【政界地獄耳】岸田批判だけでは「先」見通せない 国民の小さき声聴く政治家探すのが難しい

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★国会での首相・岸田文雄の答弁を見ていると国民のため息が聞こえてきそうだが、メディアは独自の世論調査を示し、政権の支持率が6カ月連続の下落だとか、政権発足後最低を記録などと追い込みをかけている。だが野党の質問もそれはそれでもっともだし、自民党からの不安もよくわかる。国民は今すぐ岸田政権を変えて欲しいのか。メディアは調査結果を示してあおるだけでいいのだろうか。確かに首相は自民党内からの提言や野党からの提案にもさして興味を示さず、財務省の振り付け通りに答弁しているに過ぎない。その先の処方なきまま、つぶせるところまでつぶせばいいで果たしていいのだろうか。

★1つには自民党内にいつでも首相の代わりが務まるという人材がいないこと。例えば消費減税など、なかなか普通の政治家なら霞が関の抵抗や党内のベテラン議員の苦言を聞き流し、「国民のために必要」と言い切れるポスト岸田はいるのだろうか。野党も過激な処方を提案するが、やり切る知恵や胆力、そもそも選挙で与党になる力はあるのだろうか。野党第1党である立憲民主党はいつあってもおかしくない総選挙ですべての選挙区に候補者すら立てていない。立てられないのかもしれない。過半数を擁立するのがやっとでは政権は取れないし、その程度では国民の負託には応えられない。次期総選挙で野党第1党を狙う日本維新の会は改革が売り物だが、自分の都合のいい改革には積極的だが、国民の求めるものに応えられるのか。まだそこまでこの国の未来を見据えられているとは思えない。

★政治の常識やセオリーになじまずとも、国民の視点を持ち合わせ国民の小さき声を聴く政治家自体を探すのが難しく、小ざかしい政治家を排除するのに精いっぱいの昨今、岸田批判だけでは先は見通せない。転職する時に次の職場を決めてから辞めたいじゃない。日本は今、この段階にいるのではないか。本来はすべての政党、すべての政治家にチャンスがあるはずだ。(K)※敬称略