自民公約 改憲、論点の提示のみ 自衛隊明記条文案掲げず - 東京新聞(2017年9月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201709/CK2017092102000129.html
https://megalodon.jp/2017-0921-0943-34/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201709/CK2017092102000129.html


自民党憲法改正推進本部の保岡興治本部長は二十日、九条改憲など党内で議論を進めている改憲四項目について、衆院選前に具体的な条文案を絞り込んだ上で党の公約に盛り込むことは考えていないことを記者団に明らかにした。衆院選公約では、四項目で議論を進めていることや、論点を提示するまでにとどめる方針だ。同本部の執行役員会と全体会合で、公約の具体的内容は保岡氏に一任した。
保岡氏は、衆院選公約について「四項目で具体化に向け作業している姿を国民に伝え、熱意、決意を訴えていく。あまり細かい議論を紹介することはない」と強調。安倍晋三首相が二十五日に記者会見で衆院解散を表明することを念頭に、「首相がどう考えを述べるかも踏まえ、政務調査会と相談しながら決める」とも語った。
二十日の全体会合では、九条改憲の条文案を公約に記すべきだとの意見が出た一方で、「議論は収れんしていない。決め打ちした内容を掲げるべきではない」との意見もあった。石破茂元幹事長は会合後、記者団に「正式な手続きを経ず、各議員に発言機会もなく、これが憲法の公約だというのはあり得ない」と語った。
九条改憲については十二日の会合で、戦力不保持を規定した二項を維持したまま自衛隊を明記する首相の提案に賛成意見が相次いだが、二項は削除すべきだとの異論もあった。同本部は十月をめどに条文案を示し、一つに絞り込む方針だった。首相が臨時国会冒頭にも衆院を解散する方針となり、衆院選前の絞り込みは見送られることになった。 (金杉貴雄)

河野洋平氏「権力側が自分の都合で解散、理解できない」 - 朝日新聞(2017年9月20日)

http://www.asahi.com/articles/ASK9N61J9K9NUTFK01D.html
http://archive.is/2017.09.21-012721/http://www.asahi.com/articles/ASK9N61J9K9NUTFK01D.html

河野洋平衆院議長は20日、日本記者クラブで講演し、安倍晋三首相が28日召集の臨時国会冒頭に衆院を解散する構えを見せていることについて「安倍さんは『できるだけ丁寧に国民に説明する』と言っていた。その説明もせずに、冒頭解散するというのは私には理解できない」と批判した。
河野氏は、森友学園加計学園をめぐる問題を念頭に、「国民の懸念に説明をすべきだと野党が要求してきた臨時国会をずっと開かずに引っ張ってきて、問題への説明も懸念払拭(ふっしょく)の努力もしないで(解散)しちゃうというのは、野党が何だと思うのは当然だ」と指摘。さらに、「権力の側が自分の都合の良いときに自分の都合で解散するというのは果たしていいのかどうか、議論しなければならない」と訴えた。
河野氏は英国首相の下院解散権が2011年に封印されたことに触れて「党と党の話し合いで解散権に制約を加えるのは非常に賢明な対処法で、あのやり方ができればいいと思う」との見方も示した。(倉重奈苗)

「森友・加計」素通り解散 大問題だから隠すのでは - 毎日新聞(2017年9月21日)

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170921/ddm/005/070/028000c
http://archive.is/2017.09.21-013224/https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170921/ddm/005/070/028000c

疑惑を隠すつもりはないというのなら、堂々と国会で質疑をすればいいではないか。
安倍晋三首相が28日召集予定の臨時国会冒頭で衆院を解散する方針を固める中、自民党二階俊博幹事長が、いまだに解明されていない加計(かけ)学園と森友学園の問題に関して、こんな発言をした。
「我々はそんな小さなというか、そういう問題を隠したりすることは考えていない」
本当にそうだろうか。
与党は臨時国会で代表質問や予算委員会質疑は行わず、いきなり解散する方針だ。選挙になれば各党が一方的に主張を訴える場面が大半になる。問題の真相解明という国会の重要課題は放置される公算が大きい。
これでは「疑惑隠し解散」と批判されても仕方がない。
二階氏は「取るに足らない問題」と強調したいのかもしれない。だが獣医学部新設を目指す加計学園は首相の長年の友人が理事長を務め、森友学園が設立しようとした小学校の名誉校長には首相の妻昭恵氏が一時就任していた。
こうした関係があったから両学園側に有利な手続きが進んだのではないか−−。これが疑惑の核心だ。つまり行政が公正かどうかという政治の根幹にかかわる大問題である。
安倍首相自身への国民の不信が増して内閣支持率が急落し、東京都議選自民党が惨敗したのは、この問題が影響したからに違いない。
首相も6月の記者会見では「必ずしも国民的な理解を得られていない。率直に認めなくてはならない」と低姿勢を見せ、「今後、真摯(しんし)に説明する」と約束していたはずだ。
しかも、両問題ともに通常国会後も新たな疑問点が報道や野党の調査で明らかになり、これまでの担当官僚らの国会答弁や説明が事実だったかどうか疑念を抱かせている。
各種の世論調査では今も、政府の説明は不十分だと答える人がほとんどだ。多くの国民は決して忘れてはいないのだ。
それでも国会質疑を素通りしようとするのは「小さい」どころか、衆院選を左右すると考えている証拠ではないか。むしろ大問題だから国民の関心を呼び起こしたくないというのが首相らの本音だろう。

「やはり国策捜査だった森友疑惑。特捜部はやる気なしで財務省は逃げ切り」郷原信郎・元特捜検事 - AERA dot. (2017年9月15日)

https://dot.asahi.com/dot/2017091500082.html

学校法人「森友学園」をめぐる事件で、大阪地検特捜部は11日、籠池泰典前理事長と妻の諄子氏を詐欺などの罪で追起訴した。捜査開始の時点から「国策捜査」との批判が噴出した今回の事件。いったい何が問題なのか。元東京地検特捜部検事の郷原信郎氏が解き明かす。

* * *

──森友問題で「国策捜査」との批判が多いのはなぜでしょうか?

今回ほど、政治的色彩が濃い捜査はありません。幼稚園や保育園の補助金不正は珍しいものではなく、不正がわかった場合は行政が調査や指導をするのが一般的です。悪質であっても捜査をするのは警察。大阪地検特捜部が出てくる事件ではありません。籠池泰典氏が「国策捜査」と思うのも無理もないと思います。

──捜査は不自然な部分が多い?

籠池氏は、不正だと指摘された国交省からの補助金は返還していました。にもかかわらず、3月29日に大阪特捜部が補助金適正化法違反の告発を受理したことが、一斉に報道じられました。当時、籠池氏は国会の証人喚問で証言をして、注目を集めていた。その時期に、東京の法務・検察サイドから出たと思われる情報がメディアに流れたのです。

それだけではありません。籠池夫妻は、補助金適正化法が適用される事案なのに、詐欺罪で起訴されました。従来の検察ではあり得ない処理です。「詐欺」の罪名を付けることで、特捜部は籠池夫妻に悪いイメージを付けたかったのでしょう。

──政治的な意図を持って特定の人物を狙い撃ちする「国策捜査」だとしても、森友問題では、財務省近畿財務局も8億2千万円の国有地の値引きに関わっていたと指摘されています。近畿財務局の担当職員も起訴されるのでは?

担当職員が起訴されることはないでしょう。背任の成立は「自己や第三者の利益を図る目的で損害を与えた」ことが必要です。担当職員が、自分の利益のため不当な値引きを行って、国に損害を与えたことを立証できなければ、背任容疑で刑事責任を追及できません。
特捜部は「籠池夫妻は詐欺をした悪者」というイメージを世間に広げることで、近畿財務局は「不当な圧力を受けた被害者」とのストーリーを作ろうとしているように思える。それによって、近畿財務局の不起訴が世の中に受け入れられやすいようにしたいということでしょう。

──しかし、国有地の値引き交渉では、安倍昭恵首相夫人付の政府職員だった谷査恵子氏も、財務省とやりとりしていたことが明らかになっています。「近畿財務局は被害者」というストーリーは成り立たないのでは?

特捜部の捜査では、特定の人物の捜査をしない「国策不捜査」もあります。本気で捜査するなら、特捜部は近畿財務局を強制捜査をしているはず。証拠隠蔽が国会で大問題になっているのに、ガサ入れをしていないのは、最初から起訴の方向で捜査する気がないからでしょう。「籠池夫妻=悪党」を世間に広め、「籠池夫妻が昭恵夫人の名前まで使って脅してきたので、不当な値引きに応じざるを得なかった」というストーリーに持ち込みたいのでしょう。

──近畿財務局を調査している会計検査院の報告書が、今月中に発表されると報道されています。森友問題は、今後どうなるのでしょうか。

会計検査院の報告書がどのようなものであれ、特捜部が「近畿財務局は被害者」というストーリーを基本的に変えることはないでしょう。

幼稚園の補助金に関しては、多くの施設で同様の問題が大なり小なりあるはずです。本来は行政指導で対応すべき問題です。特捜部が捜査を始めた経緯も、捜査のやり方も処分も不可解でなことだらけです。もともと動機が不純だからでしょう。

このまま籠池夫妻に「悪党」のイメージを広めるだけで捜査が終結してしまえば、検察は一体何のためにこの事件でしゃしゃり出たのか、という疑問を持たざるを得ない。そうなれば、特捜部が国民から批判を受けるのは避けられません。(AERA dot.編集部・西岡千史)

安倍政権、改憲勢力に対立軸を 「市民連合」呼びかけ人・中野晃一上智大教授 - 東京新聞(2017年9月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201709/CK2017092102000128.html
https://megalodon.jp/2017-0921-1023-56/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201709/CK2017092102000128.html

10月に予定される衆院選を巡り、民進、共産、自由、社民の野党4党が共闘できるかが焦点になっている。昨年の参院選野党統一候補の擁立を後押しした市民団体「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」の呼びかけ人である中野晃一上智大教授(政治学)に、共闘の意義などを語ってもらった。 (安藤美由紀、坂田奈央)
二年前、安全保障関連法の強行採決という憲法を壊す動きに対し、国会の内外で連帯があった。昨年には参院選に向けて野党四党で、安倍政権に終止符を打つことなど市民との約束も含めて合意した。
参院選では三十二の一人区で候補者を一本化し、三分の一を超える十一で勝った。前々回の一人区では、野党で二つしか取れなかったから、共闘の力はそれなりにあった。参院選の一人区も衆院選小選挙区も最終的には二極対決。安倍政権、改憲勢力に対し対立軸を描けるかが勝負になる。
今の民進党共産党との違いを強調しているが、それによって有権者を引き寄せられるのか。共闘は野党間だけでなく、市民との共闘という認識が欠落している。安倍政権の暴走を許さないというのが一番の争点であり、第二自民党にしか見えない振る舞いだったら、何のための野党かということになる。
市民連合としては、共闘が進んでいる地域ではできるだけ安倍政治に反対する候補者を一本化してもらうよう呼びかける。改憲に対抗する礎(いしずえ)となるような政治家や政党の枠組みを後押ししていきたい。
<なかの・こういち> 1970年、東京都生まれ。東京大、英オックスフォード大などで学び、米プリンストン大で政治学の博士号取得。

首相「教育無償化進める」 米で演説 消費増税分、念頭に - 東京新聞(2017年9月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201709/CK2017092102000130.html
https://megalodon.jp/2017-0921-1029-33/www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201709/CK2017092102000130.html

【ニューヨーク=石川智規】国連総会出席のため訪米した安倍晋三首相は二十日、ニューヨーク証券取引所で演説し「社会保障を現役世代に振り向け、幼児教育の無償化を進める」と明言。「実現には大きな財源が必要だが、答えを出す」と強調した。
自民党は来月に予定される衆院選の公約として、教育無償化政策のために、消費税率10%引き上げで得る増収分の使途の組み替えを検討している。安倍首相の発言は、教育無償化の財源ねん出に向け、従来は予定しなかった消費税増税分を充てることに意欲を示したものだ。
首相は「経済社会のあり方を根本から改革するのがアベノミクス最大の勝負だ」と指摘。女性や高齢者の就業率向上や規制改革とともに「リタイアした高齢者への給付が中心だった社会保障を全世代型に改革する」と訴えた。
具体的には、「低所得世帯向けの高等教育無償化」や、実現には約一・二兆円必要とされる「幼児教育の無償化」を挙げた。その上で「未来をひらくために財源問題から逃げることなく答えを出す」とした。
二〇一二年の「社会保障と税の一体改革」で、自民、公明、民主(当時)の三党は、消費税率10%引き上げによる増収分の二割を年金・医療や子育て支援の充実に、五割強を財政赤字の削減に充てることで合意していた。教育無償化に増収分を振り向けるためには使途組み替えが必要となる。

日本の大学に通い始めて分かった、本当の日本の姿―中国人留学生 - Record China(2017年9月14日)

http://www.recordchina.co.jp/b190426-s0-c60.html

......

2年前の自分は、日本を一言で表現しようとしていた。しかし今、自分の経験だけでこの国全体を説明するべきではないと思っている。一言でまとめられる社会は、社会とは言えない。日本の社会を構成しているのは、私たち同様、自らの信念と目標を持っている無数の人たちなのだ。

こちら特報部「東京招致で買収」英報道 「五輪やめろ」返上論再熱 - 東京新聞(2017年9月21日)

関連記事)
ブラジル当局「買収」と結論 東京五輪招致は“真っ黒”だ - 日刊ゲンダイDIGITAL(2017年9月17日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20170917#p10

ガーディアンの記事から「東京五輪買収疑惑に新たな局面」 - 内田樹の研究室(2017年9月15日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20170917#p11

東京、リオ五輪で買収と結論 英紙報道、招致不正疑惑 - 共同通信 47NEWS(2017年9月14日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20170915#p7

(余録)真珠湾攻撃の直前… - 毎日新聞(2017年9月20日)

https://mainichi.jp/articles/20170920/ddm/001/070/162000c
http://archive.is/2017.09.21-013058/https://mainichi.jp/articles/20170920/ddm/001/070/162000c

真珠湾攻撃の直前、日本は絶望から戦争を始めようとしていると東京の空気を伝える米国外交官に国務省の極東担当ホーンベックが反論した。「歴史上、絶望から戦争を始めた国が一つでもあったら言ってみろ」
だが米国の石油禁輸下の日本の為政者(いせいしゃ)は備蓄の枯渇(こかつ)という将来の絶望的悲観論と、今ならアジアで軍事的に優位という短期的楽観論を両にらみして奇襲に賭けた。禁輸の効果を疑わなかったホーンベックには信じられぬ判断であった。
北朝鮮と米国の緊張でこの手の史実がよく論議の引き合いに出される昨今だ。しかしその国際情勢の緊迫のさなか、日本の為政者が長期の悲観論と短期の楽観論を勘案(かんあん)して企図したのは衆院の早期解散という野党への「奇襲」だった。
てんびんにかけられた悲観論と楽観論は国益や国民の幸福・安全の話ではない。国会で森友・加計(かけ)問題が追及され、野党の態勢が整う将来は厳しいが、野党の失態などで内閣支持率を戻した今なら選挙に勝てるとの党利党略(とうりとうりゃく)である。
突然吹き出した解散風だが、すでに政界では「10月22日投開票」という選挙の日程が既定事実として語られている。野党からの「疑惑隠し解散」「自己保身解散」……つまりは「大義なき解散」という批判続出も計算済みに違いない。
大義」がどうあれ、選挙の結果ですべてがリセットできるというのが早期解散論の楽観的読みである。民意に何を問うのかも不明なこの解散・総選挙、最大の争点は首相の「短期の楽観論」の当否か。

(筆洗)「世界を救った男」が五月に亡くなった - 東京新聞(2017年9月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017092102000144.html
https://megalodon.jp/2017-0921-1034-28/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017092102000144.html

その人が正しい判断をしなければ、われわれは今、生き延びているのだろうか。ちょっと、おどかしすぎかもしれぬ。それでも、「一歩間違えば」の事態は実際に起きた。その危機を食い止めた「世界を救った男」が五月に亡くなった。旧ソ連軍中佐のスタニスラフ・ペトロフさん。七十七歳。こんな話である。
東西冷戦下の一九八三年九月二十六日未明、ペトロフさんは米軍の核攻撃を警戒する任務についていた。
突然、ミサイル監視システムの警報が鳴った。五発の大陸間弾道ミサイルが発射され、こちらに向かっている。システムはそう表示している。本土到達まで約二十分。どうするか。
米軍に動きがあれば、ただちに上官に報告することになっていた。しかし「何かおかしい」と直感した。米軍の核攻撃で五発は少なすぎる。システムも信頼できない。規則を破って上司への報告を見合わせた。
二十三分が経過。何も起きない。システムの誤作動だった。米ソが鋭く対立する最中、米軍に攻撃されたとそのまま報告していれば、報復の手続きが進み、全面核戦争に向かった可能性は否定できない。自分にも同じ判断ができると言い切れる会社員はそれほどいないだろう。
事件のあった二十六日は、核兵器全面廃絶国際デーでもある。幸い、われわれはまだ生き延びている。幸い、核兵器廃絶に取り組むことがまだできる。