(政界地獄耳)安倍とプーチン本当の関係 - 日刊スポーツ(2018年12月22日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201812220000180.html
http://archive.today/2018.12.22-065400/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201812220000180.html

★信頼関係があると言い続けた首相・安倍晋三とロシアのプーチン大統領。二十数回会談しても実は本質的な議論はなかったことがロシア政府から暴露されているが、その間、経済協力だけは幾重にも引き出され、都合のいいATMだったことだけが日露の歴史に残ったといっていい。ロシア外交のしたたかさは欧州では知られつくしているものの、ロシアに世界中が経済制裁をしている最中にも北方領土のことがあるからと強硬な制裁に参加しなかった判断も今となっては失敗といわざるを得ない。

★秋以降、官邸は隠密裏にロシアとの領土問題の調整に励んできた。しかし、不調というより戦後掲げてきた四島返還すら諦め、2島返還に国民を無視して勝手にかじを切ったものの進展すらしていない。逆に国内で四島返還を諦めた説明などはおこなわず、外相・河野太郎に至っては北方領土はわが国固有の領土という言葉さえ口にしなくなった。国益というならばこれほど国益に反した政権もない。それでいて米国依存度は高く、兵器の法外な物量と金額は二つ返事で受け入れ、沖縄辺野古での新米軍基地建設には地元の反対を押し切り強引に進める。このちぐはぐな政策をプーチンに見透かされた。

20日、年末恒例の大規模記者会見でプーチンは日本と在日米軍の関係について「平和条約を結んだ後にどうなるのかは分からないが、この問題を抜きにして最終的な決定を下すことは非常に難しい」とし、北朝鮮からのミサイル攻撃を想定し日本が配備予定の陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」にも懸念を表明した。また辺野古への土砂投入が始まったことについて「日本の主権のレベルを疑ってしまう」と発言。つまり米国の不沈空母扱いに喜々とする日本外交を哂(わら)ったのだ。これが我が国の首相とプーチンとの関係だ。(K)※敬称略