対馬丸慰霊祭、広島で 広島経大岡本ゼミが開催 事件から74年、船舶砲兵と共に悼む - 琉球新報(2018年8月22日)

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太平洋戦争中に、沖縄から学童や一般疎開者ら1788人を乗せた疎開船「対馬丸」が米潜水艦の魚雷攻撃を受け、撃沈された事件から22日で74年となる。長年、沖縄戦の研究を続けている広島経済大学の岡本貞雄教授のゼミ生らは22日、広島市南区の比治山陸軍墓地に立つ船舶砲兵部隊慰霊碑前で、対馬丸乗船遭難学童の慰霊祭を開催する。凄惨(せいさん)な戦争の記憶を後世へ伝える。沖縄では1953年から慰霊祭が続くが、広島県での開催は初めて。
輸送船の護衛部隊である船舶砲兵隊は、広島市に拠点を置く陸軍船舶司令部の所属で、対馬丸にも41人が乗船した。対馬丸記念館那覇市)によると、氏名が判明しているだけでも21人が犠牲となった。
今回、初の対馬丸慰霊祭が開催される船舶砲兵隊慰霊碑の刻銘版には、多くの子どもたちの命を守り切れなかった砲兵隊の懺悔(ざんげ)を刻むように「対馬丸乗船 沖縄疎開学童」と添えられている。岡本教授によると、刻銘は「志半ばで散った子どもたちをせめて供養したい」と願った、元砲兵の故・吉田董夫さんの熱心な働き掛けで実現した。
慰霊祭を前に20日、慰霊碑を清掃した岡本ゼミ生の岡峰尚希さん(21)は「慰霊祭が一人でも多くの人に、戦争と平和について考えるきっかけになってほしい」と話した。
子どもたちにも理解を深めてもらおうと、慰霊祭には沖縄戦遺族による紙芝居や呉海洋少年団による手旗信号も盛り込んだ。岡本教授は「二度と戦争が起こらない世界をつくるためにも、次世代を担う子どもたちにこそ戦争の歴史と平和の尊さを伝えたい」と力を込めた。 (当銘千絵)