慰安婦合意に見直し勧告 日韓政府に国連委「補償不十分」 - 東京新聞(2017年5月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201705/CK2017051302000261.html
http://megalodon.jp/2017-0513-2218-08/www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201705/CK2017051302000261.html

ジュネーブ=共同】国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会は十二日、韓国に対する審査報告書を発表、慰安婦問題を巡る二〇一五年の日韓合意について「被害者への補償や名誉回復、再発防止策が十分とはいえない」と指摘、合意見直しを勧告した。法的拘束力はないが、事実上、日韓両政府に再交渉を促す内容。
韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は日韓合意の「無効化と再交渉」を公約に掲げており、勧告を盾に日本政府に再交渉要求を強めてくる可能性がある。しかし日本側に従う義務はなく、日韓が再交渉に乗り出すのは困難とみられる。
報告書は、元慰安婦には今も生存者がいると指摘した上で、拷問など非人道的な扱いを受けた被害者への救済を定めた拷問禁止条約に基づき、元慰安婦の補償と名誉回復が行われるように求めている。拷問禁止委員会は国際人権法の中でも重要度の高い拷問禁止条約の締結国の審査を定期的に行い、問題点があった場合、是正を勧告できる。
一三年五月の対日審査では慰安婦問題で「政府や公人による事実の否定、元慰安婦を傷つけようとする試みに反論するよう」勧告した。しかし日本政府は同六月に「締約国に従うことを義務付けているものではない」との答弁書閣議決定し、従わなかった。
日韓合意は、日韓両国が一五年十二月二十八日、旧日本軍による慰安婦問題に関し「最終的かつ不可逆的な解決」を確認し、日本が軍の関与と政府責任を認め、元慰安婦を支援する韓国の財団に十億円を拠出した。安倍晋三首相は十一日の文氏との電話会談で合意履行を求めたが、文氏は「国民の大多数が情緒的に受け入れられないのが現実だ」とした。

◆国連拷問禁止委の勧告ポイント
▽元慰安婦だった被害者への補償や名誉回復、真相解明や再発防止策が十分ではない。
▽日韓合意は見直すべきだ。
▽拷問など非人道的扱いを受けた被害者への救済を定めた拷問禁止条約の条項に基づき、元慰安婦の生存者に補償と名誉回復が行われるべきだ。 (共同)