【政界地獄耳】モンゴル友好と台湾海峡の波と - 日刊スポーツ(2022年12月2日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202212020000400.html

★11月29日、首相・岸田文雄は19時20分から21時7分、モンゴルのフレルスフ大統領を迎え、栄誉礼、共同会見、夕食会と日本政府は日本とモンゴルの外交交流が始まって50周年となる今年、最大限の歓迎の意を表した。今年8月には日本モンゴル友好議員連盟がモンゴルを訪問、年明けにはモンゴルの議会一行が訪日することも決まっている。首相は首脳会談で日本モンゴルとの関係を戦略的パートナーシップに格上げを表明。そこにはロシアと中国に国境を挟まれながら、うまく立ち回るバルカン政治を見習いたいという思いがあるのか、それとも近隣国で唯一、付き合える国とみるべきか。相撲の力士を日本へ送り込むモンゴルをどう見るべきか。

★なぜならばロシア、中国、北朝鮮と周辺国のほとんどが仮想敵国化している我が国の最短の近隣友好国がモンゴルだからに他ならない。ただ日本が仮想敵を作る根拠は希薄だ。台湾海峡の波が高鳴ることを心配しているのか、あてにしているのかわからない「心配派」は21年3月に米上院公聴会でデービッドソン米インド太平洋軍司令官(当時)が「中国による台湾回収は6年以内」と証言して以来、政府・自民党もその一言に飛びつくように、錦の御旗を掲げ巡航ミサイル装備、敵基地攻撃能力、最近では沖縄にシェルター建設まで盛り込む戦時体制へ移行、つい最近もNHKが元国務副長官・リチャード・アーミテージにインタビューし危機をあおった。台湾有事心配派の理屈は27年が中国人民解放軍の創建100周年で「艦艇の規模で中国が米国より優位にたつタイミング」だからだという。

★ところが米軍に近い米シンクタンクランド研究所」上級防衛分析官によれば11月14日の米中会談後、バイデンは「中国側には台湾に侵攻しようといういかなる差し迫った企図もないと、私は思う」と述べたという。そうなると戦費のための増税ではなく、増税のために台湾海峡が利用された可能性が出てきたといえる。(K)※敬称略