一人一人と向き合う 横浜刑務所の上席統括矯正処遇官 関口 岳彦さん(38歳):神奈川 - 東京新聞(2015年6月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20150622/CK2015062202000140.html
http://megalodon.jp/2015-0622-2133-10/www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20150622/CK2015062202000140.html

■友人の非行直面
「高校生のころ、友人が次第に学校に来なくなり、見た目も派手になっていった。どうしてなのかなと思っていた」。父が家庭裁判所の調査官だったこともあり、なぜ非行に走るのか興味があって、大学で心理学を専攻した。学んだことを生かせる職業に就こうと法務教官の採用試験を受け、二〇〇〇年から新潟少年学院に勤めた。
転機となったのは、監獄法が改正され、〇六年に制定された受刑者処遇法。これにより、受刑者の改善指導が義務づけられた。同年から川越少年刑務所(埼玉県)で勤務していた関口さんは、性犯罪再犯防止プログラムの実施に向けた専従班の一人に。カナダで開発されたプログラムを基に、全国で初めて行った。
少人数グループで話し合い、どのような状況で事件を繰り返してきたかを探る。「問題行動には、必ず原因やきっかけがある」。例えば、飲酒して外出したときに起こすことが多いなら、酒を飲まないようにしたり、飲酒後に外出するときは誰かに付き添ってもらったりするなど、生活に合わせた対策を一人一人考えてもらう。
■再犯防止に尽力
その後も黒羽刑務所(栃木県)や府中刑務所(東京都)に勤務し、性犯罪再犯防止プログラムを展開。性犯罪以外にも取り組もうと、薬物使用や暴力行為防止プログラムなど、さまざまなプログラムがある横浜刑務所で昨年から勤務している。
横浜刑務所には刑期が十年以上の人や、何度も罪を繰り返してきた人が服役している。だからこそ、改善指導が必要だと考えている。「プログラムを受けたからといって、いきなり犯罪をゼロにするのは難しいかもしれません。でも、何か一つでも思い出して、再び罪を犯す前にとどまってくれれば」と期待している。 (猪飼なつみ)