<金口木舌>虚々実々の新基地錬金術 - 琉球新報(2023年10月5日)

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金利時代なのに、そこそこの利回りが保障され、元本割れもない。そんな希少な金融商品として軍用地が注目されたのは2018年。投資指南の本が出版され、軍用地にまつわる「別の側面」が関心を集めた

▼政府が安定的運用に神経をとがらせる軍用地が投資の対象となる。かつてなら「知る人ぞ知る」であった。これとは性格を異にする、最近の新基地建設に絡む金融商品の膨張には驚く。虚々実々が入り交じる世界だ。用心されたい
▼「軍事商法」なる言葉が一部で語られる。霊感商法などと並ぶ悪質商法の新語とも言えようか。軍事部門は機密性が高く、真偽の確認が難しい。思わぬ罠(わな)も潜んでいる
▼本紙が伝えたように辺野古の新基地をめぐる事案はその典型。建設資材の搬入など実態の伴わない事業計画を口実に、金融商品が県外を含め売買されているという
▼「新基地は金がジャブジャブの金融特区」。関係者の吐いた言葉だ。地元の基地被害に目をつむり妙な錬金術が横行する。目をむくような金額の被害も出ている。警戒が欠かせない。