原発避難の女子生徒にいじめ 母親に「もう限界」 - テレビ朝日(2018年11月2日)

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000139897.html
http://web.archive.org/web/20181102001340/https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000139897.html

原発事故で福島県から山梨県に避難している女子中学生がいじめを訴えたにもかかわらず、学校が具体的な対策を取らなかった問題で、母親が胸の内を語りました。
山梨県北杜市の当時中学1年の女子生徒は、去年12月に学校のアンケートで同級生からいじめを受けていることを訴えました。その前の月には手首を切る自傷行為をしていたということです。
女子生徒の母親:「(今年1月に娘が)もう限界です。休ませて下さいって。(いじめの内容は)死ねって言われたり、突然、突き飛ばされたりとか(学校は)なかったことにしているのではという思いさえあります」
女子生徒は震災やいじめが原因の適応障害と診断され、現在は別の学校に通っています。市の教育委員会は「第三者委員会を設置して、事実確認に向けて取り組んで参りたい」としています。

北杜・いじめ 市教委「重大事態の認識ある」と判断変更 - 毎日新聞(2018年11月1日)

https://mainichi.jp/articles/20181101/k00/00e/040/317000c
http://archive.today/2018.11.01-230030/https://mainichi.jp/articles/20181101/k00/00e/040/317000c

山梨県北杜市で、自殺を図った当時中学1年の女子生徒(14)がいじめ被害を訴えたにもかかわらず、学校側がいじめによる「重大事態」と判断しなかった問題で、1日記者会見した市教委の井出良司教育部長は「総合的にみると重大事態の認識はある」と判断を変更、「被害生徒、保護者につらい思いをさせていることについて深くおわび申し上げる」と謝罪した。
いじめ防止対策推進法は、いじめによって、児童生徒の生命や心身に重大な被害が生じた疑いがある場合、いじめによる「重大事態」と認定し、第三者を交えた委員会を設け、事実関係を調べるよう求めているが、市教委は今回のケースを重大事態には当たらないと判断していた。
会見で市教委は、女子生徒が昨年11月に自殺を図り、遅くとも同12月時点で、いじめの存在を訴えていたことを認めた。
その上で、井出部長は女子生徒の心情について、「(毎日新聞の)報道があるまで学校、市教委は全く把握していなかった。重く受け止めたい」と述べ、これまでの判断を変えた。家族の訴えがあるまで、第三者委員会を設置しなかったことについては「当時は最善と判断した。適切だったかは第三者委員会に委ねたい」とした。
被害生徒の母親は「一番の願いは娘が心から安心して日々の生活を送れること。高校で友達を作りたいと希望している。以前のような明るい笑顔が戻る日を待ち望んでいます」とのコメントを発表した。【野呂賢治】

いじめ 自殺未遂で学校「家庭内問題」と不適切対応 山梨 - 毎日新聞(2018年11月1日)

https://mainichi.jp/articles/20181102/k00/00m/040/099000c
http://archive.today/2018.11.02-001638/https://mainichi.jp/articles/20181102/k00/00m/040/099000c

山梨県北杜市で昨年、自殺を図った当時中学1年の女子生徒(14)が、いじめ被害を訴えたにもかかわらず、学校側がいじめによる「重大事態」と判断しなかった問題で、学校側は国のガイドラインに反し、自殺未遂の翌日に家庭内の問題が原因と独自に認定し、いじめの可能性を当初から排除していた。女子生徒は自殺未遂の前、クラスメートに対する不信感を担任らに伝えていた。
毎日新聞が入手した内部資料によると、女子生徒は昨年10月下旬、「学級の雰囲気が許せない」「その場にいなくなった友達や先生の悪口を言っている生徒がいる」などと担任らに伝えた。女子生徒は翌月、自宅で手首を切ったが軽傷だった。
国のガイドラインは「詳細な調査を行わなければ事案の全容は分からない。軽々に『いじめはなかった』『学校に責任はない』という判断をしない」と定めている。
だが、学校と市教委は自殺未遂の原因を家庭内の問題と即座に認定。女子生徒が昨年12月、いじめられていると明記した書面を学校に提出し、担任との面談で、いじめの存在を告げた後も、重大事態とせず第三者委員会の設置を見送っていた。
市教委はこれまで、今回のケースは重大事態に当たらないと説明してきたが、保護者から第三者委の設置要請があった今年5月の時点で「重大事態と認定しなければならなかった」と1日になって説明を一転させた。同日、記者会見した市教委の井出良司教育部長は「保護者と被害生徒につらい思いをさせていることを深くおわびする」と謝罪した。
文部科学省は取材に「(いじめに関する)国の基本方針やガイドラインとは異なる、あり得ない対応だ。全くなっていない。県教委を通じ、しっかりと報告を求め、対処していきたい」とした。【野呂賢治、金子昇太】

川口市教委 いじめ第三者委「秘密会」に 被害者に非通知 - 毎日新聞(2018年11月2日)

https://mainichi.jp/articles/20181102/k00/00m/040/195000c
http://archive.today/2018.11.02-001836/https://mainichi.jp/articles/20181102/k00/00m/040/195000c

埼玉県川口市の市立中学3年の男子生徒(15)が、いじめが原因で3回自殺を図り、不登校になっている問題で、市教育委員会が昨年11月、いじめ防止対策推進法に基づく第三者委員会を設置しながら「秘密会」とし、当事者の生徒側に約1年間、設置を説明していない異例の事態となっている。生徒側は市への不信感を強め、文部科学省も市の対応を疑問視している。
文科省ガイドラインでは、いじめが背景にあると疑われる自殺や不登校などの重大事態があった場合、第三者委を設置して調査するとともに、調査前に委員の人選や調査方法などを被害者側に説明するよう求めている。
男子生徒の母親(43)によると、生徒は2016年4月に入学し、5月ごろからサッカー部の同級生や先輩に悪口を言われたり仲間外れにされたりした。同年9月と10月に自宅で2度首をつって一時意識不明となり、昨年4月には自宅近くのマンションから飛び降りて重傷を負った。
生徒は最初の自殺未遂の前、いじめ被害を訴える手紙を担任教諭に渡したが、学校側は、いじめはないとする調査結果を母親に伝えた。学校側が、いじめを認めたのは、生徒が飛び降り自殺を図った直後だった。
市教委は昨年11月に第三者委を設置し、同月中に3回の会合を開いたとしている。だが、同月の市教委定例会会議録には、茂呂修平教育長の「個人情報を含む内容のため秘密会で行いたい」との発言が載っているだけで委員の名前などは記されていない。市教委は「大ごとにしたくないという生徒側の意向を踏まえた」というが、生徒側は否定している。
市教委は先月30日の定例会見で、委員は弁護士、医師、学識経験者の3人だと明かしたが、他のいじめ問題の第三者委では公表している委員の名前などは発表しなかった。生徒側には今後説明するとしている。
母親は「委員会を設置したという説明もなく、息子への聞き取り調査も行われていない。これで、きちんとした調査ができるのか疑問だ」と批判。文科省児童生徒課は「第三者委の設置では、委員の選定や調査方法などについて家族とよく相談し、納得してもらう必要がある。市教委の対応は配慮が足りなかったと言わざるを得ない」と指摘した。【鴇沢哲雄】
「聞いたことない」
いじめ問題に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」の小森美登里理事の話 第三者委員会を秘密会にするのは聞いたことがない。これでは調査自体の信頼性が疑われる。第三者委の設置を生徒側に説明していないなら、委員会をスタートさせてはいけない。

(政界地獄耳)野党共闘…地方では - 日刊スポーツ(2018年11月2日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201811020000147.html
http://archive.today/2018.11.02-005003/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201811020000147.html

★中央政界では来年春の統一地方選、来夏の参院選に臨むにあたり、野党共闘が1つのキーワードになっている。その中で、その現場となる地方は野党共闘をどう見ているのか。示唆深いコラムがネットに上がった。共産党京都府委員会のホームページJCP京都に記されたコラム「情勢・論点」では、共闘の目的、誰と戦うのかが問われている。以下はコラムの抜粋だ。

★「連合京都はかねてより、来年の参院選京都選挙区(定数2)で立憲民主党と国民民主党が候補者を一本化するよう、両党に働きかけていた。しかし、国民民主が先行して候補者を擁立し、(先月)26日、連合京都が同候補の推薦を決めた。これについて立民の福山哲郎府連会長が不満を示し、『独自候補擁立』の意向を示す。一方、連合京都の橋元信一会長が『5年前、共産党に渡してしまった議席を奪還するためにも、連合京都は一本化しなければならない』と語り、ある国民民主府連幹部が『立民は一本化せずに国民と共倒れし、共産党の現職を暗に支援しようとさえ思えてしまう』と語った」。(以上京都新聞10月27日付)。

京都新聞の記事を受けて、コラム筆者は「報道で読む限り連合や国民・立民幹部からは、『どうやって自民党に勝つか』との言葉は伝わってきません」と記している。結局、既得権と縄張り、プライドが選挙の目的になってはいまいか。何のための誰との“本気の共闘”を誰がやるのか。選挙の現場は中央政界の机上の空論より生々しい。立民、国民は同じ党だった経緯からすれば、近親憎悪の感があるが、それを取り巻く政治をかき回す連合の役割も複雑だ。ただ、この京都新聞の記事には国民や有権者が出て来ず、地方政治の駆け引きが共闘のベースにあることが分かる。共闘の裏で政治の本質が見失われている。(K)※敬称略

自民党に勝つ」か、「共産党に勝つ」か? - JCP京都:日本共産党 京都府委員会(2018年10月28日)

http://www.jcp-kyoto.jp/jyosei_ronten/jyosei_ronten-3000/

連合京都は、かねてより来年の参院選京都選挙区(定数2)で立憲民主党と国民民主党が候補者を一本化するよう両党に働きかけてきました。しかし、国民民主が先行して候補者を擁立し、26日、連合京都が同候補の推薦を決めました。これについて、立民の福山哲郎府連会長が不満を示し、「独自候補擁立」の意向を示しました。一方、連合京都の橋元信一会長が「5年前、共産党に渡してしまった議席を奪還するためにも、連合京都は一本化しなければならない」と語り、ある国民民主府連幹部が「立民は一本化せずに国民と共倒れし、共産党の現職を暗に支援しようとさえ思えてしまう」と語ったと報道されています(以上京都新聞10月27日付)。
私は、一昨日、毎日新聞の問い合わせに、「他の野党が一本化するかどうかについてとやかく言う立場にはない」「正面の敵は自民党だ」と答えました。報道で読む限り、連合や国民・立民幹部からは、「どうやって自民党に勝つか」との言葉は伝わってきません。
日本共産党は、全国32の1人区では野党が「本気の共闘」を成立させて候補者を一本化することを、強く呼びかけています。同時に、比例代表選挙と、京都など複数定数の選挙区では、他の野党とも競い合って候補者を立て、「自民党を落として勝つ」立場でたたかいます。
安倍政権の命運は野党の「本気の共闘」が成立するかどうかにかかっている。野党が本気で共闘し、立ち向かえば安倍政権を倒せる。「自民党に勝つ」より、「共産党に渡してしまった議席を奪還する」との立場は、安倍政権を早く終わらせたいという府民の願いに背を向ける本末転倒の態度と言わざるを得ません。
やっぱり、自民・公明と維新を参院選で少数に追い込み、安倍政権を倒すためには、「共産党が伸びてこそ」「倉林さんの議席を守ってこそ」の意を強くする、昨日の報道でした・・・府委員長:渡辺和俊

就労外国人 日本の転機 ごまかしから卒業しよう - 毎日新聞(2018年11月2日)

https://mainichi.jp/articles/20181102/ddm/005/070/050000c
http://archive.today/2018.11.02-002019/https://mainichi.jp/articles/20181102/ddm/005/070/050000c

日本社会の将来を設計するのに避けては通れない重大なテーマが、臨時国会で本格的な議論を迎えようとしている。外国人労働者の受け入れ拡大と、その態勢整備だ。
沈黙する羊の群れのように「安倍1強」に従ってきた自民党が、珍しく熱心に意見をぶつけ合った。政府が今国会に提出予定の入管法改正案をめぐり、党法務部会による事前審査は異例の計6回におよんだ。
この法案の持つインパクトの大きさを、多くの議員が感じ取っているからにほかならない。「リハーサルのない壮大な社会実験になる」と難色を示す右派系の議員もいた。
しかし、実際にはリハーサルどころかすでに本番が始まっている。過疎地で不可欠な存在
青森県津軽地方の平川市では今年1月時点の外国人居住者が前年より25人増えて60人になった。市内の縫製工場などで働くカンボジア人や中国人の技能実習生が増えたためだ。
鹿児島県薩摩半島に位置する南さつま市では62人増えて149人に。やはり市内の精密機械工場などが実習生を迎え入れた。主にベトナム人インドネシア人だという。
総務省の集計によると、本州の北と南にある両市が、外国人の増加率でトップ3に入っている。
これは偶然ではない。都道府県別の増加率トップは16・6%増の熊本県。以下、鹿児島県、宮崎県、島根県富山県と続く。過疎地を抱える地域で増えているのは明らかだ。
外国人労働者はすでに都市部を越え地方でこそ不可欠の存在になっている。しかも、その多くが「就労を目的としない在留資格者」だ。
日本で働く外国人は約128万人。5年間で2倍に増えた。このうち、留学生のアルバイトなど「資格外活動」が29・7万人、途上国の若者への技術移転を建前とする技能実習生が25・8万人を占める。
日本の入国管理政策はいまだに「単純労働は受け入れない」を原則にしている。その建前を維持するための明白なごまかしだ。
今回、政府はあらかじめ指定した業種で一定の能力が認められる外国人労働者に「特定技能1号」を、1号資格者でさらに優れた人材には「同2号」の在留資格を付与することにした。事実上の政策転換だが、菅義偉官房長官は「今まで国として明確な方向性が欠けていたから、今回明確にする」と語っている。
しかし、政府が打ち出した新制度案は、従来のごまかしの延長線上で体裁を取り繕おうとするものだと言わざるを得ない。
最大の問題点は、技能実習制度を温存し、特定技能1号の資格者について技能実習生からの移行を前提にしていることだ。
在留期間は、実習生と1号の資格を合わせると最長10年になる。雇い主から見れば、日本語教育などのコストをかけても十分回収できる。政府にすれば、家族の帯同を認めないから、公費投入も最小限で済む。新在留資格は一本化を
就労外国人が急増している最大の理由は、元気で働ける生産年齢人口の急速な減少だ。高齢化と過疎が同時進行する地方は、外国人抜きでは成り立たなくなりつつある。
ならば、技能実習制度を隠れみのにしたようなルートをやめ、正面から労働者として受け入れる在留資格の新設に一本化すべきだろう。
人材の国際移動はグローバル化の反映でもある。1年以上外国で暮らす人を「移民」と定義する国連の統計では、21世紀に入って移民数は急増している。日本の都合だけで若い外国人を欲しがっても、日本が「選ばれる国」である保証はない。
入ってくるのは「労働力」という生産要素ではなく、生身の人間だ。たとえ期限付きの在留でも、生活者として日本社会の一員になる。
日本語教育や医療、生活相談など外国人が安心して日本で暮らせる態勢の整備は、その人びとに頼る日本が公的に支払うべきコストである。短期的な人手の補充を優先している限り、そっぽを向かれるはずだ。
在留期間の更新が可能な特定技能2号の資格をめぐっては、すでに「移民と認めよ」「いや認めない」という論争が起きている。
社会の同質性が強い日本で今すぐ結論を出すのは性急かもしれない。ただし、受け入れを拡大していけば必ずどこかで外国人の永住を認めて移民国家になるかどうか、選択を迫られる時が来る。その問いに答えを出す作業がこれから始まる。

ブラジル大統領 ひ弱な民主制度を守れ - 東京新聞(2018年11月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018110202000165.html
https://megalodon.jp/2018-1102-0920-55/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018110202000165.html

政治腐敗と経済不振の解消へブラジルが危ういかけに出た。新大統領に選ばれた元軍人のボルソナロ氏(63)は、かつての軍政を賛美する扇動政治家だ。いつか来た道に戻らぬようくぎを刺したい。
ボルソナロ氏は「ブラジルのトランプ」の異名をとる。女性や社会的少数者への差別発言で社会の分断を深め、大統領選では発信手段に会員制交流サイト(SNS)を駆使したスタイルからだ。
下院議員としての政治歴は長いが、一貫してアウトサイダーだったことが、十月二十八日に決選投票が行われた大統領選では幸いした。
政治腐敗や治安悪化、景気低迷に有効な手が打てない既成政治に対する有権者の不満の受け皿となった。トランプ現象と同じである。
ブラジルでは二〇一四年に国営石油会社を舞台にした史上空前の汚職事件が発覚し、政治家や政府高官ら数百人が摘発された。低所得者層に今も人気が根強いルラ元大統領も収賄罪で収監され、今回の大統領選に出馬できなかった。
治安の悪化も深刻で、殺人事件の被害者は年間六万三千人を超える。一日に百七十人以上が犠牲になっていることになる。
新興五カ国(BRICS)メンバーとして脚光を浴びた経済も不振だ。資源安に金融政策の不手際が重なり、リオデジャネイロ五輪のあった一六年は、前年に続いてマイナス成長に陥った。一七年は1%のプラス成長に転じたものの低迷が続いている。
既成政治に裏切られたと感じる民心をうまくつかんだボルソナロ氏は、ポピュリストと呼ばれる。世界的に吹き荒れるポピュリズムは、「大衆迎
合」という否定的な意味合いを持つが、実は民意をすくい取れなくなった民主制の機能不全に発する警告でもある。
ポピュリズムが強権政治につながらぬように、為政者は市民の声なき声に耳を傾ける必要がある。
政治不信をもたらす汚職のまん延は中南米共通の悩みであり、これを背景に民主主義への信頼が揺らいでいる。米国の大学などが一六〜一七年に二十一カ国で実施した世論調査では、民主制を支持する人は57・8%。一四年の前回調査から8・6ポイントも減った。
ブラジルでは軍事独裁政権が約二十年続き、民政に移管したのは一九八五年のことだ。民主制度はまだひ弱い。ボルソナロ氏は憲法と民主主義を守るとした誓いを忘れてはならない。

<金口木舌>抑圧の矛先は - 琉球新報(2018年11月2日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-827879.html
http://web.archive.org/web/20181102002230/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-827879.html

南米ブラジルの大統領選挙で自由社会党のボルソナロ下院議員が当選した。軍事政権を称賛し、同性愛者や女性らへの差別的発言を繰り返す同氏は「ブラジルのトランプ」と呼ばれる右翼政治家だ

▼主な争点は汚職撲滅だった。ブラジルでは2014年から検察が大規模に汚職を捜査し、ルラ元大統領を含む主要政党の政治家らが摘発された。汚職に嫌気が差した有権者の支持がボルソナロ氏に流れたといわれる
▼ただボルソナロ氏は世論調査で不支持率もトップだ。9月には同氏に反対する女性たちがサンパウロで15万人規模の集会を開いた。右派ポピュリズム大衆迎合主義)が支持を伸ばす欧米同様、社会の分断が深まっている
▼水島治郎千葉大教授は著書「ポピュリズムとは何か」で、20世紀半ばの南米諸国で左派ポピュリズムが「エリート支配から人民を解放する原動力となった」と指摘する。一方、現在主流の右派ポピュリズムの特徴として、排外主義などの「抑圧」を挙げた
▼ブラジルには約18万7千人の県系人が暮らす。8月に県人移民110周年の記念式典も開かれた。日系人の1割を占めるとはいえ、2億人を超えるブラジル国民の中では圧倒的な少数派だ
▼社会が分断を深め、しわ寄せが少数派や社会的弱者に及ぶことがあってはならない。抑圧の矛先がどこに向かうのか、絶えず注視したい。

ドイツ政治 「メルケル後」の重責 - 朝日新聞(2018年11月2日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13750887.html
http://archive.today/2018.11.02-002602/https://www.asahi.com/articles/DA3S13750887.html

欧州の政治家といえば、多くの人が思い浮かべる筆頭格だろう。ドイツのメルケル首相は2005年の就任以来、強い安定感と指導力を誇ってきた。
その欧州を代表する「顔」が近い将来、政界を去る意向を発表した。来月にドイツ与党の党首を辞し、首相職も21年までの任期を最後にするという。
12月にある新党首の選出などの状況次第で、首相の座をもっと早く去るかもしれない。ドイツと欧州全体が、政治の重しを失う「メルケル後」に向けて関心と不安を交錯させている。
新党首が誰になっても、メルケル氏ほどの統率力を期待するのは無理だろう。近年のドイツで続く難民・移民をめぐる論争は収まらず、波乱含みの政治が続く見通しが濃い。
いまの連立政権を組む左右の中道勢力は支持を落とし、新興右派と左派とに世論の両極化が進んでいる。それが最近の州議会選挙ではっきりした。
メルケル氏の強みは、現実と理念のバランスをとりつつ合意を築く巧みな中道政治だった。それが限界を迎えたことは、ドイツも米英など他の主要国と同様に、国民分断の危機に立たされた現実を映している。
大衆扇動に走る新興右翼などの台頭と中道の衰退は、欧州各地に広がっている。イタリアでは今年の総選挙で、右派とポピュリスト政党が政権に就いた。9月のスウェーデンの総選挙でも右翼政党が躍進した。
共通するのは、移民・難民問題とともに、欧州統合への反発である。長年をかけて築かれた一つの欧州の構想が、いまほど揺らいでいるときはない。
とりわけ来年、試練は深まる。欧州連合(EU)からの英国の離脱は3月末に予定されるが、いまだに離脱の条件は合意されていない。イタリアは規律に反する財政赤字を伴う予算案を示し、EUと対立している。春には欧州議会選もある。
この状況で、欧州最大の経済大国ドイツが内向きな政治に転じれば影響は計り知れない。たとえメルケル氏が引退しても、欧州の安定と統合を担うドイツの重責には停滞する余裕もないことを自覚してもらいたい。
国際社会も、法の支配や人権・多様性などの原則の守り手をこれから、誰が引き受けるのかという問いに直面している。
トランプ米大統領自国第一主義が鮮明になったとき、メルケル氏は「もはや誰かをあてにする時代は終わった」と喝破した。その言葉はいま、メルケル氏に多くを頼ってきた世界にも投げかけられている。

辺野古工事再開 「寄り添う」とは真逆だ - 琉球新報(2018年11月2日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-827880.html
http://web.archive.org/web/20181102002441/https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-827880.html

「沖縄の皆さんの心に寄り添う」という安倍晋三首相の所信表明演説とは真逆の強行だ。
米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市辺野古への新基地建設計画を巡り、沖縄防衛局は埋め立て工事に向けた作業を再開した。海域を立ち入り禁止にするための臨時制限区域を表すフロートや汚濁防止膜を設置する。政府は今月中にも埋め立ての土砂を投入するとみられる。
玉城デニー知事が政府に対話を求めているさなか、「問答無用」とばかりに工事を再開する。圧倒的な力を見せつけることで、国に逆らえないとあきらめる人が増えるのを待っているのか。まさしく征服者の振る舞いだ。民主主義の根幹が問われる。
埋め立てを巡っては、元知事が出した承認を翁長雄志前県政が8月31日に撤回した。埋め立て工事は法的根拠を失い、中断された。
県知事選では新基地建設反対を明確に訴えた玉城氏が当選したが、政府は選挙で示された民意を考慮することなく、防衛省国交相に対して行政不服審査法に基づく審査を請求し、併せて審査結果を待たずに撤回による工事停止の効力を失わせる執行停止を申し立てた。
行政不服審査法に基づく審査請求は行政に対して私人が行うものだ。国が私人と同様だと称して同じ国の機関に審査請求をするという、行政法学者の多くが「違法」とする手続きを国はごり押しした。国交省は請求からわずか13日、県から反論の意見書が届いてわずか5日で撤回の執行停止を決めた。反論などを受け止めず、工事ありきで手続きを進めている。
辺野古を巡る国と沖縄の対立構造は、何も沖縄だけの問題ではない。国が強権によって沖縄の民意を抑え込み、米軍基地を造ることに成功したとする。国策の名の下に国は何をしてもいいという前例になる。
例えば政府が秋田、山口両県への配備を目指す地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」。安倍首相は「地元の理解が大前提だ。懸念や要望に丁寧に対応していく」とするが、「丁寧」「謙虚」を連発しつつ最後は強権を振るうのではないか。受け入れ先がなく宙に浮く、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分場なども同様かもしれない。
地方分権と言われながら、そこに住む人々の声を無視し、時に「アメとムチ」で抑え込む補償型政治を続ける安倍政権の手法を止めねばならない。それには国民が辺野古の問題を知り、おかしいと声を上げることが必要だ。
県知事選挙で自民、公明などが推薦した候補者は政府丸抱えと言われ、物量、要員ともに圧倒した選挙戦を展開したが、県民は過去最高となった玉城氏への投票で「征服」されることを拒否した。安倍政権は民意に対し聞く耳を持つべきだ。

<税を追う>米製兵器維持費、2兆7000億円 防衛予算を圧迫 - 東京新聞(2018年11月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018110290070407.html
https://megalodon.jp/2018-1102-0925-38/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018110290070407.html


防衛省が米国政府の対外有償軍事援助(FMS)を利用して導入、あるいは導入を予定している戦闘機「F35A」など五種の兵器だけで、廃棄までの二十〜三十年間の維持整備費が二兆七千億円を超えることが同省の試算で分かった。同省は二〇一九年度のFMSによる維持整備費に千七十五億円を見込んでいるが、F35Aなどの本格的な配備はこれからで、将来的に年間の維持整備費が大幅に増え、防衛予算を圧迫していく。 (「税を追う」取材班)
日本などの同盟国がFMSを利用して米国から兵器を購入する際、米国政府は最新技術の流出を避けるため、秘匿性が高い部分の修理整備はFMSに基づき、製造元の米国メーカーが行うことを求めている。購入国は兵器を廃棄するまで、維持整備費を米国政府に払い続けることになる。
防衛省の試算によると、四十二機導入するF35Aの場合、機体の購入費(計五千九百六十五億円)に加え、米国政府などに支払う維持整備費に三十年間で約一兆二千八百億円を見込む。
このほか購入費が高い輸送機「オスプレイ」(十七機)▽無人警戒機「グローバルホーク」(三機)▽早期警戒機「E2D」(六機)▽地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」(二基)は、二十〜三十年間の維持整備費計約一兆四千三百億円がかかる。
既に配備されているのはF35Aの九機だけで、配備が進むごとに維持整備費は大きく膨らむ。
日本側が維持整備の一部を請け負う場合もあるが、米国から兵器を導入すると整備や技術指導を担う米国の技術者らが日本に滞在することになり、その渡航費や人件費は日本側が「技術支援費」として支払う。米国から取り寄せる部品も高額なため、輸入兵器の維持整備費は、国内で調達するより割高になる。
国産・輸入両方の高額兵器の購入費は複数年度で支払うことができ、二年目以降が後年度負担(ローン残高)と呼ばれる。一二年度まで三兆円前後で推移していた兵器ローン残高は、安倍政権による米国製兵器の導入拡大で急増。一九年度予算で約五兆三千四百億円に達する見込み。さらに今後FMSによる維持整備費が膨らめば、兵器ローンの増加に、歯止めがかからなくなる恐れがある。
◆高級車購入と同じ
<防衛装備庁プロジェクト管理部の話> FMSで購入するような高性能の装備品は、高級車を買った際に維持費がかさむのと同じだ。今後、さらにFMSの維持整備費が上昇する傾向にあるのは間違いない。国産装備品にしわ寄せが及ばないような装備政策を立てていきたい。