民法改正「18歳成人」成立 22年4月施行 - 毎日新聞(2018年6月13日)

https://mainichi.jp/articles/20180613/k00/00e/040/244000c
http://archive.today/2018.06.13-022037/https://mainichi.jp/articles/20180613/k00/00e/040/244000c

成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げるとともに、女性が結婚できる年齢を16歳以上から男性と同じ18歳以上にする改正民法は13日、参院本会議で与党などの賛成多数により可決、成立した。施行は2022年4月1日。成人年齢の見直しは、1876(明治9)年の「太政官布告」で満20歳とされて以来、約140年ぶりとなる。
改正法の付則には、成人年齢の引き下げに伴い年齢要件の見直しが必要な22の法律の改正も盛り込まれた。10年間有効のパスポートを18歳から取得できるようにする旅券法改正や、性同一性障害の人が家庭裁判所に性別変更を申し立てられる年齢を18歳以上とする性同一性障害特例法改正などが含まれている。飲酒や喫煙、公営ギャンブルについては健康被害ギャンブル依存症への懸念から「20歳以上」を維持するため、法律の名前や規定にある「未成年者」を「20歳未満の者」と改める。
18歳から親の同意なくローン契約を結んだり、クレジットカードを作ったりできるようになる一方、親の同意のない法律行為を取り消せる「未成年者取消権」は18歳から行使できなくなる。若年層の消費者被害拡大が懸念されるため、今国会では改正消費者契約法も成立した。不安をあおって商品を売りつける「不安商法」や、恋愛感情につけ込む「デート商法」による不当な契約は取り消せるようになる。この日の本会議では、消費者被害拡大防止のための更なる法整備などを政府に求める参院法務委員会の付帯決議も報告された。
成人年齢を巡っては、法制審議会(法相の諮問機関)が09年に「引き下げが適当」と答申。15年に成立した選挙権年齢を「18歳以上」とする改正公職選挙法は付則で、成人年齢少年法の適用年齢(現行20歳未満)の引き下げについて「検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」とした。少年法適用年齢については法制審で議論が続いている。【和田武士】

大阪府教委 校則をHPで公開へ 頭髪色規定なし10校 - 毎日新聞(2018年6月13日)

https://mainichi.jp/articles/20180613/k00/00e/040/214000c
http://archive.today/2018.06.13-001158/https://mainichi.jp/articles/20180613/k00/00e/040/214000c

大阪府立懐風館高(羽曳野市)が生まれつき頭髪が茶色い生徒に黒く染めるよう強要していた問題を受け、府教委が全府立高(154校)に実施した頭髪指導アンケートで、校則などに染色や脱色を禁止する規定がない全日制の高校が10校あり、多くが進学校だったことが分かった。各校は順次、校則をホームページ(HP)で公開し始めており、7月末までに全府立高が公開する予定。自校の特色を受験生に知ってもらい、入学後の「ミスマッチ」を防ぐ狙いだ。【遠藤浩二
懐風館高の問題を巡っては昨年9月、3年(当時)の女子生徒が府に約220万円の損害賠償を求める訴訟を起こし、大阪地裁で争っている。訴訟は多くのメディアに取り上げられ、府教委は11月、全府立高にアンケートを実施。これまで各学校がどのように回答したかは公表されていなかったが、府側が裁判の中で証拠として提出していた。
裁判資料によると、北野高、茨木高、三国丘高など10校が染色や脱色を禁止する規定がないとアンケートに回答した。
また、懐風館高の校則や内規は全府立高の中でも極めて厳しいものだったことも判明。染色や脱色の禁止だけでなく、「切り込み」や「そり込み」、「ツーブロック」のほか、整髪剤やカチューシャ、ヘアバンドなどの使用も禁じていた。禁止事項が同校ほど細かく規定されている府立高は他にほぼなかった。
府教委高等学校課によると、卒業後にそのまま就職する生徒が多い府立高は、就職試験で面接があるため進学校より頭髪指導に力を入れる傾向にあるという。
同課は今年4月、全府立高に対し、7月末までにHPで校則を公開するよう通知した。これまで校則をHPで公開している学校はほとんどなかったという。府立高には学区がないため、生徒は府内のどの学校にも通うことができる。同課は「受験生が学校を選択する際の指標の一つになってくれれば」としている。

成人年齢引き下げの民法改正案を可決 参院法務委 - 日本経済新聞(2018年6月12日)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31660570S8A610C1PP8000/
http://archive.today/2018.06.13-001533/https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31660570S8A610C1PP8000/

参院法務委員会は12日、成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げる民法改正案を与党などの賛成多数で可決した。少子高齢化が進む中で、若者の積極的な社会参加を促すのが狙いだ。併せて女性が結婚できる年齢を16歳から18歳に引き上げ、男性と統一する。13日の参院本会議で成立する見込みで、2022年4月に施行する。
参院法務委では、政府に若年消費者を保護するための措置を講じるよう求める付帯決議を全会一致で採択した。知識や経験、判断力が不足している消費者を不当に勧誘し締結させた契約を取り消せる権利の創設などを検討する。学校での消費者教育の充実や、消費者被害を防ぐキャンペーンの実施も盛り込んだ。

(政界地獄耳)日本も北朝鮮を知らなくては - 日刊スポーツ(2018年6月13日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201806130000202.html
http://archive.today/2018.06.13-012033/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201806130000202.html

米朝首脳会談を世界が固唾(かたず)をのんで見守るが、北朝鮮と国交を持つ国は既に世界160カ国を超えている。もっとも、国交のある国々でも、北朝鮮に大使館を置いている国は24カ国にすぎない。韓国、米国が国交を樹立しておらず、日本も拉致問題などを抱えていて、北朝鮮はベールに覆われた独裁国家の様相だ。また脱北者も後を絶たず、独裁政治のみならず、経済的にも生活に困窮していることが分かる。
★月末に公開されるドキュメンタリー「ワンダーランド北朝鮮」を見る機会を得た。韓国出身の女性、チョ・ソンヒョン監督は同胞の住むベールに包まれた国、北朝鮮を知るために韓国籍を放棄し、ドイツ国籍を収得して北朝鮮に入国。自由に取材活動ができない制約下で映画を撮り始める。首都・平壌、地方都市・元山などでのエンジニア、兵士、農家、画家、工場労働者など、“普通の人々”への取材は当局に言わされているというよりも、かなり自然で、等身大の北朝鮮の庶民が描かれている。
★撮影は2年前に行われ、経済制裁下の庶民の生活はつつましいが、生活の知恵も旺盛だ。それは経済力にあふれ、飽食の現在の日本の生活から見れば、どこか懐かしい本来の生活でもあった。ドキュメンタリーとしては特出すべきものでもないが、同胞が入国して取材することがままならない国での撮影は、それだけでスクープともいえる。

初の米朝首脳会談 非核化への重大な責任 - 朝日新聞(2018年6月13日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13537341.html
http://archive.today/2018.06.12-230201/https://www.asahi.com/articles/DA3S13537341.html

朝鮮戦争が休戦状態になってから65年。敵国同士だった米国と北朝鮮の首脳が初めて会い、握手を交わした。
その歴史的な進展に世界が注目したのは当然だったが、2人が交わした合意は画期的と言うには程遠い薄弱な内容だった。
最大の焦点である非核化問題について、具体的な範囲も、工程も、時期もない。一方の北朝鮮は、体制の保証という念願の一筆を米大統領から得た。
公表されていない別の合意があるのかは不明だ。署名された共同声明をみる限りでは、米国が会談を急ぐ必要があったのか大いに疑問が残る。
だが拙速だったとしても、2人が踏み出した一歩の意味は重い。日本を含む北東アジア地域の未来も左右する米朝の新たな関係を誓い合ったのだ。
大きな賭けに近い実験と言わざるを得ない。約束通り、これを起点に懸案の解決への道筋を開かねばならず、失敗に終われば、回復困難な禍根を将来にわたって残すだろう。
朝鮮半島の永続的で安定的な平和体制」づくりという声明の目標の実現へ向け、両首脳は重大な責任を負ったことを肝に銘じねばならない。

■過去の教訓に学べ

トランプ大統領金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長からの会談要請を受諾してから、3カ月。この間、米側は過去の過ちを繰り返さない厳格な非核化を会談の条件にするとしてきた。
「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」。トランプ氏は記者会見で、それを文書に落とすには「時間がなかった」と認めた。その上で金氏は速やかに動くだろうとの期待を口にした。
その軽々しさには驚かされるとともに深い不安を覚える。
北朝鮮の核問題は、合意がほごにされる背信の歴史だ。歴代政権の試みを何度も非難しながら、トランプ氏は本当に過去から学んだのだろうか。
トランプ氏が「すばらしい人物だ」と持ち上げ、金氏が「巨大な事業を始める」と語る。きのうはそんな友好の演出が目立ったが、重要なのは明文化された行動計画である。
「非核化」の定義をしっかりと固定し、明確な期限を区切った工程表こそ、会談の成果と呼ぶに値する。今後予定される米朝協議で、着実に非核化措置を築かない限り、トランプ氏の外交は称賛されない。
一方、北朝鮮が米国から最も得たかったのは、社会主義国を標榜(ひょうぼう)しながら特異な独裁を敷く体制の保証にほかならない。
共同声明での約束に加え、トランプ氏が米韓軍事演習の見直しまでも示唆したことは北朝鮮にとって大きな成果だろう。

■人権問題の監視を

北朝鮮はすでに国内向けにも核放棄を語り、経済再建に注力すると宣言している。だが、本当に体制を維持し、国際社会で名誉ある存在にもなりたいと願うなら、自らの国家運営のあり方を改める以外に道はない。
仮に米軍による攻撃が避けられても、北朝鮮が抱える他の問題が解消するわけではない。
その一つが人権問題である。国内に数カ所ある政治犯収容所では多くの人々が劣悪な暮らしを強いられているとされる。
金正恩氏の兄、正男(ジョンナム)氏はシンガポールの隣国マレーシアで昨年、暗殺された。米政府が北朝鮮による犯行と公式に結論づけたのは、つい3カ月前。
トランプ氏は成果を急ぐあまり、人権問題に目を背けるようなことがあってはならない。
朝鮮半島情勢の先行きは見通せないが、関係国の外交の歯車は活発に回り始めている。
韓国、中国、ロシアの首脳級がかつてない頻度と密度で相互に対話を進め、米朝交渉に間接的にかかわってきた。
安倍首相はこの間、トランプ氏に対し、金正恩氏との会談で日本人拉致問題を提起するよう要請してきた。トランプ氏は会談で「提起した」というが、実際のやりとりは不明だ。
日本の北朝鮮政策の根幹が、米韓との緊密な連携にあることは今も変わらない。だが、その米韓がすでに北朝鮮との対話に大きくかじを切り、圧力一辺倒の路線を変更した事実を直視する必要がある。

■日本、積極関与の時

二国間の問題は当事国同士で話し合うしかない。もし今後に米朝や南北間の協議が進めば、朝鮮戦争の公式終結や新たな平和体制づくりに関する大枠の協議も始まるだろう。
日本がいまだに国交をもたない近隣国は北朝鮮だけであり、その関係正常化は戦後日本の最大の課題の一つである。
米国との関係に寄りかかるだけの受け身の姿勢から脱し、朝鮮半島と北東アジアの安定と和平づくりを積極的に構想する外交力が問われている。
米朝会談は諸懸案を打開する明確な方向性は打ち出せなかった。だからこそ、日本は中韓ロとの連携を深め、建設的な関与を探らねばならない。

米朝首脳会談  非核化の意思を現実に - 東京新聞(2018年6月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018061302000141.html
https://megalodon.jp/2018-0613-0954-44/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018061302000141.html

焦点の「非核化」に進展は見られなかった。だが、緊張を再燃させてはならない。米朝首脳は対話を重ね、実行に向けた協力を進めてほしい。
七十年間にわたり対立していた米朝の首脳が会談するとあって、世界がシンガポールを見つめた。
会談に入る前、トランプ米大統領は「大きな成功を収める」と自信を見せた。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長も、「われわれは全てを乗り越えてここに来た」と応じた。
当初は硬い表情だった二人は、言葉を交わし、握手して打ち解けていった。多くの人が交渉の行方に、希望を感じたのではなかったか。

◆対立から対話への転換
両首脳が出会い、率直に語りあったことは、朝鮮半島で続いてきた対立を和らげ、対話局面に転換させる機会である。
米朝両国の対立は、北朝鮮建国の一九四八年にさかのぼる。直接戦火を交えた朝鮮戦争(五〇〜五三年)を経て、この二十年ほどは、核問題をめぐる緊張と確執が高まった。
トランプ氏と正恩氏も激しい言葉のやりとりをし、武力衝突の危険さえささやかれた。
会談の最大のテーマが、北朝鮮の「完全な非核化」となったのも当然だろう。
しかし、会談後に文書として両首脳が署名した「シンガポール共同声明」は、実効性の点で物足りず、北朝鮮の従来の立場を、あらためて確認するレベルにとどまった。
共同声明は、非核化について四月二十七日の南北首脳会談で合意した「板門店宣言」を再確認し、「朝鮮半島の完全な非核化」に北朝鮮が努力するとした。
米国が求めていたCVID(完全で検証可能、不可逆的な非核化)という言葉は入っておらず、実行に向けた具体的な日程の言及もなく、新味に欠けた。

◆今後の見通しは不透明
トランプ氏も不十分さを実感していたに違いない。
「この文書には盛り込まれていないことがある」と強調し、正恩氏がミサイルエンジン実験場の閉鎖を約束したと語った。
またトランプ氏は、正恩氏が非核化のプロセスに「早期に着手するだろう」と述べたものの、今後順調に進むか不透明だ。
長く険しい対立を、一回の会談で解消することは難しいに違いない。トランプ氏も、会談の成果は「一定の信頼醸成だった」と説明したほどだ。
とはいえ、正恩氏が核放棄にどこまで本気なのか、今回も十分確認できなかったのは残念だ。
首脳会談直前まで、事務方同士が調整を進めた。正恩氏は、北朝鮮に理解を示す中国を後ろ盾に、段階的に核放棄する従来の姿勢を譲らなかったようだ。
正恩氏は、「北朝鮮に対する敵視政策と脅威がなくなれば、核を持つ必要はなくなる」と非核化への決意を表明、経済発展に専念する考えを強調してきた。
正恩氏が本当に国内経済を発展させたいのなら、核やミサイルを使った駆け引きを、これ以上続けるべきではない。非核化に向けて動きだす時に来ている。
今回の会談では、朝鮮戦争を終わらせるための「終戦宣言」も、大きなテーマとなった。
終戦宣言」は正式な終戦に先立ち、戦争を終える意思を確認し合うことだ。
北朝鮮を安心させ、核放棄に応じさせるための「政治的メッセージ」だが、これも見送られた。
代わりに合意文書の中では、「北朝鮮に安全の保証を与える」「米朝両国は、朝鮮半島に恒久的で安定した体制を築くことに努力」などの表現が盛り込まれた。
完全な核放棄の実現前に、体制の保証を与えることを約束するものであり、北朝鮮にとって満足できる内容になったのではないか。
朝鮮戦争終戦は一刻も早く実現すべきだが、非核化の具体性が先行して示されるべきであることを忘れてはならない。
正式な終戦には、北朝鮮と米中、そして韓国が加わった四者による平和協定の締結が必要になる。さらに将来的には、在韓米軍の見直しにもつながるだろう。

◆日本も首脳会談目指せ
日本や北東アジア全体の安全保障にも、大きな影響が出ることが想定される。慎重かつ確実に進めてほしい。
安倍晋三首相は、北朝鮮による日本人拉致問題について「正恩氏との間で解決しなければならない」と決意を語っている。トランプ氏も、会談で拉致問題北朝鮮側に提起したと語った。
自国民の人権に関わる問題を、他国任せにしてはならない。タイミングを見極めて、直接対話の機会を探らなければならない。

史上初の米朝首脳会談 後戻りさせない転換点に - 毎日新聞(2018年6月13日)

https://mainichi.jp/articles/20180613/ddm/005/070/051000c
http://archive.today/2018.06.12-230205/http://mainichi.jp/articles/20180613/ddm/005/070/051000c

まさしく歴史的な瞬間だった。
シンガポールでトランプ米大統領北朝鮮金正恩朝鮮労働党委員長が固い握手を交わした。やや硬い表情の金氏の緊張をほぐすように、トランプ氏が彼の右腕を軽くたたく。
映画でも見るような光景である。
朝鮮戦争(1950〜53年)以来、65年も対立してきた両国の史上初の首脳会談だ。数カ月前までは戦争の瀬戸際とも言われた米朝の「雪解け」は前向きにとらえたい。
両国の共同声明には「新たな米朝関係」など4項目がうたわれた。米国が北朝鮮に安全上の保証(体制保証)を与え、北朝鮮朝鮮半島の完全な非核化への「揺るがぬ関与」を確約することが合意の柱である。
非核化の担保が不十分
固い約束のようだが、懸念は大いに残る。米朝の共同声明は、韓国と北朝鮮の首脳会談(4月27日)に伴う「板門店宣言」に基づくもので、米国が従来求めてきた「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」には触れていない。
記者会見でこの点を問われたトランプ氏は、声明をよく読めば言及していると語る一方、別の記者の同趣旨の質問には「時間がなかった」と答えた。この辺が本音だろう。核廃棄をめぐる肝心な論議を詰め切れていないことをうかがわせた。
そもそも北朝鮮がCVIDに同意したかどうかもはっきりしない。非核化についてトランプ氏は、金氏が会談で「やりたい」と語ったと説明し、ミサイルに使うエンジンの燃焼試験場の閉鎖を北朝鮮側から告げられたことも明らかにした。
しかし非核化のプロセスがいつ始まり、いつ終わるのか。既に北朝鮮保有する核爆弾はどう処理するのかなど、基本的な問題についても具体的なことは一切語らなかった。
ポンペオ国務長官は会談直前、米国が求める非核化とはCVIDに他ならないと強調していた。米政府内の温度差もさることながら、北朝鮮が誠実に非核化を実行する保証がどこにあるのか。せっかくの歴史的な会談なのに合意内容がいつの間にか後戻りしないか不安になるのだ。
金氏自身の声で非核化の決意や今後の手順を聞けなかったことも不安をあおる。米朝関係は改善されようと、日本をはじめとする近隣諸国の命運にかかわる核・ミサイル問題の行方は不透明と言わざるを得ない。
半面、米国が北朝鮮に体制保証を与えたことで、いまだ休戦状態にある朝鮮戦争終戦協定に向けた手続きが進む可能性が出てきた。韓国と北朝鮮の南北融和も加速し、東アジアに残った冷戦構造も解消に向かう見通しだ。こうした環境変化に日本も俊敏に対応する必要がある。
共同声明には、朝鮮戦争の行方不明米兵(MIA)について北朝鮮が遺骨などの引き渡しに協力することもうたわれた。軍を重視するトランプ氏の意向をくんだのだろう。
共同声明には盛られていないものの、トランプ氏は首脳会談で日本人拉致問題を提起したと述べた。訪米してトランプ氏に提起を要請した安倍晋三首相の顔を立てた格好だ。
トランプ流の危うさ
注目されたのはトランプ氏が北朝鮮への軍事オプションを封印したと思えることだ。北朝鮮が合意を破った時は軍事行動も考えるかと聞かれたトランプ氏は、韓国などへの甚大な影響を考えれば軍事行動は非現実的との認識を示した。
米韓軍事演習も北朝鮮の対応次第では中止する考えを示し、在韓米軍縮小にも前向きな態度を見せた。この辺は大きな路線転換と言うべきで、北朝鮮への軍事行動は不可能と判断してきた米国の歴代政権に、トランプ氏も同調したように映る。
良くも悪くもトランプ流である。同氏は「権威」や「専門家」を嫌う傾向が強く、米国政治に通じた人々自身が米国の危機を招いたと述べる(著書「グレート・アゲイン」)一方、北朝鮮政策では過去の米政権の「失敗」を批判してきた。
2016年の大統領選時には、金氏とハンバーガーを食べながら核問題を話し合う構想を口にした。今回の首脳会談は、形にとらわれずトップ交渉で問題解決を図ろうとする姿勢の表れだろう。
だが、第三国で行われた首脳会談は「政治ショー」の色彩がつきまとった。金氏の訪米を招請したのもトランプ流だろうが、その成否は今後の推移で判断するしかない。焦点はもちろん、北朝鮮が速やかに核廃棄に着手するかどうか、である。

朝鮮半島非核化声明 新基地の必要論崩れる - 琉球新報(2018年6月13日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-737471.html
http://archive.today/2018.06.13-000808/https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-737471.html

トランプ米大統領北朝鮮金正恩朝鮮労働党委員長は、初の首脳会談を開いた。
正恩氏は共同声明で南北首脳による板門店宣言を再確認し「朝鮮半島の完全非核化」を約束した。トランプ氏は非核化に向けた対話継続中は、米韓軍事演習を中止する意向を示した。在沖米軍も参加する演習中止は、朝鮮半島の緊張緩和につながる。
米朝首脳会談を機に朝鮮半島に残る冷戦構造が解体へ向かう一歩とすべきだ。
今回の米朝首脳会談の最大の焦点は、米国が求める完全で検証可能、不可逆的な非核化(CVID)を北朝鮮に認めさせるかだった。
共同声明に盛り込まれなかったが、トランプ氏は「(非核化へ向け)揺るぎない決意を示した」と強調。非核化プロセスを迅速に始めることを明らかにした。
非核化を巡っては米朝の思惑には隔たりがある。米国はCVIDを求め、北朝鮮は米国に段階的なアプローチを望む。トランプ氏は「完全な非核化には時間がかかる」との見方を示した。今回の会談は非核化に向けた入り口にすぎない。
トランプ氏は非核化と並んで60年以上休戦状態にある朝鮮戦争終結合意を検討していると明言していた。共同声明が実現したことで、東アジアに新しい秩序が構築される可能性がある。
朝鮮戦争終結すると、在沖米軍基地に大きな変化をもたらす。
嘉手納基地を中軸とする沖縄の米空軍は、朝鮮戦争と深く関わっていた。嘉手納基地、米軍普天間飛行場、ホワイトビーチ地区は、在日米軍だけでなく朝鮮戦争時の国連軍基地でもある。
朝鮮戦争終結すると、沖縄に国連軍基地はなくなり、北朝鮮の攻撃対象から外れる。政府はこれまで北朝鮮を「脅威」とし「抑止力」として在沖米海兵隊の存在意義を主張してきた。朝鮮半島に平和が訪れれば脅威の前提が崩れる。普天間飛行場を維持し続けることや、名護市辺野古への新基地建設は大義名分を失い、必要なくなる。
にもかかわらず政府は国内外の関心が米朝首脳会談に集まった12日、8月17日にも土砂を投入すると県に通知した。あえてこの日を選んだのではないかと疑いたくなる。
東アジアで生まれつつある変化を敏感に感じ取れば、平和共存の枠組みづくりに水を差すような新基地建設は中止すべきだ。日本が注力すべきは新基地建設ではなく、米中韓ロなどとともに、朝鮮半島の非核化を実現することだ。
一方、日本人拉致問題についてトランプ氏は北朝鮮に提起したことを明らかにし「今後取り組んでいく」と述べた。この間、拉致問題について日本側の戦略と具体的な取り組みが見えず、米国頼りになっている印象が拭えない。日本は解決に向け、主体的に取り組むべきである。

セクハラ法整備先送り 政府緊急対策 省庁幹部の研修義務化 - 東京新聞(2018年6月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201806/CK2018061302000130.html
https://megalodon.jp/2018-0613-0958-08/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201806/CK2018061302000130.html


前財務次官によるセクハラ問題を受け、政府の「すべての女性が輝く社会づくり本部」(本部長・安倍晋三首相)は十二日、緊急対策を決定した。現行の男女雇用機会均等法人事院規則の運用を強化し、中央省庁の幹部職員にセクハラ防止研修の受講を義務づけたり、通報窓口を充実させる。新たな法整備は先送りした。
各省庁のセクハラ防止研修は、人事院規則では新任者と新任監督者の受講を義務づけているが、幹部職員は義務化されていない。実施状況にはばらつきがあり、財務省は問題発覚後に初めて幹部研修を行った。
新たな運用では、内閣人事局が幹部を含む研修の受講状況を一元管理し、実質的な昇進の要件にする。
前財務次官のセクハラ被害を訴えたのがテレビ朝日の女性社員だったことを受け、既にある各省庁のセクハラに関する通報窓口で、職員だけでなく、民間企業の社員ら外部からの相談にも対応するようにする。窓口の存在の周知を徹底し、相談員の研修も実施する。各省庁が適切に対応しない場合、独立した相談窓口の設置も検討するよう人事院に求める。
男女雇用機会均等法に関しては、事業主がセクハラ防止に必要な措置をとるよう義務づけているが、外部での被害も対象に含まれることなど内容を周知する。
総務省は、セクハラ被害者の二次被害を防止するため、インターネット上でのプライバシー侵害情報を削除するよう通信事業団体に要請した。 (坂田奈央)

聴取は専門職1人だけ 残業代ゼロの前身法案 国会提出前に - 東京新聞(2018年6月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201806/CK2018061302000127.html
https://megalodon.jp/2018-0613-0940-46/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201806/CK2018061302000127.html

「働き方」関連法案に含まれる「高度プロフェッショナル制度高プロ、残業代ゼロ制度)」について、前身となる法案が国会に提出された二〇一五年四月三日以前に、厚生労働省が対象となりうる専門職一人にしかヒアリングをしていなかったことが十二日、分かった。厚労省が同日、参院厚労委員会理事会に開示した。
厚労省高プロについてヒアリングをしたのは計五社十二人。実施時期はこれまでの説明を一部修正し、一五年三月三十一日が一人、同年五月十一日に二人。今年一月三十一日が六人、二月一日が三人だった。同じ会社で複数人に聴いたケースが四社あった。社民党福島瑞穂氏は十二日の参院厚労委で「ものすごい手抜きで、まとめて(同じ会社の人に)聴いている。これでどうしてみんなの声を聴いたと言えるのか」と批判。十二人中九人は人事担当者が同席していたことに対し、言いたいことが言えなかったのではないかと調査方法を問題視した。
午前には参考人からの意見聴取があり、企業のコンサルティングを手掛ける会社の小室淑恵社長は「高プロを導入したいと言っている企業はほとんどない」と指摘した。
高プロは高収入の一部専門職を労働時間規制の対象から外す仕組み。厚労省は一五年に提出した労働基準法改正案で創設を打ち出したが、一七年秋の衆院解散で廃案に。「働き方」法案に盛り込む形で今年四月に再提出した。

8億円値引きの国有地で10億円まで借り入れ承認 - しんぶん赤旗(2018年6月13日)

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-06-13/2018061304_01_1.html
http://archive.today/2018.06.13-015326/https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-06-13/2018061304_01_1.html

森友問題 宮本岳志氏が新文書示す
学校法人「森友学園」が、1億3400万円で購入した国有地を元に金融機関から10億円を限度に借り入れすることを、国土交通省が2016年10月に承認していたことが分かりました。12日の衆院国交委員会で、日本共産党宮本岳志議員が国交省提出の文書を元に明らかにしました。
同省は「将来地下埋設物(ゴミ)が出てくるリスク」を口実に、撤去費用相当の約8億円を値引きする「瑕疵(かし)担保免責」特約を付して、約1億3400万円で売却(16年6月)。宮本氏は、そのわずか4カ月後に、銀行は同地に10億円の価値を認め、国交省も追認していたと批判。値引きの根拠に疑問を呈しました。
宮本氏が示したのは、学園理事長だった籠池泰典被告=詐欺罪で起訴=が国交省に提出した「質権設定承認申請書」と、同被告が金融機関と結んだ「質権設定契約証書」(いずれも16年10月14日付)。申請書には、国交省の干山善大阪航空局長(当時)の承認印が押されています。
宮本氏は、「でたらめな土地取引だ」と批判。石井啓一国交相は「事実関係をよく承知していない」と述べるにとどまりました。
宮本氏は、異例の取引の背景に安倍晋三首相夫妻の関与がある疑いが強いとして、「首相の妻の昭恵氏の証人喚問が不可欠だ」と主張しました。