【政界地獄耳】低姿勢の岸田首相VS行儀いい新生立憲民主党 - 日刊スポーツ(2021年12月15日)

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★13日から国会では衆院予算委員会がスタートしたが、首相・岸田文雄は聞く力を発揮して野党にも低姿勢。一方、泉健太率いる新生立憲民主党は岸田の敵失に乗じて厳しい質問をぶつけるものの、双方上品な委員会審議が続く。13日には政調会長小川淳也が質問に立ち、10万円相当給付で一括現金給付を容認した岸田に対して「なぜクーポンにこだわったのか。(来夏の)参院選対策という見方もある」と切り込む。

★また雇用調整助成金を自らの政治団体が受給していた自民党元幹事長・石原伸晃内閣官房参与に起用した理由や同様の事例といえる環境副大臣・大岡敏孝にも辞任する気はないかと詰め寄った。党代表代行・江田憲司も給付よりも「減税のほうが迅速だ」と指摘したが首相は「さまざまな関係者の意見、国会での議論を踏まえ、より柔軟な制度づくりを検討してきた」と野党にも配慮したような口ぶりで対決を避けた。また石原の起用と辞任についても「混乱は否めない。申し訳ない」とこの10年間の首相のような「絶対に謝らない」「絶対引かない」の姿勢はない。

★14日には同党代表代行・逢坂誠二が国会議員の月100万円の文書通信交通滞在費(文通費)について「1日しか仕事をしていないのに満額支給されるのは、国民の感覚からして疑問に思うのは当然だ」という答弁を引き出した。「毒にも薬にもならない質問と安全運転で乗り切られるかどうかはまだ未知数」(野党中堅議員)。行儀のいい立憲だが、国民民主系の泉と役員室長・後藤祐一が党内を仕切り始めた。役員の半数を女性にすると豪語した女性も大半は代表選の泉選対のメンバーで泉色が強まり、着々と立憲の国民民主化が進む。「最近では立憲プロパーの党職員が外され、国民系の職員が要職に就き始めた」。党名は変わらない第2国民民主党が生まれつつある。(K)※敬称略