(声明・見解) 首相官邸の質問制限に抗議する - 日本新聞労働組合連合(2019年2月5日)

http://www.shinbunroren.or.jp/seimei/20190205.html
http://web.archive.org/web/20190206010606/http://www.shinbunroren.or.jp/seimei/20190205.html

首相官邸の質問制限に抗議する

                                                                                                    2019年2月5日
                                                                  日本新聞労働組合連合新聞労連
                                                                                  中央執行委員長 南 彰


  首相官邸が昨年12月28日、東京新聞の特定記者の質問行為について、「事実誤認」「度重なる問題行為」と断定し、「官房長官記者会見の意義が損なわれることを懸念」、「このような問題意識の共有をお願い申し上げる」と官邸報道室長名で内閣記者会に申し入れたことが明らかになりました。
 記者会見において様々な角度から質問をぶつけ、為政者の見解を問いただすことは、記者としての責務であり、こうした営みを通じて、国民の「知る権利」は保障されています。政府との間に圧倒的な情報量の差があるなか、国民を代表する記者が事実関係を一つも間違えることなく質問することは不可能で、本来は官房長官が間違いを正し、理解を求めていくべきです。官邸の意に沿わない記者を排除するような今回の申し入れは、明らかに記者の質問の権利を制限し、国民の「知る権利」を狭めるもので、決して容認することはできません。厳重に抗議します。

 官房長官の記者会見を巡っては、質問中に司会役の報道室長が「簡潔にお願いします」などと数秒おきに質疑を妨げている問題もあります。このことについて、報道機関側が再三、改善を求めているにもかかわらず、一向に改まりません。

 なにより、「正確な事実を踏まえた質問」を要求する官邸側の答弁の正確性や説明姿勢こそが問われています。2017年5月17日の記者会見で、「総理のご意向」などと書かれた文部科学省の文書が報じられた際に、菅義偉官房長官は「怪文書のようなものだ」と真っ向から否定。文書の存在を認めるまで1カ月かかりました。こうした官邸側の対応こそが、「内外の幅広い層に誤った事実認識を拡散させる」行為であり、日本政府の国際的信用を失墜させるものです。官邸が申し入れを行った18年12月26日の記者会見でも、菅官房長官は「そんなことありません」「いま答えた通りです」とまともに答えていません。

日本の中枢である首相官邸の、事実をねじ曲げ、記者を選別する記者会見の対応が、悪しき前例として日本各地に広まることも危惧しています。首相官邸にはただちに不公正な記者会見のあり方を改めるよう、強く求めます。

《追記》 

そもそも官邸が申し入れのなかで、東京新聞記者の質問を「事実誤認」と断じた根拠も揺らいでいます。
 記者が、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設をめぐり、「埋め立て現場ではいま、赤土が広がっております」「埋め立てが適法に進んでいるか確認ができておりません」

と質問したことに対して、官邸側は申し入れ書のなかで、

「沖縄防衛局は、埋立工事前に埋立材が仕様書どおりの材料であることを確認しており、また沖縄県に対し、要請に基づき確認文書を提出しており、明らかに事実に反する」「現場では埋立区域外の水域への汚濁防止措置を講じた上で工事を行っており、あたかも現場で赤土による汚濁が広がっているかのような表現は適切ではない」

――と主張しました。

 しかし、土砂に含まれる赤土など細粒分の含有率は、政府は昨年12月6日の参議院外交防衛委員会でも「おおむね10%程度と確認している」と説明していましたが、実際には「40%以下」に変更されていたことが判明。沖縄県が「環境に極めて重大な悪影響を及ぼすおそれを増大させる」として立ち入り検査を求めていますが、沖縄防衛局は応じていません。「赤土が広がっている」ことは現場の状況を見れば明白です。偽った情報を用いて、記者に「事実誤認」のレッテルを貼り、取材行為を制限しようとする行為は、ジャーナリズムと国民の「知る権利」に対する卑劣な攻撃です。

 新聞労連は今年1月の臨時大会で、「メディアの側は、政治権力の『一強』化に対応し、市民の「知る権利」を保障する方策を磨かなければなりません。(中略)いまこそ、ジャーナリストの横の連帯を強化し、為政者のメディア選別にさらされることがない『公の取材機会』である記者会見などの充実・強化に努め、公文書公開の充実に向けた取り組みを強化しましょう」とする春闘方針を決定しています。今回の東京新聞記者(中日新聞社員)が所属する中日新聞労働組合新聞労連に加盟していませんが、国民の「知る権利」の向上に向けて、共に取り組みを進めていきたいと考えています。

以上

 

新聞労連が首相官邸に抗議 「東京新聞記者の質問制限」 - 琉球新報(2019年2月5日)

https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-871553.html
https://megalodon.jp/2019-0206-1630-38/https://ryukyushimpo.jp:443/kyodo/entry-871553.html

新聞労連は5日、首相官邸官房長官記者会見での東京新聞記者の質問を「事実誤認」と断定し、質問権を制限するような申し入れを官邸記者クラブに行ったとして、厳重に抗議するとの声明を発表した。
官邸は昨年12月28日、東京新聞の特定の記者が事実に基づかない質問を繰り返しているとして「事実を踏まえた質問」を要請する文書を記者クラブに提出した。
労連は声明で「記者が事実関係を一つも間違えることなく質問することは不可能だ」と指摘。「意に沿わない記者を排除するような申し入れは国民の『知る権利』を狭めるもので、決して容認できない」と非難した。(共同通信

 

(政界地獄耳)議論避ける安倍では改革しようがない - 日刊スポーツ(2019年2月6日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201902060000123.html
http://archive.today/2019.02.06-014234/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201902060000123.html

★首相・安倍晋三が首相になって国会の議論が沈滞化したと与野党の議員は口々に言う。野党議員が議論を吹っかけても、知識がなかったり勘違いした答弁をしたりすることを恐れ嫌ったからだ。15年5月20日党首討論共産党委員長・志位和夫は「過去に日本が行った戦争は、間違ったものという認識はあるか。70年前に日本はポツダム宣言を受け入れた。ポツダム宣言では、日本が行ったのは間違った戦争だったと明確に記している。総理はこの認識を認めないのか」と聞いた。これに対し首相は「ポツダム宣言はつまびらかに読んではいないが、日本はポツダム宣言を受け入れ戦争が終結した」と答えるにとどめた。

★その後、首相はポツダム宣言を読んでいないとの観測がネットなどで広がったこともあり、同年6月2日、「安倍首相はポツダム宣言を当然読んでいる」とする閣議決定までして火消しに動いた。その後は党首討論も嫌がり、予算委員会などでは「(事前の)質問通告がないので答えられない」を連発。不安が残るため、よく知らないことは答えないという戦法に変えた。同年11月10日の衆院予算委員会では「障がい者に対する報酬が実質マイナスに引き下げられた。1億総活躍社会と言いながらなぜ史上初めて報酬を引き下げたのか」と問われ、首相は「障がい者報酬について質問通告がありませんのでお答えできません。厚労大臣も呼ばれていません。質問通告がなければ答えられないじゃないですか。前もって質問通告されなければお答えようがないですよ」。

★助けてくれる厚労相もいない。首相の見識や考え、議論をするということが成立せず、国会審議が味気ないものになっている。4日の予算委員会では不正統計の責任者を与党が異動を理由に国会に呼ばないことが話題になったが、首相は「今知った。答えようがない」という。お膳立てがないと話せない首相を抱えていては議論は深まらず、自民党が掲げる国会改革も無理になる。(K)※敬称略

 

アイヌ新法「先住民族」を明記、国会提出へ 観光振興も - 朝日新聞デジタル(2019年2月6日)

https://www.asahi.com/articles/ASM254H84M25UTFK00L.html
http://archive.today/2019.02.06-000635/https://www.asahi.com/articles/ASM254H84M25UTFK00L.html

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政府は、アイヌ民族を「先住民族」と初めて明記したアイヌ新法案を今国会に提出する。自民党の国土交通部会などの合同会議が5日、法案を了承した。法案は差別の禁止や、観光振興を支援する交付金の創設からなる。政府には、アイヌ文化を観光資源とし、訪日外国人客数の目標達成の一助にする狙いもある。近く閣議決定し、今国会での成立をめざす。
法案は、アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現を目的に掲げる。伝統的な漁法への規制の緩和なども盛り込んだ。新たな交付金は2019年度予算案で10億円を計上。アイヌ文化のブランド化推進やコミュニティー活動のためのバス運営への支援を想定する。
政府は新法により、生活向上のための福祉や文化振興を中心にしたこれまでの施策から、地域や産業の振興、国際交流を見据えた総合的なアイヌ政策へ転換を図るとしている。
法案の背景には、アイヌ民族をめぐる過去の経緯や、先住民族への配慮を求める国際的な要請の高まりがある。加えて政府が狙うのは、東京五輪パラリンピックが開催される2020年に4千万人達成の目標を掲げる、訪日外国人客へのアピールだ。

 

高2自殺の背景に教員らの「いじめ」があった 遺族は強い憤り - 毎日新聞(2019年2月5日)

https://mainichi.jp/articles/20190205/k00/00m/040/243000c
http://archive.today/2019.02.06-010146/https://mainichi.jp/articles/20190205/k00/00m/040/243000c

生徒の自殺の背景に教員らの「いじめ」があった――。山口県周南市で県立高2年の男子生徒(当時17歳)が自殺した問題を再調査した県いじめ調査検証委員会(委員長=堂野佐俊(さとし)・山口学芸大教授)。5日に県に提出された最終報告書では前例のない調査結果が明らかにされた。遺族は強い憤りを示し「学校や教員は重く受け止めてほしい」と願った。
検証委は、いじめ防止対策推進法で本来は生徒間の行為の判断材料にする「いじめの3要件」を教員らによる言動に適用。生徒に対するからかいなどの五つの行為が事実上「いじめ」に該当すると判断した。
最終報告書を提出後に記者会見した堂野委員長は、推進法に教員によるいじめが規定されていないために法的にはいじめとは言えないとしながら「将来的には、大人から子供に対する行為でも、いじめという概念が通じるようになるのではないか」と言及。今後幅広い議論が必要だとの見方を示した。
また、検証委は、教員らがからかうと、同様のからかいは認められたと周囲の生徒が受け止め、さらなるいじめを生み出す端緒となる危険性を指摘した。
元々、検証委の再調査は、県教委の第三者による調査を不服とした遺族の求めによるものだった。
堂野委員長らは、県教委の第三者による調査についても検証。報告書では、教員への聞き取りを第三者委の委員でなく、県教委職員がしている点で中立性に疑問を呈し、教頭が同席したことで教員らが本心を話せなかった可能性も示唆した。
遺族代理人の石田達也弁護士は「ここまで踏み込んだのは、全国的にも例がない。画期的な判断だと思うと同時に、教員たちの不適切な行為がここまでひどいのかと憤りを感じている」と話した。
検証委の報告書を受け取った村岡嗣政(つぐまさ)知事は取材に「教員一人一人が『いじめに類する行為』を生徒がどう受け止めるのかについてもっと敏感になってほしい」と答えた。知事側は、県教委に報告内容を伝え、改善を求めていく考えだ。【真栄平研、祝部幹雄】

周南高2自殺
2016年7月、山口県光市の県立高2年だった男子生徒(当時17歳)が、同県周南市の駅構内で貨物列車にはねられ、死亡した。生徒のスマートフォンに遺書のような書き込みがあり、いじめを疑った遺族が申し出て県教委の第三者委員会が調査を開始。17年にまとめた報告書では、生徒が学校生活で「いじめ」を受けていたと認定する一方、自殺の原因には踏み込まなかった。遺族は再調査を要望し、知事部局の県いじめ調査検証委員会が18年2月から調査していた。

 

「お父さんに叩かれたというのは嘘」 女児「父に書面書かされた」 児相、確認せず家に戻す - 東京新聞(2019年2月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201902/CK2019020602000149.html
https://megalodon.jp/2019-0206-1002-37/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201902/CK2019020602000149.html

千葉県野田市の小学四年の栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅浴室で死亡した事件で、同県柏児童相談所は五日、一時保護解除後の二〇一八年二月、「お父さんに叩(たた)かれたのは嘘(うそ)」などと心愛さんが書いたとする書面を父親の勇一郎容疑者(41)=傷害容疑で逮捕=から見せられていたと明らかにした。柏児相は、父親に書かされた可能性が高いと認識していたにもかかわらず、二日後、心愛さんを当時暮らしていた父方の親族宅から両親のいる自宅に戻す決定をしていた。 
柏児相は一七年十一月、小学校のいじめ調査アンケートに心愛さんが「お父さんにぼう力を受けています」と記入し、ほほにあざがあったことから心愛さんを一時保護。同年十二月末、心愛さんを親族宅に預けて様子を見ることを条件に、一時保護を解除した。
柏児相によると、自宅に戻すかどうかを判断するため一八年二月二十六日、児相職員が親族宅で勇一郎容疑者と面会。勇一郎容疑者は、「(家族)四人で暮らしたい」「児童相談所の人に会いたくない」と書かれた心愛さんの署名入りの書面を示し「今日で娘を自宅に帰らせる」と要求した。
児相職員は児相内部の会議で「父親に書かされた可能性がある」と報告していたが、心愛さんに自らの意思で書いたものかの確認をせず、柏児相は二月二十八日、心愛さんの通学先の小学校から「体に傷は見られない」と報告を受けていたことなどを根拠に、自宅に戻す決定をした。心愛さんは三月上旬、自宅に戻った。
心愛さんは三月十九日、学校での児相職員との面談時に「書面は父親に書かされた」と打ち明けた。親族宅に滞在時、心愛さんは、勇一郎容疑者が仕事でいない時に母親なぎさ容疑者(31)=傷害容疑で逮捕=に会いに自宅へ帰っていた。その際に勇一郎容疑者からなぎさ容疑者にメールで指示があり、心愛さんはその内容を書き写したという。
児相職員が確認すると、心愛さんは「一緒に暮らしたいのは本当の気持ち」と答えたため、児相側は再び保護することを検討しなかった。
柏児相の二瓶一嗣(にへいひとし)所長は、心愛さんに書面を書かせた行為を「心理的虐待と捉える必要があった。(心愛さんは)つらかったと思う」と述べた。

◆柏児相に示された書面全文
栗原心愛さんが書いたものとして、父親の勇一郎容疑者が千葉県柏児童相談所に示した書面は次の通り(漢字表記などは柏児相の発表通り)。
お父さんに叩かれたというのは嘘です。小学校の先生に聞かれて思わず言ってしまいました。お父さん、お母さん、妹、〇〇(親族の呼び名)にたくさんの迷惑をかけてしまいました。ごめんなさい。ずっと前から早く4人で暮らしたいと思っていました。この間のときにも言いました。お父さんに早く会いたいです。児童相談所の人にはもう会いたくないので来ないでください。会うと嫌な気分になるので、今日でやめてください。お願いします。

 

<金口木舌>届かなかった音信 - 琉球新報(2019年2月6日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-871643.html
https://megalodon.jp/2019-0206-1016-27/https://ryukyushimpo.jp:443/column/entry-871643.html

父親の暴力を訴え亡くなった栗原心愛(みあ)さんが記した学校アンケートの文字を見ていて、何ともやりきれない気持ちになる。「先生、どうにかできませんか」という悲痛な訴えは、結果的に報われなかった

▼ふと思い出したのが山之口貘の詩「妹へおくる手紙」である。沖縄を離れ貧乏暮らしをしている兄を慕う妹は「兄さんはきつと成功なさると信じてゐます」と人づてに音信(たより)を送る。兄は困り果てる
▼音信に「妹の眼」を感じ、兄は手紙を描こうとするが、貧乏で住所不定という窮状を明かすことはできない。「満身の力をこめてやつとのおもひ」でつづった文字は「ミナゲンキカ」であった
▼「妹の眼」に愛情を感じ、成功したいともがく兄はまだ救いがある。実際の貘さんには助けてくれる仲間がおり、孤独ではなかった。心愛さんは父親の暴力に苦しみ、学校に助けを求めた。孤独であったろう
▼「お父さんにぼう力を受けています。夜中に起こされたり、起きているときにけられたりたたかれたりされています」。父親におびえ、それこそ満身の力を込めてアンケートに答えたはずだ。なぜ、それが生かされなかったのか
▼心愛さんがいた糸満市の学校や市は厳しい家庭環境を知っていた。救えたはずではないか、という悔いは拭えない。心愛さんの文字は見る者の心に深く突き刺さる。目を背けることを許さない。

 

野田女児死亡 命の安全網強くせねば - 東京新聞(2019年2月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019020602000176.html
https://megalodon.jp/2019-0206-1015-39/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019020602000176.html

救えた命ではなかったか。千葉県野田市の事件で、死亡した女児のSOSの詳細が明らかになるにつれ、その思いも強くなる。今もどこかで助けを求める子はいないか。安全網を強くしなければ。
千葉県警は、既に傷害容疑で逮捕されている女児の父親と共謀したとして、母親も同容疑で逮捕した。母親も夫からドメスティックバイオレンス(DV)を受けているという情報を、以前住んでいた沖縄県糸満市は把握していた。
転居後に、千葉県の児童相談所や学校などで把握した情報を突き合わせれば、父親が、母親や子どもを暴力や恐怖で支配していた可能性が浮かび上がる。担当機関同士が情報を共有していればと悔やまれる。
罪深いのは、SOSを命を救うのではなく、危険を高める方向で使ってしまったことだ。学校で実施したいじめのアンケートで、女児は父親の暴力を訴えていた。児相での一時保護には結びついたものの、逆上した父親に迫られ、野田市教育委員会はアンケートのコピーを渡してしまった。
アンケートは二〇〇〇年代後半に全国に広がった。いじめ自殺が社会問題となったことを契機に、文部科学省が統計の取り方を「発生件数」から「認知件数」に改め、早期の実態把握に努めるよう促したことが背景にある。
しかし、いじめの場合もアンケートで発せられたSOSを生かせず、自殺などの重大事態に至ってしまう事例もある。虐待となると、学校や教育委員会では対応できない懸念がさらに高まるのではないか。今回のことを教訓に全国の教委や学校は、情報を把握したときに、どう対応するか策を練り上げておくべきだ。
教員と連携して学校トラブルの解決にあたる弁護士「スクールロイヤー」を導入している自治体もある。学校が子どもの命を救うとりででもあることを自覚し、教委は自らの弱点を補う組織改革を図っていく必要もあるだろう。
児相の虐待相談対応件数は年間十三万件を超え、十年で三倍強に増えた。弁護士の配置など体制強化のための法改正が実施され、子どもを保護する「介入」機能を強化する方向での議論も進む。一時保護の必要性を判断するための人工知能(AI)を試験導入する自治体もある。
制度や体制が現実に追いつけない現状を克服するため、可能な限りの措置を行う覚悟を社会全体で共有したい。

 

17年点検も不適切処理確認 138統計 再発防止策生かせず - 東京新聞(2019年2月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201902/CK2019020602000138.html
https://megalodon.jp/2019-0206-1011-25/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201902/CK2019020602000138.html

統計不正問題に絡み、中央省庁が二〇一七年にも三百七十七統計の一斉点検を実施し、約四割の百三十八統計で不適切処理を確認していたことが五日、総務省の公表資料や取材で分かった。うち十六は基幹統計だった。統計制度を所管し、点検を要請した総務省は再発防止策を講じたが、教訓は生かされなかった形だ。
この点検による問題判明分には、不正調査が長期間続いていたことが明らかになっている毎月勤労統計や賃金構造基本統計は含まれておらず、ともに厚生労働省が報告していなかった。
点検は一六年末に発覚した経済産業省による「繊維流通統計調査」の不正問題を受けて実施。総務相が指定した特に重要な五十六の基幹統計と、二百三十三ある一般統計のほか、過去に実施した八十八の一般統計を対象として、総務相に承認された計画通りに調査しているかどうか確認した。
これにより不適切処理が見つかったのは厚労省国土交通省など十府省と人事院で、調査結果の公表遅れが全体の過半数を占めた。ただ、国交省の一般統計「全国道路・街路交通情勢調査」で、調査員による調査を郵送やインターネット経由で代替するなど、賃金構造基本統計の問題と同様の事例もあった。

◆不適切処理16基幹統計
総務省】地方公務員給与実態統計

文部科学省】社会教育統計

厚生労働省】人口動態統計、薬事工業生産動態統計、医療施設統計、患者統計

農林水産省】牛乳乳製品統計、作物統計、木材統計、農業経営統計

経済産業省】特定サービス産業実態統計

国土交通省】港湾統計、鉄道車両等生産動態統計、船員労働統計、自動車輸送統計、法人土地・建物基本統計

 

勤労統計と手口ソックリ 安倍政権から膨れたGDPのカラクリ - 日刊ゲンダイDIGITAL(2019年2月5日)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/246916

「毎月勤労統計」で火がついた「不正統計」問題が、ついにGDPの数字にまで拡大し始めた。以前から、専門家は指摘していたが、4日の国会で、不自然なGDPの伸びが取り上げられた。「勤労統計」同様、アベノミクスが成功しているように装うために計算方法を変えていたのだ。

■国会で追及

2015年9月に自民党総裁に再選された安倍首相はいきなり「GDP600兆円の達成」を掲げた。すると、GDPの算出方法について、15年度から研究開発費なども組み入れる「国際基準」に変更。さらに、新しく項目を追加した。その結果、16年12月に発表された15年度のGDPは、旧基準より31兆円も増えた。
かさ上げされた31兆円の内訳は、「国際基準」要因が24兆円、「その他追加」が7.5兆円だった。
きのうの衆院予算委で立憲民主の小川淳也議員は、欧米でも「国際基準」適用で2~3%増えるため、24兆円増は妥当だとしながら、「その他」の7.5兆円について不自然さを指摘、「安倍政権になってうなぎ上りだ」と追及した。

民主党政権だった12年度の「その他」は0.6兆円プラスだったが、安倍政権発足後に急増。▼13年度4兆円▼14年度5.3兆円▼15年度7.5兆円になった。

 そもそも、「その他」は過去、GDPを押し下げるマイナス要因になるケースが多かったという。実際、94年度から99年度の平均はマイナス約3・8兆円。2000年から12年度はマイナス約0.7兆円だ。

■安倍政権で膨張のカラク

ところが、なぜか安倍政権になった途端、どんどんプラスが増えているのである。
著書「アベノミクスによろしく」(17年10月)で早くからGDPかさ上げ疑惑を指摘してきた明石順平弁護士が言う。

「GDPのかさ上げは、勤労統計の調査方法を変更することで賃金を上振れさせたのと構図がソックリです。賃金の上振れは、安倍首相が『3%賃上げ』の目標を掲げたタイミングで行われています。GDPのかさ上げも安倍首相が『GDP600兆円』を口にしたタイミングで、算出方法が『国際基準』に変更され、『その他』が追加されています」
政府は「その他」の中身について、「防衛装備品」や「不動産仲介手数料」を例示するが、安倍政権発足後、急に「その他」がプラスになるのはどう見ても不自然だ。

「GDPのかさ上げ疑惑について、ようやく国会で取り上げてくれました。『その他』についての政府の説明は腑に落ちません。野党は、安倍政権の統計偽装の本丸ともいえるGDPに切り込んでほしい。真実が明らかになれば、国家ぐるみの粉飾決算ということになり、日本の国際的信用は失墜することになりますが、安倍首相が在任中に、アベノミクスのウミをすべて出し切るべきです」(明石順平氏
安倍首相はきのう、GDPのかさ上げについて、「目標(達成)は、跳躍して進んでいくということだ」と言い繕った。野党は「跳躍」の正体を暴けるか。

 

統計不正 更迭統括官、与党が招致拒否 野党「真相隠し」と批判 - 東京新聞(2019年2月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201902/CK2019020602000139.html
https://megalodon.jp/2019-0206-1010-19/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201902/CK2019020602000139.html

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毎月勤労統計の不正を巡り、問題が発覚した当時、厚生労働省で統計担当の政策統括官だった大西康之氏(現大臣官房付)の国会招致を求める野党の声が日増しに大きくなっている。大西氏は、部下の室長から不正の報告を受け、根本匠厚労相に一報を上げた人物で、組織的な隠蔽(いんぺい)があったかどうかの鍵を握る。与党は、大西氏が別の問題で更迭されたことを理由に招致を拒んでおり、野党は政府与党に真相を隠す意図があるとみて、追及している。 
五日の衆院予算委員会では、野党から大西氏に関連する質問が集中。共産党塩川鉄也氏は、大西氏が問題を知った後、根本氏に報告するまで一週間かかった点について「なぜこんなに重大な問題を報告しなかったのか」と語気を強めた。
大西氏が更迭され、答弁者から外れたため、不正を知った経緯や報告に時間がかかった理由、根本氏に報告した際の詳しい状況は依然、不透明な部分が多い。立憲民主党西村智奈美氏は「(大西氏の報告に)資料はなく口頭だった」として当時の状況を詳しく語らない根本氏に「手ぶらで大臣に報告に行く役人がいるのか」と声を荒らげた。
大西氏は、毎月勤労統計とは別の基幹統計「賃金構造基本統計」の調査に関し、部下からの報告で不正を知っていたのに、一月の一斉点検時に総務省に申告し忘れたとして、今月一日に政策統括官を解任された。
厚労省は、毎月勤労統計の不正では、有識者でつくる特別監察委員会の検証に基づき、組織的な隠蔽はなかったとの立場をとる。一方、賃金構造基本統計の不正では、二月一日に大西氏を更迭した後、部下の隠蔽も認定しており、対応が大きく異なる。
根本氏は更迭の理由を「任に値しないと判断した」と説明した。だが西村氏は「キーマンの口を封じようと意図したとみられても仕方ない」と批判した。野党側は再三、大西氏の招致を求めたが、根本氏は「新たに任命された統括官が対応することが適当」と、淡々と答えるのみだった。 (大野暢子)

 

麻生氏の発言 責任転嫁も甚だしい - 東京新聞(2019年2月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019020602000175.html
https://megalodon.jp/2019-0206-1008-07/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019020602000175.html
またか。麻生太郎財務相の発言にあきれる。人権感覚を疑うような発想だ。少子化は子どもを産まない人が問題なのではない。そうせざるを得ない社会にしている政治の責任こそ自覚すべきだ。
「年寄りが悪いみたいなことを言う変なのがいっぱいいるけど、それは間違いだ。子どもを産まなかったほうが問題なんだから」
麻生氏は福岡県での講演でこう話した。四日に国会で批判されると「誤解を与えたとすれば撤回する」と釈明したが、おわびの言葉はなかった。謝罪したのは五日になってからだ。だから発言は「誤解を与えた」のではなく、本音がでてしまったのだろう。
麻生氏の発言について二つ指摘したい。
一つ目は少子化についてだ。出産・子育ては個人の問題だが、そうしたくてもできない社会状況がある。保育所整備や経済支援などの仕事と子育てを両立させる政策は不十分だ。働いていても雇用が安定せず賃金が低い非正規雇用では結婚すらままならない。
安心して働いて結婚も出産・子育ても望む人がそうできる社会の実現は政治の責任だ。
一九九〇年に前年の出生率が丙午(ひのえうま)の年を下回った、いわゆる「一・五七」ショックが広がった。少子化への懸念は可視化され、社会で共有されたはずだが、出生率は低迷したままだ。二〇一六年には出生数が年間百万人を割った。子どもを産む年代の女性数が減っているからだ。
政府・与党に問いたい。この間、何をやっていたのか。
二つ目は社会保障制度のあり方である。発言のもうひとつの趣旨は、社会保障費用が要る高齢者を悪者にしている人たちがいるとの指摘だろう。これも疑問だ。
確かに年金、医療、介護などの費用の多くは高齢者に回している。年を取って働けなくなれば生活費を年金から得るのは当然だし、医療も現役世代より必要になる。だが、優遇されているわけではない。年金で安心を得られる人ばかりではないし、医療や介護も保険料とは別に自己負担額が増えている。
社会保障の財源をどう確保するのか、制度を支える社会的な合意をどうつくっていくのか、政府はそこに知恵を絞るべきなのに、世代間対立をあおっては逆効果だ。
麻生氏は過去にも今回と同様の発言をしている。他の自民党議員の出産を巡る問題発言も枚挙にいとまがない。認識を改めてほしい。

麻生氏の発言 政権の姿勢が問われる - 朝日新聞(2019年2月6日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13881184.html
http://archive.today/2019.02.06-010502/https://www.asahi.com/articles/DA3S13881184.html
発言を撤回し、陳謝したが、むしろこれが、偽らざる本音ではないのか。
麻生副総理兼財務相が地元・福岡県内での国政報告会で、少子高齢化について「年を取ったやつが悪いみたいなことを言っている変なのがいっぱいいるが、それは間違い。子どもを産まなかったほうが問題なんだから」と述べた。
そもそも、子どもを産むか産まないかは、個人の自由な選択によるもので、政治家が口をはさむべきではない。加えて、麻生氏の発言は、子どもを持てない人への配慮を欠き、少子化の責任を個人に転嫁しようとするものだ。看過できない。
野党の批判を受け、麻生氏は「誤解を与えたとすれば、撤回する」「不快に思われるなら、おわび申し上げる」と述べた。しかし、この言いぶりから真摯(しんし)な反省は伝わってこない。
麻生氏は14年末の衆院選の応援演説でも、「高齢者が悪いようなイメージをつくっている人がいっぱいいるが、子どもを産まない方が問題だ」と、今回と同様の発言をしている。もはや確信犯と言うほかない。
正規雇用が増え、低賃金や将来不安から、結婚や出産をためらう人たちがいる。子育てをしながら働ける環境も十分ではない。少子化の危機が叫ばれながら、抜本的な対策を怠ってきたのは、長年政権の座にあった自民党ではないか。
個人の生き方を支援するというよりも、国力の維持のために出産を奨励する。自民党の政治家からはむしろ、戦前の「産めよ殖やせよ」を思わせる発言が後を絶たない。
官房長官は15年、人気俳優同士の結婚に際し、「ママさんたちが一緒に子どもを産みたいとか、そういう形で国家に貢献してくれたらいい」とコメントした。参院副議長も務めた山東昭子参院議員は17年、「子どもを4人以上産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」と述べた。昨年6月には二階俊博幹事長が「この国の一員として……、子どももたくさん産んで、国も栄えていく」と語っている。
安倍政権は「全世代型の社会保障」を掲げ、子育て支援にも力を入れるというが、一連の発言をみれば、人権と多様性を尊重し、子どもを産み育てやすい社会を本気で築こうとしているのか疑わしい。
麻生氏を要職に据え続ける安倍首相は、少子化対策で政治が果たすべき役割を理解しているのか。問題は政権の認識そのものである。

[大弦小弦]麻生太郎副総理が福岡県内で開かれた国政報告会で… - 沖縄タイムス(2019年2月6日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/381769
https://megalodon.jp/2019-0206-1017-30/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/381769

麻生太郎副総理が福岡県内で開かれた国政報告会で少子高齢化問題に触れ、「子どもを産まなかったほうが問題だ」と発言し、謝罪に追い込まれた

▼政治家の暴言や失言は後を絶たず、麻生氏の発言も「不適切」では済まされない。高齢化社会に伴うさまざまな問題を少子化が悪いとすり替えた形で、子育て世代に責任転嫁するような発言だ

▼麻生氏は2014年にも社会保障費の増加に絡んで「産まないのが問題だ」と言い、不適切だったと釈明した。何も変わっていない。子を産まない選択をした人や、子を持てない事情を抱える人への配慮はみじんも感じられない

▼出産を巡る自民党議員の過去の発言には失望させられる。「子どもを一人もつくらない女性が年を取って税金で面倒をみなさいというのは本当はおかしい」(森喜朗氏)、「子供を4人以上産んだ女性を表彰することを検討しては」(山東昭子氏)

▼麻生氏は今回、自身が生まれた頃と比べて平均寿命が延びたことを指摘した上で「年寄りが悪いみたいなことをいう変なのがいっぱいいるけど、それは間違いだ」として、産まなかったほうが問題だと述べた

▼確か3年前、自民党の集会で、90になって老後が心配だという人を取り上げ、「いつまで生きているつもりだよ」と侮辱する発言をしたのは誰だったか。(赤嶺由紀子)

 

[CV22沖縄で訓練]説明なき一方的運用だ - 沖縄タイムス(2019年2月6日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/381768
https://megalodon.jp/2019-0206-1019-19/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/381768

米空軍横田基地(東京)に配備されている垂直離着陸輸送機CV22オスプレイ4機が事前通告なしに4日午後、嘉手納基地に飛来した。
第18航空団は「定期的な現地訓練の実施を目的とし横田基地への配備後初めて嘉手納基地へ暫定配備される」と英文と日本文で発表した。
米側が自発的に「暫定配備」のニュースリリースを出すのは極めて異例だ。第18航空団司令官も「嘉手納におけるCV22の訓練受け入れは重要である」と言っている。
これに対し沖縄防衛局は第18航空団から「訓練のため一時的に飛来していると回答を得た」として、「暫定配備」の否定に躍起になっている。だが、第18航空団はその後も発表文を訂正していない。
数え上げれば切りがないが、防衛局は事実関係を認めない傾向が顕著だ。
辺野古新基地建設問題でMV22オスプレイの配備を明らかにしたのは、環境影響評価(環境アセスメント)の最終段階になってからである。
防衛局が第18航空団から言質を取ったというなら発表文を訂正させるべきである。
CV22オスプレイ4機は5日午前、嘉手納基地を飛び立った。オスプレイは現在どこで訓練しているのか。
「暫定配備」の期間や再び嘉手納に戻ってくるのかなど本紙の質問に対し、第18航空団は回答していない。
発表文にある「定期的な現地訓練」とは、年間を通じて沖縄で継続して行うという意味なのか。どこの基地を使い、どのような訓練をするのか。訓練だからといってこれらの情報を明らかにしないのは納得できない。

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沖縄市嘉手納町北谷町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)」は緊急幹事会を開き、対応を協議した。「なし崩し的な運用は絶対に認められない」として、目視調査など現状を把握しながら抗議する方向で一致した。
北側滑走路が修復工事のため閉鎖され、1本の滑走路で運用している。しかし外来機の飛来はやまず過密状態だ。5日には在韓米軍烏(オ)山(サン)基地のU2偵察機が外すべき補助輪を付けたまま離陸し戻っている。基地外で落下していたらと思うとぞっとする。
先月はF15戦闘機2機が1本の滑走路の両方向から緊急着陸する事態が起き、地元の反対を押し切ってパラシュート降下訓練も行われた。
CV22が「暫定配備」されるとどうなるか。基地負担の軽減どころか、増大にしかならないのは明らかである。

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CV22は空軍仕様の特殊作戦用で、地形追随装置や電子妨害機能、レーダー探知機能を備える。特殊部隊をひそかに敵地に送り込んだり、紛争地で人質救出したりするため、夜間飛行、低空飛行など過酷な条件下で運用される。
CV22はMV22よりも事故率が高い。もっと危険な環境下で飛行しているのである。MV22に、弾薬も搭載するCV22が沖縄の空を飛び交うようになれば県民はさらに墜落の危険性に脅かされる。
日本政府は米軍に物を言わず追従するだけでいいのか。