<金口木舌>産まない「問題」とは - 琉球新報(2019年2月8日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-872688.html
https://megalodon.jp/2019-0208-0959-17/https://ryukyushimpo.jp:443/column/entry-872688.html

麻生太郎副総理兼財務相少子高齢化に関して「子どもを産まない方が問題だ」と発言した。批判を受けて撤回したが、反省の色はうかがえない

▼麻生氏は2014年にも衆院選の応援演説で「産まないのが問題だ」と述べた。首相時代の09年には衆院予算委員会で「(わたしは)43で結婚してちゃんと子どもは2人産んだから義務は果たしたことになるのかもしれない」と述べ、批判を受けて撤回した
▼一方で政府の少子化対策は効果が上がらない。厚生労働省の推計で18年に国内で生まれた赤ちゃんは92万1千人で、3年連続で100万人を割る見通しだ。過去最少だった17年より2万5千人も減った
共同通信の昨年の調査で、全国66自治体で認可保育所の1次選考で落ちた0~2歳児は約3万5千人。政府は幼児教育と保育の無償化を掲げるが受け皿そのものが足りない
非正規労働者の割合が増え、雇用が不安定化したことも晩婚・晩産化に影響を与えているとされる。正社員との格差をなくす同一労働同一賃金の導入など、子育てに適した環境整備は進まない
▼「堂が歪(ゆが)んで経が読めぬ」という言葉がある。僧が「仏堂が歪んで座りにくいので経が上手に読めない」と言い訳する様子から、責任転嫁するさまを表す。「問題」は子育てに苦闘する国民ではなく、政策と麻生氏の閣僚としての資質の方にある。

 

朝鮮学校を授業料無償化の対象に 子どもの権利委員会が勧告 - NHKニュース(2019年2月8日)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190208/k10011807841000.html
http://web.archive.org/web/20190208002216/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190208/k10011807841000.html

朝鮮学校が高校授業料の実質無償化の対象外になっていることについて、国連で採択された条約に基づく「子どもの権利委員会」は、「ほかの外国人学校と同じように扱われるべきだ」として日本政府に見直しを勧告しました。

「子どもの権利委員会」は国連総会で採択された「子どもの権利条約」の下、各国の子どもの人権状況を審査していて、7日、スイスのジュネーブで記者会見して日本についての審査結果を公表しました。

この中で委員の1人は、朝鮮学校が高校の授業料の実質的な無償化の対象外になっていることについて、「ほかの外国人学校と同じように扱われるべきだ」と述べ、委員会として日本政府に見直しを進めるよう勧告しました。

これについて日本政府は先月行われた審査で、「朝鮮学校は当時の法令にのっとって定められた審査基準に適合すると認められず、無償化の対象にならなかった。生徒の国籍を理由とした差別には当たらない」と説明しています。

勧告に法的な拘束力はありませんが、委員会では次の審査までに日本政府に対応を報告するよう求めています。

 

参院選「原発ゼロで野党一本化を」 小泉元首相、本紙に - 東京新聞(2019年2月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201902/CK2019020802000129.html
https://megalodon.jp/2019-0208-0912-04/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201902/CK2019020802000129.html

小泉純一郎元首相(77)=写真、安江実撮影=が本紙のインタビューに応じ、安倍政権の原発政策を批判した上で、夏の参院選に関し「野党は原発ゼロを旗印にして、(改選一人区で)候補者を一本化すべきだ。そうすれば大きい影響を与え、面白い選挙になる。ばらばらにやっても自民党に勝てない」と語った。小泉氏は自民党の元国会議員で、自民党脱原発を促しているが、原発政策の転換に踏み切らないため、野党側に結集を促した。
安倍政権が成長戦略と位置づける原発輸出に関しては「国内で再稼働できないから輸出に活路を見いだそうとしている。でも、トルコもベトナムもイギリスもだめ。原発政策は八方ふさがりだ」とした。
原発を再稼働させる問題については「経済産業省原発について、安全だ、コストが安い、二酸化炭素を出さないクリーンエネルギーだというが、この理屈は全部崩れている。しかも、危険な核のごみを出す。千年、万年、危険は続く。その処分場は一つもない」と語った。
さらに「安倍晋三首相が原発ゼロを決めたら自民党は反対しない。国民的な事業として自然エネルギー拡大に向かっていける。そういうチャンスを逃している」と話した。

インタビューは五日午後、東京都品川区の城南信用金庫本店で行われた。 (村上一樹、伊藤弘喜)

 

炉内のデブリ「指」でつかめ 福島第1・2号機 13日から初の接触調査 - 毎日新聞(2019年2月7日)

https://mainichi.jp/articles/20190207/k00/00m/040/220000c
http://archive.today/2019.02.07-225406/https://mainichi.jp/articles/20190207/k00/00m/040/220000c

東京電力は7日、福島第1原発事故で炉心溶融メルトダウン)した2号機で、13日に原子炉格納容器内に特殊な機器を入れて溶融燃料(燃料デブリ)に直接、触れる初の接触調査を実施すると発表した。大きさや硬さといった性状からデブリを動かせるか確認し、本格取り出しに向けた技術開発に役立てる。
調査では作業用の配管から、カメラ付き機器(全長約30センチ)を先端に取り付けた伸縮式のパイプ(全長約11~15メートル)を挿入。最大2キロまで持ち上げ可能な2本の「指」(長さ約3センチ)のような部分を用いて、格納容器の底部でデブリを実際につかみ、動かせるか確認する。調査は13日のみの予定で、操作は遠隔で実施し、デブリを炉外には持ち出さない。
2号機の内部調査では昨年1月、格納容器底部にデブリの可能性が高い小石状の堆積(たいせき)物などを確認。早ければ今年後半にも少量のデブリを試料採取し、成分を分析する計画だ。
政府と東電は最も調査が進む2号機を念頭に、来年度までに最初にデブリを取り出す号機を決め、2021年に本格取り出しを始める方針。【鈴木理之】

 

<税を追う>米基地騒音訴訟の賠償 日本150億円を肩代わり - 東京新聞(2019年2月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201902/CK2019020702000150.html
https://megalodon.jp/2019-0207-2005-37/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201902/CK2019020702000150.html

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在日米軍機を巡る騒音訴訟で、判決が確定した損害賠償額と二審で係争中の賠償額を合わせると七百億円近くに上り、うち、米国が負担に応じず、日本政府が肩代わりしている額が、少なくとも百五十億円に上ることが分かった。政府は日米地位協定に基づき、米国に賠償の応分の負担を求めているが、肩代わりの構図は長く固定している。米側優位の基地問題のいびつさがあらためて浮かび上がる。 (原昌志)
賠償が確定しているのは、米軍や自衛隊が使用する東京都の横田、神奈川県の厚木、石川県の小松、沖縄県の嘉手納(かでな)、普天間(ふてんま)飛行場の各基地の訴訟。
一九九三年に第一次、第二次の横田基地騒音訴訟(七六年提訴)の最高裁判決が確定して以降、二〇一六年の第四次厚木基地騒音訴訟の最高裁判決まで、確定した賠償額は遅延損害金を含めて計三百三十五億円に達する。一部の基地を除き、米軍機の騒音被害がほとんどを占める。
原告住民らは日本政府を相手取り、夜間の飛行差し止めや賠償を求めて提訴。賠償が判決で確定すれば、政府が原告に賠償金を支払い、米側に応分の負担を求めることになる。
日米地位協定では、米軍関係者が公務執行中の行為で第三者に損害を与えた場合、日本の法令に従って被害者への賠償金を負担することになっている。米国のみに責任がある場合は米側75%、日本側25%で負担し、双方に責任がある場合は均等に負担する。
防衛省は、判決が確定した賠償の応分負担を米側に求めてきたが、「考え方に違いがあり、合意に至っていない」(地方協力局)として日本側が全額負担したままとなっている。防衛省は米側への請求額や割合を明らかにしないが、均等負担としても百五十億円以上を肩代わりしていることになる。
騒音訴訟の賠償額は、下級審の判決がほぼ踏襲されるケースが多い。現在、控訴審で係争中の横田、岩国(山口県)、嘉手納、普天間の各騒音訴訟では、計三百三十九億円の一審判決が出ており、確定分と合わせると六百七十四億円に達する。一審で係争中の訴訟も厚木など四件あり、賠償額はさらに膨らむ可能性がある。

在日米軍「訓練の義務ある」
在日米軍司令部広報部の話> 政府間の協議内容を明らかにすることは適切ではない。一般原則として米軍は日米安保条約の下で駐留し、両国を守り地域の平和に貢献するため、日々訓練や作戦を行っている。騒音影響の軽減に最善を尽くしているが、地域の安全保障環境が複雑化する中、最高レベルの即応体制を維持するため、訓練をする義務がある。

日米地位協定> 日米安全保障条約に基づき、在日米軍の法的地位や基地の管理、運用を定めた協定。1960年の発効後、一度も改定されていない。税の減免のほか、米軍人らによる事件・事故に日本側の捜査権が及ばないことなどについて、自治体などは抜本的な見直しを求めている。

 

<税を追う>基地騒音賠償 米の「踏み倒し」不条理 - 東京新聞(2019年2月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201902/CK2019020702000117.html
https://megalodon.jp/2019-0207-2007-21/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201902/CK2019020702000117.html

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在日米軍機を巡る騒音訴訟で、米側が賠償金の応分の負担に応じず、日本政府の肩代わりに多額の税金が投入されている。確定判決分だけで、少なくとも百五十億円以上に上る計算だ。日米地位協定に詳しい法政大の明田川融(あけたがわとおる)教授(政治学)は「米軍による被害なのに、自分たちの税金で賠償するようなもの。住民は二重の負担を負わされて不条理だ」と指摘する。地位協定のあり方や政府の姿勢が問われている。 (原昌志)
地位協定は一八条で、米軍の公務中に民間などへの被害が生じた場合、米国の責任割合に応じて賠償額の50~75%を米側が負担すると規定している。
賠償が確定した基地騒音訴訟では、自衛隊機が中心の小松(石川県)の例もあるが、ほとんどは米軍機の騒音。沖縄県の嘉手納(かでな)や普天間(ふてんま)をはじめ、厚木(神奈川県)や横田(東京都)も米軍機が主因だ。
にもかかわらず、政府は税金で米側の賠償を肩代わりし、米側は負担拒否の理由を明確にしていない。日本政府は国会答弁などで「日米安保条約の目的達成のために活動しており、米側が賠償するべきものではない」という米側の主張を説明。明田川教授は「日本側も同じ考えのため、負担を強く要求できないのでは」とみる。
「日米関係を損なわないために賠償金の負担はやむを得ないと、日本政府が考えているとみられても仕方がない。本来は住民を守るための安保条約なのに、条約を守ることが自己目的化している。本末転倒ではないか」と問題視する。
その上で「日米安保体制は現在、多くの国民が支持しているが、賠償金を『踏み倒す』ようなことまで受け入れられるのか。そもそも米側の責任であっても、25%を日本が負担することの是非も考えるべきだ」と指摘する。
日本弁護士連合会も二〇一四年に「まず米国が地位協定を守ることだ」とした上で、米側に責任がある場合は「全額米側が負担するべきだ」と協定の改定を提言している。
地位協定を巡っては、米軍人らが所有する自動車の税減免や、基地返還時に米軍が原因の汚染などがあっても、原状回復義務がないことなどが長年、問題となっている。

 

戦争を撮る 平和のために がんと闘いながら映画製作続ける大林宣彦監督 - 東京新聞(2019年2月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2019020702000190.html
https://megalodon.jp/2019-0207-2016-51/www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2019020702000190.html

がんと闘いながら映画製作を続ける大林宣彦監督(81)が大分市で開かれた日本劇作家大会に登場し、おいの劇作家、平田オリザ(56)と対談した。半生を語る中、平和への強い思いをにじませた大林監督は近年、戦争をテーマにした作品を手掛けている。自身を「自ら平和をつくる大人として生まれた世代」と強い使命感を語った。 (酒井健
大林監督は、故郷の広島県尾道市を舞台にした「転校生」などの“尾道三部作”で知られる。現在編集作業中という新作「海辺の映画館-キネマの玉手箱」も尾道で「戦争と原爆」をテーマに撮影し、来年春ごろの公開を予定している。
大林監督が若き日に、平田の父でシナリオライターだった穂生(さきお)と映画を撮ったこともあることから、劇作家陣からの強い要望も受け、対談が実現した。
対談で大林監督は、敬愛する小津安二郎監督(1903~63年)の足跡を紹介。「戦意高揚映画を撮れと言われて東南アジアへ行ったが、1カットも撮らずに帰ってきた。それが国家への唯一の抵抗だった。これが先輩の姿。その薫陶を受け、私はここにいる」と述懐。小津監督を「米映画のまねはせず『日本の豆腐の味を作る』と言って、カメラがぴたっと止まったままの静かな映画を撮った。それを世界が発見し今、世界の小津がいる」とも振り返った。
映画や芸術に興味を持ったのは戦時中。「実家の蔵の中で見つけた二つの宝物」がきっかけだという。一つは金属部品が軍に供出され音が鳴らなくなったピアノ。戦後、軍医だった父が戻り、譲り受けた中古ピアノを「昼間に窓を開けて弾いた」と終戦直後の解放感を語った。もう一つが父が愛用していた活動写真の映写機。その父は、大林監督が医師を継がず映画を志して上京する際、「好きな道を行きなさい」と8ミリカメラを持たせてくれた。
「1日に10人は、顔や名前を知っている人が死んだ知らせを聞いて育った」と話す大林監督は作品で平和を問い掛ける。憲法9条を評価し「(憲法が)押しつけられたか自分で作ったか、そんなことを言っても仕方がない。売り渡してはいけない」と強調した。改憲の動きを踏まえ「負けたことから学ばず、あの戦争さえなかったことにしてしまうのがこの国の正体。小津さんは、断念と覚悟をへて再生した」と警告した。
映画の役割を「過去の歴史を戻すことはできない。しかし、未来を変える力はある」と強調。「過去から学んで未来を願い、いま何をするか。自分に正直に一生懸命生き、過去がこうだから、未来がこうだろうと考え、そのために全力を尽くす。アートをやる唯一の方法だと思う」と力強く語った。

◆「とんでもない死に方はしねえぞ」
大林監督は対談終了後、報道陣の取材に、自身の体調について「がんなんですが、もうほとんどない」と説明した。「(がんを)意識したことは一度もない。老いて死ぬのは平和でよいけれど、がんで死ぬのはとんでもないこと。とんでもない死に方はしねえぞと決めている」と力強く語った。

 

本紙記者質問「言論弾圧にならぬよう」 国民民主、官邸報道室長に要請 - 東京新聞(2019年2月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201902/CK2019020702000198.html
https://megalodon.jp/2019-0207-2014-39/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201902/CK2019020702000198.html

沖縄県名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設に関する本紙記者の質問を巡り、首相官邸が「事実誤認」「度重なる問題行為」と内閣記者会に文書で伝えた問題で、国民民主党原口一博国会対策委員長山井和則・同代行は六日、国会内で官邸報道室の上村秀紀室長らから事実関係の聞き取りをした。その上で原口氏らは「言論弾圧や報道の萎縮につながらないよう配慮してほしい」と要請した。
聞き取りは非公開で行われ、終了後に原口、山井両氏が記者団に説明した。
首相官邸は、本紙記者が昨年末の菅義偉官房長官の記者会見で「埋め立て現場では今、赤土が広がっており、沖縄防衛局が実態を把握できていない」とただしたことを「事実誤認」としたが、山井氏は上村室長に「実際、赤土と思われるものが広がっている」と指摘。「沖縄県と沖縄防衛局の言い分は食い違っており、どちらが正しいか分からない。事実誤認は、さすがに言い過ぎではないか」と伝えた。
原口氏は「政府の見解と違うことを言えば、注意されるのか」と疑問を呈し、「記者や言論に対する抑圧はあってはならず、そこは姿勢を問われますよ、という話をした」と記者らに説明した。上村氏は聞き取り後、記者団に「あくまで事実に基づく質問をしてください、という趣旨で、特定の記者を排除するような意図はない」と答えた。

     ◇

<加古陽治・東京新聞編集局次長の話> 本紙記者の質問が事実誤認とは考えておりません。沖縄防衛局は、実際に投入した土砂の性状検査の結果を示しておらず、実態を把握しているとは言えないと判断しております。

 

児童虐待、通告8万人突破 過去最多 警察庁 - 毎日新聞(2019年2月7日)

https://mainichi.jp/articles/20190207/k00/00m/040/060000c
http://archive.today/2019.02.07-110909/https://mainichi.jp/articles/20190207/k00/00m/040/060000c

親などから虐待を受けた疑いがあるとして、全国の警察が昨年に児童相談所(児相)に通告した18歳未満の子どもは8万104人だった。7日、警察庁のまとめで判明した。前年より22.4%増えて過去最多。統計がある2004年から14年連続で増え、初めて8万人を超えた。
警察が虐待の疑いを把握するのは、泣き声や怒鳴り声を聞くなどした周辺住民からの通報がきっかけとなることが多い。警察庁は「児童虐待に対する社会の関心が高まったことで、警察への通報や相談が増え、通告が増えた」とみている。
虐待の内容でみると、言葉による脅しや無視など子どもの心を傷つける「心理的虐待」が5万7326人(前年比23.4%増)で、全体の約7割を占めた。暴行などの「身体的虐待」は1万4821人(同20.1%増)、食事を与えないなどの「育児放棄」(ネグレクト)が7699人(同20.3%増)、性的虐待は258人(同2.8%増)だった。
事件として親などを摘発(逮捕・書類送検)した件数は、無理心中や出産直後の殺人を含めて1355件(同19.1%増)で過去最多。約8割を身体的虐待が占めた一方、心理的虐待は明らかなけががないため事件化が難しく、摘発数の2.5%にとどまった。
児童虐待は児相や自治体が先に把握し、警察と情報共有する例も多い。千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅で死亡し、両親が逮捕された事件では、市の「要保護児童対策地域協議会」に参加する県警野田署が18年4月から心愛さんを含む「要保護児童」のリストを共有するようになった。だが、死亡するまでの9カ月間に事件への発展を示す情報や通報は寄せられなかったという。【内橋寿明、信田真由美】

 

小4虐待死で新事実 致命的ミスをなぜ重ねた - 毎日新聞(2019年2月7日)

https://mainichi.jp/articles/20190207/ddm/005/070/099000c
http://archive.today/2019.02.07-111332/https://mainichi.jp/articles/20190207/ddm/005/070/099000c

千葉県野田市の小学4年の栗原心愛(みあ)さん(10)が死亡した事件で新たに衝撃的な事実が明らかになった。
心愛さんが虐待を否定する文章を書いたことを児童相談所は不審に思いながら、父親の元に戻していた。心愛さんからうそだと直接告げられても手を打たなかった。なぜ児相は致命的ミスを重ねたのか、社会全体の問題として解明する必要がある。
2017年11月、学校のいじめアンケートに心愛さんが「お父さんにぼう力を受けています」と書いたことから、県柏児相は心愛さんを一時保護している。
18年2月、児相は心愛さんを自宅に戻すかどうか判断するため父親と面会した。この時点で父親は市教委からアンケートのコピーを受け取っていた。その上で父親は、心愛さんが書いたとする「お父さんに叩(たた)かれたのは嘘(うそ)です」「児童相談所の人にはもう会いたくない」という文書を見せ、「今日にも連れて帰る。名誉毀損(きそん)で訴える」と強く迫った。
小学4年生にしては不自然な文面なのに、児相は心愛さんに確認しないまま自宅に戻す決定をした。第一の致命的ミスである。
翌3月、心愛さんは学校で児相職員と面会した。母親に会ったとき「こういう手紙を書くように」という父親からのメールを見せられて書いたものであることを打ち明けた。
虐待されていることを否定する文章を書かせること自体が虐待だ。その時点でどうして心愛さんを保護しなかったのか。せめて警察などと連携して父親に確認すべきではなかったか。これが第二のミスだ。
児相は今になって「最初から書かされた可能性があるとは思っていた」という。うそだと気づきながら目をつぶっていたのである。
児童福祉法の改正のたびに児相や学校、警察などの連携強化が図られてきた。児相には専門職の増員や研修の充実、弁護士の配置も定められた。安倍政権はさらに4年間で職員を2890人増やすという。
ただ、これらの取り組みだけで済むのだろうか。児相や自治体、国が定める制度のどこに欠陥があるのかを、構造的な問題として捉え直すべきである。穴の開いたバケツに水を入れるだけでは、虐待から子どもを救うことはできない。

 

(余録)「いじめる」という言葉は江戸時代の後期に現れた… - 毎日新聞(2019年2月7日)

https://mainichi.jp/articles/20190207/ddm/001/070/150000c
http://archive.today/2019.02.07-111805/https://mainichi.jp/articles/20190207/ddm/001/070/150000c

「いじめる」という言葉は江戸時代の後期に現れた。それよりも少し前に「いじる」が使われ出し、その語幹「いじ」に語尾「める」がついて「いじめる」になったという。
つまり「いじる」「いじめる」は同根の言葉だったらしい。後に「いじる」はもっぱら手で触ったり、もてあそんだりするのをいうようになる。今日「いじる」と「いじめる」が再び似た意味で用いられるのは皮肉な先祖返りである。
寄席では客にからんで笑いをとる芸を「客いじり」といった。今のテレビのバラエティー番組でも、芸人同士や素人相手にからかいの突っ込みを入れるいじり芸が場を盛り上げる。それを見て翌朝、学校に来るのは生徒だけではない。
山口県で県立高2年の男子生徒が自殺した問題で、県の検証委は一部教員にいじめに類する行為があったと最終報告した。テスト中に「ちゃんとやったか」と話しかけたり、授業の最中に名前を連呼したり、いわば生徒いじりである。
報告は生徒間のソーシャルメディアでの仲間外しなどのいじめを認定したが、教員の行為がいじめを助長した可能性も指摘する。教師は集団を掌握する軽い「芸」と考えたのかもしれぬが、いじられ役を負わされた生徒はたまらない。
圧力釜にも似た学校の空間では軽いくすぐりも時に残酷な暴力に変わるのは教師なら知っていよう。そして学校でいじられキャラを演じさせられている君、つらくとも死んではいけない。人の心にひそむ魔物に君の未来を手渡さないでほしい。

 

大阪教員評価 学力競争の弊害直視を - 朝日新聞(2019年2月7日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13882798.html
http://archive.today/2019.02.07-111928/https://www.asahi.com/articles/DA3S13882798.html

小中学校ごとにテストの点数アップを競わせ、その結果で先生を評価し、学校への予算配分でも差をつける。
大阪市の吉村洋文市長がこんな考えを示してから約半年。市教育委員会が具体的な制度案をまとめた。
当初の市長構想と比べると、直接の評価対象を校長に絞り、学力以外の項目にも配慮したという。しかし基本的な考え方は変わっておらず、学力競争に伴う弊害への懸念は消えていない。改めて撤回を求める。
新年度から試行するという制度案の内容はこうだ。
学力の測定には、市内の小3から中3までの児童・生徒が毎年、基本教科について受ける市や大阪府の独自テストを使う。各校はあらかじめ、市教委が定めた下限を踏まえて独自の目標値を設定し、達成度を校長の人事評価に組み込んでボーナスの一部に反映させる。
教員については、市教委から提供されるテスト結果を参考に校長が評価する。点数アップに貢献した教員を表彰することも検討する。予算には特別枠を設け、成果を残した学校に重点配分する。
当初は国の全国学力調査の結果を活用する方針だった。調査で大阪市が2年続けて20政令指定市の中で最下位になり、それを吉村氏が問題視したことが発端となった経緯がある。
しかし、文部科学省が「学力調査の趣旨を逸脱する」と指摘し、小6と中3だけが受ける調査で先生を広く評価できるのかとの疑問も出て、修正した。
多くの学年が対象の独自テストを使えば、確かに評価はしやすくなるが、競争の弊害は大きくなりかねない。市教委が校長を、校長が教員を評価することで、学校全体を巻き込むことになるだろう。
先生が目の前の成績向上に追われるあまり、点数が芳しくない子をテスト当日に休ませたり、成績の集計からはずしたりする不正を誘発しないか。かつて実際にあった問題だけに、杞憂(きゆう)とも言えまい。
そもそも学力には、学校での指導のほか塾通いの有無、家庭の環境や経済状況など複数の要因が絡み合う。学力低迷の背景にいじめや虐待、不登校などがある場合も少なくない。
子どもたちが発するSOSに目を配り、安心して登校できる環境を整える。その上で、テストも活用しながら不得意な点の克服を助け、長所を伸ばす。
そうした教育の基本に沿って対策を徹底できているか。競争を強調する前に省みるべきだ。

 

水面下でアベ友が蠢動…統計不正の元凶は“GDP600兆円”号令 - 日刊ゲンダイDIGITAL(2019年2月6日)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/246996

野党が“アベノミクス偽装”と批判している「毎月勤労統計」の不正問題。5日の衆院予算委で安倍首相は「恣意的に統計をいじることなんてできるわけがない」とムキになっていたがトンデモない。政府の過去の会議録からは「統計手法変更」と「GDPカサ上げ」をめぐって“アベ友”が蠢いていたことが分かった。
4日の衆院予算委で、立憲民主党小川淳也議員は、安倍首相が2015年9月の総裁再選の直後に「GDPを600兆円」を掲げたことに触れ、「これをきっかけに官僚がつじつま合わせに動いたのではないか」と追及していた。
そこで安倍首相が議長を務める「経済財政諮問会議」の過去の議事要旨を確認すると、小川議員の指摘通り、安倍首相が「600兆円」目標を掲げた直後から「基礎統計」が議題に浮上している状況が分かった。
特に注目されるのが、16年3月の会議だ。安倍首相の“子飼い”と言われた高市総務相(当時)が突然、「政府統計の精度維持・向上の仕組み」なる資料を提示。統計改革の必要性を訴え、安倍首相も「不断の統計の改善が必要である」と踏み込んだからだ。
そうしたら、3カ月後の6月、内閣府が提示した「経済財政運営と改革の基本方針2016~600兆円経済への道筋~」に、五輪やTPP、地方創生に並んで「経済統計の改善」が併記され、12月には“アベ友”の山本規制改革担当相(当時)が諮問会議に臨時出席し、〈政治主導で統計改革を進めることが重要〉と明記された「統計改革の推進について」という資料を提出。同月の諮問会議の下部組織である「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」にはこうある。
〈最近、景気ウォッチャー調査を見ると、国民の中で、特に悪い材料がでているわけでもないのに、先行きが不安だという人が増えてきている。今回の基準改定については、幾つか元気になる材料があるので、そういう漠然とした不安感を打ち消すことに使えないか(中略)新基準では、2016年度の上半期から、年率2・3%のペースで成長すると仮定するとちょうど(目標の)2020年度の下半期と2021年度の上半期の間でGDP600兆円を達成できる〉
要するに、新基準の統計数値であれば「GDP600兆円」は達成できると言っているワケで、研究会は安倍政権のインチキを“代弁”していたに等しい。一方、研究会では委員から〈マスコミには政策に都合のいい統計をつくっているのではないかという論調がある〉〈誤解が絶対生じないように、客観的に明確な手順に沿って反映した結果であると説明していただきたい〉との懸念も示されていたが、今、まさにその通りの展開となっているのだ。
つまるところ、モリカケ問題と同様、「GDP600兆円」という「結論ありき」に向かって、アベ友らがあの手この手で統計の調査手法をいじくり、GDPの“粉飾”を画策してきたということだ。あらためて小川議員がこう言う。
「本来、経済の状況を示す統計は、高い客観性が求められるもので、政治とは独立した立場の省庁などが作成するものです。しかし、諮問会議での一連の議論は明確な『政治介入』に見える。統計不正にしろ、GDPの“カサ上げ”にしろ、『統計の精度向上』の美名のもとに、数字が歪められてきたと疑われても仕方ありません」
こんな状況を許せば必ず国は滅びる。

 

安倍首相「北方領土問題解決して平和条約締結」 参院予算委 - SankeiBiz(2019年2月6日)

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190206/mca1902061906010-n1.htm
http://archive.today/2019.02.07-001221/https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190206/mca1902061906010-n1.htm

安倍晋三首相は6日の参院予算委員会で、北方領土問題を含むロシアとの平和条約締結に向けた交渉に関して「北方領土問題を解決して平和条約を締結する立場に変わりはない」と述べた。「プーチン大統領と私の手で終止符を打ちたいとの考え方の下に交渉を進める」と重ねて強調した。
国民民主党大塚耕平代表代行が「『北方領土は日本固有の領土』という言葉は使えなくなったのか」と迫ったのに対し、首相は「固有の領土」との表現は使わず、「交渉姿勢は全く後退していない。北方領土はわが国が主権を有する島々だ」と改めて強調した。
厚生労働省の「毎月勤労統計」の不適切調査問題では、首相は「統計を支える人材、体制の強化のためには統計学に関する教育が重要だ」との認識を示した。その上で「高等教育で全ての学生がデータサイエンスの基礎的な素養を身につけることができるよう、教育システムの構築に努める」と語った。
参院予算委は7日、平成30年度第2次補正予算案に対する総括質疑と締めくくり質疑を行い、与党は同日中に補正予算案を成立させる方針だ。

 (関連サイト)

首相「森羅万象すべて担当」 でも統計不正報告書は未読 - 朝日新聞(2019年2月6日)

https://www.asahi.com/articles/ASM2654KNM26UTFK00Z.html
http://archive.today/2019.02.06-104033/https://www.asahi.com/articles/ASM2654KNM26UTFK00Z.html

安倍晋三首相は6日の参院予算委員会で、「毎月勤労統計」の不正調査をめぐる特別監察委員会の報告書を読んだかと問われ、「読んでいない」と明かした。概要は秘書官から報告を受けたという。国民民主党足立信也氏の質問に答えた。
足立氏が「テレビの前の方はガクッときたと思う。大事なことなのに残念」と返すと、首相は「総理なので森羅万象すべて担当している」と説明。「さまざまな報告書があり、すべて精読する時間はとてもない。世界中で起こっている(ことに関する)電報などもある」とし、自身の多忙ぶりに理解を求めた。これに対し、足立氏は「気持ちは忖度(そんたく)いたします」と皮肉った。(板橋洋佳)