自民党 9条改憲など列挙…衆院選公約作りを本格化 - 毎日新聞(2017年9月21日)

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170922/k00/00m/010/122000c
http://archive.is/2017.09.22-002958/https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170922/k00/00m/010/122000c


党内の意見集約中 最短で10月10日公示へ綱渡りの調整
自民党は21日、政務調査会の幹部会合を開き、次期衆院選の公約作りを本格化させた。安倍晋三首相の意向を踏まえ、2019年10月の消費税率10%への引き上げを前提に増収分の使途を変更することや、憲法改正をどう訴えるかが焦点。いずれも党内の意見集約はできておらず、最短で10月10日の公示に向け調整は綱渡りだ。民進党など他党も対立軸を明確にしようと準備を急ぐ。
政調幹部会合はこの日、公約の内容や工程を協議した。30日の全国幹事長会議で骨子案を示し、公示1週間前ごろの発表を目指す。首相は米国から帰国後の23日にも岸田文雄政調会長と会談し、具体的な方針を指示する。
首相が重視するのは「人づくり革命」や働き方改革、対北朝鮮外交など。中でも、幼児教育・保育の無償化の財源として消費増税分の使途を「国の借金返済」から「子育て支援」に振り向ける案は、「大義名分なき解散」批判をかわす狙いで急浮上した。
ただ、既に決まっている使い道を社会保障の充実に手厚く配分すると、財政健全化は遠のく。このため、21日の会合では「新たな財源を見つけなければ説明がつかない」など慎重論が相次いだ。
憲法9条第1項(戦争放棄)と第2項(戦力不保持)を維持しつつ自衛隊を明記する首相の改憲提案に関しては、12年の党憲法改正草案に沿って第2項を削除すべきだとの反対意見がある。公約の書きぶりは難しく、9条▽教育▽緊急事態▽参院選の「合区」解消−−という項目立てにとどめる方向だ。
突貫工事を強いられる党側からは「議論する前にいろいろな案が報じられる。首相官邸が流しているのではないか」(幹部)と不満が漏れる。石破茂元幹事長は21日の派閥会合で「党内民主主義をすっ飛ばして国民に問うことがあってはいけない」と執行部をけん制した。
一方、公明党は20日の政調全体会議を見送った。25日の首相の記者会見を踏まえて公約の議論に入る。消費増税時の軽減税率導入は同党の譲れない一線。首相の新提案の内容次第では、与党の足並みが乱れかねない。山口那津男代表は21日の記者会見で「与党でどういう政策を掲げ、政権の選択を訴えるか。両党でよく相談しながら決めたい」と述べた。
民進党は21日、公約(マニフェスト)の素案の議論を開始した。前原誠司代表は会見で「自民党は全世代型の社会保障の充実を掲げているが、われわれの『オール・フォー・オール(みんながみんなのために)』にかなり似ている」と、自民党の「抱きつき戦術」を批判した。改憲に関しては、内閣による衆院解散権の制約▽知る権利▽国と地方のあり方−−などを掲げ、憲法論議から逃げない姿勢を有権者に示す。
22日に党所属国会議員の政策懇談会を開き、月内の公約策定を目指す。【小田中大、田中裕之、光田宗義】