https://mainichi.jp/articles/20200308/ddm/005/070/042000c
http://archive.today/2020.03.08-001818/https://mainichi.jp/articles/20200308/ddm/005/070/042000c
きょうは国連の「国際女性デー」だ。女性の権利を守り、社会参加のための環境を整える機会である。
日本の現状は、世界から取り残されている。世界経済フォーラムの男女平等度ランキングでは、153カ国中121位と過去最低だった。
女性議員の比率は衆院10%、参院23%、地方14%にとどまる。管理職に就く人も15%に過ぎず、どれも国際水準から後れを取っている。
今年は「指導的地位に占める女性の割合を30%程度に」という政府目標の達成年だが、遠く届かない。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う一斉休校によって、共働き家庭では母親にしわ寄せが及んでいる。「女性は家を守るもの」との性別役割意識が根強い表れではないか。
男女平等が叫ばれて久しい。それを理念とする法律もつくられたが、状況は変わらない。実効性を持つ仕組みを設けていく必要がある。
まずは政治分野からである。国民の半数を占める女性の民意を反映させるために、政治家の半数は女性であることが自然だ。それが、社会の変化を促すことにつながる。
2年前に議員候補者の男女均等を目指す法律ができたものの、昨年の参院選で与党の女性候補者は、自民党が15%、公明党が8%だった。
政党が自主的に取り組まないのならば、強制力のある制度を設けるしかない。女性候補者の割合を義務づけるクオータ制や、割合に応じた政党助成金の配分といった諸外国の制度導入を本格的に議論すべきだ。
企業の取り組みも欠かせない。女性の登用が生産性や利益の向上につながるのは、世界の常識になっている。後押しするため、行政の施策も強化しなければならない。
働く女性の半数超が非正規雇用である。男性との給与格差も大きい。出産や育児で仕事を離れても、それまでの地位や経験が途絶えずに復帰できる仕組みを、企業は考えてほしい。男性の育休取得も不可欠だ。
性被害告発の#MeToo運動に続いて、パンプスの強制に反対する#KuToo運動が広がり、理不尽さや差別に女性が声を上げている。
こうした動きを重く受け止める必要がある。社会で女性より優遇されてきた実情を直視し、自らの問題として男性も考えなければならない。