(政界地獄耳) 延命=菅降ろしシグナル - 日刊スポーツ(2021年1月7日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202101070000111.html

★5日、自民党政調会長下村博文はテレビ番組で、現職議員の辞職と死去に伴い4月25日に投開票が行われることになった衆院北海道2区補選と参院長野選挙区補選で、自民党候補が2敗した場合について「菅政権にとって大ダメージになる。その後は政局になる可能性もある。補選の時に解散・総選挙もあるかもしれない」と選挙時期にも言及した。

★北海道2区の補選は、鶏卵疑惑で自民党の元農相が議員辞職した選挙区。一方、参院長野選挙区補選は野党議員のコロナ感染死での補選だ。自民党にとってはいずれも厳しい選挙になることが予想される。ただ、この下村発言はもう少し慎重に聞くべきだ。下村の役職は政調会長。いささかの政局を語るのならともかく、この発言は党内の役職を超えるものだ。確かに下村は元選対委員長。事情は承知しているだろうが、総務会長とともに幹事長を支える党3役としては足並みがそろっていない。自民党幹部が言う。「下村は首相・菅義偉が解散に躊躇(ちゅうちょ)する就任直後、『支持率の高い今、選挙すべき』と言い続けた越権行為の前科がある。ただ、これは清和会(細田派)の意向の代弁だろう。今回もそうだろうが同時に幹事長・二階俊博批判でもある」。

★つまり、首相を操る二階に対して細田派をはじめ岸田派、麻生派は4月2日解散、13日公示、25日投開票でいけと突き付けたようなものだ。二階には加えて菅の延命を図るのなら、菅降ろしもあるというシグナルでもある。別の自民党議員が言う。「俺が調整すると二階は豪語するが、全国幾つもの選挙区で候補者調整がつかず、このまま選挙に突入すると、保守分裂、自民党同士の対決になりかねない選挙区も出てくる。また県連での調整がつかず党本部ともめている選挙区もある。大幹事長の都合ばかりが通る状況にはない」。自民党政局は既に始まっている。(K)※敬称略