【政界地獄耳】岸田が防衛3文書改訂決めた重みとは - 日刊スポーツ(2023年1月17日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202301170000055.html

★11日に開かれた日米の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を読売新聞は「オースティン国防長官は、沖縄に駐留している米海兵隊を改編し、より離島防衛に重きを置いた『海兵沿岸連隊』を25年までに創設する方針を示した」と両国が前のめりのような書きようだが、他紙もおおむね米国に引きずられたというより、日本サイドの積極性をベースに出稿している。

★同日のロイター電は長官が会見で「(台湾)海峡で航空活動の増加が見られる。台湾周辺でも水上艦の活動増加が見られる」としたものの「ただ、それが侵攻が差し迫っていることを意味するかどうかについてかなり疑問視している」と台湾海峡周辺における中国による軍事活動の活発化が台湾への差し迫った侵攻の兆候との見方にはかなり疑問があるとの考えを示したと書いている。一方、首相・岸田文雄は13日、米バイデン大統領から「日米、インド太平洋地域、そして世界の平和や安全、繁栄に向け、膝を交えて話すことができたことをうれしく思う」「岸田首相は米国の確固たる協力者であり友人だ」とツイッターで褒めちぎられ、笑顔のツーショット写真付きで投稿された。だが、その裏では山口県の沖合で自力航行ができなくなった海上自衛隊護衛艦「いなづま」が曳航(えいこう)されるという事態もある。体裁は整えたかもしれないが、どこまで実態が伴っているかは国民の方がよくわかっているのではないか。

★そもそも日米首脳会談は米国ではさしたるニュースではなく、多くがバイデン大統領が副大統領時代に扱った機密文書が私邸や個人事務所で発見されている。今度は私邸のガレージからも5枚見つかった。共和党も当然色めき立つだろう。米国ではそれは違法行為に当たり、トランプ前大統領も同様の事態が発覚している。彼らが世界の平和や安全保障を語っているのだ。片や日本では首相が閣議で防衛3文書改訂を決めただけでこの騒ぎだ。どうかしてはいまいか。(K)※敬称略