【政界地獄耳】政倫審への全面協力以外に国民の納得はない 自民党内には楽観論 - 日刊スポーツ(2024年2月28日)

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★26日の衆院予算委員会で首相・岸田文雄に対して、立憲民主党の元首相・野田佳彦は「(政治とカネの)説明責任を果たすというなら、政治倫理審査会は完全公開が当然」と詰め寄ったが、「国会が判断すること」とかわした。一方、同党・城井崇が首相に「納税者の皆さんに一言」と問うと、「納税の時期を迎えて国民に強い懸念、不信を引き起こしていることについて自民党として強い危機感を感じ、心からおわびを申し上げる」と謝罪。「税は社会を支える公的なサービスを皆で分かちあうものだ」と理解を求めた。城井が「確定申告ボイコット」がネットに飛び交っているというと、「SNSで投稿が多く見られることは私も承知している」「改めて国民の厳しい目を強く感じている。国民の信頼回復に向けて強い覚悟を持って臨まなければならない」とした。

★城井への答弁は首相の立場と自民党総裁の立場を混同した対応で、野田に「国会で決めること」というのも、自民党総裁として答えられた質問だろう。こんなゆるく都合のいい答弁を野党が許している限り、言える立場にない自民党も強気で政倫審を乗り切る覚悟だろう。だが自民党は4月28日投開票の衆院3補欠選挙を巡り、長崎3区で独自候補を擁立せず不戦敗で調整に入った。同党東京都連は東京15区補選の候補者の公募を確認したが、選挙対策委員長小渕優子ら党本部側は「調整が必要だ」と異例の「待った」をかけている。政治とカネで補選の風当たりの強さを感じているようだ。

★信頼回復の処方は党総裁が政倫審への全面協力をうたえばいい。逆にそれ以外に国民を納得させる方法があるだろうか。加えて自民党内にある、この期に及んで「何とか切り抜けられる」という楽観論の存在だ。その時は岸田の首をすげ替えればいい、程度の覚悟で乗り切れるのは野党の攻勢ぐらい。国民の怒りや不満は増幅していることを忘れてはならない。(K)※敬称略