伊方原発 運転差し止め認めず 大分地裁 - 毎日新聞(2018年9月28日)

https://mainichi.jp/articles/20180928/k00/00e/040/306000c
http://archive.today/2018.09.28-072743/https://mainichi.jp/articles/20180928/k00/00e/040/306000c

四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町、停止中)について、大分県の住民が運転差し止めを求めた仮処分申請で、大分地裁(佐藤重憲裁判長)は28日、住民側の申し立てを却下する決定をした。四電は10月27日の再稼働に向け、準備を進めるとみられる。
伊方原発3号機を巡っては、広島高裁が25日、運転差し止めを命じた昨年12月の同高裁決定を取り消したばかりだ。司法が再び「待った」をかけるのかどうか、大分地裁の決定が注目されていた。
愛媛県の対岸に位置する大分県は、伊方原発まで最も近い場所で約45キロの距離にあり、住民側は原発事故が起きれば危険が及ぶと主張。阿蘇カルデラ熊本県)が破局的噴火をした場合の危険性などを訴えていた。これに対し、四電側は巨大噴火について「可能性は十分小さい」などと反論していた。【田畠広景】

沖縄県知事選“学会の乱”で玉城氏支持が続々 安室奈美恵の翁長コメントに官邸「けしからん」 (1/2) - AERA dot. (2018年9月28日)

https://dot.asahi.com/dot/2018092800007.html?page=1

9月30日の投票日まで3日に迫った沖縄知事選は、オール沖縄が支援する玉城デニー氏(58)を、自民、公明、維新、希望推薦の佐喜真(さきま)淳氏(54)が僅差で追い上げる大接戦を繰り広げている。

佐喜真氏が子育て、経済、地域振興などの公約を掲げれば、玉城氏は「新時代沖縄」として、人材育成、文化、観光などに重点を置く。基地問題では玉城氏の辺野古移設反対に対して、佐喜真氏は日米地位協定の改定を政府と対等に交渉するとぶち上げた。
佐喜真陣営を応援する自民は、菅義偉官房長官自ら足繁く沖縄へ通い、知名度の高い小泉進次郎衆議院議員小池百合子都知事などを次々に送り込んだ。一方、玉城氏は翁長雄志知事の後継者をアピールしながら、オール沖縄の支持層から幅広く票を取り込む狙いだ。
公明党は自主投票だった前回の知事選と違い、今回は佐喜真氏支持。選挙期間中に支持母体の創価学会員を大量に沖縄へ送り込んでいる。
「本土から約5000人を沖縄入りさせ、学会員や自民党員を投票所へ連れて行く役割を負わされています。そのため、選挙期間中の沖縄のレンタカー予約はたくさんの学会員で埋まっています」(創価学会関係者)
ところが、学会員でありながら公然と玉城氏を支援する人たちが現れた。きっかけを作ったのは浦添市の野原善正氏(58)。30年以上に渡る創価学会員だが、玉城氏の街頭演説で学会のシンボルである三色旗を降りながら支持を打ち出したのだ。

野原氏が語る。
「佐喜真氏は日本会議とも関係が深く、平和思想を説いた創価学会池田大作名誉会長の考えとは真逆な人。そんな人が知事になれば沖縄が大変なことなってしまう。そもそも公明党自体が自民べったりでおかしくなってしまった。いま声を上げないといけないと思い、玉城氏の支援に回ったのです。10万人とも言われる沖縄の学会員が、少しでも多く玉城氏に投票して欲しい」
組織力の強い創価学会で、党が決めたことに公然と反対するのは相当な勇気がいる。野原氏は「すでに村八分状態」というが、YouTubeツイッターを立ち上げて自らの考えを明らかにすることをやめない。
野原氏に刺激を受けた学会員も出てきた。9月22日に開かれた玉城氏の1万人集会に地元や本土から学会員が参加し、三色旗を降る姿が見られたのだ。
那覇市在住の50代の男性学会員は「いままで学会の選挙活動には協力してきたが、平和思想をないがしろにするような候補を応援する今回ばかりは協力できない」
また、千葉県からたまらず沖縄に駆け付けたという50代の女性学会員は、「玉城氏を支持するというと周りの学会員にはだいぶ怒られた。だけど、いま勇気を出して言わないと沖縄がダメになってしまう」と話した。
一方、沖縄県は8月、名護市辺野古の埋め立て承認を撤回するなど政府と対立姿勢を強めているだけに、自民は佐喜真氏を是非とも勝たせたい。それを象徴するような話がある。
沖縄出身で5月に県民栄誉賞を受けた安室奈美恵さん(9月16日に引退)は、翁長雄志前知事が亡くなった翌日にこんなコメントを発表した。
<翁長知事のご遺志がこの先も受け継がれ、これからも多くの人に愛される沖縄であることを願っております>
沖縄の若者に大きな影響力を持つ安室さんだけに、翁長氏寄りとも読めるこのコメントを面白く思わなかったのが官邸サイド。地元に怒りをぶちまけたと言うのだ。社民党照屋寛徳衆議院議員が言う。
「官邸が沖縄の建設業者へ電話を入れ、『安室奈美恵は、あんなコメントを発表してけしからん』と不満を漏らしたのです。そんなことを沖縄の人たちに言う官邸こそ、奢り高ぶっていてけしからんのではないでしょうか」
こうした自民党の奢りを指摘する声は、自民内部からも聞こえてくる。
「佐喜真氏は沖縄の携帯料金を4割下げると言ったが、あれこそ沖縄県民を金で釣ろうとバカにしている。それを言わせた安倍政権が奢ってしまっている証拠です」(中堅議員)
選挙戦もいよいよ終盤だが、今回の知事選では期日前投票が際立って多い。9月26日現在で全体の約2割に当たる1万6183票が投票を済ませた。これは4年前の知事選と比べて2・4倍多い。期日前投票数は組織票の多さに比例すると言われるが、今回は投票日に台風24号が沖縄に接近すると予想され、両陣営や選挙管理委員会が早めの投票を呼び掛けていることもある。
果たして、県民はどちらを選ぶのか。(ジャーナリスト・桐島瞬)

(政界地獄耳)日本に教訓与える他国の政治家2人 - 日刊スポーツ(2018年9月28日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201809280000158.html
http://archive.today/2018.09.28-010259/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201809280000158.html

★世界の政治にはその国の文化やお国柄が反映される。民主主義国家からすれば、体制の違う国に違和感を感じる場合もあるだろうが、往々にしてその国にはその国の政治がある。マレーシアで1981年から03年の23年間、首相を務めたマハティールは今年、93歳で首相に返り咲き、公約だった消費税の廃止を実行した。開業医から首相になり、欧米ではなくアジアの日本から経済成長を学ぼうとルックイースト政策を取り入れて多民族・多言語国家マレーシアを一躍、東南アジア諸国連合ASEAN)の有力国に押し上げた。

★一方、昨年、フランス大統領選で社会党など左派陣営の統一候補を決める予備選で敗れた元首相のマニュエル・バルスはフランスの国会議員を辞職し、来年5月に行われるスペインのバルセロナ市長選挙に出馬する意向を表明した。元首相が他国の市長選挙に出るとは異例だが、まだ56歳という若さのバルスバルセロナ生まれ。カタルーニャ出身の父親とスイス・イタリア系の母親と共にパリで育ち、20歳の時にフランス国籍を取得した。今回は故郷で新しい道を模索しようとしている。EU移民問題などで停滞気味の欧州の中でも大きな話題といえる。

★複雑な多言語と民族問題。それに移民問題を抱える中、バルセロナは人口160万人と飽和状態。加えてバルセロナ・オリンピック以来、激増する観光客に市民生活が脅かされるという都市問題を抱える。この挑戦が功を奏すかどうかはバルセロナ市民が決めることになるが、マレーシアとバルセロナは今の日本に教訓を投げかける。1つは消費税を廃止したマレーシア。そして、観光立国や観光大国を目指す国家の限界をバルセロナに見ることができる。一極集中や移民問題も底流には流れているだろう。そして、それを受け止める政治家がいるということも。世界は動いている。(K)※敬称略

<ウチナーンチュ 心の痛み 沖縄知事選を前に>(中)交付金 覆された民意 - 東京新聞(2018年9月25日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018092502000113.html
http://web.archive.org/web/20180925021936/http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018092502000113.html


沖縄県知事選が始まって最初の日曜日の十六日、名護市辺野古の米軍基地建設予定地に近い市立久辺(くべ)小学校で、運動会が開かれた。
子どもの応援に来た保護者らが新しい子育て支援策を話題にしていた。「本当に助かりますよ」。四年生の末っ子を含めて六人の子を育てる母親(49)が実感を込めて話した。九月から保育園・幼稚園の利用料や小中学校、公立幼稚園の給食費が無料になったからだ。
財源は、政府が在日米軍再編の影響を受ける自治体に出す再編交付金。今年二月、与党が支持した渡具知(とぐち)武豊市長が初当選し、二〇一七、一八年度分の計二十九億八千万円が市に入ることになった。米軍普天間飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の辺野古移設に反対だった、前市長稲嶺進氏が当選した〇九年度からストップしていた政府のアメが復活した。
三十代の父親二人も「基地は誰だって嫌だ。でも国は止められない。どうせ造られるなら、町をよくしてもらった方がいいんじゃないかって考えている人が辺野古は多いよ」と話した。
市内の高台にある畑。猛暑の中、草刈りをしていた稲嶺諭さん(50)は「ここは農業用水がきていないから水くみで下の集落まで何往復もしなくちゃならん」とぼやく。「稲嶺さんの時代から交付金があったら、とっくに農業用水もできていたんじゃないかって。きれいごとで飯は食えないさ」
札束でほおをたたくようなやり方は海上でも。海上抗議行動を監視する警戒船として一日数万円で漁師を雇っている。〇五年ごろ、政府による沖合のボーリング調査を阻んだのは漁師たちだった。宜野座村漁協の畠腹(はたふく)英幸さん(64)は今回、政府から警戒船を出すよう依頼され協力している。「海上への基地建設は自分の畑を荒らされるのと同じ。賛成する漁師は誰もいないけど、工事は始まっており、国を止めようがない」
政府によるムチもある。辺野古移設に協力的だった仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事時代、沖縄振興予算は一気に五百億円増え三千五百一億円に。それが移設反対の翁長雄志(おながたけし)氏が一四年に仲井真氏を破ると次第に減額され、一八年度は三千十億円にまで減らされた。「公営住宅の整備の先延ばしや道路整備を縮小せざるを得なかった」と県の担当者は話した。
辺野古基地予定地の隣にある米軍キャンプ・シュワブ演習場。ヘリポートから数百メートルに位置する畑で、農家の比嘉増隆さん(65)はサトウキビやカボチャを育てる。オスプレイが頭上を頻繁に飛び交うといい、比嘉さんは「政府からの金は一時的なもの。地域の安全と引き換えにはできない」と基地建設に反対する。
辺野古金物店を営む西川征夫(いくお)さん(74)は「普天間基地海上への移設案が浮上した一九九六年ごろから地域は分断されてきた」と話す。二〇一五年には建設予定地の地元に政府が補助金を直接投入。「中立だった人もどんどん容認に流れた」
反対運動を続けてきた浦島悦子さん(70)は「一九九七年の住民投票で、海上ヘリポート反対の意向が示されたのに、政治に覆された影響も大きい。民意を示したのに推進されたショックで、今では何もしなくなった人が多い。私も疲れました」と言葉を絞り出した。

<ウチナーンチュ 心の痛み 沖縄知事選を前に>(下)「病巣」放置 続く事件 - 東京新聞(2018年9月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018092802000138.html
https://megalodon.jp/2018-0928-0928-21/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018092802000138.html


沖縄県恩納(おんな)村。知事選の告示から一週間後の二十日、山を貫く県道104号の脇に、みずみずしい花や菓子が供えられていた。二〇一六年四月、元米海兵隊員に暴行目的で襲われ、殺された二十歳の女性の遺体が遺棄された現場だ。手を合わせた那覇市の自営業の初老男性はつぶやいた。「いつまでこんな事件が繰り返されるのかね」
この日、殺人罪などに問われた元海兵隊員で元軍属のケネス・シンザト被告(34)に、福岡高裁那覇支部は一審と同じ無期懲役を言い渡した。「基地があるがゆえに起こること」と訴えてきた女性の父親は悲痛な思いをコメントに込めた。「私たちの心には埋めることのできない大きな穴があいています。悲しみに耐えることができないときもあり、涙が出てきます」
米軍人や軍属らによる事件事故は後を絶たない。日本の警察が米軍人らを捜査する際、日米地位協定の制約が背景にあることが長年指摘されてきた。シンザト被告は基地外に住んでいたため日本側が身柄を押さえられたが、犯人が基地内に逃げ込んでしまえば、警察が身柄を確保することや証拠を押さえることが難しい。米軍基地が集中する沖縄では、表沙汰になる事件事故は氷山の一角とされる。
「基地があったら必ず被害がある。それを放置していることが一番の問題なのに」。高校生だった十七歳の時に米兵に暴行された被害を公に証言している金城葉子さん(64)は怒りを込めた。「本土の人は分からないでしょうけど、病巣は一向に完治していないんですよ。でも地位協定も何も改善されない」
シンザト被告の事件後、日米政府は軍属の範囲を絞る合意をした。日本側の権限が及ぶ範囲を拡大するとの触れ込みだったが、被害者遺族の代理人の村上尚子弁護士は指摘する。「実態はほとんど変わらない。基地問題を沈静化させようとのアピールにすぎない」
「パンパン、パパパパ…って。演習で銃の発射音が聞こえたら作業小屋にこもるよ。流れ弾が飛んできたと聞いたとき、またかと思った」。米軍キャンプ・シュワブに隣接する名護市数久田(すくた)の農地。果樹農家の久高(くだか)幹夫さん(53)は事件を振り返った。
六月二十一日、米軍の重機関銃から発射されたとみられる弾が、付近の農作業小屋の窓を貫通した。一つ間違えば死傷者が出ていた。まだ米軍は認めていない。県によると、本土復帰後だけで流れ弾などの事故は二十九件目。久高さんは「米軍基地はほかに行ってほしいし、辺野古の新基地も何でここじゃないとだめなのか。本当は国全体の問題だよね」。
流れ弾以外も事故は頻発し、昨年十二月には、宜野湾(ぎのわん)市内の小学校校庭に米軍ヘリの窓が落下した。一昨年十二月には名護市沖で垂直離着陸輸送機オスプレイが大破。だが、いずれも日本側は検証できない。
県道104号では、かつて道をまたいだ米軍の実弾演習が行われていた。一九九五年の少女暴行事件後、沖縄の「負担軽減」の一環として、訓練は本土に移ったが、近くに住む農業外間優(ほかままさる)さん(68)はぼやく。
「今でも夜まで機関銃の音が響いて、ヘリもワーワーうるさい。もし何かあっても、米軍に何もできない。そんな状態は変えないといかん」。いつしか手ぶりが大きくなった。
幾重もの痛みの歴史を胸に、約百十六万の県民有権者が投票に臨む。 (西田義洋、井上靖史、原昌志が担当しました)

(筆洗)「とても」は主に「〜ない」などとともに使う言葉 - 東京新聞(2018年9月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018092802000131.html
https://megalodon.jp/2018-0928-0929-03/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018092802000131.html

「とても美しい」。日本語として表現上の不自然を感じる方は少ないだろう。作家円地文子は違った。<文章の中で「とても」を肯定に遣(つか)う気にはならない>(『おやじ・上田万年(かずとし)』)
「とても」は主に「〜ない」などとともに使う言葉で、肯定の用法は、円地の若いころに、はやり始めたという。父の学者上田万年は現代国語学の生みの親とされ、日本語の乱れに厳しかった。新たな使い方を嫌ったそうだ。芥川龍之介も、この用法を<新流行>と表現して、違和感をにじませている。
言葉は変わる。文化庁が例年発表する国語に関する世論調査は、それを知らされる機会だ。今週あった発表も豊富に例がある。
「なし崩し」に「げきを飛ばす」。いずれも二割ほどしか「少しずつ返していく」「考えを広く人々に知らせ同意を求める」という本来の意味を理解していなかった。小欄も多数派の一員だった。「立ち位置」なども新しい用法と意識せず使っていた。
いつかは「とても」のように完全に根付く用法なのかもしれない。数年前に調査に登場した「真逆」は今や新聞記事にも多い。
「流れにさおさす」を「傾向に逆らう」と本来の意味と逆に理解している人が多い。かつての調査結果にあった。言葉の変化の流れに安易にさおさしてはならない。言葉の世界に身を置く者としては、あらためて自らを戒める機会と思いたい。

高校無償化訴訟 大阪朝鮮学園側、逆転敗訴 大阪高裁 - 毎日新聞(2018年9月27日)

https://mainichi.jp/articles/20180927/k00/00e/040/324000c
http://archive.today/2018.09.28-003354/https://mainichi.jp/articles/20180927/k00/00e/040/324000c

大阪朝鮮高級学校東大阪市)を高校授業料無償化の対象から外したのは違法として、運営する学校法人・大阪朝鮮学園大阪市)が国に処分の取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。高橋譲裁判長は「学校は朝鮮総連から不当な支配を受けている疑いがある」として、国の処分を違法として無償化するよう命じた1審・大阪地裁判決を取り消し、学校側の逆転敗訴を言い渡した。学校側は上告する方針。
同種訴訟は全国5地裁・支部で起こされ、控訴審判決は初。これまで大阪以外の3地裁では訴えが退けられていた。唯一学校側が勝訴した判決が覆った。
高校の無償化は2010年4月、当時の民主党政権下で導入されたが、12年の政権交代後、国は朝鮮総連との関係などを問題視。13年2月、朝鮮学校を無償化の対象とする文部科学省令の規定を削除した。
教育基本法は、教育が政治などによる「不当な支配」を受けることを禁じている。高橋裁判長は、朝鮮学校朝鮮総連から指導や財政支援を受けている▽北朝鮮の指導者を礼賛した教科書を使っている▽総連が教育内容に強い影響力を行使している−−などと指摘。教育の自主性をゆがめる支配を受けている疑いがあると認定した。
さらに、無償化した場合は授業料に充てるための支援金が適正に管理されない可能性もあるとして、「国による裁量権の逸脱・乱用とは言えず、違法ではない」と結論付けた。
国が省令規定を削除したことについて、1審判決は「教育の機会均等とは無関係な政治的判断に基づくもので、違法・無効だ」と判断していたが、高裁は判断を避けた。
丹羽雅雄弁護団長は「1審判決は子どもの学ぶ権利を考えてくれたが、高裁は朝鮮総連との関係のみで判断した。著しく不当な判決だ」と話した。
文科省は「国の主張が認められたと受け止めている」とのコメントを出した。【遠藤浩二

大学入試英語 公平さに不安ないよう - 東京新聞(2018年9月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018092802000161.html
https://megalodon.jp/2018-0928-0930-04/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018092802000161.html

東大は二〇二〇年度から大学入学共通テストに導入される英語民間試験の成績提出を義務付けないと決めた。民間試験活用は国の入試改革の柱だが、公平さに不安を残さぬよう慎重に進めるべきだ。
今の高校一年生がすでに対象となる制度変更だ。人生にもかかわる入試の方針は本来、可能な限りすみやかに示すべきだが、東大がこれまで決めかねたのは、いくつもの心配な点があるからだ。
現在の大学入試センター試験の後継で始まる共通テストの英語で、「聞く・話す・読む・書く」の四技能を測る民間試験の活用が決まったのは、とくに話す力を測ることが目的とされている。
だが文部科学省が認定したTOEICなど八種類の試験を公平に比較できるのか、住む地域や家の経済力などで受験機会の格差が生まれないかなど疑念は解消されていない。
二三年度までは、入試センターも共通テストを作る併存期間とされているため、国立大学協会は、民間試験の結果に水準を設けて出願資格とすることや、共通テストの得点に加点するなどの形での活用をガイドラインで示している。
東大は五神真学長が林芳正文科相に採点ミスなどトラブル発生時の国の責任を直接問うなどの異例の対応を経て、結論に至った。「現時点ですべての問題が払拭(ふっしょく)されたわけではない」(福田裕穂副学長)として、二〇年度については基礎的な英語力があることを示す一定水準の民間試験の得点を出願資格としたうえで、高校が調査書などで同程度の実力を証明することでも出願が可能とした。
心配される負の部分を極力小さくすることに努めた方策といえる。方針を決めかねている他大学にも影響を与えるだろう。
グローバル社会では話す力がますます求められるだろうという、改革の背景は理解できる。ただ小学校での英語教育もこれから本格化するという段階だ。大学入試という「出口」で拙速に成果を求めるのではなく、義務教育から大学に連なる一連の教育の過程で、話す力をどう強化できるのか、授業の工夫や支援にまずは軸足を置くべきではないか。
民間試験の活用で、トラブルは起きるのか。起きた場合に、受験生に不利とならない解決が可能なのか。どんな学生が入学し、学びはどう変化したのか。二四年度以降の英語入試のありようを見定めるには丹念な検証を続けることが必要だ。

<金口木舌>車いすの大統領と『遅刻』の大統領 - 琉球新報(2018年9月28日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-809290.html
http://archive.today/2018.09.28-003205/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-809290.html

国連総会の一般討論演説。1番手のブラジルの後に演説予定だったトランプ米大統領が現れない。遅刻だった

▼順番が急きょ繰り上がり、演台に車いす用のスロープが準備された。登壇したのは、南米エクアドルモレノ大統領。約20年前、強盗に銃で撃たれ、両足の自由を失った「車いすの大統領」だ
▼痛みや車いすを通し「心の目で見るようになり、今までと別の現実、世界を知った」と語る。障がい者の権利をはじめ、女性や子ども、先住民族が直面する不平等を語り、人々の幸せと平和の追求のために、国連の重要性を訴えた
▼視界が変わると、世界の見え方が変わる。電動車いすで生活する伊是名夏子さんによるエッセー連載「100cmの視界から あまはいくまはい」は多くの気づきを与えてくれる。街中の不便さや心ない視線。それを変える心遣いや魔法の言葉と、自由、多様性の大切さを痛感する
▼「遅刻」のトランプ氏は就任以降、「歴代政権より多くのことを成し遂げた」と自慢から始め、国際協調に逆行する演説をした。安倍晋三首相は自由貿易でウィンウィンな関係を続けたいと米国にラブコールを送った
▼両首脳の「視界」は、さまざまな問題に直面する国際社会にどう映るのか。必要なのは、自画自賛や従属関係より、多様な人々と手を取り合い、話し合い、進むことであるはずなのに。