【政界地獄耳】首相の鈍感力がまん延しているのか 野党もその鈍感力にのみ込まれてはいまいか - 日刊スポーツ(2024年3月5日)

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★野党の追及が生ぬるいと見たのだろう。4日、18~19年に安倍派の事務総長を務めていた元文科相下村博文はX(旧ツイッター)で「私の名前も何度か出ましたので、今後政倫審が開催されるのであれば、党と相談して説明責任を果たしていきたい」と政倫審出席の意向を示した。今後も幾人かの議員が出席したいと言い出すだろう。いわゆる安倍派5人衆から外された形の下村が、政倫審を使って彼らのうそを暴くというシナリオは映画の世界。下村も秘密を共有することで政界を生き抜こうとするだろう。だが今はそんな昭和の政治を乗り越えなくては自民党は変わらない。

★ただ昭和から平成にかけてロッキード事件で金権腐敗が起きれば、田中角栄からクリーンと言われた三木武夫を選び、リクルート事件で竹下内閣が退けば海部内閣が生まれるように、自民党は全く色合いが違う第2政権がすぐ誕生する人材、土壌、環境があったといえる。国民からの支持率が低く、党内でも「岸田はいつでも変えられる」とうそぶく議員は多くいる。「首相にはなりたいが、今ではない」と都合の良いことを言う議員もいる。この政治とカネの問題の収拾、いつできるのかタイミングすら見えない衆院の解散や来年の参院選挙を考えれば、ポスト岸田の仕事は続けざまの選挙対策だ。加えて「もしトラ」から「ほぼトラ」と言われるように「もしもトランプが再選したら」は「ほぼトランプ再選の様相」に変わりつつある。そうなればウクライナ情勢、イスラエルとの関係など世界は激変、それを横目に日米関係をさばききれる人材は今の自民党にいるのか。

★元幹事長・二階俊博、元首相・森喜朗などの重鎮の発言が影を潜め、前首相・菅義偉が党幹部らとの会合などを散発的に行い収拾に動いているが、前に出て来て調整するわけでもない。首相の鈍感力が党内にまん延しているのだろうか。野党もその鈍感力にのみ込まれてはいまいか。国民はよく見ていることをお忘れなく。(K)※敬称略