(政界地獄耳)「お祝い」できない最長政権の中身 - 日刊スポーツ(2019年11月19日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201911190000037.html
http://archive.today/2019.11.19-002246/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201911190000037.html

20日、首相・安倍晋三の首相在任期間が桂太郎の通算2886日を抜き、1885年(明18)の内閣制度発足以来、歴代最長となる。一時期は安定政権、安倍一強といわれた安倍政権だが、今は桜を見る会の私物化や公選法政治資金規正法に抵触しかねず、首相の説明も矛盾点が多くグラグラだ。政界良識者たちはほかにやるべきことがあるとこの問題を一蹴するが国民との信頼関係が築けない首相が長くその座に就くことは国民にとっては喜ばしいことではない。

★既に政府は本年度の税収について当初予算で見込んでいた62兆4950億円を大幅に下方修正、税収は1兆円を超す減収が見込まれている。もうアベノミクスが成功したという酔狂を言う者もいなくなり、首相自身もアベノミクスのしずくなどと言わなくなった。一方、お得意の俯瞰(ふかん)する外交だが結局、韓国、北朝鮮、ロシアなど周辺国との関係は良好とはいえず、中国との関係も最近になって光明が差したといえる。

★ことに北朝鮮とはミサイルの脅威をあおる一方、謎の飛翔(ひしょう)体に変化するなど首相の掛け声は立派だが腰が据わらず、最後は「北朝鮮とは条件を付けずに向き合わなければならない」というものの対話の糸口すら見いだせずにいる。韓国とは民間外交が頼りで、政府間の冷戦状態はしばらく続くだろう。極め付きはロシアだ。北方領土返還でレガシーを残そうとしたものの、20回以上ロシアのプーチン大統領と会談したものの、揚げ句の果てに「北方領土は我が国の固有の領土」と言えなくなり、最近は「北方領土」も「北方四島」と言い換えるようになり歴代政権でこの問題を一番後退させた首相となった。日米関係は記すまでもない。これが最長政権の中身となれば、お祝いムードになるはずもない。(K)※敬称略