東京の参院選 新たな息吹首都圏から - 東京新聞(2019年7月23日)

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参院選の東京選挙区(改選数六)で初めて女性が三人当選し「男女均等」が実現した。また三十代が男女一人ずつ議席を獲得。政治が遠いと感じている女性や若者の声を首都圏から届けてほしい。
立候補者数をできる限り男女均等とするよう政党に求める法律が成立してから初めての大型国政選挙だが、候補者に占める女性の比率は三割を切っていた。男女合わせた年代別で三十代は一割台にとどまった。いずれも政治全体の中では多数派とは言えない。
しかし、さまざまな背景を持つ政治家が多様な声を拾い上げることで、政治の足腰は強まるはずだ。東京選挙区から、その一歩が始まることを期待する。
各候補者は、非正規雇用問題の改善や、大学の学費値下げ、待機児童問題の解消などを有権者に訴えた。インターネットでの動画配信など、現代風の選挙スタイルで支持を広げた候補者もいる。
仕事はあっても、家賃など生活にお金がかかる東京では、貧困問題なども先鋭化した形で現れる。選挙期間中、政策課題に関連した現場を巡った本紙のルポには、月三万円で都内の貸倉庫に住む非正規雇用の労働者も登場した(七月十八日朝刊)。「どうやってこの生活から抜け出せばいいのか」という叫びは重い。
新議員たちには、そんな足元の現実を発掘し、弱者が取り残されない政策へとつなげていくことを期待する。今後の活動についても、インターネットなども使って新たな伝え方を編み出せば、政治との距離を縮めることも可能なのではないか。低下傾向が続く投票率の歯止めにも効果があるかもしれない。
選挙権が十八歳に引き下げられたこともあって、自民も含め多くの政党が、立候補できる年齢(被選挙権)の引き下げを参院選の公約で掲げた。現在の制度では、参議院は三十歳以上となっている。若い世代が存在感を示すことで、議論の活性化につながるのではないか。
政治団体「れいわ新選組」は、重度の身体障害がある二人が比例代表議席を獲得した。国会は施設面の見直しが必要となるだろうし、質問時間や採決方法などソフト面でも各党が知恵を絞る必要がある。
一年後には東京五輪パラリンピックも控えている。国会も、東京都千代田区にある働く場所の一つとして、バリアフリーの環境整備に率先して取り組む好機だ。