(政界地獄耳)日本も北朝鮮を知らなくては - 日刊スポーツ(2018年6月13日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201806130000202.html
http://archive.today/2018.06.13-012033/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201806130000202.html

米朝首脳会談を世界が固唾(かたず)をのんで見守るが、北朝鮮と国交を持つ国は既に世界160カ国を超えている。もっとも、国交のある国々でも、北朝鮮に大使館を置いている国は24カ国にすぎない。韓国、米国が国交を樹立しておらず、日本も拉致問題などを抱えていて、北朝鮮はベールに覆われた独裁国家の様相だ。また脱北者も後を絶たず、独裁政治のみならず、経済的にも生活に困窮していることが分かる。
★月末に公開されるドキュメンタリー「ワンダーランド北朝鮮」を見る機会を得た。韓国出身の女性、チョ・ソンヒョン監督は同胞の住むベールに包まれた国、北朝鮮を知るために韓国籍を放棄し、ドイツ国籍を収得して北朝鮮に入国。自由に取材活動ができない制約下で映画を撮り始める。首都・平壌、地方都市・元山などでのエンジニア、兵士、農家、画家、工場労働者など、“普通の人々”への取材は当局に言わされているというよりも、かなり自然で、等身大の北朝鮮の庶民が描かれている。
★撮影は2年前に行われ、経済制裁下の庶民の生活はつつましいが、生活の知恵も旺盛だ。それは経済力にあふれ、飽食の現在の日本の生活から見れば、どこか懐かしい本来の生活でもあった。ドキュメンタリーとしては特出すべきものでもないが、同胞が入国して取材することがままならない国での撮影は、それだけでスクープともいえる。