【政界地獄耳】「アンチヒーロー」を地で行く元検事正事件 検察の闇が見え隠れ - 日刊スポーツ(2024年6月27日)

https://www.nikkansports.com/m/general/column/jigokumimi/news/202406270000097_m.html?mode=all

★25日、大阪高検は元大阪地検検事正で弁護士の北川健太郎を準強制性交容疑で逮捕した。事件は検事正在任中の18年2月~19年11月だという。北川は1985年に検事に任官。大阪高検次席検事や最高検監察指導部長、刑事部長を歴任。大阪高検は記者会見さえも行わず、逮捕容疑の詳細もプライバシー保護という名目で明らかにされていない。報道を総合すると「逮捕容疑は検事正の時期で、当時の後輩の女性検察関係者に性的暴行をした疑い。女性は酒に酔って抵抗するのが困難な状態だったという。現場は検事正の官舎だった」。ただ、北川の検事正時代の事件がなぜ今表に出てきたのか。北川と言えば多くの人たちが忘れられない事件があった。
★それこそが森友事件だ。「大阪の国有地を学校法人に売却」という報道から始まった元首相・安倍晋三昭恵夫人が大きく関与した事件。公文書改ざんを命じた責任者が財務省理財局長・佐川宣寿。近畿財務局・赤木俊夫さんが追い込まれ自殺したが、森友事件に関係した財務官僚38人全員を不起訴にしたのは北川の下にいた大阪地検特捜部長・山本真千子。山本はその後、函館地検検事正を経て大阪地検検事正。北川自身は定年前の19年11月に突然、検事正を退官し弁護士をしていた。
★「これでは4月から放送されていた警察や検察の不正による冤罪(えんざい)と戦い、疑惑の渦中にある検事正と対峙(たいじ)するTBS系ドラマ『アンチヒーロー』を地で行く話のようだ」(在阪司法関係者)。ベルトコンベヤー製造大手、NCホールディングスが27日開催の定時株主総会で北川を取締役に再任するとしていたが、逮捕されたとの報道に伴い、早速取り下げた。なぜ5年もたった今事件化され、逮捕に至ったのか。法務省や大阪検察の都合なのか、それとも森友事件などの無理な操作や裁判が政権側に不利にならぬよう安倍政権の隠蔽(いんぺい)が明るみに出たのか。アンチヒーローではそこから再捜査が始まるのだが、まさに検察の闇が見え隠れする。(K)※敬称略