(政界地獄耳)日本に教訓与える他国の政治家2人 - 日刊スポーツ(2018年9月28日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201809280000158.html
http://archive.today/2018.09.28-010259/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201809280000158.html

★世界の政治にはその国の文化やお国柄が反映される。民主主義国家からすれば、体制の違う国に違和感を感じる場合もあるだろうが、往々にしてその国にはその国の政治がある。マレーシアで1981年から03年の23年間、首相を務めたマハティールは今年、93歳で首相に返り咲き、公約だった消費税の廃止を実行した。開業医から首相になり、欧米ではなくアジアの日本から経済成長を学ぼうとルックイースト政策を取り入れて多民族・多言語国家マレーシアを一躍、東南アジア諸国連合ASEAN)の有力国に押し上げた。

★一方、昨年、フランス大統領選で社会党など左派陣営の統一候補を決める予備選で敗れた元首相のマニュエル・バルスはフランスの国会議員を辞職し、来年5月に行われるスペインのバルセロナ市長選挙に出馬する意向を表明した。元首相が他国の市長選挙に出るとは異例だが、まだ56歳という若さのバルスバルセロナ生まれ。カタルーニャ出身の父親とスイス・イタリア系の母親と共にパリで育ち、20歳の時にフランス国籍を取得した。今回は故郷で新しい道を模索しようとしている。EU移民問題などで停滞気味の欧州の中でも大きな話題といえる。

★複雑な多言語と民族問題。それに移民問題を抱える中、バルセロナは人口160万人と飽和状態。加えてバルセロナ・オリンピック以来、激増する観光客に市民生活が脅かされるという都市問題を抱える。この挑戦が功を奏すかどうかはバルセロナ市民が決めることになるが、マレーシアとバルセロナは今の日本に教訓を投げかける。1つは消費税を廃止したマレーシア。そして、観光立国や観光大国を目指す国家の限界をバルセロナに見ることができる。一極集中や移民問題も底流には流れているだろう。そして、それを受け止める政治家がいるということも。世界は動いている。(K)※敬称略