壁建設 法廷闘争激化か トランプ氏の「非常事態」違憲提訴 - 東京新聞(2019年2月20日)

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【ワシントン=後藤孝好】トランプ米大統領がメキシコ国境の壁建設費を確保するために国家非常事態を宣言したのは憲法違反だとして、西部カリフォルニア州や東部ニューヨーク州など十六州は十八日、執行の差し止めを求める訴えをカリフォルニア州の連邦地裁に起こした。市民団体や壁建設予定地の地主らに続いて州当局が提訴したことで、壁建設を巡る法廷闘争はさらに激化しそうだ。
訴えによると、メキシコ国境から流入する不法移民は減少傾向で、国家非常事態ではないと指摘。また、予算を編成、提出する権限は議会にあり、大統領が壁建設費に予算を転用するのは、憲法で定められた立法権を侵害するとしている。
カリフォルニア州のニューソム知事(民主党)は声明で「トランプ氏が危機を作り、でっち上げの非常事態を宣言し、憲法を踏みにじっている」と批判した。
十六州のうち十五州は野党民主党の知事で、与党共和党の知事は東部メリーランド州だけだ。首都ワシントンに隣接する同州はリベラルな住民が多く、知事はトランプ氏に一定の距離を置いている。
共和、民主両党が合意した予算に計上されたのはフェンス建設費十三億七千五百万ドル。それに加え、トランプ氏は国家非常事態宣言で、国防総省の施設工事費三十六億ドルや薬物対策費二十五億ドル、財務省の薬物関連基金六億ドルを壁建設に振り向けて計約八十一億ドル(約八千九百億円)を確保する方針。
トランプ氏はこれまで、下級審では差し止めを命じられたとしても「最高裁で勝つ」と発言。イスラム諸国などからの入国を制限する大統領令は下級審で一時的に差し止められたが、最終的に最高裁で許容されたとして、今回の法廷闘争にも自信を見せている。