生活保護世帯の奨学金 塾代も減額対象にせず - 東京新聞(2015年8月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015082102000129.html
http://megalodon.jp/2015-0821-0903-02/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015082102000129.html

厚生労働省が、生活保護世帯の高校生が得た奨学金について、学習塾などの費用に充てる場合は「収入」と見なさず、保護費から減額しないよう運用ルールを改めることが分かった。現行でも、自立支援の観点から、奨学金を塾代に充てても保護費を減らさない自治体があり、先行する現場に合わせざるを得なくなった。今月六日付で全国の自治体に通知し、十月から適用される。(我那覇圭)
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本紙は六月、大阪市の公益財団法人「梅ケ枝中央きずな基金」が、大学進学の塾代などとして生活保護世帯の高校生らに最大年五十万円の奨学金を支給し、地元自治体も収入認定していない事例を報じた。基金を設立した山田庸男(つねお)弁護士は「意欲と能力のある子どもを支えるのは社会の常識で、厚労省がようやく考え方を改めた」と話している。

関連サイト)
公益財団法人 梅ヶ枝中央きずな基金
6月28日の東京新聞朝刊、生活保護世帯の奨学金を得た場合に「収入」とみなし保護費を減額するかどうかで地方自治体の対応が割れていることについて書かれた記事に、当基金のことが取り上げられました。
高校生奨学金 割れる対応 - 東京新聞(2015年6月28日)

ひとり親の子に居場所 空き店舗を活用 国が支援策 - 東京新聞(2015年8月20日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015082002000243.html
http://megalodon.jp/2015-0821-0910-16/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015082002000243.html

政府が今月末のとりまとめを目指すひとり親家庭支援の充実策が二十日、判明した。経済的、精神的に不安定になりがちな子どもが地域で孤立するのを防ぎ、学習機会も提供する居場所づくりの推進を初めて打ち出した。商店街の空き店舗の活用も見込んでいる。
支援団体などから増額の要望が多い児童扶養手当は、年末の予算編成で拡充を検討する。厚生労働省が二〇一六年度予算の概算要求に盛り込む。
ひとり親家庭の親は夜間まで働きづめのケースも多く、子どもが行き場を失ってコンビニでたむろしたり、町をうろついたりして学習意欲が低下する恐れがあるほか、犯罪に巻き込まれるなどの懸念がある。一部の地方自治体が居場所づくりを始めており、国も一六年度から事業費の二分の一を補助する。
現行でも、学生ボランティアが児童や生徒宅などを訪れ勉強を教える補助事業があるが、学習支援に限定されていた。新事業では、食事や友人との交流といった、勉強以外の目的でも気軽に立ち寄れる居場所の整備を目指す。自治体直営や、NPO法人などノウハウを持つ民間への委託など、地域の事情に応じて運営しやすい仕組みにする。
児童扶養手当は年収百三十万円未満の世帯で月額四万二千円支給され、二人目の子がいれば五千円、三人目以降は一人当たり三千円が加算される。支援団体は加算部分の増額などを求めている。ひとり親家庭は就労収入や子どもの進学率が低く、昨年八月に閣議決定した「子供の貧困対策大綱」では貧困の世代間連鎖の解消を掲げた。充実策には、親の資格取得支援の強化も盛り込む。

「首相官邸の前で」世代、志向超えデモ 歴史社会学者が映画 - 東京新聞(2015年8月20日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015082002000249.html
http://megalodon.jp/2015-0821-0912-09/www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015082002000249.html

事故翌年の二〇一二年六月、政府が関西電力大飯(おおい)原発の再稼働を決めた。直後、官邸前と国会前にそれぞれ約二十万人(主催者発表)が集結した。同八月、当時の野田佳彦首相はデモ呼び掛け人らでつくる首都圏反原発連合(反原連)のメンバーらと面談に応じた。翌九月、政府は「三〇年代に原発ゼロ」の新エネルギー戦略を発表する。
日本は「原発稼働ゼロ」でこの二年弱を過ごしてきたが、今月十一日に九州電力川内(せんだい)原発が再稼働された。だが映画の中で反原連のメンバーは「自民党原発推進にかじを切っているが、もう元には戻れない。日本社会そのものを構成している人々が変化し始めている」と悲観していない。
映画の最後、3・11以降にデモに参加した女性たちも笑顔で語る。「かつて声をあげるのはタブーだった。今はまったくOKよ」「微力は無力じゃないってことを実感しました」
小熊さんは安全保障関連法案の抗議デモにも足を運び、観察を続ける。「不当なことがあれば声をあげていいのだと社会全体が認知した。その変化が反映されている」と指摘した。
上映は東京・渋谷の劇場「渋谷アップリンク」で隔週水曜日。料金は一般千八百円、大学生千百円など。問い合わせは同劇場=電03(6821)6821=へ。

◆当面の主なデモ予定(かっこ内は主催、呼びかけ団体)

  • ▽21日18時半  川内原発再稼働反対!首相官邸前抗議(首都圏反原発連合)
  • ▽23日16時半 戦争法案に反対する全国若者一斉行動表参道デモ(SEALDs=自由と民主主義のための学生緊急行動)
  • ▽26日18時  安保法案廃案へ!立憲主義を守り抜く日比谷野音大集会&パレード(日本弁護士連合会)
  • ▽30日14時  戦争法案廃案!国会10万人大行動(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)

武藤氏自民離党 デモ批判幕引き許さぬ - 東京新聞(2015年8月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015082102000145.html
http://megalodon.jp/2015-0821-0914-23/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015082102000145.html

武藤貴也衆院議員が自民党を離党したのは金銭トラブルの発覚が理由だが、安全保障法制関連法案に反対する学生デモを「利己的考え」と批判したことこそ聞き逃せない。離党で幕引きは許さない。
安保法案の今国会成立のためには、野党側に攻撃材料は極力与えたくなかったのだろう。
武藤氏は「プライベートに関する件で党にこれ以上迷惑をかけられない」として離党届を提出し、自民党はきのう離党を了承した。
プライベートに関する件とは、週刊文春が報じた未公開株をめぐる金銭トラブルだ。同誌によると武藤氏は昨年、知人らに「値上がり確実な新規公開株を国会議員枠で買える」と持ち掛け、二十三人から約四千百万円を集めたが、実際には株は購入されず、出資金の一部も返済されていないという。
事実だとすれば、かつてのリクルート事件を想起させる醜聞だ。罪に問われる可能性もある。武藤氏は「一方的かつ事実と異なる」と反論するが、何が事実で何が事実でないのか、武藤氏には進んで国民に説明する責任があろう。
国会も本人任せにせず、自浄機能を示す必要がある。当面は、国会に参考人招致したり、原則非公開で偽証罪に問われない政治倫理審査会(政倫審)で説明させるのが、現実的な方法だ。
もっとも、プライベートに関する件とは別に、武藤氏には国会議員の適格性が疑われるツイッターでの発言があり、不問に付すことはできない。安保法案反対の学生デモを「『だって戦争に行きたくないじゃん』という自分中心、極端な利己的考えに基づく」などと批判したことだ。
学生たちの「戦争に行きたくない」という思いのどこが、利己的だというのか。武藤氏は安保法案に基づいて参戦する戦争に進んで行きたいとでもいうのか。
武藤氏の発言は安保法案を「戦争法案」と認めたことにもなる。政権幹部は苦々しく感じていたに違いないが、武藤氏は発言を撤回しておらず、自民党執行部も苦言を呈しただけで、撤回させたわけでもない。
離党さえすれば、武藤氏とは無関係になるから安保法案の審議には影響ない、これで幕引きができるとでも、安倍政権は考えているのだろうか。勘違いも甚だしい。
武藤氏の言動で迷惑をこうむっているのは自民党でなく国民だ。離党だけでは何の問題解決にならないと、忠告しておきたい。

武藤議員離党 公認した自民の責任は - 毎日新聞(2015年8月21日)

http://mainichi.jp/opinion/news/20150821k0000m070180000c.html
http://megalodon.jp/2015-0821-0915-56/mainichi.jp/opinion/news/20150821k0000m070180000c.html

武藤氏は当選前の2007年、ダム事業凍結を唱える当時の嘉田由紀子滋賀県知事を支える県議会会派の政策スタッフに入ったという。その後、一転して嘉田氏に批判的だった自民党の候補者公募に応募して同党の公認となり、現在当選2回目となる。その主張をはじめ国民の代表としての資質に欠けると思われる武藤氏を自民党はどう評価して公認してきたのだろうか。
武藤氏は最近では報道機関への圧力発言が飛び出した自民党内の安倍晋三首相を支持する若手勉強会にも出席していた。一方、武藤氏が所属していた自民党麻生派麻生太郎会長は先のツイッターでの発言直後、「自分の気持ちが言いたいなら安保関連法案が通ってからにしてくれ」と注意したというが、発言の内容ではなく時期が問題だという口ぶりだった。
こうした中途半端な対応をしてきた点も含めて自民党の責任は重い。ところが谷垣禎一幹事長らは本人から詳細に話を聴くこともせず、離党届の提出後は「本人がきちんと説明責任を果たす必要がある」と、まるでひとごとのような口ぶりだ。
説明責任は自民党にもある。

社説:高齢者の再犯 社会的負担も考えよう - 毎日新聞(2015年8月21日)

http://mainichi.jp/opinion/news/20150821k0000m070181000c.html
http://megalodon.jp/2015-0821-0917-31/mainichi.jp/opinion/news/20150821k0000m070181000c.html

ただ、こうした高齢者や障害者の再犯率は高く、刑務所に入れることが矯正になっていない面がある。お握り一つの万引きでも、刑務所に収容すれば1人年間300万円以上の公費がかかる。社会の安全に必ずしもつながらないばかりか、予算も無駄になっているのではないか。
戦後、受刑者数は一貫して減ってきたが、1995年の地下鉄サリン事件をきっかけに刑事政策が変わり、軽微な罪でも捜査当局が積極的に立件するようになった。

保守色系教科書推す自民 月末期限の採択に合わせパンフ - 朝日新聞(2015年8月21日)

http://www.asahi.com/articles/ASH8H4DRZH8HUTFK005.html?iref=comtop_6_03
http://megalodon.jp/2015-0821-0919-39/www.asahi.com/articles/ASH8H4DRZH8HUTFK005.html?iref=comtop_6_03

自民党が教育現場への関与を強めようとしている。8月末が期限の4年に1度の教科書採択に合わせ、保守色の強い教科書を選んでもらうためのパンフレットを作成。地方議員が議会で質問することなどを通じ、採択権限を持つ市町村教委にはたらきかけることをねらう。さらに、政治的中立を私立高校の教員にも求める法改正も検討している。
「より良い教科書を子供たちに届けるために」
安倍晋三首相に近い議員でつくる議員連盟日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長=古屋圭司衆院議員)は先月、こんなタイトルのパンフレットを作り、全国の自民の地方議員に配った。
パンフレットには「議会質問用参考資料」とも書かれており、冒頭で「安倍内閣教育再生の成果として、教科書は大きく変わった。しかし、記述にはいまだバラツキがある」と指摘。第2次安倍政権で初めて作られた今回の社会科教科書は、領土問題や近現代史で政府の見解や立場を強調する記述が盛られているが、まだ満足できないとの認識で「都道府県議会、市町村議会でのしっかりした検証」を求めている。
さらに、「国旗・国歌」「領土」「自衛隊」「拉致問題」「外国人参政権」「南京事件」「慰安婦」などの項目について出版社8社の教科書の記述を比較。「圧力」との批判を防ぐため、特定の社を支持する明確な表現はないが、保守色の強い教科書に対しては、国旗や国歌について「特集ページで詳しく記述している」などと好意的に紹介している。
一方、それ以外の教科書に対しては、拉致問題について「索引に拉致問題が載っていない教科書があります」「子供たちが参照しやすいように改善することが求められる」と評したほか、北方領土についての表現を「ソ連・ロシアの行為を不法とは記述していません」と指摘するなど、否定的なニュアンスをにじませている。

余録:「政治という仕事は、情熱と判断力の両方を使い… - 毎日新聞(2015年8月21日)

http://mainichi.jp/opinion/news/20150821k0000m070178000c.html
http://megalodon.jp/2015-0821-0921-36/mainichi.jp/opinion/news/20150821k0000m070178000c.html

「政治という仕事は、情熱と判断力の両方を使いながら、堅い板に力をこめて、ゆっくりと穴を開けていくような仕事です」。ドイツの社会学者、M・ウェーバーが1919年に行った講演「職業としての政治」からよく引用される言葉である。
ちなみに職業はドイツ語では「ベルーフ」、もともと神に召されて与えられる使命を意味した。人それぞれの職業が神の召命(しょうめい)であるというのは西欧の宗教改革から生じたプロテスタントの考え方で、ウェーバーはその信仰が資本主義を生み出したとの所説で知られる。
英語で呼び声を表す「コーリング」に職業の意味があるのも同じである。人はその呼び声に応じて天職を得る。だが今日の政治を業とする人々の中には、一体どんな呼び声を聞いたのだろうと首をかしげたくなる方もいる。
金銭トラブルを週刊文春に報じられた自民党の武藤貴也(むとう・たかや)衆院議員が離党した。暴かれたのは「国会議員枠で買える未公開株」なる話が登場する怪しげなもめ事で、立ち入った釈明もないままさっさと離党届が提出され、党もすぐさま受理するという手際の良さである。
何しろ武藤議員といえば、安保関連法案に反対する学生デモを「極端な利己的考え」と批判、憲法の人権尊重が「滅私奉公(めっしほうこう)」を破壊したと嘆いていた当人である。「どっちが利己的か」と突っ込まれ、近年の主張と矛盾する過去の行状(ぎょうじょう)が取りざたされたのも仕方ない。
議員は自民党の候補者公募の呼び声に応えて政治家となったと聞く。はてその情熱と判断力はどう判定されたのか。お手軽コーリングが招いた政治の劣化の兆候(ちょうこう)には目に余るものがある昨今だ。