「米兵の戦犯捜査なら国際刑事裁を制裁」 米の警告対象に日本人判事 - 東京新聞(2018年9月29日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201809/CK2018092902000141.html
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米国のボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、今月十日のワシントンでの講演で、国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)がアフガニスタン戦争を巡り米兵らの戦争犯罪に関する捜査を開始すれば、判事や検察官を米独自制裁の対象に指定すると警告した。この制裁警告対象に日本人判事が含まれることがICC関係者への取材で分かった。
関係者によると、判事のうちアフガニスタン担当は三人。一人は日本の判事赤根智子さん(62)=名古屋市出身=で、昨年十二月にICC判事に当選した。現在、予審裁判部門に所属し、検察官の捜査開始の要請を検討する立場にある。
ICCのベンスダ主任検察官は昨年十一月、アフガン戦争に参加した米軍兵士や米中央情報局(CIA)要員が二〇〇三年五月以降、現地などで拷問やレイプなどの戦争犯罪を行った疑いが強いとして、捜査開始の権限を求めた。赤根さんが所属する予審部門が現在、被害者の陳述などを精査し、今後捜査開始を認めるかどうかを決定する。
ボルトン氏は今月十日の講演で「ICCは米国の主権と安全保障を脅かし、容認できない」と主張。「捜査を始めれば、判事や検察官の米国入国を禁じ、米国内の資産を凍結し、米国の法律で彼らを訴追する」と警告した。
赤根さんは一九八二年に検事となり、名古屋大法科大院教授、国連アジア極東犯罪防止研修所所長、最高検検事などを歴任。日本はICCへの最大の予算拠出国。 (加藤美喜)