【政界地獄耳】自民党ににじり寄る連合と立憲民主党 - 日刊スポーツ(2022年12月3日)

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★1日、「連合」は千葉県内で中央委員会を開き、定期昇給分の2%を含めて5%程度の賃上げを目標に据え、23年春闘の方針を正式に決定した。その直前の11月29日、連合会長・芳野友子は自民党の「社会人のリスキリング(学び直し)を支援する議員連盟」の会合に出席。ご機嫌で講演をしたという。首相補佐官で議連事務局長・村井英樹によれば、議連から芳野に講演要請をしたという。また2日には連合事務局長・清水秀行が自民党本部で連合との定期政策懇談会を行い、党政調会長萩生田光一は「岸田内閣は限りなく連合と同じ方向を向いているのではないか」とし、来年度予算についても「経済再生の実現に向けてめりはりのあるものにしたい」とリップサービスに努めた。

★背景には防衛費増強の増税に関して、連合を軸に補正予算にも賛成していて、既に手なずけてある国民民主党だけでなく、立憲民主党を巻き込んでおきたいという思惑があるのだろう。既に財界・経団連とがっちり手を握る自民党にとって連合を経団連の下請け化することに違和感はないだろう。一方、自民党国対委員長で選対委員長・森山裕を窓口に立憲民主党国対委員長安住淳と仰天の連立政権入りを画策する動きがある。安住は民主党政権時代に防衛副大臣財務相を歴任。防衛費増強と増税に理解があるとみられ、立憲民主党前代表・枝野幸男が10月28日、唐突に「去年、総選挙で私が後悔しているのは時限的とはいえ消費税減税を言ったことです。政治的に間違いだったと強く反省しています」と言い出したことだ。

★「これがシグナルとして自民党に受け止められたのだろう。財務相経験者の元首相・野田佳彦、元外相の幹事長・岡田克也も了解しているのではないか」(政界関係者)との見方もあるが、国民の支持が低い連合や野党が自民党ににじり寄っているとみられても、現状よりはいいとみる野党の体たらくにつけ込まれたといえる。(K)※敬称略