(政界地獄耳)結局半端な9条改正反論 - 日刊スポーツ(2017年5月13日)

http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1822587.html
http://archive.is/2017.05.13-031415/http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1822587.html

★「議論を深めてほしい」「憲法改正の機は熟した」。憲法9条改正を言い出した首相・安倍晋三。それはポスト安倍をもくろむ者への踏み絵でもあった。その筆頭格にいる元幹事長・石破茂は(改正発言に)「びっくりした」「勢いで憲法なんか改正していいはずは全くない」「今まで積み重ねた党内議論の中では、なかった考え方だ。自民党の議論って何だったのか」。石破の首相発言後の憲法問題についての発言だ。石破の語り口は反対論を言わず疑問を呈する手法。なかなか真意が探りにくい。
★加えて11日には「『芦田修正』(憲法制定過程で9条2項に<前項の目的を達するため>との文言を追加し、1項の<国際紛争を解決する手段>ではない戦力を保持できると読ませる)を採ると言えばいい。そうすれば3項に、国家の独立と国際の平和に寄与するため自衛隊を保持すると書ける」と首相に助け舟を出し同調する考えも示す。いつもの石破の分かりにくさだ。
★一方、15年10月。自身が会長を務める派閥「宏池会」の会合で「(安保関連法成立について)9条との関係でどこまで許されるかという議論で結論を出した。当面、憲法9条の改正は考えない。これが私たちの立場だ」としていた外相・岸田文雄は11日、改めて「9条を今すぐ改正することは考えない」と確認した。ただ、首相に弓引く勇気もなく「憲法改正に向けて、いろいろな意見や考え方が示されることは議論の活性化という意味がある」と中途半端な発言に終始した。
★首相はこの2人の振る舞いで立ちはだかる敵にはならないと感じたはずだ。野党が興奮気味に首相を問い詰めても効果はない。与党内に冷静で現実的な憲法議論が生まれることを期待したいが、当面は首相の思惑通りに進みそうだ。(K)※敬称略