https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/433319
http://web.archive.org/web/20190616005156/https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/433319
地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を巡り、配備候補地の一つ、秋田県が揺れている。陸上自衛隊新屋(あらや)演習場(秋田市)を「適地」とした防衛省の調査結果に誤りがあったからだ
▼配備代替地を検討した計19カ所中、9カ所でミサイルを追尾するレーダーを遮断する山が周囲にあると「不適」にした。が、山を見上げた角度の「仰角」が実際より高く記載されていた
▼同省は米グーグルの衛星写真を利用したサービスを地図データとして使用。高さと距離の縮尺が異なることに気付かずに定規で測り仰角を計算、ずさんな結果となった
▼地元紙「秋田魁新報」が報じ、同省も認めた。さらに住民説明会では東北防衛局の職員が居眠りをし、住民から怒号が飛んだ。配備に対し住民らはレーダーなどによる健康への不安を強めている。同演習場近くには住宅地や学校がある
▼政府は山口県の陸自むつみ演習場(同県萩市、阿武町)と合わせ、イージス・アショアを2基導入する計画。取得費に30年間の維持費を加えると約4500億円と巨額だ。自国製品の購入を呼びかける米政権には朗報だろう
▼地元の不信感が強まる中、政府は「説明を尽くす」として配備計画は維持する。最低限の地元の合意がなければ、ほころびが生まれる。この政権の強権体質が浮かび上がってくる。(内間健)