(政界地獄耳)のどあめ審議中断と重なるもの - 日刊スポーツ(2018年10月4日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201810040000178.html
http://archive.today/2018.10.04-021413/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201810040000178.html

★先月28日の熊本市議会で、市議・緒方夕佳が9月定例会本会議中に喉あめをなめながら質疑をしたことが議会の品位を損ね、議事運営に支障を来したとして、議会は同日中の議会出席を停止する懲罰を決めた。議会の審議中断は約8時間にわたったという。議運委員会は議会の品位を尊重する規定に抵触したとして謝罪を促したが緒方が拒否したため、懲罰特別委員会を設置し陳謝の懲罰を決めたものの、緒方が再度拒否したので出席停止となった。

★緒方は昨年11月の定例議会に生後7カ月の長男を連れて議場入りし、大騒ぎになったが、その時の経緯は、妊娠が判明した時点で乳児を連れての本会議出席や市議会への託児所設置を議会事務局に訴えてきたが、前向きな回答を得ることができず、子連れでの入場に踏み切っている。今回も同様に、言っても無駄と考えたのか。他の議員らが彼女を目の敵にしているのではないかとの疑問も湧く。

★だが議会は民主国家として、秩序と品位を重んじる神聖な場所。それにしては品位にもとる居眠り、スマホいじり、新聞や雑誌に読みふけるなど、国会では当たり前の風物詩だ。ところがひとたび差別的なヤジを飛ばせば、大騒ぎにもなるのはご存じの通りだ。熊本市議会はしゃくし定規と、英国メディアに書かれた。議場の特殊性から鑑みれば一理あるが、いじめや懲罰的に緒方の揚げ足を取ったものではないのか。

★緒方は相談してもらちが明かないからと、強硬手段に出るスタイルで事態を動かそうとしたが、政治は味方や賛同者が必要だ。緒方が孤立無援になるのは、手続き主義との戦いに敗れたからとの見方ができるが、このやりとりは相撲協会を追い込まれた貴乃花親方と重なる。だからこそ議長や議運委員長は、幅広い見識と裁定ができる人格者が望まれる。今度は内閣改造に思いをはせたが、国政や国会の秩序は保てているのだろうか。(K)※敬称略