【政界地獄耳】自民も立民も財務省支配に変わりはない - 日刊スポーツ(2023年11月11日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202311110000067.html

★あれだけ財務省の言いなりに事を進めてきた首相・岸田文雄が最後は減税方針すら揺さぶられ、解散封じに追い込まれた。8日の衆院財務金融委員会財務相鈴木俊一に税収増は「政策的経費や国債の償還に既に充てられてきた」ので原資はないとし、自民党税調会長・宮沢洋一も「『還元』といっても税収は全部使ったうえで国債を発行している。それは還元ではない」と、はしごを外した。無論、財務省は岸田降ろしの責任を取るわけでもなく、どこかで岸田を浮揚させるプランを出して岸田延命には手を貸すだろうが、当面の財務省のメンツは保てた。

★一方、立憲民主党は21年衆院選と22年参院選で「5%への時限的な消費減税」を中長期的な経済政策に掲げていたが、10日発表の最新版から消費税減税が消えた。これには理由がある。1つは連合会長・芳野友子からの「このままでは、職場に支援のお願いをしていくことは非常に難しい」「共産党から支援を受けた候補者は推薦できない」との攻勢だ。これが国民民主党幹事長・榛葉賀津也の9月8日の会見のように「お世話になっている連合さんといえども党運営や考え方について『ああしろ、こうしろ』という問題ではない。党の方向性を決めるのは我々です」「駆け引きをしながら、どう政策立案していくか。政治は“生き物”だ。特定の政党を引っ張るために国民民主党は政治をやっていない。“政治ゲーム”じゃなく本気で政治をやる。これからも真っ向から向き合って、その都度、仲間と相談して結論を出していく」と言えれば立派だが、立憲代表・泉健太は「十分に理解し、党内でも認識を共有する」と反発なく受け入れる。

★つまりこの消費税減税を政策から外せば共産党との連携にひびが入ることを念頭に、立憲内の元首相・野田佳彦国対委員長安住淳ら政権時の財務相経験者ら財務省派が外させたのかもしれない。自民も立憲も財務省支配に変わりはない。(K)※敬称略