【政界地獄耳】自民は選挙位置づけ間違えた 無党派層活発化、激戦区増えた - 日刊スポーツ(2021年10月27日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202110270000077.html

★25日の夜、自民党総裁岸田文雄、副総裁・麻生太郎、幹事長・甘利明が選対委員長・遠藤利明のもとに集まり最終選対会議を開いた。激戦区と言われる選挙区だけで22日から24日にかけて行った調査の結果を踏まえての判定会議でもあるが、思いのほか激戦が続いている選挙区が多い。ここで調査を行わなかった選挙区は既に自民党候補の優勢が確保されている選挙区か、野党候補の勢いが強くさじを投げている選挙区以外の大激戦区、または大逆転の可能性の残る選挙区だ。

★この判定会議は24日の参院静岡補選の結果を踏まえてのものになったが、選対幹部の話題は同選挙の無党派層の動向にあったことは言うまでもなかろう。時事通信出口調査では支持政党について「なし・分からない」と答えた無党派層のうち、57・6%が野党系の無所属新人・山崎真之=立憲民主、国民民主推薦=に投票したという。朝日新聞社出口調査では山崎は無党派層の69%から票を得て、立憲、国民両党の支持層からは9割前後を獲得したという。

★「この数字は衝撃的だ。確かに静岡は県知事・川勝平太の選挙戦の延長にあり、劣勢は織り込んでいたが、無党派層の動きがここまで活発になるとは驚いた。その意味では天下を分ける争点はないものの全国でコロナ禍の苦しみや苦労は各階層に及んでいることがわかる」とは野党関係者の声だ。景気回復やコロナ対策は将来の不安であり明日への不安だ。ところがコロナではその処方を示さず、新たな対策もない。後は第6波が来るのを固唾(かたず)をのんで待つだけとなれば、菅政権からの進歩が見えない。加えてくすぶり続ける甘利の政治とカネスキャンダルが、岸田政権のスタートをつまずかせた。これでは無関心でいられるはずがない。地域によってはこの選挙の位置づけを自民党は間違えたかもしれない。(K)※敬称略