看板政策 兼務多すぎ 「担当相」政権長期化で乱立 - 東京新聞(2018年10月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018100490070627.html
https://megalodon.jp/2018-1004-1043-37/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018100490070627.html


第四次安倍改造内閣が三日、本格始動した。少子高齢化に対応するためとして「全世代型社会保障改革担当相」を新たに設け、すべての世代が安心できる制度づくりを目指すと訴える。安倍政権は「地方創生」「一億総活躍」など次々と看板政策を掲げ、内閣改造で担当閣僚を新設してきた。政権の長期化で「看板政策担当相」の兼務が重なり、それぞれの政策の本気度に疑問符がつきかねないケースもある。 (清水俊介) 沖縄・北方担当相の宮腰光寛氏は三日、三人の前任閣僚から引き継ぎを受けた。宮腰氏は沖縄・北方を含め一億総活躍や領土問題、行革など八つの閣僚を兼ねる。就任当日の二日、記者団に「(首相から)『担当が多岐にわたるので国会も大変だと思うが、頑張ってもらいたい』と話があった。思った以上にたくさんあった」と語った。一億総活躍は二〇一五年九月、首相が打ち出し、直後の内閣改造で初めて担当相を設置。初代の加藤勝信氏は担務が七つ、次の松山政司氏は八つの時期もあった。
地方創生は一四年に掲げた政策で、同年九月の内閣改造時に、石破茂氏が初代担当相となった。石破氏は地方創生も含めて担務は二つだったが、その後の担当者は五つ。今回初入閣の片山さつき氏も地方創生を含め五つを受け持つ。片山氏は三日の記者会見で「地方創生が目立っていないことを首相が気にしていた」と明かした。
幼児教育無償化など人材投資の政策「人づくり革命」は一七年に政権が掲げた。同年八月の内閣改造で、茂木敏充経済再生担当相が担った。
今回の内閣改造で「人づくり革命」は消え、茂木氏は全世代型社会保障改革担当相として、六十五歳を過ぎても働けたり、公的年金の受給開始時期を七十歳超でも選択可能にしたりする制度設計を担う。ただ、茂木氏は日米貿易交渉での日本側の交渉責任者。政権の看板政策を進める余力があるのかとの批判も招きそうだ。

柴山文科相、教育勅語「アレンジし道徳に使える分野も」 - 朝日新聞(2018年10月3日)

https://www.asahi.com/articles/ASLB3571ZLB3UTIL03C.html
http://archive.today/2018.10.03-175307/https://www.asahi.com/articles/ASLB3571ZLB3UTIL03C.html

内閣改造で2日に就任した柴山昌彦文部科学相が会見で教育勅語の認識を問われ、「現代風に解釈され、アレンジした形で、道徳などに使うことができる分野は十分にある」と述べた。教育勅語は戦後、日本国憲法と相いれないとして国会で排除・失効が決議されており、野党からは批判が出ている。

発言のきっかけは、柴山氏が8月、ツイッターに「戦後教育や憲法のあり方がバランスを欠いていたと感じています」と投稿したこと。山口県の島で行方不明になった2歳児を保護した男性を紹介する記事と併せて「自己中心社会にあって、こうした無私の取組みをたたえるべきでないのか」と柴山氏が投稿し、「無私の取り組みをする国民を増やすためにどうしたらいいですか」と質問が寄せられたことへの回答だった。
就任会見で趣旨を聞かれ、柴山氏は「戦前は義務や規律が過度に強調されたことへの反動として自由や権利に重きを置いた教育、個人の自由を最大の価値とする憲法が制定された」とし、「権利とともに、義務や規律も教えていかないといけない」と述べた。
さらに過去の文科相教育勅語を「(中身は)至極まっとう」と評価したことについて問われ、「現代風に解釈され、あるいはアレンジした形で、道徳などに使うことができる分野というのは十分にある。普遍性をもっている部分がみてとれる」と発言。使える部分として「同胞を大切にするとか、国際的な協調を重んじるとか、基本的な記載内容」を挙げた。
明治天皇の名前で1890(明治23)年に発布された教育勅語は、親孝行や友愛などの徳目からなり、滅私奉公を求める戦前の教育の中心とされたが、戦後に国会で失効が決議された。安倍内閣は昨年3月、「勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導」を不適切とした一方で、「憲法教育基本法等に反しない形で教材として用いることまでは否定されることではない」という答弁書閣議決定している。
道徳は小学校で今春から、中学校で来春から「特別の教科」に位置づけられ、評価の対象となっている。学習指導要領では教える項目に「友情、信頼」や「国際理解、国際親善」などが盛り込まれている。(矢島大輔)

関連サイト)
作家、高橋源一郎氏の現代語訳「教育勅語」が話題!! - AERA dot. (2017年4月20日)
https://dot.asahi.com/wa/2017041800076.html

何かと物議を醸している「教育勅語」だが、作家の高橋源一郎さんの現代語訳がいま、SNS上で話題になっている。

今年3月15日、ツイッターのアカウントに掲載した。高橋さんは「方丈記」など古典の現代語訳にも取り組んでいるが、こう綴る。

<いわゆる「現代語訳」を読んでいてもピンとこないことが多い>
<いま話題の「教育勅語」を読んで、やはり同じ感想を持った。なので、一時間ほどかけて訳してみた>

ご本人の承諾を得て高橋源一郎版「現代語全訳」を以下に記す。

高橋源一郎「現代語全訳」

『はい、天皇です。よろしく。ぼくがふだん考えていることをいまから言うのでしっかり聞いてください。もともとこの国は、ぼくたち天皇家の祖先が作ったものなんです。知ってました?とにかく、ぼくたちの祖先は代々、みんな実に立派で素晴らしい徳の持ち主ばかりでしたね。君たち国民は、いま、そのパーフェクトに素晴らしいぼくたち天皇家の臣下であるわけです。
そこのところを忘れてはいけませんよ。その上で言いますけど、きみたち国民は、長い間、臣下としては主君に忠誠を尽くし、子どもとしては親に孝行をしてきたわけです。その点に関しては、一人の例外もなくね。その歴史こそ、この国の根本であり、素晴らしいところなんですよ。そういうわけですから、教育の原理もそこに置かなきゃなりません。
きみたち天皇家の臣下である国民は、それを前提にした上で、父母を敬い、兄弟は仲良くし、夫婦は喧嘩しないこと。
そして、友だちは信じ合い、何をするにも慎み深く、博愛精神を持ち、勉強し、仕事のやり方を習い、そのことによって智能をさらに上の段階に押し上げ、徳と才能をさらに立派なものにし、なにより、公共の利益と社会の為になることを第一に考えるような人間にならなくちゃなりません。もちろんのことだけれど、ぼくが制定した憲法を大切にして、法律をやぶるようなことは絶対しちゃいけません。よろしいですか。
さて、その上で、いったん何かが起こったら、いや、はっきりいうと、戦争が起こったりしたら、勇気を持ち、公のために奉仕してください。
というか、永遠に続くぼくたち天皇家を護るために戦争に行ってください。
それが正義であり「人としての正しい道」なんです。
そのことは、きみたちが、ただ単にぼくの忠実な臣下であることを証明するだけでなく、きみたちの祖先が同じように忠誠を誓っていたことを讃えることにもなるんです。
いままで述べたことはどれも、ぼくたち天皇家の偉大な祖先が残してくれた素晴らしい教訓であり、その子孫であるぼくも臣下であるきみたち国民も、共に守っていかなければならないことであり、あらゆる時代を通じ、世界中のどこに行っても通用する、絶対に間違いの無い「真理」なんです。
そういうわけで、ぼくも、きみたち天皇家の臣下である国民も、そのことを決して忘れず、みんな心を一つにして、そのことを実践していこうじゃありませんか。以上!明治二十三年十月三十日天皇
とまあ、サクっと訳したので、若干間違いあるかもしれませんが、だいたい、いい線いってると思います。自分で読み返して思ったんですが、これ、マジ引くよね……』

そして旧文部省図書局が訳した「全文通釈」は以下の通り。

教育勅語「全文通釈」(文部省図書局による)

『朕(ちん)がおもふに、わが御祖先の方々が国をお肇(はじ)めになったことは極めて広遠であり、徳をお立てになったことは極めて深く厚くあらせられ、又(また)、わが臣民はよく忠にはげみよく孝をつくし、国中のすべての者が皆心を一つにして代々美風をつくりあげて来た。これはわが国柄の精髄であって、教育の基づくところもまた実にこゝにある。汝(なんじ)臣民は、父母に孝行をつくし、兄弟姉妹仲よくし、夫婦互(たがい)に睦(むつ)び合ひ、朋友(ほうゆう)互に信義を以(もっ)て交(まじわ)り、へりくだって気随気儘(きずいきまま)の振舞(ふるまい)をせず、人々に対して慈愛を及(およぼ)すやうにし、学問を修め業務を習って知識才能を養ひ、善良有為の人物となり、進んで公共の利益を広め世のためになる仕事をおこし、常に皇室典範並びに憲法を始め諸々の法令を尊重遵守(じゅんしゅ)し、万一危急の大事が起(おこ)ったならば、大儀に基づいて勇気をふるひ一身を捧げて皇室国家の為(ため)につくせ。かくして神勅のまにまに天地と共に窮(きわま)りなき宝祚(あまつひつぎ)の御栄をたすけ奉れ。かやうにすることは、たゞに朕に対して忠良な臣民であるばかりでなく、それがとりもなほさず、汝らの祖先ののこした美風をはっきりあらはすことになる。

ここに示した道は、実に我が御祖先のおのこしになった御訓であって、皇祖皇宗の子孫たる者及び臣民たる者が共にしたがひ守るべきところである。この道は古今を貫(つら)ぬいて永久に間違がなく、又我が国はもとより外国でとり用ひても正しい道である。朕は汝臣民と一緒にこの道を大切に守って、皆この道を体得実践することを切に望む』(出典=文部省「聖訓ノ述義ニ関スル協議会報告」1940年2月。田中壮一郎監修、教育基本法研究会編著「逐条解説 改正教育基本法」から)

教育勅語」の本質が伝わるのは、いったいどちらでしたか?(本誌・亀井洋志)

週刊朝日オンライン限定記事

改憲なんか許さない! 絵本作家61人、条文添え平和願う一冊 - 東京新聞(2018年10月3日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201810/CK2018100302000270.html
http://web.archive.org/web/20181003092014/http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201810/CK2018100302000270.html

六十一人の絵本作家が平和への思いを込めて描いた絵に、憲法の条文を添えた「戦争なんか大きらい!」が出版された。改造内閣を発足させた安倍晋三首相は、憲法九条への自衛隊の明記を含む改憲案の国会提出に意欲を見せる。絵本作家らは「このタイミングで出版できてよかった。現憲法の条文の重さを感じ取ってほしい」と願う。 (梅野光春)
絵本は見開きの片側に絵を、もう片方に条文を記した。例えば、たるいしまこさんの絵は見開きの右側のページで、おむつ姿の赤ちゃんが戦車や戦闘機を踏みつぶしている。左側のページでは、九条の条文「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」を配置するといった具合だ。
絵は、二〇〇八年結成の「子どもの本・九条の会」(相模原市)の絵本作家六十一人が一五年、平和をテーマに一枚ずつ描いた。「だるまちゃん」シリーズで知られ、五月に九十二歳で亡くなった加古里子かこさとし)さんは、だるまがこぶしを突き上げ、銃を踏み付ける姿を寄せた。
これらの絵は昨年末まで全国約三十カ所で開いた巡回展で披露。「戦争は嫌だという気持ちが伝わりやすい」と好評だった。会が結成十周年を迎えるのを機に、九月に出版した。
絵と憲法を並べる構成は大月書店の岩下結(ゆう)さん(38)が考案。憲法の条文から平和と人権にかかわる部分を抜粋し、親子で読めるよう漢字に振り仮名を付けた。「じっくり読むと『すごいな、いいことを言っている』と気付くはず」と込めた思いを語る。
同会会員で絵本作家のひろかわさえこさん(64)は「九条を変える改憲議論が具体化しても、あきらめるわけにいかない。子ども向けの本を作る私たちには、子どもの将来に責任がある」と言う。
B5変型判、百十二ページ、税別千八百円。本の問い合わせは大月書店=電03(3813)4651=へ。

     ◇

出版を記念した原画展が十月五〜十一日の午前十一時〜午後六時、ブックハウスカフェ(東京都千代田区神田神保町二)で開かれる。入場無料。七日午後三時からは、会場で絵本作家のトークイベントもある(本の代金込みで、参加費三千五百円)。原画展の問い合わせは同店=電03(6261)6177=へ。

戦争なんか大きらい! :絵描きたちのメッセージ

戦争なんか大きらい! :絵描きたちのメッセージ

(Opinion)Toward a Smaller American Footprint on Okinawa - The New York Times(Oct. 1, 2018)

https://nyti.ms/2Ne6acs

The Japanese island’s new governor wants American forces to leave. It’s time for Washington and Tokyo to find a compromise.

日本の新知事は、米軍が離れることを望んでいる。ワシントンと東京が妥協を見つける時です。

For years, Japan has tried to get Okinawans to agree to a big new seaside base for American Marines to replace an old one in a crowded urban area. The national government has tried carrots, like supporting construction of a Disney resort on the island; it has tried sticks, going to court to overrule local resistance to the base; it has thrown its weight behind candidates who favor the new base. But again and again, Okinawans have responded that they don’t want the new base. They believe they’re already carrying far more than their share of the American military.

The message sounded with special clarity when Denny Tamaki was elected governor on Sunday. Like most other elections on the island, this one was at least partly a referendum on the American bases. Mr. Tamaki represented an anti-base coalition; his pro-base opponent was heavily supported by Japan’s governing Liberal Democratic Party. What made the choice especially noteworthy is that Mr. Tamaki, 58, is the son of a Japanese mother and an American Marine father, who left the island before he was born.

The decision before Prime Minister Shinzo Abe now is either to barrel on — getting Japan’s Supreme Court to overrule any legal objections Mr. Tamaki throws in the way of the new base — or to do what should have been done a long time ago: accept that Okinawa does have a legitimate gripe, and search for less onerous ways of sharing the burden of the American security umbrella.

Most Japanese support their alliance with the United States, especially now that China is flexing its muscles in the region. The problem is the hugely disproportionate burden placed on Okinawa, the poorest of Japan’s prefectures. Okinawa was the site of an enormously bloody battle in the closing months of World War II; today it still hosts 33 American installations and half the 50,000 American troops in the country. The concentration of military gear and troops has created noise, pollution, deadly accidents and a history of assaults — most notably the rape of a 12-year-old girl by three servicemen in 1995.

It was after that episode that the United States and Japan agreed to relocate the big Marine air base clogging the center of the city of Ginowan to a less crowded area and to shift some troops to Guam and Hawaii. But nothing has moved. Local resistance has blocked construction of the new base, partly because of the environmental damage that would come from building a runway in the relatively unspoiled Henoko Bay.

The United States military argues that scattering Okinawa’s logistical, air and ground forces to other sites in Japan will degrade their ability to respond quickly in the East China Sea. But the security this brings to Japan and the region cannot come at the expense of an unfair, unwanted and often dangerous burden on Japan’s poorest citizens. Prime Minister Abe and American military commanders should join them with an equal willingness to find equitable solutions.

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児相の対応、専門委「あぜんとした」 結愛ちゃん虐待死 - 朝日新聞(2018年10月4日)

https://www.asahi.com/articles/ASLB34QZRLB3UTFL00F.html
http://archive.today/2018.10.04-013750/https://www.asahi.com/articles/ASLB34QZRLB3UTFL00F.html

東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5)が虐待を受けて死亡したとされる事件について、厚生労働省の専門委員会は3日、検証結果に関する報告書を取りまとめた。児童相談所(児相)が家庭環境の変化などに伴う虐待リスクの高まりに適切に対応できず、関係機関の引き継ぎも不十分だったことなど問題点を列挙。委員長の山縣文治関西大教授は、「適切に対応すれば、亡くなる可能性は低くなったはずだ」と指摘した。
大学教授や医師らによる委員会は、児相や自治体の職員に聞き取りや書面で調査を実施。結愛ちゃんが香川県から東京都に転居した際の都県の引き継ぎのあり方などについて検証した。
報告書によると、香川の児相は、医療機関から結愛ちゃんに虐待を疑うけががあるとの情報提供を受けながら、「(けがの)原因や受傷時期が特定できない」と保護しようとしなかった。一時保護の判断基準となる情報を記入する「アセスメントシート」も作成していなかった。香川から東京への引き継ぎは、対面ではなく電話と資料で行った。その資料も「要点が不明確」でリスク判断には不十分なものだった。
3日に記者会見した山縣委員長は、「当然作るべきアセスメントシートを作っていないことにあぜんとした。今回の事案は危険な要素がいくつもあったのに、その部分が判断に反映されなかった」と語った。職員が的確な対応を取れなかった理由については、「地元での検証に期待したい」と述べるにとどめた。(浜田知宏)

「重いケース、軽く扱わないように」識者指摘
「意識が十分でなかったかもしれない」。厚生労働省の専門委員会の報告書で児童相談所が一時保護などの判断に必要な記録を残していなかったことを指摘され、香川県子ども家庭課の増本一浩課長はそう話した。「人員不足も理由の一つ」とも述べた。

虐待疑い3万7千人、児相通告 上半期過去最多、面前DV増 - 東京新聞(2018年10月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018100401001074.html
https://megalodon.jp/2018-1004-1119-53/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018100401001074.html

今年1〜6月に虐待を受けている疑いがあるとして警察が児童相談所(児相)に通告した18歳未満の子どもは昨年同期より6851人多い3万7113人に上り、上半期として過去最多となったことが4日、警察庁のまとめ(暫定値)で分かった。子どもの前で家族に暴力を振るうといった面前DV(ドメスティックバイオレンス)の伸びが顕著となっている。
命の危険があるなどとして警察が保護した子どもも2127人で高水準。警察庁は「虐待が増えているというより、国民の意識の高まりで情報提供が増えた。エスカレートする前に把握し、通告や摘発ができているのではないか」としている。(共同)

学童保育の待機児童 最多 共働き増加で1万6957人 - 東京新聞(2018年10月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201810/CK2018100402000133.html
https://megalodon.jp/2018-1004-1121-42/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201810/CK2018100402000133.html


共働きやひとり親家庭の小学生が放課後を過ごす放課後児童クラブ(学童保育)を定員オーバーなどで利用できなかった待機児童は、五月一日時点で過去最多の一万六千九百五十七人に上ったことが三日、全国学童保育連絡協議会の調査で分かった。共働き家庭の増加で、保育所と同様に学童保育の需要も高まっており、同協議会は「安心して過ごせる学童保育の整備が急務だ」と訴えている。
学童保育は二〇一五年に始まった新しい子育て支援制度に基づき、国の基準に沿って市区町村が運営している。新制度で四年生以上の高学年も利用できるようになり、各自治体も整備を進めており、利用した児童も昨年より六万三千人増の百二十一万千五百二十二人だった。
しかし、待機児童の数を把握していない自治体もあり、同協議会は「実態はさらに多い」とみている。国も今年九月、二三年度末までに計約三十万人分の受け皿を整備する方針を示している。
一方、保育の質に対する懸念も浮き彫りに。国は児童が子ども同士や指導員との間で信頼関係を築ける規模として、一カ所で預かる適正な児童数を「おおむね四十人以下」と示しているが、四十一人以上の大規模な施設が37%あった。
また、現在は保育士などの資格を持ち、認定研修を受けた「放課後児童支援員」を原則、一カ所に二人以上配置することが義務付けられている一方で、「人材確保が難しい」との声を受けて基準を緩和する動きもある。
同協議会は「指導員不足の背景には、不安定な雇用や待遇の悪さなどがある。専門的な知識と技能を持つ専任指導員を複数配置することは、子どもの安全や発達を守るために必要だ」と指摘している。
調査は全国の千七百四十一のすべての市区町村からの回答を集計した。 (小林由比)

ヘイト規制 LGBT差別禁止 都議会委が条例案可決 - 東京新聞(2018年10月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201810/CK2018100402000152.html
https://megalodon.jp/2018-1004-1123-21/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201810/CK2018100402000152.html


二〇二〇年東京五輪パラリンピックに向け、ヘイトスピーチを規制し、LGBTなど性的少数者への差別を禁止する東京都の人権尊重条例案が三日夜、都議会総務委員会で自民を除く賛成多数で可決された。五日の本会議で成立する見通しで、成立すれば都道府県で初めて。 (榊原智康)
条例は「いかなる種類の差別も許されない」とする五輪憲章の実現を目指すのが目的で、罰則は設けない。都は一九年四月の全面施行を目指す。
条例案によると、ヘイトスピーチ対策では全国の自治体で初めて、都立公園など公共施設での不当な差別的言動を防ぐため、施設の利用制限基準を定めることを条文で規定。集会やインターネット上で差別的言動があったと知事が認めた場合、活動の概要や団体名、個人名を公表したり、ネット上の動画などを削除要請したりすることができる。
表現の自由に配慮するため、ヘイトスピーチに該当するかどうか判断する際、学識経験者らでつくる審査会の意見を聞くよう定めた。これに対し、学者やフリーライターの有志は一日、都庁で記者会見し、表現の自由が抑圧される危険があるとして、条例制定への反対を表明していた。
性的少数者に対しては、性自認(性に対する自己認識)や性的指向(好きになる相手の性)を理由に「不当な差別的取り扱いをしてはならない」と明記。都民の理解を深めるため、啓発の基本計画をつくることを盛り込んだ。
採決で自民は「企業や区市町村、関係団体などの意見を聴くなどした上で提案すべきものだ」と反対。都民ファーストの会、公明、共産、立憲・民主などが賛成した。

◆東京都人権尊重条例案の骨子
▽目的は、いかなる種類の差別も許されないという五輪憲章にうたわれる人権尊重の理念が、都民らに浸透した都市となること
▽知事は、ヘイトスピーチを防ぐため、公共施設の利用制限基準を定める
▽知事は、ヘイトスピーチと認定した場合、内容の拡散を防ぐために必要な措置を講じる(ネット上動画の削除要請など)
ヘイトスピーチかどうかなどを審議するため、学識経験者による審査会を設置する
▽都や都民、事業者は性自認性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いをしてはならない
▽都は、LGBTなど性的少数者に関する啓発を進めるため基本計画をつくる

ドイツのヘイト 戒めるわけ思い出せ - 東京新聞(2018年10月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018100402000186.html
https://megalodon.jp/2018-1004-1124-49/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018100402000186.html

ドイツのメルケル首相が寛容政策を表明して三年。増える難民移民に対し、これまで、厳しく戒めてきたはずのヘイトスピーチがやまない。社会のたがが緩んでしまったのだろうか。心配だ。
東部の工業都市ケムニッツ。八月末以来、極右らによる反難民移民デモが続き、「ドイツ人のためのドイツ」「外国人は出て行け」などの叫び声が上がる。法律で禁じられている、右手を挙げるナチス式敬礼をする者までいた。
きっかけは難民申請者らにドイツ人男性が刺殺された事件。「被害者は女性を暴行から守ろうとしていた」との根拠のないうわさとともに、ネットでデモが呼び掛けられ、数千人規模に拡大した。
ケムニッツは東独時代、共産主義の祖の名を取り、カールマルクスシュタットと命名されていた。
当時、外国人といえば、ベトナムなど社会主義の友好国から招かれてきた人たちだった。市民との交流は乏しく、ねたみなど反感を生みやすい土壌もあった。
しかし、ヘイトは旧東独地域に限らない。
サッカーW杯ロシア大会一次リーグ敗退翌月の七月、主力のMFメスト・エジル選手(29)がドイツ代表引退を表明した。トルコ移民三世で、人種差別を理由に挙げた。大会前に、トルコのエルドアン大統領と写真に納まった。強権的なエルドアン氏へのドイツ国内の批判はエジル選手にも飛び火し、W杯敗退後に激化した。
エジル選手は「(W杯の試合後)ドイツのファンから“消えろ、トルコのブタ”」とやじられ、「勝てばドイツ人、負ければ移民」扱いされたと訴えた。
極右的政党「ドイツのための選択肢」が躍進し、票を奪われる既成政党のあせりも募る。
ケムニッツの極右デモでは、取り締まる立場の憲法擁護庁長官が移民らが暴行されるネット動画を「でっち上げ」扱いした。メルケル政権は解任を決めたが、長官を擁護する連立与党への配慮から、内務次官へと昇格させ、世論の反発で「特別顧問」に改めるなど迷走している。
ドイツは教育や法規制など社会を挙げヘイト根絶に取り組んできた。ナチ時代、ヘイトの果てに起きた暴虐を繰り返さないためだった。その決意を思い起こしたい。
トランプ大統領の登場で、自国第一主義ポピュリズムが広がる中、寛容と協調を掲げるドイツの役割への期待は大きいのだから。

女性と政治 すそ野をまず広げよう - 東京新聞(2018年10月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018100402000187.html
https://megalodon.jp/2018-1004-1125-47/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018100402000187.html

「女性活躍」の看板が泣く。第四次安倍改造内閣で女性閣僚は一人となった。本来、その看板を支えるべき女性議員自体が少ないことも原因だろう。政治に参加する間口を広げていくことが必要だ。
二〇一五年、カナダのトルドー首相は三十人の閣僚のうち半数の十五人を女性とした理由を問われ、肩をすくめながらこう答えた。「二〇一五年だから」。数字合わせだけでなく、もうそういう時代でしょ、というメッセージが込められていた。
安倍首相は新内閣に女性閣僚が一人しかいない理由を問われ、片山さつき地方創生相には「二人分、三人分」の存在感があると釈明した。一時は女性閣僚が五人いたことを考えれば、「女性活躍推進」という看板と実際とが遠ざかり続けているのは確かだ。政治の姿を変えていくには、数の力も必要だろう。
国際組織の列国議会同盟によると、女性のアーダーン首相が生後三カ月の娘を抱っこして国連の会合に出席したことが話題となったニュージーランドは、下院の女性議員比率が世界百九十三カ国中十九位の38・3%に上る。女性議員を増やすためのクオータ(割当)制を導入しているフランス、英国、ドイツも30%台。日本は百六十一位の10・1%だ。
女性が不利益をこうむるガラスの天井は政治の世界だけに存在するのではなく、また日本に限った話ではない。ノーベル物理学賞の受賞が決まったドナ・ストリックランドさんは、同賞の女性受賞者としては一九〇三年のマリー・キュリーから数えてまだ三人目だ。ただ政治が他と違うのは、他の分野にも制度面で影響を及ぼしていくことができるという点だ。
身近な地方議会から間口を広げていくのも一つの方法だろう。
来春には統一地方選がある。今年五月、政治分野の男女共同参画推進法が施行された。国会や地方議会の選挙で男女の候補者の数が「できる限り均等」となることを目指す理念法だ。市川房枝記念会女性と政治センターの調査では二〇一五年、女性議員が一人もいない地方議会は全体の二割強にも上る。
より豊かな言論は多様性から生まれ、民主主義の土台の厚みとなる。女性が参加しやすい環境を醸成することは、年齢や職業などが偏りがちな地方議会に、新風を運ぶ呼び水ともなるはずだ。まず各政党の候補者選定など、足元からの一歩を望みたい。

女性閣僚たった1人 本気でないのが明らかに - 毎日新聞(2018年10月4日)

https://mainichi.jp/articles/20181004/ddm/005/070/030000c
http://archive.today/2018.10.04-022900/https://mainichi.jp/articles/20181004/ddm/005/070/030000c

「紅一点じゃ、足りない。」−−。5年前、男女共同参画週間の折に政府が掲げたスローガンである。皮肉にも、第4次安倍改造内閣は、その「紅一点」の内閣となった。
安倍晋三首相を含む20人中、女性は地方創生・女性活躍担当の片山さつき氏ただ一人。政権は政府や民間企業に、女性の意思決定参画度などを数字で表す「見える化」を求めてきた。まさに旗振り役の本気度のなさが見え見えになった形だ。
「女性が活躍する社会」を看板政策にしながら、どういうことか。記者会見で問われた首相は、「日本は女性活躍の社会がスタートしたばかり」と釈明した。就任から5年半以上たった首相の言葉ではなかろう。
この間、本気にさえなれば、女性の国会議員を増やし、閣僚となるべき人材も育てられた。足りなければ民間からの起用もできたはずだ。
「閣僚待ち」状態の男性議員を多数入閣させ、党内のバランスをとる内輪の事情があったのだろう。しかし「男女共同参画」は、国内外で繰り返してきた約束だったのである。
国際シンポジウムを開いてトランプ米大統領の娘、イバンカさんら有名人を招く。国連で演説し、「女性が輝く社会」を連呼する。そうしたパフォーマンスと、女性の能力を引き出し、個性を生かす環境を整えることは、全くの別物である。
安倍氏は「紅一点」となった片山氏について、「超人的なガッツの持ち主」であり、「2人分、3人分の発信力を持って仕事をしていただける」と述べた。
軽い調子の発言かもしれないが、男性以上の働きを示さなければ女性を一人前として認めない風潮が、女性の社会進出を阻んできたことを忘れてはならない。
首相は、少子化・高齢化に正面から挑むというが、女性の力なしでは解決できない課題ばかりである。それを理解しているのだろうか。
国外を見渡せば、スペインで18人中女性が11人という内閣の誕生など、日本との差は一段と開きそうである。だが、先を走る国も、そこに至るまでには、政治家のみならず市井の女性たちの長い闘いがあった。
21世紀の今、1人の女性しか入閣させないリーダーをどうとらえるのか。国民の意識も問われている。

<金口木舌>重すぎる荷物 - 琉球新報(2018年10月4日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-813435.html
http://archive.today/2018.10.04-023122/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-813435.html

米兵に話し掛ける背広姿の男性。後ろには、重い荷物を背負わされた男性が疲労困憊(こんぱい)の表情を浮かべている

▼「日米同盟」の紙切れを握り締めている背広姿の男性は「NODA」と書かれており、当時首相だった野田佳彦氏を指している。やせ細った男性には「OKINAWA」の文字が見えるが、首相が気にする様子はない。6年前、米有力紙ニューヨーク・タイムズに載った風刺画だ
▼端的に日米の力関係と沖縄の現状を表していると感心した。翁長雄志氏は「沖縄が日本に甘えているのか。日本(本土)が沖縄に甘えているのか」と疑問を呈したが、風刺画を見るまでもなく答えは明らかだろう
玉城デニー氏は「辺野古に新たな基地を造らせない」と強調した。これを受け、菅義偉(すがよしひで)官房長官は「早期に辺野古への移設を実現したい」と応酬している。全く話が通じない
▼2月の名護市長選では移設推進の安倍政権が推す渡具知武豊氏が当選した。その際、菅氏は「選挙は結果が全てだ。相手候補は必死に埋め立て阻止を訴えたのではないか」と述べた。今回の知事選は「結果が全て」ではないのか
普天間問題の原点は危険性除去だが、沖縄側が県内に移設してくださいと頼んだことはない。「負担が重すぎてこれ以上は抱えきれない」というのが原点だ。きょう就任する玉城新知事は決してこのことを忘れはしまい。

(政界地獄耳)のどあめ審議中断と重なるもの - 日刊スポーツ(2018年10月4日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201810040000178.html
http://archive.today/2018.10.04-021413/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201810040000178.html

★先月28日の熊本市議会で、市議・緒方夕佳が9月定例会本会議中に喉あめをなめながら質疑をしたことが議会の品位を損ね、議事運営に支障を来したとして、議会は同日中の議会出席を停止する懲罰を決めた。議会の審議中断は約8時間にわたったという。議運委員会は議会の品位を尊重する規定に抵触したとして謝罪を促したが緒方が拒否したため、懲罰特別委員会を設置し陳謝の懲罰を決めたものの、緒方が再度拒否したので出席停止となった。

★緒方は昨年11月の定例議会に生後7カ月の長男を連れて議場入りし、大騒ぎになったが、その時の経緯は、妊娠が判明した時点で乳児を連れての本会議出席や市議会への託児所設置を議会事務局に訴えてきたが、前向きな回答を得ることができず、子連れでの入場に踏み切っている。今回も同様に、言っても無駄と考えたのか。他の議員らが彼女を目の敵にしているのではないかとの疑問も湧く。

★だが議会は民主国家として、秩序と品位を重んじる神聖な場所。それにしては品位にもとる居眠り、スマホいじり、新聞や雑誌に読みふけるなど、国会では当たり前の風物詩だ。ところがひとたび差別的なヤジを飛ばせば、大騒ぎにもなるのはご存じの通りだ。熊本市議会はしゃくし定規と、英国メディアに書かれた。議場の特殊性から鑑みれば一理あるが、いじめや懲罰的に緒方の揚げ足を取ったものではないのか。

★緒方は相談してもらちが明かないからと、強硬手段に出るスタイルで事態を動かそうとしたが、政治は味方や賛同者が必要だ。緒方が孤立無援になるのは、手続き主義との戦いに敗れたからとの見方ができるが、このやりとりは相撲協会を追い込まれた貴乃花親方と重なる。だからこそ議長や議運委員長は、幅広い見識と裁定ができる人格者が望まれる。今度は内閣改造に思いをはせたが、国政や国会の秩序は保てているのだろうか。(K)※敬称略