「共謀罪」衆院通過で攻防=民進、法相不信任案を検討 - 時事ドットコム(2017年5月13日) 

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017051300398&g=pol
http://archive.is/2017.05.13-131535/http://www.jiji.com/jc/article?k=2017051300398&g=pol

週明けの国会は、「共謀罪」の構成要件を改めた「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の衆院通過をめぐる与野党攻防がヤマ場を迎える。自民、公明両党は18日に衆院を通過させる構え。これに対し、民進党などは廃案を目指して徹底抗戦する方針で、金田勝年法相の不信任決議案提出を検討している。
与党と日本維新の会は同法案に関し、取り調べの録音・録画による可視化を「検討する」と付則に書き込むなどの修正で合意した。衆院法務委員会は16日に参考人質疑を行う予定で、審議時間は与党が目標とする30時間を超え、32時間に達する見通しだ。
このため、与党は法案採決の環境が整いつつあると判断。17日の法務委に安倍晋三首相の出席を求めて締めくくり質疑と採決を行い、18日の衆院本会議で可決、19日の参院本会議で審議入りする日程を描いている。自民党下村博文幹事長代行は13日、党本部で記者団に「慎重に審議しながらも、スピード感を持って対応してもらいたい」と語った。
これに対し、野党側は採決阻止に全力を挙げる。民進党などは、テロ対策強化のための対案を11日に国会提出しており、法務委で徹底審議を求める方針。与党が採決を強行した場合には、法相不信任案で対抗する構えだ。民進党国対幹部は「あらゆる手段で阻止する」と語っている。
与党は6月18日までの会期内に成立させたい考え。ただ、民進党などが反発する中で衆院通過に踏み切れば、参院審議入り段階での混乱は避けられないとみられる。与党内では今国会での成立に万全を期すため、最長で7月末まで会期を延長する案も取り沙汰されている。

「共謀罪」で自公維が合意 欠陥の修正にはほど遠い - 毎日新聞(2017年5月13日)

https://mainichi.jp/articles/20170513/ddm/005/070/070000c
http://archive.is/2017.05.13-070133/http://mainichi.jp/articles/20170513/ddm/005/070/070000c

後半国会の焦点である「共謀罪」法案をめぐって、自民、公明両党と日本維新の会が修正で合意した。
修正案では、「捜査を行うに当たってはその適正の確保に十分配慮しなければならない」と本則に盛り込むという。だが、こうした訓示規定が行き過ぎた捜査の歯止めになるのか。実効性は疑わしい。
また、維新が求めた対象事件の取り調べ可視化(録音・録画)は、付則で検討課題と盛り込むにとどまった。抜本的な見直しにはほど遠い。
政府は、法案提出の目的を、国際組織犯罪防止条約を締結するためだという。だが、条約の締結に当たって、幅広い共謀罪の法整備が必要なのか。政府・与党と野党の主張は今も平行線のままだ。
一方で政府は法案提出に当たり、テロ対策を前面に打ち出している。
確かに多くの国民がテロ対策の必要性を感じている。ただし、「共謀罪」法案は、計画、準備段階の犯罪の処罰を可能とするものだ。捜査が市民生活への監視にまで及ぶことへの国民の懸念は根強い。
仮に「共謀罪」法案が必要ならば、まずは対象犯罪を徹底的に絞り込むことが最低限求められる。
そもそも、共謀罪新設に当たり、条約が求める600以上の対象犯罪は減らせないと政府は長年説明してきた。だが277に半減させた。
適用対象を組織的犯罪集団に限定などすれば対象犯罪を減らせる。条約もそれを容認しているというのが、新たに持ち出してきた論法だ。あまりにご都合主義的だ。結局、条約が各国の裁量を広く認め、解釈の余地があるのだろう。
対象犯罪の絞り込みは難しくないはずだ。国会審議でも、法学者が性犯罪など必要性の薄い犯罪が多数含まれていると指摘した。
もう一つ、捜査権の乱用の歯止め策について、与野党で徹底的に議論を深めることを求めたい。
組織的犯罪集団に適用対象を限定し、犯罪の準備行為も要件に加えたとはいえ、定義にあいまいさは依然残る。捜査機関に市民監視の武器を与えてしまうのではないか。その不安は当然だ。法案の条文で具体的な対策を書き込むしかない。
与党は来週にも採決する構えだ。数の力で押し切ってはならない。

共謀罪「合意だけで捜査可能」 準備行為前でも嫌疑 - 東京新聞(2017年5月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017051302000126.html
http://megalodon.jp/2017-0513-1058-48/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017051302000126.html


犯罪の合意を処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案について、法務省の林真琴刑事局長は十二日の衆院法務委員会で「準備行為が行われる前でも任意捜査は許される」との見解を示した。これまで政府は「犯罪に合意しただけでは強制捜査や処罰はできない。合意に加えて準備行為がないと犯罪は成立しない」と強調してきたが、合意しただけの段階で任意捜査が始まることを認めた。野党からは「捜査機関の意思で、捜査の開始時期が何とでもなる」と懸念の声が上がった。
公明党浜地雅一氏の質問に対し、林氏は「犯罪の計画行為が既に行われた嫌疑がある状況で、準備行為が行われる確度が高いと認められるような場合は、手段が相当であれば任意捜査を行うことは許される」と述べた。
過去の共謀罪法案の国会審議では、準備行為がない段階でも共謀しただけで逮捕や家宅捜索などの強制捜査が可能だとして野党などから強い反発が上がっていた。今回の法案で政府は「準備行為がなければ犯罪が成立せず、強制捜査はできない。過去の共謀罪とは別物だ」と強調していた。
合意段階の任意捜査について、金田勝年法相は「成案を得てから説明する」と答えていたが、この日は、準備行為が行われて犯罪が成立する前でも嫌疑が生じ、任意捜査が認められる考えを示した。
根拠として林氏は、薬物密売やすり、ひったくり、痴漢などの犯罪で任意捜査が行われている実態を紹介。林氏は「犯罪が多発する時間帯、地域など発生の確度が高いと判断される場合、嫌疑が認めることができる」として、犯罪が発生していない段階でも捜査が可能だとした。犯罪発生の確度が高いかどうかは「捜査機関が判断する」とした。
また、金田氏はこの日、あらためて「一般の人に嫌疑が認められることはあり得ない」と強調。これに対し、民進党山尾志桜里氏は「嫌疑が生じる前には、調査や検討が行われる。その対象には一般市民が入る。一般市民が捜査対象にならないから安心してというのは、砂上の楼閣でフィクションだ」と批判した。 (山田祐一郎、土門哲雄)

「共謀罪NO!」 55万3000人の署名提出 - 東京新聞(2017年5月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017051302000128.html
http://megalodon.jp/2017-0513-2217-43/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017051302000128.html

共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案に反対する市民らが十二日、東京・永田町の衆院第二議員会館周辺で抗議集会を開き、共謀罪創設反対を求める約五十五万三千人分の署名を民進、共産、社民などの野党国会議員に渡した。
署名は安倍晋三首相、衆参両院議長宛てで「市民の思想、良心の自由の抑圧につながる重大な問題。名を『テロ等準備罪』に変えても、相談したことを罪に問う根本に変更はなく、過去三回廃案になった共謀罪そのものだ」としている。
共謀罪に反対する市民や法律家、労組関係者らでつくる市民団体「共謀罪NO!実行委員会」と「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が呼び掛け、三月から全国の街頭やインターネット上で集めた。
今後集まった分も順次提出する。
抗議集会で、日本体育大の清水雅彦教授(憲法)は「共謀罪ができると、市民団体や労働組合が弾圧されるのではないかという萎縮効果が生まれる。表現の自由にとって危機的な状況になる」とマイクで訴えた。

国民投票、国政選挙と同時可能 改憲で菅氏、政権内の見解対立 - 東京新聞(2017年5月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017051201001886.html
http://archive.is/2017.05.13-020139/http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017051302000126.html

菅義偉官房長官は12日の記者会見で、憲法改正の是非を問う国民投票と国政選挙を同時実施しても問題ないとの認識を示した。「首相の衆院解散権の制約はないと思っている」と述べた。これまでの与野党内での改憲議論では、国政選と国民投票とは分けて実施する方が望ましいとの意見が大勢。公明党井上義久幹事長も会見で同様の考えを示しており、政権内で見解が対立した形だ。
安倍晋三首相(自民党総裁)は、自民党保岡興治憲法改正推進本部長と党本部で会い、憲法9条への自衛隊明記や2020年の改正憲法施行を訴えた自らの提案を踏まえ、党独自の改憲案を作成するよう指示した。
(共同)

(政界地獄耳)結局半端な9条改正反論 - 日刊スポーツ(2017年5月13日)

http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1822587.html
http://archive.is/2017.05.13-031415/http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1822587.html

★「議論を深めてほしい」「憲法改正の機は熟した」。憲法9条改正を言い出した首相・安倍晋三。それはポスト安倍をもくろむ者への踏み絵でもあった。その筆頭格にいる元幹事長・石破茂は(改正発言に)「びっくりした」「勢いで憲法なんか改正していいはずは全くない」「今まで積み重ねた党内議論の中では、なかった考え方だ。自民党の議論って何だったのか」。石破の首相発言後の憲法問題についての発言だ。石破の語り口は反対論を言わず疑問を呈する手法。なかなか真意が探りにくい。
★加えて11日には「『芦田修正』(憲法制定過程で9条2項に<前項の目的を達するため>との文言を追加し、1項の<国際紛争を解決する手段>ではない戦力を保持できると読ませる)を採ると言えばいい。そうすれば3項に、国家の独立と国際の平和に寄与するため自衛隊を保持すると書ける」と首相に助け舟を出し同調する考えも示す。いつもの石破の分かりにくさだ。
★一方、15年10月。自身が会長を務める派閥「宏池会」の会合で「(安保関連法成立について)9条との関係でどこまで許されるかという議論で結論を出した。当面、憲法9条の改正は考えない。これが私たちの立場だ」としていた外相・岸田文雄は11日、改めて「9条を今すぐ改正することは考えない」と確認した。ただ、首相に弓引く勇気もなく「憲法改正に向けて、いろいろな意見や考え方が示されることは議論の活性化という意味がある」と中途半端な発言に終始した。
★首相はこの2人の振る舞いで立ちはだかる敵にはならないと感じたはずだ。野党が興奮気味に首相を問い詰めても効果はない。与党内に冷静で現実的な憲法議論が生まれることを期待したいが、当面は首相の思惑通りに進みそうだ。(K)※敬称略

(筆洗)ディランさんの歌が、痛烈に響く - 東京新聞(2017年5月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017051302000130.html
http://megalodon.jp/2017-0513-1101-39/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017051302000130.html

♪戦争の親玉どもよ
銃を造る者たちよ
死の飛行機を造る者たちよ
強力な爆弾を造る者たちよ…

と、ギターをかき鳴らしながら、ボブ・ディランさんは歌った。「戦争の親玉」と名指しされたのは、ベトナム戦争などで潤っていた軍需産業のことだ。

安心してこの世に
子供たちを産み落とせない恐怖を
未だ生まれず名もつけられていない
子供たちを脅かしている
(『ボブ・ディラン全詩集』中川五郎訳)

戦争が終わっても、その恐怖は次世代の子どもたちを脅し続ける。そんな兵器の一つが、一発の親爆弾から数百の子爆弾が拡散するクラスター爆弾だ。
ベトナム戦争時に米軍がクラスター爆弾を雨と降らせたラオスでは八千万発もが不発弾となり、二十一世紀になってからも子どもらの命を奪い続けた。「未来を殺し続ける兵器」である。
製造・使用を禁止する条約が七年前に発効し、欧州などでは製造企業への投融資を禁ずる動きも広がった。なのに、日本の公的年金を運用する組織は、この爆弾を製造する企業の株を大量に保有しているという。
老後の安心のための私たちの大切なお金を「戦争の親玉」に使わせていいのか。

おまえは人に銃を持たせて
…自分は安全な場所に引っ込んで見物しているだけ
その間にも死者の数はうなぎ登りに増えて行く…

というディランさんの歌が、痛烈に響く。

慰安婦合意に見直し勧告 日韓政府に国連委「補償不十分」 - 東京新聞(2017年5月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201705/CK2017051302000261.html
http://megalodon.jp/2017-0513-2218-08/www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201705/CK2017051302000261.html

ジュネーブ=共同】国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会は十二日、韓国に対する審査報告書を発表、慰安婦問題を巡る二〇一五年の日韓合意について「被害者への補償や名誉回復、再発防止策が十分とはいえない」と指摘、合意見直しを勧告した。法的拘束力はないが、事実上、日韓両政府に再交渉を促す内容。
韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は日韓合意の「無効化と再交渉」を公約に掲げており、勧告を盾に日本政府に再交渉要求を強めてくる可能性がある。しかし日本側に従う義務はなく、日韓が再交渉に乗り出すのは困難とみられる。
報告書は、元慰安婦には今も生存者がいると指摘した上で、拷問など非人道的な扱いを受けた被害者への救済を定めた拷問禁止条約に基づき、元慰安婦の補償と名誉回復が行われるように求めている。拷問禁止委員会は国際人権法の中でも重要度の高い拷問禁止条約の締結国の審査を定期的に行い、問題点があった場合、是正を勧告できる。
一三年五月の対日審査では慰安婦問題で「政府や公人による事実の否定、元慰安婦を傷つけようとする試みに反論するよう」勧告した。しかし日本政府は同六月に「締約国に従うことを義務付けているものではない」との答弁書閣議決定し、従わなかった。
日韓合意は、日韓両国が一五年十二月二十八日、旧日本軍による慰安婦問題に関し「最終的かつ不可逆的な解決」を確認し、日本が軍の関与と政府責任を認め、元慰安婦を支援する韓国の財団に十億円を拠出した。安倍晋三首相は十一日の文氏との電話会談で合意履行を求めたが、文氏は「国民の大多数が情緒的に受け入れられないのが現実だ」とした。

◆国連拷問禁止委の勧告ポイント
▽元慰安婦だった被害者への補償や名誉回復、真相解明や再発防止策が十分ではない。
▽日韓合意は見直すべきだ。
▽拷問など非人道的扱いを受けた被害者への救済を定めた拷問禁止条約の条項に基づき、元慰安婦の生存者に補償と名誉回復が行われるべきだ。 (共同)

森林除染偽装 不正は絆を弱くする - 東京新聞(2017年5月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017051302000146.html
http://megalodon.jp/2017-0513-1107-08/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017051302000146.html

福島第一原発事故に伴う除染作業で不正請求があった。住民の安全と安心のために除染は必要だ。だが、費用は税金。関係者は不正が起きにくい仕組みを整え、チェックも厳しくしてほしい。
問題が明らかになったのは、福島市松川町の森林除染。三次下請けのゼルテック東北が、通常の森林除染を工事単価の高い竹林と偽装していた。本紙の報道を受けて同市は十一日、記者会見して「過剰請求額は一千万円超。刑事告訴も検討する」と述べた。
福島県内の除染作業は、旧警戒区域や旧計画的避難区域放射線量が高い地域は国が実施計画を策定、実施する除染特別地域と、市町村が行う汚染状況重点調査地域がある。除染特別地域は大手ゼネコンなどが請け負い、市町村の除染は地元企業が多い。
今回のケースも市内の企業三社がつくる共同企業体(JV)が二〇一四年から昨年まで約十八万平方メートルの除染を受注していた。
ゼルテック東北は約二千六百平方メートル分について、工事完了報告書に短く切った竹を並べて竹林に見せ掛けたり、画像修整ソフトを使って写真を加工したりした。同市は「写真で確認し、疑いを持たなかった」と話す。
しかし、現地を見た本紙の記者は「驚いた。写真の場所も、周りも、太い竹はなかった」と話している。除染の工事単価は一平方メートルあたり約五百円だが、竹林は伐採が必要なので約四千六百円が加算される。竹林だけでも現場をチェックするようにしていれば不正は防げたはずである。
同市は昨年十一月に内部告発があるまで現地を見ていなかったという。これでは、不正は一社だけなのかという疑問も出てくる。他の事業者についても調査が必要ではないのか。
東日本大震災の被災地復興のために今、国民は復興特別税を納めている。復興の役に立てばと思うから応じているのである。しかし、今年三月にも環境省の職員と業者が贈収賄で逮捕されるという事件が起きた。信頼を失うことがないように努めてほしい。
今回の偽装の特徴は画像修整ソフトの使用である。写真の中のホワイトボードの数字が書き換えられていた。ソフトを使えば、写っていないものを加えたり、写っているものを消したりできる。最新の技術を使えば、音声も動画も加工できる。フェイクニュース(偽ニュース)だけでなく、偽データにも気をつけたい。

日赤の元従軍看護婦語る惨禍 「戦争は何も得しない」 - 東京新聞(2017年5月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017051390135518.html
http://megalodon.jp/2017-0513-2215-40/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017051390135518.html

日本赤十字社(東京都港区)が今月、創立140周年を迎えた。戦前の日赤の歩みは軍とともにあった。日赤の看護婦は兵士と同様に「赤紙」で召集され、延べ3万人以上が従軍看護婦として戦地に赴いた。日中戦争と太平洋戦争で2度召集を受け、広島原爆の惨禍も目撃した佐賀市の元従軍看護婦、久米正子さん(95)もその一人。自らの体験を振り返り、「最近、戦争という言葉を聞くことが増えた。今の国民は政府にあおられているのではないか。歯がゆさを感じます」と語る。 (加藤行平)
佐賀の高等女学校卒業後、山口赤十字病院の看護婦養成所に入所。卒業直後の一九四一年四月、十九歳で最初の召集を受けた。配属先は中国・山西省の太原(たいげん)陸軍病院。重症病棟も担当した。「最期を迎えた兵隊さんは若い私を『お母ちゃん』と呼んだ。内地の母親とダブっていたのか」
二年余で召集解除になり、いったん帰国。「これで終わり」と思ったのもつかの間、四カ月後の四三年九月、二度目の召集を受けた。行き先はシンガポール海軍病院。病院船の氷川丸で南方に向かった。インドネシアのスラバヤ港外では近くで機雷が爆発した。大きな水柱が上がり、激しく揺れたが、幸い沈没は免れた。
四五年二月、「氷川丸が来ている。女性は引き揚げろ」と突然の指示を受けた。残される患者たちの異様な雰囲気を感じながら、内地に戻り、山口県岩国市の海軍病院勤務となった。その内地勤務が皮肉にも最も悲惨な体験になった。
八月六日。「朝の引き継ぎ中、ものすごい光を感じた。少し遅れて『ドォーン』という音と振動がした」。岩国と直線で約四十キロ離れた広島の方角。「東の方にムクムクとわき上がる灰色の雲が見えた。頭の上に覆いかぶさるように大きくなり、まるで生きているようでした」。原爆のきのこ雲だった。
続々と患者が運ばれてきた。「初めて診る症状の患者ばかり。全身真っ黒で皮膚がむけ、ベラベラだった」。手の施しようがなく、傷口にわいたウジを取るだけ。最初はピンセットで取っていたが、追いつかずタワシで落とした。病院に来た時は話ができた患者が、数時間後には死んでいった。病院裏手の山に運んで火葬する日々が続いた。自分より若い少年少女らも大勢をみとった。「こんな子が何をしたのか」。間もなく、終戦を迎えた。
戦後は日赤佐賀県支部に所属。水害救援などに従事し、地元の看護学校や短大で後進の指導にもあたった。「戦争で亡くなった人の分まで生きているのかもしれない」。そんな思いを抱いて生きてきた。「戦争はばかばかしい。何も得することはありません。その悲惨さを、多くの人に感じてほしい」

<日赤と従軍看護婦> 幕末の佐賀藩士で明治維新後、大蔵卿などを務めた佐野常民(1823〜1902)が西南戦争の負傷者を救護するため1877年5月1日に設立した博愛社が前身。87年に日本赤十字社と改称した。従軍看護婦日清戦争で初めて国内の陸海軍病院に配属。日中戦争、太平洋戦争では戦線の拡大とともに大勢が召集され、陸海軍大臣の管理下に置かれた。1人の看護婦が複数回召集され、延べ数は約3万5千人。このうち1124人が殉職した。一般兵士と同様、赤い紙に印刷された「戦時召集状」が届けば、家庭事情にかかわらず応じなければならなかった。

閲覧の自由、図書館苦慮 学校史切り取り被害拡大 - 東京新聞(2017年5月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201705/CK2017051302000253.html
http://megalodon.jp/2017-0513-2216-31/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201705/CK2017051302000253.html

小中学校や高校の学校史や記念誌が切り取られる被害が十二日までに、十六県の公立図書館で確認された。いったい誰が、何のために−。専門家は学校生活に不満を抱く人物や、模倣犯による可能性を指摘。図書館は公共物の図書を守ることと、閲覧の自由との間で対応に苦慮している。

▽集合写真
「本が順番通りに並んでいない」。四月二十八日、岐阜県図書館の郷土資料コーナーを整理中に異変に気付いた司書が学校史を開くと、十冊計百三十四ページが切り取られていた。
三日後には岐阜市立中央図書館でも被害が判明。その後東海や北陸地方を中心に、東北や四国、九州地方でも発覚した。福井県立図書館では九十三冊七百八十六ページと被害が大きかった。
主に生徒の集合写真や学校行事の様子を撮影した写真が狙われたのが特徴。刃物でページごと切り取られたり、一部が破られたりしていた。多くの図書館では貸し出しをせず、館内だけで閲覧する決まりだった。
岐阜県図書館の司書渡辺基尚(もとひさ)さんは「写真に載っている人は『気味が悪い』と感じるだろう。寄贈者にも申し訳ない」と憤る。器物損壊容疑で警察に被害届を出した図書館もある。

▽罪悪感なし
今回の事件の背景は何か。関西福祉科学大の相谷登教授(犯罪心理学)は「学校生活に良い思い出がなく、学校に恨みを持つ人は多くいる」と指摘。被害を報道で知った複数の模倣犯が出ている可能性を挙げる。学校史は関係者以外が閲覧する機会が少ないとし「罪の意識が生まれにくい。面白がって犯行に及ぶ人が増えたのだろう」とも推測した。
ただ被害時期がはっきりとしないケースが多く、かなり前に切り取られていた疑いもある。

▽バランス
「知る権利」に応える役割を担う図書館は、対策の難しさを口にする。来館の事実やどんな本を読むかの情報はプライバシーに関わり、図書館は利用者の秘密を守るのが原則だ。
六十八冊が傷つけられた愛知県図書館は屋外には防犯カメラを設置しているが、館内にはない。現在は警備員の巡回を増やしたが、ある司書は「カメラでの監視は図書館にはなじまない。防犯と閲覧の自由のバランスをとる必要がある」と話す。
二冊の被害があった富山県立図書館はカメラを一切設置しておらず、今後も設けない方針。被害時期の特定が難しく、被害届も出さなかった。
沢村修副館長は「できるだけ多くの資料を提供するのが公共図書館の使命。監視されていると、市民は気持ちよく利用できない」と指摘。「マナーの啓発など、やれることから始めたい」と、五月十日から貸し出し時の伝票に「図書を大切に」と印字する対応を始めたという。

子「自分は負けず嫌い」 意識調査で親と差 - 東京新聞(2017年5月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201705/CK2017051302000252.html
http://megalodon.jp/2017-0513-2216-55/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201705/CK2017051302000252.html


子どもは大人が思うより頑張り屋? 博報財団こども研究所は小中学生の子ども、保護者、教員の三者を対象に意識調査を実施、70%前後の子どもが「負けず嫌い」「最後まで諦めない」と自己評価したのに対し、保護者や教員による評価は低かったとする結果を公表した。調査は昨年十一〜十二月、小中学校の一学年当たり男女各百人の子ども(計千八百人)と、その保護者千八百人、小中学校の教員千人を対象にインターネットで実施した。
「負けず嫌い」が今の自分に当てはまると答えた子どもは73・1%だったのに対し、保護者の評価は66・6%、教員の評価は49・4%。「最後まで諦めない」も子ども68・4%に対し、保護者54・9%、教員47・7%で、大人の評価は子どもの自己評価より6・5〜23・7ポイント低かった。
逆に「かわいい」は子ども21・2%に対し、保護者82・9%、教員59・0%、「才能がある」は子ども36・3%に対し、保護者69・2%、教員46・1%と、子どもの自己評価より大人の評価が9・8〜61・7ポイントも高い結果となった。
同研究所は「子どもは将来の姿に向けて努力しているとの自己評価だが、大人はもっとできると見て、期待値が高くなっているのでは」と分析している。

教員の時間外上限規制 ネット署名2万人超 - 東京新聞(2017年5月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201705/CK2017051302000142.html
http://megalodon.jp/2017-0513-2217-21/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201705/CK2017051302000142.html

時間外勤務が想定されず残業代が払われない公立学校の教員の勤務制度を改め、時間外労働の上限規制を設けるよう政府に求めるネット署名を始めた研究者らが十二日、文部科学省で記者会見した。署名は同日午後までに二万人以上集まり、樋口修資(のぶもと)・明星大教授は「教員の働き方を問い直さなくては、学びの質は向上できない。学校現場の実態を広く知ってもらい、国民的議論を起こしたい」と呼びかけた。
署名は、教育や労働問題の研究者や元教員、遺族らでつくる「教職員の働き方改革推進プロジェクト」が今月、サイト「change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」で開始。勤務制度の見直しや教員定数の増加、部活動の外部指導員の配置などに取り組むことを求めている。六月中旬までに四万人分を目標とし、国に提出する。
会見には、小学校教員だった妻が勤務中に倒れ、昨年二月に亡くなった石川県白山市の山口俊哉さん(52)も同席し、「労働時間の把握をしっかりしてほしい」と訴えた。
妻聡美さん=当時(51)=は、職員会議中にくも膜下出血で倒れ、二週間後に亡くなった。一年生の担任で、学年主任として若手もサポート。自宅で深夜まで採点などをして、土日もいずれかは出勤していた。
死後に山口さんが勤務実態を調べようとしても記録はなく、パソコンの使用記録などから倒れる前の数カ月、月百時間前後の残業をしていたことが判明。現在、公務災害を申請中だ。
「妻は子どもの基礎をつくる仕事だと取り組んでいたが、家では疲れた様子だった。増える仕事に対応できるよう教員定数も増やしてほしい」と訴えた。

厚生労働省、ブラック企業リストで334社を公表 今後は毎月更新 - HuffPost Japan(2017年5月11日)

http://www.huffingtonpost.jp/2017/05/10/story_n_16547390.html

厚生労働省は5月10日、長時間労働や賃金不払いなど労働関係法令に違反した疑いで送検された企業などの一覧を作成し、公式サイトで公表した。

長時間労働削減推進本部 - 厚生労働省

http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/151106.html

「日本再興戦略」改訂2015(平成27 年6月30 日閣議決定)において、引き続き「働き過ぎ防止のための取組強化」が盛り込まれたほか、平成26 年11 月に施行された「過労死等防止対策推進法」に基づき、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(平成27年7月24日閣議決定)が定められるなど、長時間労働対策の強化は喫緊の課題となっています。こうした状況の中、大臣を本部長とする「長時間労働削減推進本部」を設置し、長時間労働対策について、省を挙げて取り組んでおります。
また、各都道府県労働局には労働局長を本部長とする「働き方改革推進本部」を設置し、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進等の「働き方改革」について、労使団体への協力要請や情報発信等を行っております。
労働基準関係法令違反に係る公表事案 [353KB] 5月10日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/170510-01.pdf
(参考)公表事案のホームページ掲載の基準 [61KB] 5月10日
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/170510-02.pdf