【政治地獄耳】対話絶やさず柔軟性ある米中に比べ日本は硬直化 - 日刊スポーツ(2023年11月17日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202311170000091.html

★15日(日本時間16日)、サンフランシスコ近郊で米中首脳会談が開かれた。昨年11月にインドネシアで行われて以来1年ぶり。両国軍部同士の対話は昨夏のペロシ下院議長(当時)台湾訪問を契機に途絶えている。再開のメドを立てるのも今回の会談の目的となった。さて会談は米バイデン大統領が「首脳同士が誤解せず理解し合うことが最重要だ」「競争が紛争に向かわないようにする必要がある」と言えば、中国・習近平(シー・チンピン)も「米中は世界最重要の2国間関係」「大国が背を向け合うことは選択肢ではない」「紛争や対立は両国に耐えられない結果をもたらす」と述べたという。

★その通りだろう。米国はウクライナ支援疲れが色濃く、イスラエルに加担してきたツケが重くのしかかる。そのうえ台湾海峡の不安は負担にしかならない。一方、中国もロシアや北朝鮮ならず者国家同盟の一翼に数えられるのは心外。本来はロシアに代わる欧米と渡り合う超大国のひとつに数えられるべきとの考えが強いはずだ。中国国営新華社通信は「中米関係の中で最も重要で敏感な問題だ」と台湾問題を位置付けた上で、「米側は『台湾独立』を支持しない態度を具体的な行動で示し、台湾を武装させるのをやめ、中国の平和統一を支持すべき」と米議会要人の台湾訪問や台湾への武器供与などを強くけん制した。

★延べ4時間にわたる会談で両国軍部の対話再開に合意。「中国の新たな国防相が決まり次第、米オースティン国防長官と会談する」とまとまった。米中は対話を絶やすことがない。時間もかける。そして柔軟性がある。一方、今年6月の日米首脳会談で首相・岸田文雄はロシアのウクライナ侵攻を念頭に「18万5000人の軍隊が他国を侵略している。次はなぜ台湾ではないのか」と話したとバイデンに暴露された。そのために5年間の防衛費、総額、約43兆円も確保した。こちらは硬直化しているといわざるを得ない。(K)※敬称略