【政界地獄耳】難航の衆院議長候補に元法相・森英介浮上 - 日刊スポーツ(2023年10月5日)

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20日に国会召集ながら衆院議長の後継が難航。多くの候補者の名前が挙がるものの、衆目の一致する人材がいない。元財務相額賀福志郎が最有力と思われたが、官房長官自民党参院議員会長などを歴任し、6月11日、89歳で亡くなった青木幹雄の遺言がものをいう。既に引退して久しい青木はその後も参院のドンとして君臨。その青木が派閥の在り方を巡り「額賀と(党幹事長)茂木敏充だけは許さん」と言い続けていたことを事あるごとに首相・岸田文雄らに話す元首相・森喜朗の影響が強く、額賀に難色を示す声が広がっている。

★なぜ森はそれほどまでに影響力があるのか。誰もが不思議に思うはずだが森は近代政治史のすべてに顔を出す、自民党の生き字引と化しているからだ。1980年代後半には安倍派内で三塚博塩川正十郎加藤六月森喜朗が派閥の四天王と呼ばれ、党内では竹下派羽田孜、安倍派の森、宮沢派の加藤紘一、中曽根派の藤波孝生と次の次の世代のホープと目され、ネオニューリーダーと呼ばれた。首相こそ1年余りの在任だが、建設、通産、文部相を歴任。党の政調、総務、幹事長も経験。自民党総裁河野洋平時代に下野した幹事長として、細川内閣と対決。以降の政治のシンの部分には全て関わっている。

★さて、衆院議長人事だが、ここにきて急速に麻生派の当選11回、元法相・森英介の名前があがり始めた。森は現在2度目の衆院憲法審査会会長をしていて、今後の憲法改正議論の要といわれているが、本命視されている。一方、政治的には元首相・麻生太郎と行動を共にしてきた経緯があり、自他ともに認める側近は落選中の元国家公安委員長松本純だが、今は森がその側近を務めていて麻生が手放さないともいわれる。無論、森に断る理由はなく党内調整と麻生の説得が首尾よく進めば、早々にまとまる算段だ。(K)※敬称略