大分地裁も運転容認 伊方原発差し止め認めず - 東京新聞(2018年9月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018092902000132.html
https://megalodon.jp/2018-0929-1001-10/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018092902000132.html


四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを、対岸の大分県の住民が求めた仮処分申し立てに対し、大分地裁は二十八日、差し止めを認めず、却下する決定をした。佐藤重憲裁判長は争点だった阿蘇山の噴火リスクについて「運用期間中に破局的噴火が差し迫っているとは言えず、原発は安全性に欠けない」と判断した。住民側は即時抗告する方針。
3号機を巡っては、昨年十二月に広島高裁が阿蘇山の噴火リスクを根拠に運転を禁じたが、今月二十五日に高裁の別の裁判長がこの決定を覆した。四国電は十月二十七日の再稼働を予定している。
大分地裁は、阿蘇山の地下にあるマグマだまりの状況や火山活動履歴に基づき、破局的噴火が生じる相応の根拠はないと指摘。原発立地の適否を考慮する上で「社会通念上、無視できる危険だ」とした。
伊方原発は長大な活断層中央構造線断層帯」に近く、南海トラフ巨大地震震源域に入る。住民側は、四国電が算定した耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)は過小だと主張した。
決定は、東京電力福島第一原発事故後に定められた新規制基準は合理的とし、四国電が示した耐震性も妥当と評価した。3号機を巡る同様の仮処分申し立ては、高松高裁や山口地裁岩国支部でも係争中。

大分・伊方決定 社会通念というリスク - 東京新聞(2018年9月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018092902000147.html
https://megalodon.jp/2018-0929-1008-45/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018092902000147.html

司法はまたしても「社会通念」という物差しを持ち出して、四国電力伊方原発愛媛県)の運転差し止めを求める住民の訴えを退けた。原発リスクにおける「社会通念」とは、いったい何なのか。
伊方原発は、四国の最西端、日本一細長い佐田岬半島の付け根にある。
対岸は、豊後水道を挟んで九州・大分だ。最短で約四十五キロ。半島の三崎港から大分側の佐賀関港へは、フェリーを使えば七十分。古くから地理的に深く結び付いており、人や物の行き来も頻繁だ。
伊方原発に重大な事故が起きたとき、原発の西側で暮らす約四千七百人の住民は、大分側に海路で逃げることになる。
細長い半島には、ほかに逃げ場がないのである。
伊方原発は「日本一再稼働させてはいけない原発」と言われてきた。
わずか八キロ北を半島に寄り添うように、長大な「中央構造線断層帯」が九州へと延びており、南海トラフ巨大地震震源域にある。
さらに、伊方原発阿蘇山から百三十キロの距離にある。
原子力規制委員会の「火山ガイド」も指摘する、噴火による火砕流や火山灰の影響が心配される距離感だ。
両岸の住民は、巨大地震と巨大噴火という原発事故の“二大要因”を共有する間柄、原発事故は「対岸の火事」ではないのである。
大分地裁は、やはり四国電力側の主張を丸のみにするかのように「原発の耐震性評価は妥当」と判断し、「阿蘇山破局的噴火が生じることが差し迫っているとは言えない。破局的噴火に相応の根拠がない場合、社会通念上無視できる危険である」とした。
三日前の広島高裁と同様、またもや「社会通念」という、科学でもない、法律でもない、あいまいな“物差し”を持ち出して、大分地裁も、住民側が主張する具体的な不安を退けた。
重ねて問う。「社会通念」とは、いったい何なのか。
地震や噴火のリスクは確かにそこにある。しかし、確率は低く、取るに足らないものであり、そのようなことに不安を覚える人たちが、非常識だということなのか。
だから、備えを図る必要もないという判断なのか。
このような「社会通念」が定着し、原発が次々と息を吹き返していくとするならば、「安全神話」の復活以上に危険である。

タンク水75万トン基準超 福島第一、放射性物質を再浄化へ - 東京新聞(2018年9月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018092990070308.html
https://megalodon.jp/2018-0929-0958-02/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018092990070308.html


東京電力は二十八日、福島第一原発のタンクで保管している汚染浄化後の水について、八割以上に当たる七十五万トンに、トリチウム以外の放射性物質が法令の排出基準を超えて残っているとする調査結果を明らかにした。海洋放出など処分する場合は再浄化する方針。十月一日、水の処分について検討している政府の有識者会議で表明する。 (宮尾幹成)
福島第一で発生する汚染水は、放射性セシウムストロンチウムなど大半の放射性物質を多核種除去設備(ALPS(アルプス))で浄化処理している。東電は、水から分離が難しいトリチウム以外は、除去できているとしてきた。
調査結果によると、八月上旬の時点で八十九万トンの処理済み水を保管し、そのうち七十五万トンはトリチウム以外の放射性物質が浄化しきれず、基準を超えて含まれていた。十六万一千トンは基準の十〜百倍、六万五千トンは基準の百倍以上だった。
処理済み水を巡っては、政府の有識者会議が八月末、処分について国民の意見を聞く公聴会を開催。その直前、トリチウム以外の放射性物質も基準を上回るレベルで残っていることが判明し、公聴会では「議論の前提が崩れた」と批判が噴出。ほとんどの参加者が海洋放出に反対した。
政府と東電は海洋放出を有力視しており、放射性物質の総量を下げる再浄化を打ち出すことで、国民の抵抗感を和らげる狙いが透けて見える。東電は「海洋放出を前提とはしていない」(松本純廃炉推進室長)と説明した。

トリチウム三重水素)> 放射能を帯びた水素で、酸素と結合してトリチウム水になる。普通の水と分離するのは難しい。放射線ベータ線)は比較的弱く、人体に入っても大部分は排出される。放射能は12.3年で半減する。

汚染水、浄化後も基準2万倍の放射性物質 福島第一原発 - 朝日新聞(2018年9月28日)

https://www.asahi.com/articles/ASL9X6HQ3L9XULBJ014.html
http://archive.today/2018.09.29-051900/https://www.asahi.com/articles/ASL9X6HQ3L9XULBJ014.html


福島第一原発の敷地内のタンクにたまる汚染水について、東京電力は28日、一部のタンクから放出基準値の最大約2万倍にあたる放射性物質が検出されていたことを明らかにした。今回分析した浄化されたはずの汚染水約89万トンのうち、8割超にあたる約75万トンが基準を上回っていたという。
東電や経済産業省によると、多核種除去設備(ALPS)で処理した汚染水を分析したところ、一部のタンクの汚染水から、ストロンチウム90などが基準値の約2万倍にあたる1リットルあたり約60万ベクレルの濃度で検出された。東電はこれまで、ALPSで処理すれば、トリチウム以外の62種類の放射性物質を除去できると説明していた。
東電は今後、汚染水の海洋放出などの処分法を決めた場合は、再びALPSに通して処理する方針も示した。タンクに保管されている処理済みの汚染水は現在94万トン。現状の処理能力は1日最大1500トンにとどまっており、再び処理することになれば、追加の費用や年単位の時間がかかるのは必至だ。
基準値を超えた原因について、東電は、2013年度に起きたALPSの不具合で、処理しきれなかった高濃度の汚染水がそのまま保管されていることや、処理量を優先し、放射性物質を取り除く吸着材の交換が遅れたことなどを挙げている。今後、吸着材の交換時期を見直すなど対応を検討するという。ただ、今後も基準値超えの放射性物質が検出される可能性は否定できないと認めた。
東電は、こうした測定値をホームページで公表していたが、積極的には説明してこなかった。「掲載しただけで満足していたのは大きな反省点」としている。
今年8月に福島県などで開かれた経産省公聴会では、汚染水の中にトリチウム以外の放射性物質があることに批判が集まっていた。(小川裕介、石塚広志)

「米兵の戦犯捜査なら国際刑事裁を制裁」 米の警告対象に日本人判事 - 東京新聞(2018年9月29日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201809/CK2018092902000141.html
https://megalodon.jp/2018-0929-1020-05/www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201809/CK2018092902000141.html

米国のボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、今月十日のワシントンでの講演で、国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)がアフガニスタン戦争を巡り米兵らの戦争犯罪に関する捜査を開始すれば、判事や検察官を米独自制裁の対象に指定すると警告した。この制裁警告対象に日本人判事が含まれることがICC関係者への取材で分かった。
関係者によると、判事のうちアフガニスタン担当は三人。一人は日本の判事赤根智子さん(62)=名古屋市出身=で、昨年十二月にICC判事に当選した。現在、予審裁判部門に所属し、検察官の捜査開始の要請を検討する立場にある。
ICCのベンスダ主任検察官は昨年十一月、アフガン戦争に参加した米軍兵士や米中央情報局(CIA)要員が二〇〇三年五月以降、現地などで拷問やレイプなどの戦争犯罪を行った疑いが強いとして、捜査開始の権限を求めた。赤根さんが所属する予審部門が現在、被害者の陳述などを精査し、今後捜査開始を認めるかどうかを決定する。
ボルトン氏は今月十日の講演で「ICCは米国の主権と安全保障を脅かし、容認できない」と主張。「捜査を始めれば、判事や検察官の米国入国を禁じ、米国内の資産を凍結し、米国の法律で彼らを訴追する」と警告した。
赤根さんは一九八二年に検事となり、名古屋大法科大院教授、国連アジア極東犯罪防止研修所所長、最高検検事などを歴任。日本はICCへの最大の予算拠出国。 (加藤美喜)

香港民主化をあきらめない 学生リーダー・黄之鋒氏に聞く - 東京新聞(2018年9月29日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201809/CK2018092902000120.html
https://megalodon.jp/2018-0929-1021-19/www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201809/CK2018092902000120.html

【上海=浅井正智】香港の雨傘運動発生から四年となった二十八日、香港島の政府庁舎前で民主派ら約三百人が集会を開き、あらためて「真の普通選挙」の実現を求めた。
集会は、四年前に警官隊がデモ隊に向けて催涙弾を発射した様子を、水蒸気を上げ、当時の音声を流して再現。参加者は運動のシンボルとなった黄色い傘を広げ、「雨傘精神を忘れるな」と訴えた。
独立派の政治団体香港民族党」に活動禁止命令が出たことにも「香港人の結社の自由を制限するものだ」と批判の声が上がった。
ただ、以前は千人以上いた参加者も激減。民主派は国慶節の十月一日にもデモを計画し、市民に参加を呼びかけているが、締め付けが強まる中、市民の関心は薄れつつある。
香港の政治評論家、劉鋭紹(りゅうえいしょう)氏は「市民は雨傘運動に対する中国政府の圧力を見て、政府と対立して得られるものはないと感じた。それがこの四年間の変化の一つだ」と話した。

    ◇

香港の大規模民主化デモ「雨傘運動」発生から二十八日で四年。中国の習近平(しゅうきんぺい)政権による香港への締め付けが強まる中、学生団体リーダーとして運動を主導した黄之鋒(こうしほう)氏(21)は本紙の取材に「一国二制度ではなく、一国一・五制度になった」と述べ、中国政府を批判した。運動の参加者らがつくった政党「香港衆志」の幹部でもあり、「民主主義を求める闘いをあきらめない」と強調した。 (香港で、中沢穣、写真も)

−雨傘運動から四年。

「雨傘運動は要求を実現できなかったが、世界の人々に強い印象を与えた。とりわけ、人権を尊重しない中国モデルの台頭を恐れる周辺国の人々は、香港の人々が政治的、経済的自由のためにいかに闘ったかを理解してくれていると思う」

−四年間での変化は。

「(香港の高度な自治を定めた)一国二制度はすでに機能不全に陥り、一国一・五制度になった。この四年間で雨傘運動のリーダーが投獄されたり、香港立法会(議会)への立候補資格を剥奪されるなど、香港は厳しい圧力に直面している。香港の人々はもともと政治的意識が高いが、今は疲労感と絶望を感じている」

−今後の活動は

習近平政権が続く限り、香港の民主主義にチャンスはないだろう。しかし私たちは決してあきらめない。短期間で大きな変化を起こすことは難しいが、民主主義の実現は長い闘いだ」

−独立を訴える香港民族党が活動禁止になった

「まず『独立派』が標的にされた。次は(住民投票で香港の将来を決することを目指す)『自決派』だろう。最後は民主主義を求める人々も標的にされる恐れがある。(自決を掲げる)香港衆志も活動が禁止されるかもしれないが、なんとか活動を続ける方法を見つけたい」

<黄之鋒(こう・しほう)> 1996年香港生まれ。雨傘運動に民主化団体「学民思潮」を率いて参加。ハンストを決行し、香港政府に対話を要求するなどリーダー的役割を果たした。雨傘運動に関連し、違法集会参加や法廷侮辱などの罪で個別に起訴され、法廷侮辱罪については高裁が今年1月、禁錮3月の実刑判決を言い渡した。2016年、雨傘運動の参加者らでつくる政党「香港衆志」の創設に加わり、秘書長(事務局長)を務める。

<雨傘運動> 香港行政長官選で、中国政府が意に沿わない候補者を事実上排除する制度を導入したことに反発した若者らが、2014年9〜12月に起こした大規模な抗議行動。「真の普通選挙」を求め、79日間にわたり主要幹線道路を占拠。警官隊が発射する催涙弾に対し、デモ参加者が身を守るため雨傘を用いたことからこの名前が付いた。

性的暴行疑惑、米上院公聴会 証言の女性「殺されると思った」 - 東京新聞(2018年9月29日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201809/CK2018092902000118.html
https://megalodon.jp/2018-0929-1022-25/www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201809/CK2018092902000118.html

【ワシントン=後藤孝好】トランプ米大統領から連邦最高裁判事に指名されたブレット・カバノー氏(53)=写真(上)、UPI・共同=の性的暴行疑惑を巡り、被害を名乗り出た大学教授クリスティン・フォードさん=同(下)、同=は二十七日、上院司法委員会の公聴会で「手で口をふさがれ、殺されるかと思った」と声を震わせながら証言した。一方、カバノー氏は「無実だ」と事実関係を否定し、主張が真っ向から対立したまま終わった。
トランプ氏はツイッターで、カバノー氏について「力強く、正直で素晴らしかった」と擁護し、承認手続きを進めるよう要求。与党共和党は二十八日午後(日本時間二十九日未明)、司法委で採決を強行する構えだが、相次ぐ疑惑の真相解明を置き去りにすれば、十一月の中間選挙で女性票の離反を招く可能性がある。
フォードさんは高校時代の一九八二年、パーティーで酒に酔ったカバノー氏からベッドに押さえつけられて体を触られ、性的暴行を受けそうになったと証言。カバノー氏の犯行だったと百パーセント確信して「証言することが国民の義務だと思った」と訴えた。
対するカバノー氏は、女性三人が被害を名乗り出ていることに関して「誰にも性的暴行をしていない。私と家族の名誉は、完全に、永久に傷つけられた」といら立ちながら反論。野党民主党が承認手続きを妨害していると批判し、「脅されて指名を辞退する考えはない」とも強調した。
連邦最高裁は人種差別や宗教、銃規制などの国論を二分するような社会問題で司法判断を下し、歴史を動かしてきた。判事は終身制で、現在、保守派とリベラル派が四人ずつを占める。カバノー氏が就任すれば、長期にわたって司法判断が保守的になり、妊娠中絶や性的少数者(LGBT)などの権利が制限される懸念も指摘されている。

反セクハラ声上げよう 国際俳優連合がシンポ、日本初開催 - 東京新聞(2018年9月29日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2018092902000151.html
https://megalodon.jp/2018-0929-1023-25/www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2018092902000151.html

海外の俳優が相次いでセクハラなどを告発する中、日本でも芸能界の労働環境改善を求める声が上がり始めている。俳優の権利向上のために活動する国際俳優連合(FIA)と、それに加盟する日本俳優連合(Jau)が二十七日、東京都内で開いたシンポジウムでは、セクハラに抗議する「#Metoo(ミートゥー)運動」を広げて実績を上げている米国の俳優らが「声を上げよう、団結しよう」と呼び掛けた。 (猪飼なつみ、原田晋也)
FIAは六十二カ国の団体が加盟し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)や国際労働機関(ILO)などと連携する国際的な俳優団体。俳優や声優でつくるJauは、俳優の西田敏行が理事長を務めている。
FIAの各国の代表者が日本に集まり、シンポジウムを開催するのは初めて。十九カ国が参加し、日本の俳優ら四百人が来場した。二〇一六年、ブラジルでのシンポジウムで、Jauが国内の俳優たちの地位の低さを説明すると、FIAは「日本の状況は世界的に問題がある」と捉え、東京開催が決まったという。FIA会長でカナダの女優フェーン・ダウニーは「日本の俳優に、FIAがあなたとともにいるということを知ってほしい」と呼び掛けた。
Jau副理事長で、シルベスター・スタローンポール・ニューマンハリソン・フォードらの吹き替えなどで知られる声優の羽佐間道夫は「日本の実演家は所属プロダクションのあっせんで仕事をしている。背景が怪しげな事務所もある。加害者が地位を利用して仕事と結びつけたセクハラもある。防御策に良い知恵はないか」と訴えると、米国の俳優組織「SAG−AFTRA」会長で、女優のガブリエル・カーテリスは、#Metoo運動は昨年から始まったわけではなく、すでに一九九〇年代にあったことを説明。
「当時と今の違いは、世界が耳を傾けているということ。声を上げて未来をつくりましょう。そしてセクハラと戦うことができなかった法は変える必要がある」と強調した。
テレビ時代劇「水戸黄門」の悪役などで知られる内田勝正副理事長は、出演作がDVDで販売されたり、ネットで使用されたりしても二次使用料が俳優たちに支払われないことを問題提起。「日本では出演時に放送再利用料を受け取る権利を放棄する契約をしなければ、出演の機会を失う。これはパワハラの疑いがある」と投げかけ、「私は二十年出演していますが、再放送されても(使用料は)入ってこない」と話した。
米俳優デビッド・ホワイトは「(ネット配信の)ネットフリックスが日本でも(番組を)制作している。団結し、要求していかなければ」と力説した。デンマークからは、俳優たちの全収入の25%が二次使用料であることが報告された。Jau側もきちんと声を上げて主張することの大切さを改めて認識していた。

◆遅れている日本、法整備や団結を
Jau専務理事・声優 池水通洋に聞く
世界各国に比べて、日本はどんな点が遅れているのか。Jau専務理事で、ナレーションなどで活躍する声優の池水通洋(みちひろ)に聞いた。

−各国の状況は。

1980年、ユネスコは「芸術家の地位に関する勧告」を出した。俳優や声優も含まれ、収入や社会保障の面で不安定な状況を是正するための勧告だ。これに基づき、例えばカナダでは、芸術家側と制作者側が対等に協議するための法律を制定した。両者の間で国の委員会が裁定している。米カリフォルニア州では、タレントあっせん業者が業務を行うためのさまざまな規定を定めた法律がある。タレントとのトラブルを防ぐためです。

−日本では。

俳優たちを守るための法は、何もないと言っていい。国はユネスコの勧告に対し「法的拘束力はない」という立場のままです。

−そのことで弊害は。

法律のある国でもパワハラやセクハラが問題になっている。ましてや日本では表にも出てこない問題がたくさんあるのではないか。日本でも、ディレクターが「仕事をあげるから」と若い女性に関係を迫ったり、事務所の人にホテルに来るように言われたりして悩む人の話を聞く。相手側と協議するシステムはない。悪徳な事務所も多く、給料の不払いや遅配の話もある。

−今後必要なことは。

日本の対応は各国に比べて遅れているし、文化に対する理解が足りない。法律で俳優や声優を守ることが必要。それから、会員が16万5000人いて、俳優はほとんど所属しているという米国の組合「SAG−AFTRA」のように、日本でも団結することが大切です。

大学の将来像 連携深め地域に貢献を - 朝日新聞(2018年9月29日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13700656.html
http://archive.today/2018.09.29-012953/https://www.asahi.com/articles/DA3S13700656.html

少子化の大きな流れのなか、2040年ごろの大学進学者数はいまより2割ほど減り、経営が成り立たなくなる大学が増えると見込まれている。
そんな時代を見すえ、中央教育審議会の部会が先日、国立大学同士の法人統合や私大間の学部の「譲渡」を可能にする改革案をまとめた。大学間の連携をしやすくして運営の効率化を図る制度改正や、設置基準の見直しも盛りこまれている。
経営破綻(はたん)によって学生が行き場を失うことがないよう対策を講じておくのは社会の責任だ。実現を急がねばならない。
特に心配されるのが地方の小規模大学だ。なくなると地域の灯が消えるだけではない。都会と地方の進学機会の格差はますます広がる。県外の大学に進むには多くの経費がかかる。経済的な理由で進学を断念する子を生まないためにも、一定の規模で地方に大学は必要だ。
もちろん、存続しさえすればいいという話ではない。それぞれの地域で、大学の果たせる役割を再確認し、強みを生かす道を探ることが求められる。
参考になる動きが前橋市で進む。市内にある国公私立の6大学・短大と商工会議所、市役所の三者が手を結び、地域人材の育成と定着のために知恵を出し合う協議の場を設けた。
大学が活性化すれば、地元に就職して産業を支える人材が育つ。保育士不足や中小企業の後継者難といった地域の課題に対しても、大学は社会人の「学び直し」の場を提供するなどの貢献ができる。そんな共生の関係を築き、地域に活力を生み出す。そのために、それぞれ何ができるか、何をすべきかを検討する場にしていくという。
参加する共愛学園前橋国際大の大森昭生学長は「学問分野が異なる6大学・短大が組めば、大きな総合大学ができるのと同じ」と話す。単なる生き残り策ではない、「連携」の可能性に期待を寄せる。
他大学との協力により、自校にはない分野の講義を受けられるようにする試みも広がる。
京都工芸繊維、同府立、同府立医科の3大学は、4年前に教養教育の共同化を始めた。年に82の科目が用意され選択の幅は格段に広がった。学生の半分は他校の講義を経験するという。
連携による教育内容の充実は大学の魅力を高め、学生の成長につながる。どの大学からも通いやすい講義場所の確保や学生の移動に必要な費用など、運営コストの一部を公費で援助することも含め、意欲のある大学を社会全体で後押ししたい。

(無戸籍問題で研究会)救済へ法改正が急務だ - 沖縄タイムズ(2018年9月29日)


http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/322011
https://megalodon.jp/2018-0929-1025-25/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/322011

法務省は無戸籍者の解消を目指した研究会を10月にも発足させる。「嫡出推定」の規定を見直し、否認する訴えを夫だけでなく、妻や子も起こせるよう拡大する方向で検討するという。
民法には「嫡出推定」の規定がある。
女性が婚姻中に妊娠した子は夫の子、離婚後300日以内に生まれた子は元夫の子とする。女性が夫と別居したり、離婚直後に別の男性と子を産んだりした場合も、戸籍には夫(元夫)の子として記載されるのである。
記載を避けるには生まれた子の父であることを否定する「嫡出否認」の訴えをしなければならないが、夫(元夫)にしか権利を認めていない。
夫のドメスティックバイオレンス(DV)などから逃れた妻が別の男性と子ができても夫の戸籍に記載されるため出生届を出さないケースが多い。法務省が把握している無戸籍者は今年8月時点で715人で、その半数近くが就学前の児童といわれる。総数は、もっと多いとみられる。
住民票がつくれないため、乳幼児検診が受けられず、就学通知も届かない。旅券もできず海外旅行や留学がかなわない。婚姻の届け出、相続の登記もできない。銀行口座もつくれない。人権上大きな不利益を被っているのである。
研究会が法改正が必要と判断すれば、法相が法制審議会に諮問する段取りだ。
DNA鑑定を活用して親子関係を判定していることを考えれば、規定は時代に逆行しているというほかない。

■    ■

夫にのみ「嫡出否認」の権利を認めた民法の規定は男女同権を定めた憲法に違反する。神戸市の女性らがこう訴えて国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で大阪高裁は今年8月、控訴を棄却した。
原告は60代の女性、30代の娘、8、4歳の孫2人の計4人。女性は暴力を振るう当時の夫と別居し、離婚成立前に別の男性との間に娘を出産。夫が法律上の父となることを避けるため出生届を出さなかった。そのため娘、娘が産んだ孫2人も無戸籍となった。判決は「規定は早期に父子関係を確定させ、子に利益がある」と合憲とする一方、「嫡出推定」について「伝統や国民感情を踏まえ立法裁量に委ねられるべきだ」と指摘した。
自民党の司法制度調査会は今年6月、否認の訴えを妻や子も起こせるよう制度の見直しを提言。国会は法改正に向け動きを加速させるべきだ。

■    ■

民法の「嫡出否認」「嫡出推定」「女性の再婚禁止期間」は無戸籍問題の背景として指摘されて久しい。だが「再婚禁止期間」は短縮されたが、残り二つは何も変わっていない。明治時代の規定が今に引き継がれているのである。
結婚全体のうち夫婦両方または一方が再婚の割合は約3割に上る。伝統的な家制度に縛られていた時代と現在とでは家族のありようは大きく変わっている。
かつて夫だけの「嫡出否認」を認めていたドイツや韓国、台湾でも法改正がなされ、妻や子、あるいは妻の否認権が認められている。世界の動きからも遅れている。

<金口木舌>怖いもの見たさの行き着く先は - 琉球新報(2018年9月29日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-809919.html
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ハンマーを振り上げたピエロに追い掛けられる、通行人を対象にしたいたずら動画が人気を集めている。教育に悪いと思いながらつい子どもと一緒に見てしまう
▼見てはいけないものを見たり、禁止されている行為をしたりしてしまう心理現象が「カリギュラ効果」。禁止されていることは多いが、中でも沖縄の先輩たちが口酸っぱく伝えてきたことがある。「戦争は絶対に駄目」
安倍晋三首相が自民党総裁選に勝利した。憲法改正に関し「大きな方針に向かって一致結束して進まなければならない」と述べ、自衛隊明記案の信任を得たとの認識をにじませた
共同通信世論調査では秋の臨時国会での憲法改正案の提出について51・0%が「反対」と回答。「賛成」の35・7%を大きく上回った。首相の認識は国民の意識と乖離(かいり)している
▼46年前の今日、日中共同声明が調印され国交が正常化された。これを境に、自治体レベルでも友好関係が構築された。浦添市でも先日、福建省泉州市との友好都市締結30周年記念式典が開かれ、固い握手を交わした
▼争いを避けるための外交努力を無にするような好戦的な発言がネット上などで見られるが、怖いもの見たさのような感覚で戦争を語ってほしくない。沖縄戦で命を落としたのは大本営の政治家や軍人ではなく、県民や日本兵として沖縄に送られた若者たちだった。

衝撃動画が物議…新市場のマンホールから大量の「臭い水」 - 日刊ゲンダイDIGITAL(2018年9月29日)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/238419

10月11日に開場を控える豊洲市場で、重大な“事件”が発生した。市場の敷地内に設置されたマンホールから、大量の水が噴出する様子を映した動画がネットに出回り、「何だこの水は!」と大炎上しているのだ。
現場に居合わせた市場関係者によると、水が噴出したのは仲卸売場棟の敷地の北側にあるマンホール。3連休の中日の23日のことだった。
水には白い粉状の物質がl水をくみ上げ、浄化した後、下水道に排出している状況だ。汚染水が地表に噴き出したというなら、恐ろしい話だ。東京都に問い合わせると、こう回答した。
「揚水ポンプ内にたまった空気を抜くための『空気弁』に付着物があり、わずかな隙間が生じたことが原因です。隙間から、浄化する前の地下水が漏れ出しました。我々は常に地下水の汚染具合を観測していますが、高濃度の汚染は検出されていない。噴出が発生したのは14時で、30分弱で事態は収束。今回の一件はレアケースですし、短時間で局所的な噴出なので環境に悪影響を与えることはありません」(新市場整備部)
あくまで「問題なし」との説明だったが、本当か。目撃した市場関係者は、「午前11時に訪れた時点で既に水が噴き出ていた。1時間後に再度見にいっても状況に変化はなく、職員が復旧作業にてこずっている様子だった」という。30分弱で収束したという都の見解は、問題の矮小化ではないか。本当に安全性に問題はないのか。市場問題に詳しい1級建築士の水谷和子氏はこう見る。
「実際は数時間、水が出続けていたのに、都が『30分弱で収束』と言い張るのは、より深刻な事態であることを隠したいからではないか。付着物を除去するのにそんなに長時間を要するとは思えません。先日、建物外で地盤沈下が起きましたが、これが原因で地下の配管に亀裂が入り、大量の地下水が漏れ出た可能性があります。いずれにせよ、噴出した『白い粉状の物質』は汚染された土壌そのもので間違いないでしょう。小さな土の粒子は風に乗り、人の口や鼻に付着する恐れがある。健康被害を及ぼす危険があります。周辺を立ち入り禁止にし、徹底した対策を取る必要があるでしょう」