【政界地獄耳】玉砕覚悟の精神論では国民の信頼は戻らない - 日刊スポーツ(2024年4月20日)

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自民党の派閥裏金事件後で初の国政選挙となる衆院補欠選挙(28日投開票)が島根1区、東京15区、長崎3区で告示された。島根1区は前衆院議長・細田博之の死去に伴って行われる。自民は2つの選挙は政治とカネが影響し候補を立てなかったが、3補選で唯一の候補を立て公明党が推薦した。自民党新人と立憲民主党元職の与野党一騎打ちとなった。東京は立憲、日本維新の会、参政党、諸派、無所属の9人からなる野党対決。長崎は立憲対維新の野党対決となった。各地で激しい選挙戦が繰り広げられており、国会の合間を縫って議員たちも応援に駆け付けている。国会開会中だが立憲民主党代表・泉健太は第一声を現場に出向いて発したが、首相・総裁の名代となる自民党幹事長・茂木敏充は国会から離れなかった。

★立憲は野党対決で野党第1党の役割を示せるのかが問われるし、東京では今回負ければ自治体選挙も含め4連敗を喫すことになる。今後の政局も左右することから力が入る。

★一方、この補選について自民党前選対委員長で党総務会長・森山裕が17日、講演で衆院3補欠選挙のうち東京15区と長崎3区で自民が不戦敗となったことに不満を示した。「国民政党として選択を狭めてしまったことは重い責任だ。勝ち負けは別にして、信を問うべきだった」と語った。駆け引きと仕掛けが張り巡らされる国会対策の発想だ。自民党ベテランが言う。「今の自民党の空気からいえば不戦敗はひとつの国民への意思表示だ。簡単に言わないでほしい。不戦敗と無理やり候補者を立てて負けるのでは選対委員長や幹事長の責任は変わるのか。勝ち目のない戦いに引きずり出して、候補者のその後の政治活動や政治人生に担保を与えられるか。森山は不戦敗に反対などしていなかったので、後付けの理屈だ」。選対委員長・小渕優子や茂木への責任論を言いたいのかもしれないが、玉砕覚悟の精神論を持ち出されても国民の信頼は戻らない。(K)※敬称略