【政界地獄耳】病気公表した酒井菜摘の覚悟に支持集まる 「古い政治ときっぱり決別」見せた - 日刊スポーツ(2024年4月30日)

https://www.nikkansports.com/m/general/column/jigokumimi/news/202404300000139_m.html

★「亡くなられた細田先生が長く守ってこられた議席を失ったことの責任を痛感しております」。衆院3補選で唯一自民党立憲民主党の一騎打ちとなった島根1区で敗戦した自民党新人・錦織功政は唇をかんだ。保守政治家が敗戦の弁に使う「議席を守る」「地盤を守る」といった言葉は今の有権者に刺さるだろうか。29日のメディアは「立憲がすべて勝つ」「立憲3勝」と伝えるとともに「自民全敗」の文字が躍る。自民党から見れば、自民党が候補者を擁立したのは島根だけ。不戦敗は負けとカウントされるのは与党のつらさだろう。
★一方、立憲は浮かれモードだが、東京15区でいえば、自民党は擁立しなかったものの9候補が乱立。候補者を擁立しながら取りやめた共産の票が立憲を勝たせた。逆に投票率などを鑑みれば、共産が出馬していたら得票が足りず再選挙になっていたかもしれない。この低投票率を各党は分析し、そう遠くない総選挙に役立てたいはずだが、冒頭の昭和の古い政治を表すような「議席を守る」という考え方とともに、大きく変化したことが、この15区にはあった。
★当選した立憲の酒井菜摘の討議資料などには、子宮頸(けい)がんや不妊治療を乗り越えた1児の母が書き込まれている。「政界の常識から言えば、朝の会合で食事に手を付けないだけで昼には『病気ではないか』とうわさが立つ時代を生きてきた者には病気を公表するという選挙資料は初めて」(与党関係者)というぐらい衝撃だったようだ。当然、以前よりもがん制圧の医学は進み、治る病気になった。頭の中ではわかっているが、自ら病気を公表する覚悟は、自民党の新人候補者にはなかなかできないという。28日の読売新聞社の15区の出口調査では「候補擁立を見送った自民の支持層の票が各候補に分散する一方、無党派層の支持は立憲民主党の候補が最も多く集めた」。周りに聞いても、若い女性や40代、50代の女性も酒井に好感を持つ人が多いのは、まさに「古い政治ときっぱり決別」は政治とカネだけではないことを見せたといえる。(K)※敬称略

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