(政界地獄耳) 上級国民を存在させる安倍政権 - 日刊スポーツ(2020年2月10日)

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★司法に関わる不可思議がこのところ連続して国民を悩ませる。東京地検特捜部はIR汚職事件で「100万円は少額」であった点を考慮してIRで賄賂を受け取った衆院議員・秋元司容疑者以外の5人の衆院議員の刑事責任を問わないとした。東京地検特捜部は巨悪を見逃さないとは聞いていたが、100万円は少額だからとがめないなどとは驚いた。政治資金規正法の処理の方法や収支報告書の訂正で済まされる可能性から追い込めないと考えたのだろうか。

★いずれにせよ国民は少額だから、巨悪ではないから許すという文化に違和感を持つ。なぜなら一般社会では額の大小は刑の重さには関わるかもしれないが犯罪がなかったことにはならないからだ。最近、昨年暴走事故を起こした旧通産省工業技術院の元院長・飯塚幸三被告が在宅起訴されたことに似ている。逮捕されることなく国民は上級国民という特別扱いされる人たちが存在するのではないかといぶかった。

★そこには政府の介在が疑われる。検察人事でも法務省は16年、次の次の検事総長候補として法務省刑事局長・林真琴を法務事務次官に昇格させる方針だったが官邸が拒否、法務省官房長・黒川弘務を事務次官にするよう求めた。17年に林を次官にしようとするも官邸は拒否。黒川を留任させ18年、林は名古屋高検検事長に転出。19年、黒川は東京高検検事長になる。官邸は定年を迎えた黒川の定年延長までして検事総長につけようとしているのか。法律家の間では検察官の定年については検察庁法22条だけが適用され、国家公務員法の定年は適用されないため、同法81条の3の定年延長規定を適用して、定年を延長することは違法との見解が大勢だ。政界関係者が言う。「首相・安倍晋三は韓国の曹国(チョ・グク)の法務長官(法相)就任と一連の検察改革に自分をだぶらせたのだろう。韓国の検察は日本よりも独立性が高い。どの案件というより検察も公務員であり人事で動くと学ばせ穏やかな検察を望んだのだろう」。上級国民は間違いなく存在するようだ。(K)※敬称略