「改憲勢力」どう変わった? - 東京新聞(2017年9月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201709/CK2017092202000114.html
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来月予定の衆院選では、「改憲勢力」が、発議に必要な三分の二以上の議席を維持するかどうかが大きな焦点となる。二〇一二年の衆院選で自民、公明両党が政権に復帰した後に行われた国政選挙では、安倍晋三首相が目指す改憲内容などで「改憲勢力」の枠組みが変わってきた。 (関口克己)
首相が再び政権についてから最初に行われたのが一三年の参院選。首相が、改憲発議には衆参で三分の二以上の賛成が必要と定める憲法九六条について、手続き緩和のための改憲に意欲を示した。
当時の日本維新の会みんなの党も九六条改憲に前向きで、自民を含めた三党が「改憲勢力」と位置付けられた。自民党と連立政権を組む公明党は、現行憲法の理念を残しながら、環境権など新たな権利を加える「加憲」の立場で、一線を画した。
一四年の衆院選で、明らかに「改憲勢力」だったのは自民と次世代の党。いずれも九条を含めた全面的な書き換えに積極的だった。
これに対して維新の党は、統治機構改革に重点を置いた改憲を主張。当時の民主党も、公約は「未来志向の憲法を構想する」と抽象的な書きぶりで、自民や次世代とは軸足が違った。
一六年の参院選を前に、首相は自民党総裁任期(一八年九月まで)に改憲を目指すと表明。九条改憲は当面難しいとみて、参院選挙制度改革など各党の理解を得やすい項目から改憲を目指す姿勢に転じた。
首相は、自民、次世代の党を引き継いだ日本のこころを大切にする党のほか、安倍首相の下での改憲を否定しない公明党、おおさか維新の会を新たに加えた四党を「改憲勢力」と位置付けた。民進党岡田克也代表(当時)は改憲勢力に関し「三分の二を許さない。許せば九条を変えてくる」と主張。共産などとの野党四党の共闘で対抗した。
結果は、改憲四党に改憲に前向きな非改選の無所属議員らを含めた勢力が三分の二を獲得した。この改憲勢力衆院でも三分の二以上の議席を持っている。