<ぎろんの森>女性候補増やすための一案 - 東京新聞(2023年4月15日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/244273

統一地方選の真っただ中です。九日投開票の前半戦では筆者も期日前投票に出掛けました。投票を呼び掛けている手前、棄権では言行不一致になってしまいます。読者の皆さんは投票しましたか?

言うまでもなく人口の約半分は女性ですが、議員は依然少ないのが実態です。

四十一道府県議選では過去最多の三百十六人が当選したものの、全体に占める割合は14%にとどまります。候補者は15・6%で、政府が目標とする35%をも下回ります。
 二〇一八年には政党に対して候補者をできる限り男女同数にするよう促す法律が施行されたにもかかわらず、政党が女性候補擁立に後ろ向きとは…。法律軽視と批判されても仕方がありません。

では、どうすれば女性の候補者を増やせるか。筆者はかつて東京新聞紙上で国民一人当たり二百五十円、年間約三百二十億円の政党交付金助成金)を活用してはどうかと提案したことがあります。

候補者の男女比率が同じ政党には助成金を満額支給し、男女の数が異なれば、その比率に応じて減額する仕組みです。同様の方法はフランスなどで採用されています。

筆者個人は政党助成制度に反対です。政治活動は国家から自由であるべきで、活動資金を国家から受け取ることに抵抗感があるからです。

しかし、共産党を除き、助成金はすでに政党の政治資金に深く組み込まれ、見直し機運に乏しいのが実態です。

ならば、政治分野での男女格差是正という大きな目標のために、本来廃止すべき政党助成金を一時的に活用することも、過渡的措置としてやむを得ないという理由です。

政治は一部の勢力でなく、多様な人材が担うのが当然です。主権者の意思を代表する議員の数が、人口の構成比を正確に反映していないことがそもそもおかしいのです。

政党助成金の活用は議論のきっかけにすぎません。女性に限らずどうすれば多様な人材が政治分野に参加できるのか。読者の皆さんとともに考え続けます。 (と)