<税を追う>米製兵器維持費、2兆7000億円 防衛予算を圧迫 - 東京新聞(2018年11月2日)

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防衛省が米国政府の対外有償軍事援助(FMS)を利用して導入、あるいは導入を予定している戦闘機「F35A」など五種の兵器だけで、廃棄までの二十〜三十年間の維持整備費が二兆七千億円を超えることが同省の試算で分かった。同省は二〇一九年度のFMSによる維持整備費に千七十五億円を見込んでいるが、F35Aなどの本格的な配備はこれからで、将来的に年間の維持整備費が大幅に増え、防衛予算を圧迫していく。 (「税を追う」取材班)
日本などの同盟国がFMSを利用して米国から兵器を購入する際、米国政府は最新技術の流出を避けるため、秘匿性が高い部分の修理整備はFMSに基づき、製造元の米国メーカーが行うことを求めている。購入国は兵器を廃棄するまで、維持整備費を米国政府に払い続けることになる。
防衛省の試算によると、四十二機導入するF35Aの場合、機体の購入費(計五千九百六十五億円)に加え、米国政府などに支払う維持整備費に三十年間で約一兆二千八百億円を見込む。
このほか購入費が高い輸送機「オスプレイ」(十七機)▽無人警戒機「グローバルホーク」(三機)▽早期警戒機「E2D」(六機)▽地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」(二基)は、二十〜三十年間の維持整備費計約一兆四千三百億円がかかる。
既に配備されているのはF35Aの九機だけで、配備が進むごとに維持整備費は大きく膨らむ。
日本側が維持整備の一部を請け負う場合もあるが、米国から兵器を導入すると整備や技術指導を担う米国の技術者らが日本に滞在することになり、その渡航費や人件費は日本側が「技術支援費」として支払う。米国から取り寄せる部品も高額なため、輸入兵器の維持整備費は、国内で調達するより割高になる。
国産・輸入両方の高額兵器の購入費は複数年度で支払うことができ、二年目以降が後年度負担(ローン残高)と呼ばれる。一二年度まで三兆円前後で推移していた兵器ローン残高は、安倍政権による米国製兵器の導入拡大で急増。一九年度予算で約五兆三千四百億円に達する見込み。さらに今後FMSによる維持整備費が膨らめば、兵器ローンの増加に、歯止めがかからなくなる恐れがある。
◆高級車購入と同じ
<防衛装備庁プロジェクト管理部の話> FMSで購入するような高性能の装備品は、高級車を買った際に維持費がかさむのと同じだ。今後、さらにFMSの維持整備費が上昇する傾向にあるのは間違いない。国産装備品にしわ寄せが及ばないような装備政策を立てていきたい。