40年前、次のような見解を残している。
「(解散は)内閣の恣意によるものではなく、あくまで国会が混乱し、国政に重大な支障を与えるような場合に、立法府と行政府の関係を正常化するためのものでなければならない」
いまも通じる議論である。
衆院憲法審査会では、解散手続きを法律で定める方法や、憲法に解散の条件を明記する方法が議論された。主要政党が申し合わせる手法もありえよう。
日本と同じ議院内閣制の英国では2011年、議会が内閣を不信任した時と、与野党が事実上合意した時以外の解散をほぼ禁じる法律が成立した。与党の都合で選挙を行うために、自由に議会を解散できる国は世界の民主主義国で珍しい。
野党の混乱のすきをつき、疑惑に対する追及をかわすための「大義なき解散」。それは、立ちすくむ日本の民主主義の現状を映しているようにも見える。

両陛下 埼玉の渡来人ゆかりの神社へ - NHKニュース(2017年9月20日)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170920/k10011149351000.html
https://megalodon.jp/2017-0922-1432-54/www3.nhk.or.jp/news/html/20170920/k10011149351000.html

天皇皇后両陛下は20日、埼玉県日高市を訪れ、朝鮮半島からの渡来人ゆかりの神社などを訪ねられました。

両陛下は、20日から私的な旅行で埼玉県を訪れていて、はじめに日高市にある高麗(こま)神社を訪ねられました。

高麗神社は、7世紀に朝鮮半島高句麗から渡来してこの地域を治め、発展の礎を築いたとされる高麗王若光(こまのこきし・じゃっこう)がまつられていて、出世や開運の神社として知られています。

両陛下は、若光から60代目の子孫に当たる宮司の案内で参道をゆっくりと進み、本殿の前で玉串をささげて拝礼されたということです。

両陛下は、続いて神社の隣にある国の重要文化財の高麗家住宅を視察されました。この建物は、1600年ごろに建てられ、改修を重ねながら高麗家の住まいとして使われてきたもので、天皇陛下は、かやぶき屋根や土間を見て「いろんなものがよく残っていますね」と話されたということです。

このあと両陛下は、全国有数のヒガンバナの群生地として知られる巾着田曼珠沙華(きんちゃくだ・まんじゅしゃげ)公園に足を運ばれました。公園ではおよそ500万本のヒガンバナが見頃を迎えていて、両陛下は、園内を散策しながら真っ赤なじゅうたんを敷き詰めたような秋の景色を楽しまれていました。

両陛下は、2日間、埼玉県に滞在し、21日は深谷市を訪ねられます。