言わねばならないこと(109)9条改憲は若者の問題 憲法学者・九州大教授 南野森さん - 東京新聞(2018年5月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2018050202000189.html
https://megalodon.jp/2018-0502-1552-31/www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2018050202000189.html

憲法自衛隊の存在をその権限や任務が変わらないように書き込むことは相当に難しい。その難しさを安倍晋三首相や自民党は理解しているのだろうか。
九条の二に「必要な自衛の措置」をとるための実力組織として「自衛隊」を明記する自民案では、自衛隊を「必要最小限度」の実力組織としてきた従来の政府解釈との関係が不明瞭で、将来自衛隊が相当強大化しても合憲と主張され得る。
九条二項が維持される以上、自衛隊違憲論争に決着をつけることにもならない。自衛隊は今と何も変わらないから安心だ、違憲論争に終止符を打てるから有意義だ、という首相の説明と自民案は適合しない。
憲法の眼目は軍事力や行政権を縛ること。首相と自民党は九条や緊急事態条項でそこをいじろうとしている。九条では党内外の議論の積み重ねを無視して、全然違う案をポンと出し、翌年には発議すると。そんなに軽く扱う条文ではない。
首相自身は自衛隊の権限や性質を変えようとは考えていないのかもしれない。だが将来いつ独裁的な政権ができるか分からない。十年後の日本社会が今では想像さえできない状況になる可能性もある。現政権を支持しているからというだけで賛成してよい問題ではない。将来の日本社会の命運を左右するという意味で、九条改憲若い人たちこそが考えるべき問題だ。
改憲は国会が発議し、国民が投票で決める。国民投票有権者憲法を理解してもらうため、憲法学者が何をすべきか考えるようになった。関心がない人にどう関心を持ってもらうかは永遠の課題。憲法は自分たちの生き死にや将来世代の生活にかかわることを、いろんな機会に少しずつ伝えていくしかない。

<みなみの・しげる> 京都府生まれ。東京大大学院法学政治学研究科博士課程、パリ第10大大学院博士課程を経て、2002年に九州大准教授、14年から現職。主な著書に元AKB48の内山奈月さんと共著の「憲法主義〜条文には書かれていない本質」など。

「言葉の海へ 第30回」ぼくは護憲論者です。(鈴木耕) - maga9 (2018年5月1日)

http://maga9.jp/180501-2/

5月3日、憲法記念日です。それにちなんだ原稿を書きました。ご興味があったら読んでみてください。

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最近「護憲的改憲論」とか「立憲主義改憲論」というような意見を聞くようになった。繰り返すが「マガジン9」は「日本国憲法第9条の精神」、すなわち非戦・不戦・平和という9条の持つ意味を「9」に込めたのだ。
ぼく自身は、発足からかかわったのであり、9条を守りたい、という気持ちにはいささかの揺らぎもない。しかし、これはあくまで「マガジン9」のスタッフの一員としてのぼくの信条であり、他のスタッフや書き手、協力者のみなさんに、それを押しつけるつもりはないし、押しつけても来なかった。
だから、「9条の精神を守るためにも、憲法に不戦の意志をきちんと書き込むことが必要だし、そのためにも『自衛のための組織』としての自衛隊の存在を明記しなければならない」とする意見は、それはそれとして尊重する。
ただし、それはぼくの意見とは違うということを、ここにはっきりと言明しておく。ぼくは、そういう「改憲」であっても認めるつもりはない。
「護憲的改憲」を主張する人たちによる「改憲項目」の一つひとつには、納得できる内容が多い。その通りだなあ、と思うこともある。しかし、なぜそれを「憲法」に書き入れなくてはならないのかが判然としない。ほとんどが、一般の法律で片付くような条項ではないか、と思うのだ。

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憲法どうするか考えて 県内各地でイベント:千葉 - 東京新聞(2018年5月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201805/CK2018050202000134.html
https://megalodon.jp/2018-0502-2220-55/www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201805/CK2018050202000134.html

三日は憲法記念日。現政権による改憲論議が加速する中、私たちは国民投票改憲案に賛成か反対かの意思表示を求められる可能性がある。憲法を考えるきっかけにしてほしいと、各地でイベントが開かれる。

 【3日】
「守り抜こう!憲法九条 不戦の誓い」をスローガンに「松戸憲法記念日の集い」(主催・同実行委員会)が午後一時から松戸市民会館で開かれる。ルポライター鎌田慧(さとし)さんが講演。会場を交え戦争と平和、人権などについて意見を交わし、憲法を守り、生かすにはどうすべきか考える。
鎌田さんは業界紙記者を経て、フリーライターに。「反骨 鈴木東民の生涯」「六ケ所村の記録」「原発列島を行く」など百三十を超す著書がある。
参加費五百円(資料代含む)、十八歳以下無料。問い合わせは今井さん=電047(344)9454=へ。

 【4日】

野田市中央公民館で午後一時半から講演会が開かれ、同三時半からピースパレードがスタートする。
主催は「平和のための戦争展・のだ二〇一八実行委員会」。市民や非政府組織(NGO)、学者、アーティストらでつくる「武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)」代表の杉原浩司さんが「『先取り壊憲(かいけん)』の武器輸出入を止めるために」と題して講演する。パレードは午後四時半まで。「戦争反対」「九条を守ろう」などと訴えながら、中央商店街を通り欅(けやき)のホールまで行進する。
資料代三百円。十八歳以下は無料。問い合わせは実行委の田口さん=電04(7129)4297=へ。

【5日】

柏市の市民文化会館大ホールで午後一時から「第九回かしわ市民憲法集会」が開かれる。憲法問題に詳しい伊藤塾塾長の伊藤真弁護士が「憲法が危ない!〜安倍改憲の核心を突く〜」と題して講演する。
主催の実行委員会は「自民党などの改憲草案を点検し、あらためて『憲法とは何か』を考えてみたい」と集会参加を呼びかける。
参加券は一般四百九十九円、中高生二百円。ハックルベリーブックス(柏郵便局向かい)などで扱っている。問い合わせは実行委の小菅さん=電04(7105)1817=へ。

 ◇ 

千葉市文化センター大ホールで午後二時から、東京慈恵会医科大教授で憲法学者小沢隆一さんが「安倍9条改憲はこの国をどこへ導くのか」と題して講演する。資料代五百円。千葉県憲法会議主催。千葉中央法律事務所=電043(225)4567=へ。

 【12日】

午後一時半から、市川市文化会館・第五会議室で、富山大名誉教授で評論家小倉利丸さんの「『安倍改憲』と『祝・明治百五十年問題』」と題した講演がある。戦争はいやだ!市川市民の会の主催。資料代五百円。菊池さん=電090(6948)8998=へ。

 【19日】

二〇一八年市川憲法集会「安倍9条改憲NO! 講演&トークライブ」が午後二時から、市川市生涯学習センター・グリーンスタジオで開かれる。
元「ザ・ニュースペーパー」の戯作者松崎菊也さんが「安倍改憲を笑いで斬る」と題したトークライブを披露。伊藤塾塾長の伊藤真弁護士が「あらためて憲法を考える−『国民投票』を視野に入れて」と題して講演する。資料代七百円、学生は無料。保育サービスがある(要事前予約)。市川憲法集会実行委員会主催。村上さん=電047(357)9420

【20日】

酒々井町酒々井町中央公民館・視聴覚室で午後二時半から、英エセックス大学人権センターフェロー藤田早苗さんの「だいじょうぶ?メディアの独立と私たちの表現の自由」と題した講演がある。
国際人権法の研究者の藤田さんは、特定秘密保護法の危険性を国連に伝え、国連特別報告者が調査するきっかけをつくった。酒々井憲法を学ぶ会と酒々井九条の会の主催。参加費五百円。大塚さん=電043(496)5971=へ。

 【26日】

午後四時から、酒々井中央公民館・研修室で、伊藤塾塾長の伊藤真弁護士が「憲法をかえるってどういうこと?」をテーマに話す。参加費五百円。酒々井憲法を学ぶ会と酒々井九条の会の主催。大塚さん=電043(496)5971=へ。

憲法を考える 変えられぬ原則がある - 東京新聞(2018年5月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018050202000166.html
https://megalodon.jp/2018-0502-2217-19/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018050202000166.html

日本国憲法改正論議で引き合いに出されるのが、ドイツ基本法憲法)が六十回改正されていることです。しかし、変えていない部分にこそ注目したい。
基本法改正は上下両院で総議員の三分の二の賛成により可能です。日本国憲法改正のような国民投票は必要ありません。これまでの改正は、ドイツ統一に伴うものや欧州連合(EU)関連など多岐にわたりますが、基本原則に触れるものはありません。

◆人間の尊厳不可侵
基本法第七九条が基本原則の改正は「許されない」と定めているためです。その一つが「人間の尊厳不可侵」です。
ドイツ連邦憲法裁判所で十二年前、人間の尊厳不可侵が具体的に問われました。
憲法裁は、法律が基本法に違反していないかを審査し、国が基本法を守っているかを監督する機関で、判決は政治にも大きな影響をもたらしています。
ハイジャック機がビルや米国防総省に突入した米中枢同時テロの記憶がまだ新しかった二〇〇三年一月、男が軽飛行機を乗っ取ってフランクフルト上空を旋回し、ビルに突っ込むと予告しました。
未遂に終わりましたが、航空機テロへの警戒感が強まり、サッカー・ワールドカップの自国開催を翌年に控えた〇五年、ドイツ政府は議会の可決を経て「航空安全法」を施行しました。
論議を呼んだのが、テロリストが民間機を乗っ取り自爆テロに使う恐れがある場合、国が軍に民間機撃墜を命じることができるとの条項でした。
旅客機に乗る機会の多い機長や弁護士らは、航空安全法が基本法に違反するとして、憲法裁に違憲訴訟を起こしました。
これに対し憲法裁は「人間の命と尊厳は憲法で守られなければならない。『撃墜』条項は人間の尊厳不可侵とは相いれない」として違憲との判断を下し、いったんは論争に決着がつきました。

◆テロ機撃墜の是非
しかし、パリなどでテロが相次ぎ、欧州に難民が殺到して治安悪化への懸念が高まった一五年に、航空安全法を巡る議論が再燃しました。
きっかけは、弁護士としても活躍する作家シーラッハ氏の法廷劇「テロ」です。日本語にも翻訳され(東京創元社刊)、舞台でも上演されました。
テロリストが乗客百六十四人の乗った旅客機をハイジャックし、七万人の観客がいたミュンヘン近郊のサッカースタジアムに墜落させると宣告しました。緊急発進したドイツ空軍戦闘機パイロットの少佐はミサイルで旅客機を撃墜、自爆テロは防ぎましたが、乗客は犠牲になりました。
撃墜を認めなかった国防相の命令に反した行動でした。少佐は大量殺人罪で起訴され、市民も参加した法廷で裁かれます。
少佐は「七万人が死ぬのを何もせずに見ていることはできなかった。七万人を救うために百六十四人を殺すのは正しい」と主張し、憲法裁の違憲判決が国を無力にしたと批判しました。しかし、乗客に自分の家族がいても撃墜したかと問われると、口ごもります。
乗客の遺族の妻は「パパがどんなにおいだったかもう忘れてしまった」との娘の言葉を引用し、喪失感を訴えました。
結末には、二通りの判決が示されます。
有罪判決は「人間の尊厳は基本法最上位の原則」であることが根拠とされます。
無罪判決は「より小さな悪を選択したので刑法上の欠点はない」と指摘しました。
どちらを選ぶかは、読者の判断に委ねられています。
ちなみに、日本でこの舞台劇が上演された際のアンケートでは、東京公演では無罪が、名古屋では有罪が、それぞれわずかに半数を上回っていたそうです。
「人間の尊厳不可侵」同様、基本法が変えてはならないとしている原則は、基本的人権国民主権、国の秩序を壊そうとする者への抵抗権などを定めた項目です。

◆歴史に学んだ基本法
議会制民主主義を独裁に変えたナチの統治は、ホロコーストなど人類史の汚点ともいえる破局をもたらしました。抵抗権は、一九六八年の緊急事態条項追加とともに加えられました。基本法は歴史に学んだたまものなのです。
ドイツ社会は基本法の原則について議論を重ねながら、守り続けてきました。
何を変えるかよりも、何を変えてはいけないか。基本法の原則についてのドイツの議論は、日本の憲法論議を考える上でのヒントも与えてくれそうです。
日本国憲法の基本原則は国民主権基本的人権、そして平和主義です。

憲法って何? なぜ70年以上変わらないの? 超解説 - 朝日新聞(2018年4月29日)

https://www.asahi.com/articles/ASL4X2RZFL4XUTFK001.html
http://archive.today/2018.05.02-132104/https://www.asahi.com/articles/ASL4X2RZFL4XUTFK001.html

1945年の敗戦から、昭和、平成と時代は移り、来年には新たな元号も制定されます。そんな中、70年以上もの間、まったく変わっていないものがあります。それが日本国憲法です。
安倍晋三首相は再び政権の座についた2012年末から、この憲法を変えようと訴えています。憲法はなぜ長い間変わらなかったのか、安倍首相はなぜいま変えようとしているのでしょうか。
「国の最高法規」と言われる憲法は、「だれもが生まれながらに持っている、人間が人間らしく生きる権利」、つまり基本的人権を守るための原則や、国会(立法)、内閣(行政)、裁判所(司法)などによって国を運営する仕組みを定めていますが、法律とは大きく違う点があります。
例えば刑法では人を傷つけたり、人から物を盗んだりしてはいけないと決められていて、違反すれば罰せられます。このように国民が守るべきルールが定められているのが法律です。
国が守るルール
これに対して憲法は、国が守らなければならないルールです。国は憲法に違反する法律をつくることはできません。
最高法規である憲法を簡単に変えることができると、国の運営が不安定になったり、国民の人権が十分に保障されなくなったりしてしまう心配が出てきます。そのため、ほとんどの国では憲法を改正するには、法律の制定や改正よりも厳しい条件を課しています。
日本では衆参両院の3分の2以上の議員が賛成したうえで、国民投票過半数の承認が得られなければ憲法は改正できません。戦後、米国で6回、フランスで27回、ドイツでは59回の改正が行われました。一方、日本では一度もありません。この高いハードルが、いままで憲法が改正されてこなかった理由のひとつです。
9条の支持根強く
もうひとつの理由は、憲法の平和主義が多くの国民に支持されてきたことです。
日本はかつての軍国主義が悲惨な戦争を起こしました。その反省から、9条によって戦争をしないこと、戦力を持たないことを定めました。それでも日本は国民の生命や安全を守るために自衛隊を持ち、日米安全保障条約をもとに米軍と共同で他国からの脅威に備えています。
9条の平和主義があったからこそ70年以上戦争がなかったのだと多くの国民に支持されてきたことも、憲法を守ろうという意識につながっています。
これまで自民党政権は、軍事上の制約がある自衛隊ではなく、他国と同じような活動ができる軍を持つために9条改正をめざしてきました。また、いまの憲法の原案は敗戦後に日本に駐留した占領軍によって書かれた「押し付け憲法」だとの不満もあります。これが、安倍首相が憲法改正を訴える狙いです。
ただ、首相のこうした訴えには反対の声も強く、憲法改正論議がこれからどう進んでいくかは見通せません。(編集委員・国分高史)

水俣病「救済終わっている」チッソ社長発言 慰霊式後に - 朝日新聞(2018年5月1日)

https://www.asahi.com/articles/ASL51541HL51TIPE01M.html
http://archive.today/2018.05.01-222313/https://www.asahi.com/articles/ASL51541HL51TIPE01M.html

水俣病の公式確認から62年を迎えた1日、水俣病犠牲者慰霊式が熊本県水俣市の「水俣病慰霊の碑」前で営まれた。参列した原因企業チッソの後藤舜吉社長(83)が式後の取材に対し、水俣病被害者救済法(特措法)に盛り込まれた事業子会社JNC株売却要件の一つである「救済の終了」について「異論はあるかもしれないが、私としては救済は終わっている」と述べた。
現在も患者認定を求める人がおり、訴訟も続いていることから患者・被害者団体からは「加害企業としてあるまじきことだ」と批判の声があがっている。
後藤社長は、JNC株の売却について「ぜひやりたいと思っています」と意欲を示した。チッソはこの株を売却した後、会社の清算が可能になるため、補償の主体が消えるとの懸念が患者・被害者団体にある。
水俣病の「最終解決」を掲げる特措法では「市況の好転」と「救済の終了」を条件に、環境相の承認を得てJNC株を売却できる手続きが盛り込まれている。今回の発言を受け、中川雅治環境相は「現時点で救済の終了とは言いがたい」との見解を示した。
後藤社長は昨夏、最高顧問から社長に異例の復帰を遂げ、7年ぶりに慰霊式に出席。取材に「救済とは特措法(水俣病被害者救済法)による救済という意味。あたうかぎり(可能な限り)広く救済したわけです」と答えた。特措法に基づく救済策は2014年に対象者の判定が終わっている。後藤社長は現在も続く訴訟の原告らを念頭に「いろいろ紛争がありますけども、その広い範囲の救済にもかからなかった人たちですから」とも述べた。
原告らが所属する水俣病不知火患者会の元島市朗事務局長は「被害者が救済を求めて裁判を続ける現実を見ていない。被害者に対する冒瀆(ぼうとく)だ」と批判した。水俣病被害者互助会の谷洋一事務局長は「自分たちが水俣病で何をしたのか理解していない」と述べた。(田中久稔、奥正光)

チッソ「水俣病 救済終了」 患者ら「特措法で幕引きとんでもない」 - 東京新聞(2018年5月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201805/CK2018050202000136.html
https://megalodon.jp/2018-0502-0922-49/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201805/CK2018050202000136.html

四大公害病の一つ、水俣病の公式確認から六十二年となった一日、原因企業チッソの後藤舜吉社長は、熊本県水俣市で開かれた犠牲者慰霊式に参列後、報道陣に「水俣病特別措置法の救済は終了した」と発言した。「救済というのは、特措法による救済という意味。今の(訴訟などの)紛争は、それに掛からなかった人たちだ」とも述べた。 
熊本、鹿児島両県では計千九百人近くが患者認定を申請中。認定や損害賠償を求めた訴訟も各地で続く。後藤氏は一連の発言で、事業を継いだ子会社JNCの早期上場実現に意欲を見せた。中川雅治環境相は式典後の記者会見で「多くの人が認定申請や訴訟提起をしている。救済終了とは言い難い」として、上場承認に否定的な見解を示した。
後藤氏の発言に、水俣病被害者互助会の谷洋一事務局長(69)は「健康被害の認識が欠落している。理解できない」と批判。水俣病不知火患者会の大石利生会長(77)は「まだ裁判で認定を得ようと闘っている人もいる中で、特措法で終わらせるなんてとんでもないことだ。被害者救済で幕引きを図りたいとの意図が透けて見える」と憤った。
チッソは上場による株式売却益を患者らの補償などに充てたい考え。ただ特措法は環境相の承認と救済の終了、市況の好転を株売却の条件としている。後藤氏は、被害者側からこれまで「上場でチッソ清算され、水俣病問題の幕引きが図られるのでは」との懸念が挙がっていることについて「チッソは補償責任が済むまであり続ける」と語った。
熊本、鹿児島両県やチッソによると、一日までに熊本県が認定した患者数は千七百八十九人、鹿児島県は四百九十三人。そのうち存命は計約三百五十人で、平均年齢は三月末現在で七八・三歳。一九九五年の政治解決などで一時金の支給対象となった未認定患者の数は、両県で計四万人超。そのうち一二年に申請が締め切られた特措法に基づく対象者は、三万人以上となっている。

日立が英への原発輸出で最終調整 撤退の可能性も - テレ朝(2018年5月1日)

http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000126326.html
https://megalodon.jp/2018-0502-0948-48/news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000126326.html

日立製作所が計画しているイギリスへの原発輸出を巡って、最終調整です。
関係者によりますと、日立の中西会長は、今月3日にイギリスのメイ首相と会談し、イギリス側の出資額の拡大や、原発の価格保証を引き上げるよう求めることが分かりました。日立が進める原発の建設計画は、事業費が3兆円にも上り、東芝のようにさらに建設費が増大するリスクもあるため、イギリス側と出資額などを交渉してきました。日立は好条件が引き出せなければ撤退も視野に入れていて、今月末の取締役会で協議するものとみられます。


岡山・加計学園 柳瀬氏、面会認める意向 国会答弁へ - 毎日新聞(2018年5月2日)

https://mainichi.jp/articles/20180502/ddm/001/040/157000c
http://archive.today/2018.05.01-231925/https://mainichi.jp/articles/20180502/ddm/001/040/157000c

学校法人「加計学園」による国家戦略特区を利用した獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)は、2015年4月2日に同学園関係者と首相官邸で会ったことを認める意向を固めた。面会をうかがわせる文書が愛媛県農林水産省などで見つかり、否定し続けるのは難しいと判断した。与野党が国会招致で合意すれば、答弁で説明する。自民党幹部が明らかにした。【村尾哲】
愛媛県と同県今治市職員、加計学園事務局長らが柳瀬氏と面会したという県職員作成の文書が報じられた4月10日、柳瀬氏は「記憶の限りでは、愛媛県今治市の方にお会いしたことはありません」とのコメントを出した。文書では柳瀬氏が「本件は、首相案件」と述べたとされるが、柳瀬氏は「私が外部の方に対して、首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ません」と否定した。
その後、愛媛県の文書とほぼ同じ内容の文書が農水省で見つかり、文部科学省内閣府から受け取ったメールには、15年4月2日に柳瀬氏と愛媛県今治市職員、加計学園幹部らが面会する予定と記されていた。
立憲民主党など野党6党は柳瀬氏の証人喚問を要求し、参考人招致にとどめたい与党と駆け引きが続いている。
いずれの方法にせよ国会招致は避けられない状況になり、安倍晋三首相は4月26日、衆院予算委員会で「柳瀬氏は国会に呼ばれれば、しっかりと誠実にお答えする。知っていることをすべて明らかにしてもらいたい」と答弁した。
柳瀬氏は、面会の有無が国会で問題になった昨年7月、職員らと会った可能性を周辺に認めていたことが明らかになっている。名刺交換しなかったため、記憶がないという。
自民党幹部は1日、柳瀬氏の4月10日のコメントを踏まえ「愛媛県今治市の職員は加計学園関係者の後ろにいたから、記憶に残っていないのだろう。学園関係者との面会を認めても、うそをついたことにはならない」と述べ、従来の説明との整合性はとれるという見方を示した。
しかし、柳瀬氏が加計学園側との面会を認めれば、特区での認定が「加計ありき」だったという疑いはより深まる。野党が会談内容を追及するのは確実で、政府はさらに追い込まれる可能性がある。

(政界地獄耳)連合のパワハラからどう逃れるか - 日刊スポーツ(2018年5月2日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201805020000179.html
http://archive.today/2018.05.02-011847/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201805020000179.html

★国民民主党が結党するにあたり、民進党は新党に参加しない場合は離党届を出すように要求。民進党無所属の会衆院議員・安住淳は「追及を一生懸命しろというのが国民の声じゃないの」と発言。1日、党に離党届を提出した。当面は無所属の考えを示している。また「前原は、いまだに我々をだましたとも思っていない。そういう人と政治行動は一緒にできない」とした同党衆院議員・福田昭夫も、今月7日にも離党届を提出し、立憲民主党への入党を示した。また無所属の会代表の衆院議員・岡田克也参院議員・小川敏夫らも新党には参加しないと表明している。
★昨年秋、当時勢いのあった希望の党代表で都知事小池百合子と、当時の民進党代表・前原誠司、連合会長・神津里季生が仕掛けた野党分断作戦。あわよくば、自民党と連立ももくろむ邪道政治を推進した。それまでは野党共闘でまとまろうとしていた野党全体の議論を粉砕。「排除の論理」で旧民主党復活に掛けた。この極めて政治音痴な展開で、小池は希望の党からも追いやられ、前原は政界に居場所もない。目的は野党を分断し壊滅させることであるならば、3人の計画は勝利したともいえる。
★国民民主党というなんともすわりの悪い新党を再び促しているのは、神津だ。先月29日には「民主党政権が崩壊して以降のバラバラ感、ガタガタ感…。そのことの反省が1人1人の政治家にどこまであるのか」と発言。ある民進党議員は「そっくりそのまま返したい」と、不快感をあらわにした。19日の会見でも神津は、新党参加者が伸び悩んでいることにしびれを切らし「信頼感のある振る舞いがないと、心より応援するということになり得ない」と、参加しないと支援しないぞと脅しをかけた。連合の言う心からの応援とは何か。ある野党議員は「これは民進系議員の働き方改革だ。連合のパワハラからどう逃れるのか。連合の政治的野心に利用されないようにするための闘い」と言い放った。メーデーにふさわしい発言だ。(K)※敬称略

(私説・論説室から)立ち位置を守る国 - 東京新聞(2018年5月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2018050202000165.html
https://megalodon.jp/2018-0502-2218-22/www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2018050202000165.html

シリア攻撃では米国に同調した英仏がニュースの見出しに躍ったが、脇役に回ったドイツの振る舞いにむしろ潔さを感じた。
メルケル独首相はシリアでの化学兵器使用は批判したが、「ドイツは軍事行動には参加しない」と早々に明言し、国連の枠内での平和的解決を目指す考えを強調していた。欧州連合(EU)のリーダー格でありつつ一歩引き、手を汚そうとはしない。
野党は同盟国への支援を欠くと批判したが、シュピーゲル誌(電子版)のコラムは「向こう見ずで信頼できないトランプ米大統領と距離を置くのは正しい」と評価した。トランプ氏嫌いが多いドイツでは、攻撃不参加への支持は多い。国内にはシリア難民も大勢いる。世論にも配慮した決定だったのだろう。
ナチの侵略の歴史を踏まえ軍事力行使を控えてきたが、国連のお墨付きを得たアフガニスタンの国際治安部隊には参加、十三年間にわたる派兵で五十五人の兵士が死亡し、住民百人以上が巻き添えになった誤爆も引き起こした。軍事行動には懲りてもいる。
今回の攻撃不参加では、EUの盟友フランスのマクロン大統領とも一線を画した。一方で、シリアの後ろ盾であるロシアのプーチン大統領と電話協議する独自外交も続けた。欧州の協調を掲げながらも、自らの立ち位置は守る。米国追従一辺倒の国からは、その頑固さがまぶしく見える。    (熊倉逸男)