(政界地獄耳)やられ放題 安倍こそネズミ1匹 - 日刊スポーツ(2016年12月19日)

http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1753834.html
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都知事小池百合子の定例会見では、五輪開催会場を巡るやり取りで、記者に「大山鳴動(たいざんめいどう)、ネズミ1匹ではないか」と問われた小池が色を成したことがあったが、くだんの記者に言いたい。「大山鳴動−」はそこで使うのではなく、日ロ首脳会談で首相・安倍晋三に聞くべきことだ。北方領土のうち歯舞、色丹2島の平和条約締結後の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言について「主権を返すとは書いていない」とロシア・プーチン大統領が発言した段階で全く両国はかみ合っていなかった。
★そりが合わない米・オバマ大統領を尻目に15回以上会談を重ねてきたプーチンが相手。「私の故郷に招いて話し合う」と親密さをアピールしてトップ会談でグリップできると考えたのなら安倍の外交音痴ぶりはかなり深刻だ。欧州を向こうに回し、領土返還を餌に3000億円を日本から引っ張り、シリア情勢では日本がロシアに同調したかに見せるなど、やられ放題。当然ながらロシアでは「外交勝利」の紙面が躍る。7日、米英仏独伊とカナダの6カ国首脳、つまり日本を除くG7の各国は、シリア北部のアレッポ情勢について、人道支援のために即時停戦を求めるとともに、外交努力により平和的な解決を望むとする共同声明を発表した。日ロ首脳会談に浮かれ、G7伊勢志摩サミットで経済制裁に踏み込んだ議長国・日本に声をかける義理もなくなった。
★「国民の大半がガッカリしているということを、われわれは心に刻む必要がある。時間を区切った交渉のはずだ。経済問題も大事だが、人間は経済だけで生きているわけではない。もう少し、真摯(しんし)に向き合ってもらいたい」とは自民党幹事長・二階俊博の感想だが、世界の信用も失ったつけは計り知れない。(K)※敬称略