<わたしの転機>不登校の子に寄り添う 社会福祉士の資格取得、若者の学習や就労支援 - 東京新聞(2018年10月31日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201810/CK2018103102000179.html
http://web.archive.org/web/20181031032211/http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201810/CK2018103102000179.html

東京都調布市の向井卓(ひろし)さん(70)は、不登校の中高生ら、生きづらさを抱える若者たちの学習や就労を支援している。長年、技術者として勤めた会社を定年退職後、社会福祉士の資格を取得。若者たちと関わり、支える意義を感じる日々だ。
昨年三月、市内のNPO法人が運営する十〜二十代の若者たちの居場所「Kiitos(キートス)」を見学しました。不登校や家庭に居づらい子どもたちが安心して過ごせるようにと、八年前につくられた場です。そこで「学習支援を手伝ってもらえないか」と声を掛けられました。びっくりしましたが、それ以来、スタッフとして週二、三回の学習支援などに関わっています。
すんなりと入っていけたのは、その二年前、通信制大学社会福祉の学位を得て、社会福祉士の国家資格を取得していたから。四十年以上、原子力関係の技術者として働き定年を迎えた時、「これからの人生は、いままでとは違う分野の人たちとの出会いを増やしたい」と考えたのが、社会福祉を学ぼうと思ったきっかけです。
私の身辺でも、離れて暮らす母親に認知症の症状が見られるようになり、福祉に目が向きました。特別養護老人ホームでの実習で、専門知識や技術を身に付ければ、認知症が進んでコミュニケーションが難しくなった人も元気づけられることを実感しました。
でも、福祉を学ぶ中で最も気になったのは、日本の子どもや子育て世帯に対する福祉水準の低さでした。貧困や家族関係の問題などが影響して、教育や経験の機会が十分でない子どもが多くいる。置き去りにすれば、いずれ社会の土台が崩れてしまう。そんな思いが強くなっていったのです。
キートスでは今、貧困家庭の高校生らに数学や物理を教えています。児童養護施設で育ち、高卒認定資格を目指している二十代の青年は、この秋にも全科目の合格を目指します。
精神疾患のある青年に一年間伴走し、就職をかなえたこともありました。直接「ありがとう」の言葉はなくても、採用を知らせてくれたことがその気持ちだと感じられ、うれしかったです。さまざまな背景を持つ若者がほっとでき、自分の足で歩んでいくための力になれたらと思っています。 (小林由比)

ルケルショック 寛容の否定ではない - 東京新聞(2018年10月31日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018110102000148.html
https://megalodon.jp/2018-1101-1027-56/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018110102000148.html

ドイツのメルケル首相が州議会選での与党大敗で党首辞任を表明した。大敗は寛容政策への不満だけが原因ではなさそうだ。国際社会の安定のためにも、しっかりと後任にバトンを渡してほしい。
メルケル氏は十二月の党首選に出馬せず、二〇二一年秋までの任期限りで政界も引退する。
四期十三年間にわたってドイツを率い、欧州連合(EU)や主要七カ国(G7)でも主導的役割を果たしてきた。波紋は大きい。
ただ、首相は辞めない。残りの任期はまだ三年ある。党勢を盛り返し、自らの路線を継ぐ後継者に禅譲したい、とのしたたかな戦略もうかがわれる。
十月二十八日の西部ヘッセン州議会選で、メルケル氏が率いる保守、キリスト教民主同盟(CDU)は前回に比べ得票率を10ポイント以上減らした。その二週間前の南部バイエルン州議会選では、CDUの姉妹政党、キリスト教社会同盟(CSU)が得票率を10ポイント以上下げ、単独過半数を失っていた。
メルケル氏の保守与党と中央政府で大連立政権を組む中道左派政党、社会民主党も両州で大敗し、反移民難民を主張する極右的政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が躍進した。
昨年九月の総選挙と同様の傾向だ。大連立で特色を失った既成政党への飽きと、メルケル氏の寛容な難民受け入れに対する不満が背景にあったのは間違いない。
一方で、州議会選では環境保護政党「90年連合・緑の党」が大きく得票を伸ばした。同党は、家族呼び寄せを認めるなど難民への人道的配慮を強調する。今回の選挙で、メルケル氏の寛容政策が否定されたとばかりは言い切れない。
バイエルン州は難民入国の玄関口的存在。州議会選を前にCSUは、AfDに票を食われまいと難民への厳しい姿勢を強調。メルケル氏も政権維持を優先し、受け入れ制限などで寛容色を薄めた。
旧東独地域での反移民難民デモでは、取り締まる立場なのに極右寄りだった憲法擁護庁長官を解任、内務次官に昇格させる混乱した人事案が批判を浴びた。
政権内で相次ぐ不協和音にあきれる声も高まっていた。ポピュリズムへと走ったブレが、州議会選大敗の最大要因だった。
トランプ米大統領が差別的な姿勢で国際秩序を壊す中、人権、自由、協調などの価値観を守ろうとするドイツへの期待は大きい。国際的役割も自覚し、「ポスト・メルケル」を決めてほしい。

宮城 高1男子自殺 父親「担任から日常的に罵声」 - 毎日新聞(2018年10月31日)


https://mainichi.jp/articles/20181031/k00/00e/040/248000c
http://archive.today/2018.11.01-011233/https://mainichi.jp/articles/20181031/k00/00e/040/248000c

宮城県工業高校1年の男子生徒(15)が担任教諭から日常的に罵声を浴びせられたり、部活動を禁じられたりしたことを苦に今年8月、自宅で自殺したと、父親が31日記者会見して訴えた。父親は県教育委員会に、第三者委員会の調査を要望し、県教委は約束した。
父親によると、男子生徒は4月の入学直後から、担任の男性教諭に徹夜をしなければ終わらないほどの課題提出を求められていたという。だが、「これはリポートではない、やり直せ」と突き返されるなどし、6月ごろには部活動へ参加することも禁じられた。男子生徒は母親に「先生が俺にだけ強く当たる」と話していた。友人関係のトラブルやいじめは確認されておらず、遺書も見つかっていない。
父親は「担任に厳しくされた理由は分からない。担任は他の生徒の机を蹴ったりしており、私は軍隊のようなクラスだと感じていた。実情を調べてほしい。息子がどう思っていたのかを知りたい」と語った。
県教委の松本文弘教育次長は「事態の正確な把握に努めたい。第三者委員会の調査を約束する」と話した。同高の教頭は「要望書を確認してから対応を考えたい」としている。【本橋敦子、滝沢一誠】

宮城・高1自殺 父親「担任罵声」 校長「指導の範囲内」 - 毎日新聞(2018年10月31日)

http://mainichi.jp/articles/20181101/k00/00m/040/114000c
http://archive.today/2018.10.31-141025/https://mainichi.jp/articles/20181101/k00/00m/040/114000c

宮城県工業高校1年の男子生徒(当時15歳)が今年8月、仙台市内の自宅で自殺したのは、担任の男性教諭から日常的に罵声を浴びせられたり、部活動を禁じられたりしたことが原因として、生徒の父親(44)が31日、県と県教委に第三者委員会での調査を要請した。県教委は第三者委で調査する方針を示したが、同高の西尾正人校長は「(担任教諭の指導は)教育的指導の範囲内と認識している」と話した。
父親によると、男子生徒は入学直後から担任に徹夜をしなければ終わらないほどの課題提出を求められたが、「やり直せ」と突き返されるなどし、6月ごろから部活動への参加も禁じられた。男子生徒は母親に「先生は俺にだけ強く当たる」と話していたという。担任が「別の生徒の机を蹴って怒る」とも話していたという。
男子生徒は夏休み最終日の8月21日、自宅の自室で自殺しているのを母親が発見。同31日には、父親が同高の生徒が書き込んだとみられる「先生が人を殺すなよ」といった内容のツイッターを確認し、県警に相談した。父親はこの日に記者会見を開き、「先生の言葉によるパワハラで『指導死』だ」と訴えた。友人関係のトラブルは確認されておらず、遺書は見つかっていない。
一方、県教委も記者会見し、男子生徒に課題の提出を要求したのは教科担当の教諭で「担任は直接の指導はしていない」と説明した。生徒の部活動を禁じたのも部活の顧問教諭で「勉強が遅れている場合はどのクラスでも部活動を止めて勉強に専念させる。全ての生徒に同じ指導をしている」と述べた。【本橋敦子、滝沢一誠】

山梨・北杜 中1いじめ半年「放置」 「重大事態」認めず - 毎日新聞(2018年11月1日)


https://mainichi.jp/articles/20181101/k00/00m/040/188000c
http://archive.today/2018.11.01-010352/https://mainichi.jp/articles/20181101/k00/00m/040/188000c

山梨県北杜市で昨年11月、自殺を図った市立中1年(当時)の女子生徒(14)がいじめの被害を訴えたにもかかわらず、学校側はいじめによる「重大事態」と認めていなかったことが判明した。国のガイドラインは重大事態の疑いが生じた段階で速やかな調査を義務付けているが、学校側は遅くとも同年12月にいじめの疑いを把握しながら、第三者委員会は約半年後の今年7月まで設置されなかった。【野呂賢治】
女子生徒が自殺未遂
毎日新聞が入手した市教委作成の内部文書によると、女子生徒は昨年9月時点で「死にたい」などと生徒指導の担当教諭に訴え、11月下旬に自宅で手首を切って自殺を図った。学校が12月中旬に行った学期末に行うアンケートで、女子生徒は「9月から無視、仲間外れにされている。冷やかし、からかい、悪口、脅し文句を言われる」と回答。担任ら複数の教職員に相談したものの、「(状況は)変わらない」と書き込んだ。
今年1月に女子生徒は、複数のクラスメートからボールをぶつけられる嫌がらせを受け、不登校になった。家族が学校に状況を訴えたが、学校は「『無視される』などの様子は目撃することはできなかった」などとする内部資料を作成した。
女子生徒は東京電力福島第1原発事故後、福島県から北杜市に避難。家族によると「震災やいじめの経験などが原因の適応障害で自殺の恐れがある」との診断を受け、3月から約3カ月間入院した。現在は別の特別支援学校に通っている。
今年5月になって、女子生徒の家族が第三者委による調査を要望したことを受け、市教委は7月に設置。市教委は昨年度、今回のケースを重大事態と県教委に報告していないため、文部科学省が10月公表した問題行動・不登校調査の結果に含まれなかった。これに対し、県教委は「重大事態に当たる」として、次回は国に報告する。
市教委は「いじめと自殺未遂は無関係と考え、現在も重大事態とは認定していない。国の指針は、必要がある場合には第三者委を設置とあるが、絶対に(設置しなさい)とは言っていない。やるべきことはやっていた」としている。第三者委は10月末現在、開かれていない。

法の趣旨反する
2011年の大津いじめ自殺の調査に関わった渡部吉泰弁護士(兵庫県弁護士会)の話 (女子生徒がいじめを書面で訴えた)昨年12月時点で重大事態として扱うべきだった。学校側の対応は、いじめの早期発見や被害軽減をうたった「いじめ防止対策推進法」の趣旨に反する。寄り添った対応をしなかったため、被害拡大につながった可能性がある。

女子生徒に対する「いじめ」を巡る経緯
2011年3月 東日本大震災原発事故を受け、避難生活へ

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13年8月 北杜市立小へ転入

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14年   いじめ、嫌がらせが始まる

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17年 4月 北杜市立中に進学

  11月 自宅で自殺を図る

  12月 学校のアンケートで「9月からいじめられている」と回答

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18年1月 複数の女子生徒からボールを当てられ、不登校になる

   2月 「震災やいじめが原因」の適応障害と診断

   3月 「自死の恐れがある」として入院

   5月 母親が第三者委員会の調査を市教委に要望

   6月 女子生徒が退院

   7月 市教委が第三者委員会の設置を正式決定



【ことば】いじめによる重大事態
学校で起きたいじめによって(1)児童らの生命や心身、財産に重大な被害が生じた(2)児童らが相当期間、学校の欠席を余儀なくされた−−疑いがある事態を指す。2013年施行のいじめ防止対策推進法に盛り込まれた。多くの場合、学校から重大事態発生の報告を受けた教育委員会の認定により、第三者委員会が設置される。重大事態の例としては、リストカットなどの自傷行為や欠席が続いて転学(退学)した場合が挙げられる。

河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」:“やりがい搾取”に疲弊 保育士を追い詰める「幼保無償化」の不幸 - 沖縄タイムス(2018年10月31日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/337962
http://web.archive.org/web/20181101011947/https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/337962

「貧乏人は必死に耐えて生きろ!」と言わんばかりの消費増税まであと1年。同時に、「保育士は灰になるまで働け!」ってことになりかねない幼児教育・保育無償化が始まります。
「無償化」といえば聞こえはいいですが、無償化を進めるための「受け皿」の整備は一向に進んでいません。利用したい人が増えても保育士の確保はできていない。こんな状況下で懸念されるのは、保育士の負担の増加です。
実際、共同通信が8月に全国の自治体に行った調査では、回答した81自治体のうち「賛成」は半数未満の36自治体。「無償化自体は悪いことではないが、まずは保育施設の整備や保育士の確保、養成を進め、受け皿を整えるのが先」というのが、多くの自治体の見解です。
また、保育士・幼稚園教諭の有資格者を対象にしたアンケートでは、67.1%が「反対」と答え、82.8%が「無償化より保育士の確保」を求めていることが分かりました(ウェルクス調べ)。

「無償化への不安要素は何か?」という問いには(複数回答)、

「業務負担の増加」が74.0%でトップ
「保育の質の低下」(69.7%)
「待機児童の増加」(51.1%)

と続いています。

保育士さんといえば、低賃金に加え、重労働。「自分の子」のことしか考えないモンスターペアレンツへの対応を迫られるなど、年々、職場環境は過酷さを増しています。厚生労働省によれば、保育士の登録者は2011〜16年度で33万人増えた一方で、資格はあるが働いていない「潜在保育士」が18万人も増加し、16年度は計86万人いると推計。さらに、15年10月からの1年間で約2万9000人の保育士さんが離職しました。
こんな状況下で無償化をスタートしていい……わけがありません。
そもそもこれだけ「女性活躍だ!」「女性が輝く社会だ!」と、国も企業もスローガンを掲げているのに、なぜ、保育士さんの職場環境改善は一向に進まないのか?
ホントに残念なことではありますが、「保育士は灰になるまで働け!」というのが本音では? などと思えてなりません。
灰。そうです。燃え尽きた灰。燃え尽き症候群に陥る保育士さんが量産されやしないか、と心配なのです。

(つづく)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/337962?page=2

石垣陸自着工方針 見切り発車は許されない - 琉球新報(2018年11月1日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-827264.html
http://web.archive.org/web/20181101012226/https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-827264.html

石垣市への陸上自衛隊配備計画で、防衛省が本年度内に駐屯地建設に着手する方針を固めたことが明らかになった。予定地の平得大俣地区周辺には根強い反対があり、住民投票の実施を目指す運動も始まっている。見切り発車の着工は許されない。
着工を急ぐのは、ことし改正され10月1日に施行された県の環境影響評価(アセスメント)条例の対象となることを免れるためだ。経過措置として、年度内に着工すれば対象から除外される。アセスには数年以上を要すると見込まれるため、駆け込み着工を狙っているのである。
県アセス条例は一定面積以上の道路、ダム、飛行場、土地区画整理など対象事業の種類を定めていた。改正によって「面積が20ヘクタール以上の土地の造成を伴う事業」が追加され、約46ヘクタールある配備予定地も対象となる。
さまざまな目的で各地で大規模な土地造成がなされており、対象事業を限定する方が不自然である。名護市辺野古の新基地建設や米軍北部訓練場のヘリコプター発着帯の工事でも環境破壊が大きな問題となっている。基地関連工事も対象となるよう、県議会が条例を改正したのは当然だ。
条例の経過措置は計画が進行中の民間事業などの損害を回避するためでもある。政府の立場は利益を追求する民間企業とは異なる。民意も明確になっていない中で、経過措置を使う必要はないはずだ。
自衛隊配備について中山義隆石垣市長は7月に受け入れを表明したが、3月の市長選では明確な賛否表明を避けていた。9月の市議選でも、事前に賛否を明らかにしていた議員のいずれも過半数に達していない。石垣市民の意思は明確に示されてはいない。
石垣市は、1979年から2000年にかけて新石垣空港問題で二分した苦悩の歴史がある。県が進めた新空港建設計画で最初の白保地区の海上埋め立て案も、次の宮良牧中地区での計画も、反対運動や地元の抵抗によって頓挫した。その後、地元主導の建設位置選定委員会によってようやくコンセンサスを得た。今度は、政府の自衛隊配備計画が地域を分断している。
10月に地元住民を中心に「石垣市住民投票を求める会」が発足し、署名活動を始めた。同会は、地元への説明が不十分で予定地の決定過程に透明性がないと指摘し、住民投票を通じて論議を深めたいとしている。この取り組みが市民の支持を獲得していくのか、注目したい。
同会の金城龍太郎代表は、環境アセスを避けようとする防衛省を「誠実ではない」と批判した。地元の反対を押し切ろうという防衛省の姿勢は、名護市辺野古での強引な新基地建設と重なる。
自衛隊配備を巡る議論を全市民的に深めることも大切だ。工事の強行は地域の分断を固定化させる。政府は民意を尊重すべきである。

<金口木舌>安倍首相とフェイク - 琉球新報(2018年11月1日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-827265.html
http://web.archive.org/web/20181101012352/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-827265.html

アンパンマン仮面の不審者に注意を―。横浜市鶴見区が警戒を呼び掛けた。二つの保育園から不審者出没の伝聞情報が寄せられ、連れ去り事件を懸念して注意文書を出した

▼「悪のアンパンマン」は本当にいたのか、NHKの記者が調査した。警察にも行政にも目撃情報はなかった。ネット上に拡散された不審者情報をたどれば目撃証言はゼロ。丁寧に調べて報じた
熊本地震ではライオンが放たれたとネットにデマを流したとして男が逮捕された。6月の大阪北部地震ではシマウマ逃走のうそ。9月の北海道胆振(いぶり)東部地震の後は「新たに地震が来る」と虚偽情報が飛び交い、北海道新聞が記事で注意を喚起した
▼ネット上で情報がどんどん拡散される一方で、既存メディアが事実か検証する動きも出ている。ファクトチェックこそメディアの役割だと期待の声も高まる
▼「常に民意の存するところを考察すべし」。安倍晋三首相は平民宰相といわれた原敬の言葉を引いた。知事選で「辺野古ノー」の民意が繰り返し示されてもなお、埋め立てを強行しようとしているのだから、耳を疑う
▼「沖縄の皆さんに寄り添う」との首相の決まり文句はもはやファクトチェックするまでもなくフェイクのたぐいか。本紙論壇で松本淳さんは「沖縄に寄り掛かっている」と喝破した。原は後輩の言行不一致をどう見ているだろうか。