高校無償化訴訟 大阪朝鮮学園側、逆転敗訴 大阪高裁 - 毎日新聞(2018年9月27日)

https://mainichi.jp/articles/20180927/k00/00e/040/324000c
http://archive.today/2018.09.28-003354/https://mainichi.jp/articles/20180927/k00/00e/040/324000c

大阪朝鮮高級学校東大阪市)を高校授業料無償化の対象から外したのは違法として、運営する学校法人・大阪朝鮮学園大阪市)が国に処分の取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。高橋譲裁判長は「学校は朝鮮総連から不当な支配を受けている疑いがある」として、国の処分を違法として無償化するよう命じた1審・大阪地裁判決を取り消し、学校側の逆転敗訴を言い渡した。学校側は上告する方針。
同種訴訟は全国5地裁・支部で起こされ、控訴審判決は初。これまで大阪以外の3地裁では訴えが退けられていた。唯一学校側が勝訴した判決が覆った。
高校の無償化は2010年4月、当時の民主党政権下で導入されたが、12年の政権交代後、国は朝鮮総連との関係などを問題視。13年2月、朝鮮学校を無償化の対象とする文部科学省令の規定を削除した。
教育基本法は、教育が政治などによる「不当な支配」を受けることを禁じている。高橋裁判長は、朝鮮学校朝鮮総連から指導や財政支援を受けている▽北朝鮮の指導者を礼賛した教科書を使っている▽総連が教育内容に強い影響力を行使している−−などと指摘。教育の自主性をゆがめる支配を受けている疑いがあると認定した。
さらに、無償化した場合は授業料に充てるための支援金が適正に管理されない可能性もあるとして、「国による裁量権の逸脱・乱用とは言えず、違法ではない」と結論付けた。
国が省令規定を削除したことについて、1審判決は「教育の機会均等とは無関係な政治的判断に基づくもので、違法・無効だ」と判断していたが、高裁は判断を避けた。
丹羽雅雄弁護団長は「1審判決は子どもの学ぶ権利を考えてくれたが、高裁は朝鮮総連との関係のみで判断した。著しく不当な判決だ」と話した。
文科省は「国の主張が認められたと受け止めている」とのコメントを出した。【遠藤浩二